虚構推理

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虚構推理-鋼人七瀬』(きょこうすいり-こうじんななせ)は、城平京による日本推理小説である。イラスト担当は清原紘講談社ノベルスから出版された。『少年マガジンR』2015年1号より漫画が連載中(作画:片瀬茶柴)。

ストーリー[編集]

カッパと遭遇したことで別れることになった彼氏のことを未だ引きずる女性警官の弓原紗季は、噂のミニスカートのドレスで鉄骨を持って夜に現れるアイドルの亡霊・鋼人七瀬と出遭ってしまう。彼女を助けたのは、その場に居合わせたステッキをつきベレー帽を被った小柄な少女・岩永琴子だった。

彼女は、怪異たちのトラブルを仲裁・解決するものであり、そして、紗季の昔の彼氏・桜川九郎の現在の彼女だと言う。岩永は、紗季そして合流した九郎とともに鋼人七瀬が消滅する未来を掴むべく、欺瞞に満ちた虚構の推理を展開する。

登場人物[編集]

主要人物[編集]

岩永 琴子(いわなが ことこ)
大学生。19歳であるが、小柄で容姿も端正ながら幼さが残っているため中学生くらいにも見えてしまう。ベレー帽を被りステッキをついており容姿や物腰は良家のお嬢様に見え、実際に良家のお嬢様であるが、時折その出自にそぐわない発言をする。
髪で隠れた右眼は義眼であり、左足の膝から下も義足で、これは11歳の頃神隠しにあった時に、怪異たちの知恵の神になったために失った。そのため怪異たちからは「ひとつ目いっぽん足のおひいさま」と呼ばれている。本人曰く「怪異たちの知恵の神あるいはそのもの達のトラブルを仲裁・解決する巫女」。人間と怪異の中間に位置する存在。普段から出歩く際は杖を使用しているが、これは義足に負担をかけないようにしているためであり、日常生活には支障のない行動が可能。
桜川九郎とは15歳のときに一度だけ出会って一目惚れをし、その2年後に再び声をかけ、最終的には現在の彼女となっている。
桜川 九郎(さくらがわ くろう)
琴子と同じ大学の院生。パッと見、平凡な青年であるが、背が高くよく見ると整った顔立ちをしている。紗季は昔の彼女であり、岩永は現在の彼女である。しかし岩永に関しては彼のタイプの正反対らしく、付き合っていることに疑問を覚えているところもある。若干、岩永に対してひどい対応をすることもあるが、紗季から見てもそれなりに仲が良く、岩永を気遣っているところもある。
祖母により、「くだん」と「人魚」の肉を食べさせられたため、未来を掴む力と死なない身体を持っている。そのことで怪異からさえ恐れられており、2年前にカッパと遭遇したときにも恐れを抱いて逃げられ、そのことが原因で紗季と別れることになった。怪異から見れば九郎は人間と人魚とくだんがごちゃ混ぜになった悍ましい姿として映るため、これが怪異に恐れられる原因となっている(ついでに臭いらしい)。しかし最近では琴子と共に居るためか、そんなに怖い存在ではないと認識されており、困った妖怪達に頼られることも多くなっている。
弓原 紗季(ゆみはら さき)
25歳。女性警官で、背が高く痩せており短めの髪をしている。2年前の婚前旅行先でカッパと遭遇し別れることになった彼氏である桜川九郎のことを未だに引きずっており、彼のことが原因で牛肉と魚類があまり食べられない。鋼人七瀬と出遭ったことで岩永琴子と知り合い、桜川九郎とも再会するが、互いにやり直すことはできないと確信している。琴子の挑発紛いの言動には若干苛ついており、漫画版では自分とは無縁のゆるふわ系女子の情報に食いついてしまうなど、対抗意識を持っている。しかし自分には決して見せなかった九郎の一面を引き出していることに関しては、琴子がいるおかげであると認めている。

その他の人物[編集]

七瀬 かりん(ななせ かりん)
19歳のグラビアアイドル。本名・七瀬春子(ななせ はるこ)。アイドルとしては中の上程度であったが、印税により収入は高かった。胸が大きく顔立ちも可愛らしく頭もよく芸能界を上り詰めていこうとしていたが、父親の転落死と遺した手記が原因で活動を休止。マスコミから逃げるため真倉坂市に宿泊していたが、崩れてきた鉄骨により顔が潰れた死体で発見される。彼女の死の真相は結果としては事故であったが、その瞬間に抵抗すらしなかった。
七瀬 初実(ななせ はつみ)
七瀬かりんの実の姉であるが、妹とは折り合いが悪かったようである。妹の自殺の可能性に疑念を抱いて警察にも訴えていたが、自分が発した一言が七瀬かりんを自殺に追い込んだのではないかと考え、認めたくないために第三者の仕業としたかったと琴子は推測している。
寺田 徳之助(てらだ とくのすけ)
紗季と同じ署の刑事であり、彼女に想いを寄せている。強面の柔道有段者で優秀な刑事でオリンピック候補になったこともある。
鋼人七瀬のことを独自の視点から調べていたが、真面目な性格が災いして鋼人七瀬の最初の犠牲者[1]となってしまい、ネットで調べれば名前と写真が出てくるほどに有名な人物が、無抵抗で殺害されるという事実が鋼人七瀬の凶悪さを跳ね上げてしまった。
桜川 六花(さくらがわ りっか)
九郎の従姉。目を奪われるほどの美人ではあるが、どこか退廃的な儚さを感じさせる女性で、九郎の女性の好みは彼女が基準となっている。2年前は岩永が通っていた病院の入院患者で、自殺を繰り返しているという噂が立っており、紗季は人づてに彼女が亡くなったと聞いていたが実際は今も生きている。
その正体は九郎と同じく「くだん」と「人魚の肉」に適合し、未来決定能力と不死身の肉体を所持している鋼人七瀬事件の真の黒幕に当たる人物。鋼人七瀬という存在を用意し、その噂が盛り上がり継続する未来を、未来決定能力で何度も何度も掴むことで、人のイメージから生まれる怪物を創り上げた。

怪異[編集]

いわゆる妖怪や幽霊がこれに当たる。基本的に臆病かつ無害な存在で、なんらかの要因で正気を失っていたりしなければ人に危害を加えようとする者はほとんどいない。

予言獣くだん
九郎の身体に宿る怪異の一つ。くだんは半人半牛の姿の妖怪で、産まれ落ちてすぐに死んでしまい、その間に不吉な予言を残すとされているが、本当の力は未来を予言するのではなく、己の望む未来を確定させる能力を持っている。ただしこの力は好き放題に使うことは出来ず、死に瀕した時のみに能力使用の枷が解放される。未来を確定させる代償に生命を燃やし尽くすため、結果として「予言をする=死亡」ということになる[2]。また未来を確定させる能力も万能という訳ではなく、実現する可能性が低い事象ほど時間がかかり、場合によってはその未来を掴むことは不可能になる[3]
人魚
九郎の身体に宿るもう一つの怪異。人魚の肉を食べることで不死の肉体(切り傷程度なら瞬時に治り、身体の欠損も即座に修復される)を手に入れることが出来る。元はくだんの持つ予言の力を手に入れようとした桜川家の先祖が考えた、「不死の肉体を持つ者がくだんの力を持てば、いくらでも予言が出来る」という狂気の発想に至って手に入れた物。くだんの肉との食い合わせは最悪らしく、適合者でなければ食べた瞬間に絶命してしまう。漫画版では、九郎の腕を食いちぎった妖怪も耐え切れずに即死している。
河童
九郎と紗季の仲を引き裂いた原因となってしまった妖怪。偶然2人のいる所に現れただけで、河童に何か悪意があった訳ではないのだが、河童の方が九郎を恐れて逃げ出してしまったことであの化物がひと目見ただけで逃げる九郎とは何者なのかと紗季は不気味に思うようになり破局した。
木魂
小人の老人の姿をした妖怪で声がやたらとデカイ。他にも兄弟がいるらしい。
鋼人七瀬(こうじんななせ)
都市伝説。ミニスカートのドレスで鉄骨片手に夜の街を徘徊する顔のないアイドルの亡霊。真倉坂市で死亡したアイドル・七瀬かりんの亡霊であり、目撃証言があがっていたが実際に怪異として存在しており、出会った人間に鉄骨を振り回して襲いかかっていた。しかし逃げた相手を追いかけるほどの狂暴さは持っておらず、立ち向かおうとしない限りは驚かせるだけの怪異といえる。その正体は人の創り出したイメージが実体化した存在。怪異とは何十、何百年と幾人もの間に伝えられてようやく形になるほど儚いモノだが、インターネットという現代のツールが発達してしまったせいで、本来なら永い年月をかけて成熟するイメージと名前を短期間で成立させる土壌が出来上がってしまい、さらには「鋼人七瀬」という存在を知らしめようとするまとめサイトが現れたことで、実体化までのスピードが爆発的に加速してしまった。寺田を殺害したことで凶悪さを増した噂が飛び交うようになり、放置すれば大量の犠牲者が出る存在へと成長してしまっている。

単行本[編集]

  • 城平京 『虚構推理-鋼人七瀬』 講談社〈講談社ノベルス〉
    1. 2011年5月9日発売 ISBN 978-4-06-182768-4

漫画[編集]

タイトルは『虚構推理』、片瀬茶柴作画で漫画化された。『少年マガジンR』(講談社)2015年1号から[4]2017年3号まで連載された。2017年4月号からは「琴子と九郎のとある日常@よく行く店編」と題した、1話完結の物語が掲載される[5]

  1. 2015年10月16日発売、ISBN 978-4-06-371491-3
  2. 2015年11月17日発売、ISBN 978-4-06-371496-8
  3. 2016年4月15日発売、ISBN 978-4-06-392518-0
  4. 2016年8月17日発売、ISBN 978-4-06-392537-1
  5. 2016年12月16日発売、ISBN 978-4-06-392559-3
  6. 2017年6月16日発売、ISBN 978-4-06-392590-6
  7. 2017年12月15日発売、ISBN 978-4-06-510597-9
  8. 2018年4月17日発売、ISBN 978-4-06-511186-4
  9. 2018年10月17日発売、ISBN 978-4-06-513317-0

脚注[編集]

  1. ^ 鋼人七瀬はこの段階では逃げれば追いかけるような狂暴さは持っていなかった。
  2. ^ 九郎と琴子は、くだんが不吉な預言ばかりを残すのは、産まれてすぐに死ぬ自身の運命と世界を呪っているからではないかと推測している。
  3. ^ 作中では夏に雪を降らせるのはほぼ不可能だが雨なら可能と説明されている。
  4. ^ “新雑誌・少年マガジンR、本日誕生!ノラガミ大判ポスター&絵馬も - コミックナタリー”. http://natalie.mu/comic/news/144715 
  5. ^ “マガジンRで「虚構推理」が完結&続編も決定! 新連載2本スタート - コミックナタリー”. http://natalie.mu/comic/news/229597