ヤマネコ

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ヤマネコ
アムールヤマネコ.jpg
アムールヤマネコ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 食肉目 Carnivora
亜目 : ネコ亜目 Feliformia
: ネコ科 Felidae
亜科-亜種

ネコ亜科 Felinae

ヤマネコ(山猫)は、ネコ目(食肉目)ネコ科に属する哺乳類のグループである。

細かく見れば、この語の示す対象には分類階層の異なる複数のグループが含まれる。すなわち、「ヤマネコ/山猫」という語には以下の4つの意味がある。[要出典]

  1. 対馬に棲息するベンガルヤマネコの亜種・ツシマヤマネコの別名。
  2. (野生化したイエネコを除く)野生の小型ネコ科動物の総称。
  3. 野猫(野生化したイエネコ)の別称。

広義のヤマネコ(野生の小型ネコ類)[編集]

広義の「ヤマネコ」は、野生のネコ科動物のうち、小型のもの全般を指す(分類群についてはネコ科を参照)。この中には、ボルネオヤマネコのように「〜ヤマネコ」という形の標準和名をもつものも、スナドリネコのように標準和名では特にヤマネコと呼ばれないものも含まれる。大型ネコ類(現生ではライオントラヒョウジャガーチーター)はこれに含まれない。また、イエネコ(いわゆるネコ)は後述するように、としてはヨーロッパヤマネコに含まれるが、本来人間の生活圏で暮らす家畜種であるため、慣用的には「ヤマネコ」と呼ばれることはない。

この意味でのヤマネコ類の中で最大のものはピューマであるが、広義の「ヤマネコ」はあくまで便宜的な呼称であり、アメリカライオンとも呼ばれるピューマをヤマネコの仲間に含めるかどうか、また大型ネコと小型ネコの中間に位置し、ピューマよりも小柄なユキヒョウウンピョウをどう位置づけるかは人により意見の分かれる。これら中間的なものを除けばネコ類のうち、現生種ではイエネコを除くネコ亜科 Felinaeのすべての動物と、ヒョウ類の近縁種とされることがあるマーブルドキャットがヤマネコ類というグループを構成していると言っていい。

日本のヤマネコ[編集]

日本本土には2種類のヤマネコが分布している。国内に生息する(広義の)ヤマネコ類は対馬ツシマヤマネコ西表島イリオモテヤマネコの2つのみである。かつては、一般に「山猫」と言えば後述するように野猫を指す場合が多かったが、それを除けばツシマヤマネコのことであった。「ヤマネコ」がツシマヤマネコの和名として用いられることもあった。

ツシマヤマネコとイリオモテヤマネコの分類的な位置づけには諸説があるが、最近は南〜東南アジアに分布するベンガルヤマネコ Prionailurus bengalensis(または Felis bengalensis)の亜種として位置づけられることが多い。

ヨーロッパヤマネコ[編集]

分類学上の用語としては、「ヤマネコ」とは狭義には特にネコ属の種の1つであるヨーロッパヤマネコFelis silvestrisを指す。これは、はじめにネコ類の分類を手がけたヨーロッパの研究者たちが自分たちにもっとも身近なヨーロッパ在来の小型野生ネコ類のうち、小さめのものを単にwildcat、大きめのものをlynxと呼んだことに由来する。前者がヨーロッパヤマネコ Felis silvestris、後者がオオヤマネコ Lynx lynxである。

ヨーロッパヤマネコはアフリカ北部からイラン西部にかけて分布するリビアヤマネコ F. s. lybica、中央アジアから西アジアにかけて分布するF. s. ornataなど、計5亜種とする説もある。

これらのほかに、従来は独立した1種 Felis catusと見なされてきたイエネコが近年になって、ヨーロッパヤマネコの1亜種 Felis silvestris catusと見なされるようになった。なお、イエネコは考古学的な研究からリビアヤマネコを主要な祖先としてもつと考えられてきたが、2007年6月28日付けの「Science」電子版に「肥沃な三日月地帯のリビアヤマネコがイエネコの唯一の先祖であることが、60種類のヤマネコと世界各地のイエネコとの遺伝子比較によって明らかになった」という新説が掲載された。

[要出典]

イエネコを除けば、日本本土にはヤマネコ種の動物は生息しない。

「野猫」を意味する「山猫」[編集]

野生化したイエネコである「野猫(ノネコ)」は、広義であっても「ヤマネコ」には含められない。ただし、日本では対馬と西表島を除く大部分の地域にはヤマネコが生息しないこともあって、伝統的に、山野に住むイエネコ、すなわち野猫が、「山猫(やまねこ)」とも呼ばれてきた。近世までの文献に当たるときは、特に注意を要する。

なお、英語の"wildcat"もヤマネコのほかに野良猫の意味をもつ。

その他[編集]

  • ヤマネコの登場する文学作品で知られるのは、童話作家・詩人の宮沢賢治である。童話集『注文の多い料理店』に収められた表題作や「どんぐりと山猫」は彼の代表作として親しまれている。
  • コンピューターゲーム『クロノ・クロス』では、「ヤマネコ」というキャラクターが物語の鍵を握る存在として登場する。
  • 江戸時代、傀儡子が首から下げた箱の中から猫のような小動物の人形を出すことから傀儡子は「山猫」とも呼ばれ[1]、転じて酒席で帯のおたいこを前にする芸者のことを「山猫」とも呼んだ[2]
  • 労働組合の正式決定を経ずに一部従業員のみが行うストライキを「山猫スト」と呼ぶ[3]

脚注[編集]

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  1. ^ 『川柳江戸砂子』西濃印刷會社岐阜出版
  2. ^ 『変態知識』宮武外骨、半狂堂, 1924
  3. ^ goo国語辞書 小学館・デジタル大辞泉 2017年8月7日閲覧

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]