味噌

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(左から)麹味噌・赤味噌・合せ味噌

味噌(みそ、英:miso)は、大豆等の穀物に、を加えて発酵させて作る、日本の発酵食品である。日本の伝統的な食品の一つである。miso として日本国外にも知られている[1]

食品学人類学的には、日本の味噌は醤油と同じく、(ひしお/ジャン)のうち穀醤(こくしょう)に分類される。一般的に販売される味噌は日本独自のものである。しかし大豆や、その他の穀物や豆を原料としたペースト状の発酵調味料である穀醤は、東アジア東南アジアの各地に存在し、類似性からそれを含める場合もある。例えば中国の豆板醤韓国コチュジャンは、日本ではしばしば唐辛子味噌などと呼ぶ。

穀物の違いや麹の違いで種類が豊富である。主な原料は大豆である。穀物に黄麹菌などの麹菌を繁殖させた麹や塩を混ぜ合わせ、発酵させることによって大豆のタンパク質を消化しやすく分解し、旨みの元であるアミノ酸を多量に遊離する。穀物由来の麹が増えるとデンプンに変わって甘味が増し、大豆が増えるとアミノ酸による旨味が増す。温暖多湿という日本の国土条件の中、職人技により製造する。現代的な食品の衛生基準との間で伝統を守りづらくなっている[要出典]​。原料により豆味噌、米味噌、麦味噌など、地域、種類により赤味噌白味噌、合わせ味噌(調合味噌)などと区別する。

古くから日本の食生活における主な蛋白源である。また副食の素材が豊富になった今日では調味料とみなす事がある。江戸時代中盤以前は「おかず」的な扱いをしていた。現在でも「おかずみそ」・「ねぎみそ」・「ピーナッツみそ(みそピー)」・金山寺味噌豚味噌アンダンスー)・魚味噌・朴葉味噌など、多数のおかずとして食用にする味噌加工品が存在している。日本料理に欠かせないものの一つとなっている。海外旅行中に、味噌汁を飲みたくなる人がいるなど、日本人の味として親しまれている。スローフード日本食ブームにより、味噌の良さが改めて見直されている。

長年の経験では、味噌は食品として万能であることが江戸時代の本朝食鑑に記載されており、その健康増進効果から味噌汁は「医者殺し」と当時から言われていた[2][3]。20世紀後半からは、健康効果の研究がおこなわれている。

原料[編集]

味噌の製法の概略は、#手作り味噌の作り方を参照のこと。

成分[編集]

味噌には以下のような成分が含まれる[4]

歴史[編集]

味噌蔵の木桶
現在市販されている味噌はプラスチック製の容器に機械で詰められて売られている事も多い。(写真は江戸甘みそ)

起源[編集]

味噌の起源には二つの説がある[5]

  • 中国伝来説

古代中国のを根源とし、遣唐使により中国を経て伝来したとされる説[6]

  • 日本独自説

日本の味噌の原型は歴史が古く、弥生時代からとする説[7]。日本においては縄文時代から製塩が行われ、醤などの塩蔵食品が作られていたと見られる。縄文時代後期から弥生時代にかけて遺跡から穀物を塩蔵していた形跡が見つかっている[8]。古墳時代からは麹発酵の技術を加えたものとなった。

現在の味噌の起源に連なる最初は、奈良時代である。当時の文献に「未醤」(みさう・みしょう:まだ豆の粒が残っている醤の意味)と呼ばれた食品の記録がある。また「末醤」とも書かれ、「大宝令」(大宝元年(701年))の「大膳職」条では「末醤」と記される。他に味醤、美蘇の字もすでに見える。藤原京(700年前後)の遺跡からは、馬寮(官馬の飼養などを担当する役所)から食品担当官司に醤と末醤を請求したものとして、表は「謹啓今忽有用処故醤」、裏には「及末醤欲給恐々謹請 馬寮」と書かれた木簡が発掘されている[9]。この未醤、あるいは末醤が、やがて味醤、味曽、味噌と変化したものであることは、「倭名類聚抄」(934年頃)や「塵袋」(1264~1287年頃)という辞書に書かれている。この当時の味噌は、調味料というよりは豆やその他の穀物を塩漬保存した保存食であり、つまんで食べられた。徒然草において、北条時頼北条宣時が、台所に残っていた味噌だけを肴として酒を酌み交わしたという逸話があるが、そういう時代背景がある。大豆を原料とした調味料としては、当時は塩辛納豆が主に使われた。

室町時代[編集]

室町時代になると、各地で味噌が発達した。戦国時代には主にが原料とされたが、兵糧陣中食)として重宝され、加工品の芋がら縄も含め、兵士の貴重な栄養源になっていた。その名残は、朴葉味噌などとしても伝わっている。各地の戦国武将にも味噌作りは大事な経済政策の1つとして見られるようになった。

江戸時代[編集]

現在のように調味料として認識されるようになったのは、江戸時代になってからであり、味噌は各地の風土・気候を反映されていて、熟成方法などが異なり全国に多様な味噌をもたらした[要出典]​。

明治時代[編集]

明治時代の一般的な味噌の醸造期間は1-3年程度であった。明治時代の国語辞典である言海は味噌の分類として以下の三種をあげる。その記述では、当時の赤味噌と白味噌は材料の豆や麹が異なったという。

  • 白味噌 豆の皮を取り、白麹で作る。色が白く甘い。
  • 赤味噌 白大豆で作る。色が赤い。
  • 玉味噌 豆を臼で砕かず包丁で刻み、藁に包んで熟成させる。下等品だったという。

蒸すか茹でるかした大豆を潰して団子にし、藁で包んで味噌玉として軒下などに吊るし、カビが生えるなどして熟成したものを塩水と合わせて仕込む玉味噌は、現代でも地方各地に残っている。また、味噌玉を作って味噌を仕込む方法は朝鮮半島のテンジャンにおいても見られる。

明治時代末期に日本陸軍糧秣廠に勤めていた河村五郎(日出味噌創業者)が、麹の働きを温度管理で調節する味噌速醸法を考案。醸造時間は数ヶ月に短縮することが可能となった。当時、東京で主流となっていた仙台味噌の醸造法とともに全国に普及した。


明治時代末まで味噌の原料豆を砕く道具はと杵であり、完全な破砕ができなかったため、出荷された味噌には豆の粒や欠片がそのまま残っており、使用の前にすり鉢で粒を潰し「みそこし」で漉してから使った。やがて味噌製造が機械化すると味噌を出荷前に機械で漉し、家庭でいちいち擂ったり漉したりの手間が省ける「漉し味噌」「擂り味噌」が販売されるようになった。現在のような滑らかなペースト状の味噌が販売されるようになったのはみそ漉し機械の導入以降であるが、味噌をすり鉢でする習慣は戦後も残っていた。漉し味噌は食味で劣るとの議論もあり、現在でも漉していない「粒味噌」が販売されており、鹿児島県奄美料理のように粒味噌のまま使っている地域もある。

大正時代[編集]

大正15年「最新醤油味噌醸造法」栂野明二郎 著 醸造評論社 (1926年)を発行している。本書は、国立国会図書館のデジタルライブラリで閲覧可能である。当時の醤油味噌の製造方法がわかる[10]

昭和時代[編集]

第二次世界大戦中には、配給味噌の基準製法となったことも後押しとなっている[11]。また、温度に着目した醸造法が各地で試された結果、大戦中の1944年(昭和19年)に中田栄造(マルマン (味噌製造)創業者)が醸造中の温度管理の適正化を進めた中田式速醸法を開発。醸造時間は20日とすることも可能となった。中田の信州味噌の醸造法とともに戦後、全国に普及した。

1970年代(昭和40年代)までは食料品店(酒屋三河屋)などで醤油や味噌が樽から量り売りされていたが、流通の変化などで量り売りは姿を消し、袋やプラスチック容器などのパッケージに入ったものに変わっている。従来は袋詰めの際、添加物としてソルビン酸カリウムが使用されたが、現在は酒精エチルアルコール)を2~3%添加する。これにより、耐塩性酵母を殺菌し、発酵で出る二酸化炭素による膨張を防ぐことができる。なお、調整処理されていないものは生味噌と呼ばれ、耐塩性酵母が引き続き活動している。

昭和54年度後期(1979年)より国家資格である技能検定制度で[12]みそ製造技能士1級、2級試験がはじまった[13]。みそ製造の技能の伝承を確実にしている。1級は7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上の実務経験、2級は実務経験2年以上。科目は学科試験は、みそ製造法、微生物および酵素、化学一般、電気、関係法規、安全衛生で、実技試験がある。

現代[編集]

今日では北海道音威子府村から沖縄県与那国町まで、日本の全ての地域に製造業者が存在する。それほど高度な技術や多額な資本投下無しに製造できることが推測できる[要出典]​。同じ穀醤の中でも特定地域に集中している醤油製造との違いでもある。多くの製造業者があり、他の食品と同じように商品の多機能化と差別化が進んでいる[要出典]​。単に素材の違いだけでなく、出汁入りのものやカルシウムなどを添加したものを販売している。「つけてみそかけてみそ」など食卓に置いておくみそも普及している。2000年以降は、みその出荷量は単調減少で、2015年には2000年比2割近い落ち込みである[14]。2000年以降デパートでのみその出荷は4分の1以下になっている[15]


平成21年8月みそソムリエ制度ができ、みその普及の基盤ができてきたが減少に歯止めがかかっていない。クックパッドなどにも手作りみそ、みそだれ、みそ餡などのみそ加工品からみそ料理まで幅広く掲載されており、みそ料理の情報はネットに豊富にあがっている[16]

現在、「味噌」はMiso味噌汁Miso Soupとして、日本国外の人にも日本のものとして親しまれている[17]

味噌の種類[編集]

味噌はJASでは「みそ」と表記され、主材料によって次のように分類される。

  • みそ
    • 米みそ - 大豆と米を発酵・熟成させたもの。
    • 麦みそ - 大豆と大麦又ははだか麦を発酵・熟成させたもの。
    • 豆みそ - 大豆を発酵・熟成させたもの。
    • 調合みそ - 上記の各みそを混合したもの。または、その他のみそ。

また、その製造法に起因する色の違いによって、赤味噌・白味噌・淡色味噌のようにも分類される。

赤味噌の一つ・江戸甘味噌(左)と淡色系の信州味噌(右)

大豆や麹のたんぱく質と糖分によるメイラード反応により味噌は着色する。強く蒸した大豆を多く使い、長期間、高温で熟成させると色が濃くなり赤味噌になる。一方、茹でて糖分やタンパク質を流し出した大豆を、精白した米や着色の進まない系統の麹を多くあわせ、短期間熟成させると白味噌になる。白味噌は熟成期間が短いので色が白く材料の麦などの粒子が残るものもある。熟成期間の長い赤味噌は保存のために塩分濃度が高い傾向にあるが、高温で超短期間に熟成を終える赤味噌である江戸甘味噌は塩分濃度が低く甘い。 この中間として信州味噌を代表とする淡色味噌があり、全国的に普及している。

一般に赤味噌は塩分濃度が高く塩辛く、熟成期間が長いのでコクがある。白味噌は塩分濃度が低く麹の糖分により甘い。赤味噌は、東北地域(米)・中京地域(豆)を中心に作られている。豆は糖分が少なくアミノ酸の材料である蛋白質が多く含まれているので、豆からは主に赤味噌が造られている。中京地域の一部では、黒い八丁味噌も含め赤味噌と呼び、その味噌汁を赤だしとよぶ。

米味噌・豆味噌・麦味噌の特徴と地域[編集]

味噌の種類の一つ・八丁味噌

全国的に見て、一般的な味噌は米味噌であり、豆味噌(赤)は、中京地域のみで造られている。米味噌の色は、黄色や黄色を帯びた白色、赤色など多様。米味噌は淡色の場合、一般に煮大豆を用いるが、赤みのかなり濃い米味噌は蒸し大豆を用いる。また、米麹が多く使用される味噌ほど熟成期間が短く済む傾向もある。米の白味噌では信州味噌西京味噌が代表的で、米の赤味噌では津軽味噌仙台味噌などが代表的である。西京味噌は甘みが強く、仙台味噌は辛みが強い。津軽味噌はコクがあり、信州味噌はあっさりとした口当たりを特徴とするなど様々な特徴がある。米味噌の多く消費される地域は、東日本全域と、北陸地方近畿地方である。なお、日本の都道府県の中で1世帯あたり味噌消費量の第1位は長野県であり、またその生産量においても長野県が群を抜いており、おやきなど地域での名産品もある。

麦味噌は生産量の11%ほどを占め、九州中国地方西部、四国西部では主に麦の白味噌が造られている。北関東では、大麦を使った赤味噌が造られている。

豆の赤味噌は蒸し大豆(或は煮大豆)と豆麹を用い、米の赤味噌よりも熟成期間が長いので、その色は米の赤味噌よりもさらに赤みが強く黒味を帯びた濃い赤茶色である。米味噌や麦味噌に比べて甘味が少なく、渋味がありうまみが強いのが、大きな特徴である。豆味噌を主として消費するのは中京圏愛知県全域、岐阜県美濃地方の中南部・西部、三重県北東部に限られる。豆味噌では、八丁味噌が代表的である。

なお、近年ではこの他に雑穀アワヒエキビを使った味噌が一部の自然食品店などで販売されている。

全国の味噌[編集]

日本各地で味噌は作られているが、各地方で材料・風味・色にそれぞれ特徴があり、地方色の強い食材でもある。

米みそ[編集]

大豆と米を発酵・熟成させたもの。北海道から本州、四国など広い地域で造られている。

主な米味噌[編集]

麦みそ[編集]

大豆と大麦又ははだか麦を発酵・熟成させたもの。九州地方で主に造られている。麦みその出荷は2007年以降、豆味噌を下回っている[18]

主な麦味噌[編集]

豆みそ[編集]

大豆のみを発酵・熟成させたもの。東海地方で主に造られている。

主な豆味噌[編集]

蘇鉄みそ[編集]

奄美大島のソテツのなり味噌

大豆と玄米とソテツの実(方言で、なり)のデンプンを発酵・熟成させたもの。南西諸島特産。

調合みそ[編集]

上記の各みそを混合したもの。または、その他の調味料を加えた合わせみそ。

もろみみそ[編集]

金山寺味噌

大豆、米、麦と塩漬けしたウリナスショウガなどの野菜等を混ぜて、短時間発酵させたもの。

手作り味噌の作り方[編集]

近年は、味噌を家庭で仕立てることは珍しくなったが、かつては多くの家庭で自作されていた。味噌は比較的自作が容易で、誰でもそれなりの出来栄えものが作れる。中世には、自分の作品や腕前を自分で自慢する「手前みそ」という表現が生まれた。

家庭での手作り味噌の作り方の一例を以下に示す[19][要高次出典]

  1. 米麹1kg、塩430gを混ぜ合わせる。これを「塩きり」と言い、塩と混ぜ合わせたものを「塩きり麹」と言う。塩分により麹菌はこの時点で不活化されるがが生産した酵素群(プロテアーゼアミラーゼリパーゼ等)はそのまま残り、酵素群の作用によりタンパク質でんぷん脂質はそれぞれアミノ酸グルコース脂肪酸に分解される。アミノ酸が旨味に、グルコースは甘味とさらに耐塩性酵母がグルコースを分解して生成するエタノールが香りの一部になり、耐塩性乳酸菌がグルコースからほのかな酸味を生成する。なお、塩が不足すると、雑菌が繁殖する原因となる。
  2. 大豆1kgを一晩水に漬け、十分に柔らかくなるまで茹で、水を切り、煮豆を十分に潰して、人肌に冷ましたものを塩きり麹に加えて良く混ぜる。大豆が熱いままだと酵素が熱で活性を失う。煮豆を十分に潰して麹と良く混ぜないと大豆タンパク質と麹の酵素が接触・反応せずアミノ酸分解が進まず旨味が出ないことになる。
  3. 良く混ぜたものをジッパー付のポリエチレン袋に詰め、空気(=酸素)を良く抜く。空気を抜かないと、特に納豆菌カビ等の雑菌が繁殖する原因となる。樽を使ってもよいがポリエチレン袋の方が気体を抜きやすく家庭で管理がしやすい。透明ポリエチレン袋であれば、密閉が容易で中の状況が確認可能である。また、封をしたままで撹拌したり、潰し残しの豆や麹を袋の上から指で潰すこともできる。味噌の熟成は、麹が生成た酵素と大豆タンパクとの接触反応が中心であるので、撹拌するほど、豆と麹を潰すほど短期間でアミノ酸への分解が進む。また、耐塩性酵母による発酵に伴い二酸化炭素が発生するので適宜気体を抜く必要がある。空間が生ずるとカビが生える可能性が上昇する。仮にカビが生えたとしても、胞子から成長したコウジカビであることが多いので極端な色調の相違が無ければ通常の場合はそのまま味噌に混ぜ込んで差し支えない。なお、本記事上部の写真のように味噌製造元で味噌樽に山のように石の重石を積み上げるのは石の重さで気体(空気(=酸素)と発酵で発生する二酸化炭素)を抜くためである。発酵がある程度進んだ段階で、撹拌するために1回程度「天地返し」を行う。発酵が進むとアミノ酸とグルコースが反応するメイラード反応が進行して段々と味噌の色が茶色に変化する。この色の変化はアミノ酸の生成の程度と旨味の程度を示している。
  4. 一夏越して味噌の出来上がり。酵素反応速度は温度に依存するので、温度が十分に上がらないと酵素がタンパク質その他を十分にアミノ酸までに分解できず、旨味が十分に生成されないことになる。

味噌の健康影響[編集]

麹酸による発がん性の有無[編集]

麹酸(コウジ酸/Kojic acid)は、平成7年の食品衛生法改正に伴う既存添加物として使用が認められている食品添加物である。この麹酸は味噌やしょう油等の製造に用いられる麹菌(Aspergillus属等)が生成する、抗菌作用を持ち原料の腐敗を防ぐ効果がある重要な物質である。ところが、その麹酸に肝臓癌などを誘発する危険性が指摘されるに至り、味噌や醤油の発がん性が問題になった。しかし、動物試験での濃度(1~3%混餌投与)に比して食品中の濃度はごく微量でしかない。その後、化粧品メーカーがコウジ酸の安全性を確認する追加試験を実施し、コウジ酸の化粧品としての使用は安全性上なんら問題がないことを証明した。味噌については、古くから摂取され続けてきた食物であり、食品中の濃度はごく微量でしかないことから麹酸の毒性は問題にならないとされている。

麹のアスペルギルス属としての毒性の欠落[編集]

コウジカビ(麹黴)は、アスペルギルス ( Aspergillus ) 属に分類されるごく普通の不完全菌の一群である。このうち、ニホンコウジカビAspergillus oryzae、アスペルギルス・オリゼー)など、一部のものが麹菌として味噌や醤油日本酒を作るために用いられてきた。発酵食品の製造に利用される一方で、コウジカビの仲間にはヒトに感染して病気を起こすものや、食品に生えたときにマイコトキシン(カビ毒)を産生するものがあり、医学上も重要視されているカビである。熱帯から亜熱帯地域にかけて生息するアスペルギルス・フラバス (Aspergillus flavus) などのカビによりアフラトキシンが生成され、紫外線の照射により強い蛍光を発する。1960年にイギリス七面鳥が大量死した際の分析中にアフラトキシンが発見された[20]。なお、1960年代に菌のA. oryzaeニホンコウジカビ)やA. sojaeショウユコウジカビ)でアフラトキシン生成が疑われたが、アフラトキシンを生成する機能は失われている事が判明している[21]

大豆の健康への効果[編集]

大豆は、タンパク質カルシウムを多く含むため、栄養源として重要である。大豆の可食部乾燥重量100g中で、417kcal、水分12.5g、タンパク質35.3g、脂質19.0g、炭水化物28.2gの栄養価がある[22][要高次出典]

さらに、大豆に含まれるゲニステイン(en)、ダイゼイン(en)、グリシテイン(en) などのイソフラボンは、大豆イソフラボンと総称され、弱い女性ホルモン作用を示すことから骨粗鬆症更年期障害の軽減が期待できる[23][24][25]。これらの作用から、大豆製品の中には特定保健用食品に指定されている物もある。骨粗鬆症予防効果、更年期障害の緩和に加えて、抗動脈硬化作用の可能性もある。また、乳がん前立腺がん等の予防にも効果があることが、疫学的な調査で明らかになってきており、特にイソフラボン配糖体のゲニステインという物質に、腫瘍の血管新生を抑える効果があり、それにより腫瘍の増殖を抑制することがわかってきた[26][リンク切れ]

その他の大豆の健康への効果は、ダイズ#健康への影響を参照のこと。

植物性乳酸菌[編集]

分類学的には植物性乳酸菌と動物性乳酸菌を区分は出来ない[27]。植物性乳酸菌とは植物質の物を発酵させる能力に優れた乳酸菌の種類である。また、動物性乳酸菌とは、動物質の物を植物質の物を発酵させる能力に優れた乳酸菌の種類である。

健康に役立つとの説[編集]

発酵によって作られる脂肪酸エチルカルボン酸エチルエステル)類が、ガンを引き起こす変異原の力を抑制するという説がある。味噌汁を飲む回数が多い人は、胃がん死亡率が低くなるという調査結果がある(1981年がん学会)。動物実験では、肺癌胃癌乳癌肝臓癌大腸癌の抑制効果が認められ、味噌の熟成度が高いほど効果が高かった。味噌に含まれるイソフラボンが癌増殖を抑制し、アポトーシスを誘発するのではないか、さらに、味噌の熟成によりイソフラボンが配糖体からアグリコン型に変化しさらに癌を抑制する効果が高まるのではないか、あるいは、熟成が進行している元気な味噌には癌予防を含めた生理活性物質が産生されるのではないか、と言われている。血圧低下の効果もあると言われている[3]

また、味噌の熟成に伴うメイラード反応によって生成する褐色色素のメラノイジンは、in vitroでは抗酸化作用活性酸素消去活性、ヘテロ環アミノ化合物(発癌物質)に対する脱変異原活性などを有するとされている[28][要高次出典]。味噌は優れた抗酸化能力を有し、味噌のラジカル捕捉能力はその大半をメラノイジンが担っており、味噌の色調が濃いほどその能力が高まっているとされている[29]

味噌と放射能について[編集]

長崎被曝医師の秋月辰一郎は、自身、患者、職員に原爆症が発症しなかった原因は「玄米味噌汁」によるものだ、と述べている。秋月の体験記である『長崎原爆記』は『Nagasaki 1945』と翻訳され、この話は広く欧米社会にも伝わっている[3][30][31]。1986年のチェルノブイリ原発事故の際には、西ヨーロッパ諸国では「味噌は放射能障害に効果がある」という説が広まって味噌製造元に注文が殺到し、輸出量が通常時の数倍増になったと報告されている[32][33]。味噌と放射能防御能力の関係を調べるために、伊藤明弘教授(1999年当時。広島大学放射線医科学研究所教授)は、マウスを使った動物実験を行った結果、味噌には、放射線から体を守る働きがあると主張した[34][35][36]。動物実験では、十分に熟成した味噌ほど放射線防御作用が高いとしている[3][37]

美肌効果[編集]

マルコメ東京工科大学応用生物学部美科学研究室(前田憲寿教授)との共同研究により、味噌には肌の保湿やきめを改善する効果のあることが発見された[38]。これは、味噌の抽出物が、角層でセラミドを合成する酵素を活性化させることが原因という[38]

塩分の有害性[編集]

塩分摂取量と胃癌の発生率には正の相関があることがわかっている[39]。 ただし味噌の塩分による胃がん発生率上昇のリスクは同量の食塩よりも低い。また、通常高血圧を引き起こす塩分だが、味噌は血圧をほぼ上げない可能性が動物実験から示唆されている。味噌の大豆タンパクが血圧下降に作用していると思われる。[40]

味噌を主とする食材・料理[編集]

味噌を使った・味噌にちなむことわざ、慣用句[編集]

  • 手前味噌 - 手前が工夫を凝らしたところ。これが転じて後には自慢をも指す事もある。
  • 手前味噌で塩が辛い - 自慢であるが、他人からはそう見えない事。
  • 味噌の味噌臭きは食われず - 自慢は他人から見ると食えないようなもの。
  • 三年味噌にひばな汁 - 三年味噌が塩辛いことから、貧しい食べ物、けちなことのたとえ[44]
  • 味噌を付ける - 失敗して評判を落とす。面目を失う。
  • 味噌の医者殺し - 良質な栄養源。
  • 医者に金を払うよりも、味噌屋に払え
  • 味噌と医者は古い方が良い - 時間が長く経過したものは、貴重であり良い物のたとえ。
  • 女房と味噌は古いほど良い - 時間が長く経過したものは、ぶつかるような喧嘩もなく味も滑らか。
  • 味噌に入れた塩はよそへは行かぬ - 味噌造りの塩と同様で、見えなくなっても無駄ではなく役に立っている。
  • 味噌買う家は蔵が建たぬ - 味噌は自分で作るもの。
  • 塩も味噌もたくさんな人 - 大切な物を沢山持っている優れた人。
  • バカの三杯汁 - 良い物でも過ぎる事を言う。
  • 五菜三根 - 徳川家康の長寿のもとの野菜満載味噌汁。大根・ごぼう・人参など三種の根と、大根の葉・玉ねぎ、白菜、キャベツ、ほれんそうなど五種。
  • 味噌っかす - 一人前とみなされない人。
  • 味噌っ歯 - 虫歯の一種。
  • 味噌も糞も一緒 - 性質のことなるものを、区別しないで何もかも一緒にすること。
  • 味噌が腐る - 糠味噌で言われる。悪声であったり調子が外れていたりする歌いぶりをあざける言葉。

ギャラリー[編集]

味噌焼きおにぎりと味噌汁 
容器に入れられて売られている味噌の例 (写真は伊賀越味噌) 

味噌の特許[編集]

施設[編集]

  • タケヤみそ」のタケヤ味噌会館 - 美術品・古い道具・説明など
  • 八丁味噌の郷: 株式会社 カクキュー八丁味噌 - 国の登録文化財。昔の味噌蔵

組織[編集]

  • 全国味噌工業協同組合連合会
  • 味噌中央研究所
  • みそソムリエ認定協会
  • みそ汁協会

脚注[編集]

  1. ^ Merriam-Webster, Incorporated (2014年10月22日). “Definition of miso by Merriam-Webster” (英語). Merriam-Webster, Incorporated. 2015年10月29日閲覧。
  2. ^ 本朝食鑑(1695年)
  3. ^ a b c d 渡邊敦光「お味噌の効能」『日本醸造協会誌』105巻11号、2010年11月15日。714-723頁。
  4. ^ 味噌Q&A (山形県醤油味噌工業協同組合)
  5. ^ マルカワみそ「お味噌の由来は2つの説がある」
  6. ^ 山印醸造「お味噌の歴史」お味噌の原点
  7. ^ 日本の発酵食品 味噌 味噌の歴史
  8. ^ マルカワみそ「お味噌の由来は2つの説がある」
  9. ^ 藤原宮 奈良文化財研究所 飛鳥資料館倶楽部
  10. ^ 最新醤油味噌醸造法 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1020909
  11. ^ 創業秘話(日出味噌醸造元ホームページ)
  12. ^ みそ製造 http://www.mhlw.go.jp//stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/shokugyounouryoku/ability_skill/ginoukentei/syokusyu.html
  13. ^ みそ製造技能検定について https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1915/75/4/75_4_248/_pdf
  14. ^ みその種類別出荷数量(全味工連集計)http://www.zenmi.jp/data/seisansyukka/2000-2015syuruibetusyukkaHP.pdf
  15. ^ 味噌の販売先別出荷数量(全味月報集計http://www.zenmi.jp/miso_pdf/miso-hanbaisakibetu2000-2015.pdf
  16. ^ みそで検索すると10万件 http://cookpad.com/search/%E3%81%BF%E3%81%9D
  17. ^ 世界に広がる日本食「Misoの輸出」 (PDF)
  18. ^ みその種類別出荷数量<全味工連集計> http://www.zenmi.jp/data/seisansyukka/2000-2015syuruibetusyukkaHP.pdf
  19. ^ 味噌Q&A (山形県醤油味噌工業協同組合)
  20. ^ 七面鳥X病の発生からアフラトキシンの発見まで 山脇学園短期大学紀要 35 pp.37-61 19971221
  21. ^ アフラトキシン非生産の証明キッコーマンHP
  22. ^ 豆の栄養成分表 (日本豆類基金協会) データは「日本食品標準成分表2010」とある。
  23. ^ Nagata, C., Takatsuka, N., et al. (2001). “Soy Product Intake and Hot Flashes in Japanese Women: Results from a Community-based Prospective Study” (pdf). Am. J. Epidemiol. 153 (8): p.p.790-793. doi:10.1093/aje/153.8.790. ISSN 0002-9262. http://aje.oxfordjournals.org/cgi/reprint/153/8/790 2010年5月22日閲覧。. 
  24. ^ Kronenberg, F., Fugh-Berman, A. (2002). “Complementary and alternative medicine for menopausal symptoms: a review of randomized, controlled trials.”. Ann. Intern. Med. 137 (10): p.p.805-813. PMID 12435217. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12435217 2010年5月22日閲覧。. 
  25. ^ 陳瑞東「サプリメントの使い方・選び方:更年期障害:のぼせを中心に」、『薬局』第55巻第5号、2004年、 p.p.1848-4853、 ISSN 0044-00352010年5月22日閲覧。
  26. ^ http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/biosci-biotech/syokuryo/polyphenol.html
  27. ^ 岡田早苗、物性乳酸菌世界とその秘める可能性 日本乳酸菌学会誌 Vol.13 (2002) No.1 p.23-36
  28. ^ 明治大学農学部農芸化学科食品機能科学研究室 研究の概要
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関連項目[編集]

外部リンク[編集]