3Dスキャニング
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3Dスキャニングは(スリーディー・スキャニング)、3D測定機器(光学スキャナ、レーザースキャナ等)を使用し、測定対象物の表面形状を3次元すなわちXYZ値のデジタルデータとして取得する仕組みである[1][2][3][4][5]。3Dスキャン技術とも[6]。
概要
[編集]開発は海外で先行して発展し、あるいはまた、その趣旨は測量の延長として地形(土木系)や大型構造物(建築系)の形状計測に用いてきた。
[いつ?]以前は、形状を図面化するには測量技術を用いて、測定対象の複数のポイントを測定し、そのポイント間を机上で線で結ぶなどしてきた。しかし測定対象が大きい、あるいは近寄れないなど実測が難しい場合も多く、また実測に多くの時間と複数の作業員が必要であった。
2012年には溶接に用いる遠隔技術への応用が発表され[7]、取得した画像を重ね合わせ精度を高める計測の道は、2016年に開かれた[8]。測定機器のレーザー技術ならびに計測値を演算するコンピュータ能力の飛躍的な向上、デジタル通信や無線アクセスの技術発展[9]、ハンディ機器(タブレットなど)の能力が高まるとともに価格が下がると、3Dスキャニングのハードルが大きく下がって適用は範囲を広げた。
主要な計測項目のうち、測定範囲は測定器を中心に50m程度までであり、測定精度は測定器からの距離に比例して落ちるが1mm程度である。
代表的なメーカーに、ヘキサゴン (スウェーデンの企業)、ライカ、ファロー、キーエンスがある。
用途
[編集]収集した3Dデータは鋳造技術や考古学の研究[10][11]、生物学の観察[12]などのような分野で活用されている。
また3Dスキャナー機器は撮影スタジオ「Iris」[13]へ応用され、エンターテインメント業界でも知的財産として映画や仮想現実、コンピューターゲームの制作に利用されている。あるいはデジタルカメラ技術との融合も進んだ[14]。
その他の一般的な用途にはAR(拡張現実)を含み、モーションキャプチャ、ジェスチャ認識などの認識技術、ロボットを用いたマッピングあるいは身体の寸法を採ったり[15](計測技術)、工業デザイン、リバースエンジニアリング[16]およびプロトタイピングなどの手法、品質管理・品質検査、非破壊検査[17]への応用ほか、文化的人工物のデジタル化によって記録を汎用化したり、データの実体化の一例として矯正器具および義肢の開発と製作をあげることができる。
ギャラリー
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三角測量の原理。レーザー光センサーは物体2件それぞれの位置を示す。
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複数台の固定カメラを並べたように複数の視点で画像を撮影。被写体の撮影像から3Dメッシュまたは点群を生成、写真測量再構成パイプラインに渡す。
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ナガスクジラの骨格を3Dスキャンして画像化する作業(スロベニア自然史博物館所蔵、2013年8月)
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ミニチュア遊園地マドローダムに設置した3D画像撮影用のブース(画面奥、ファンタジトロン製)。手前の台にガラス容器を並べ、撮影データを加工したミニチュア像を展示してある。
参考文献
[編集]本文の典拠、脚注に使用。主な執筆者順。
- 岸本 毅(著)、配管技術編集委員会(編)「パイプラインの腐食と損傷の最新検出手法 : プラント設備の非破壊検査向け最新3Dスキャン手法の紹介(特集 腐食・防食・耐食 ; 検査・モニタリング)」『配管技術 = The piping engineering』、東京 : 日本工業出版、2023年3月、83-87頁。別題:[3D Scanning solution to detect pipeline corrosion and damage]。
- 木村 元、中原 勇登、岩内 也樹「高速3Dスキャンデータの重ね合わせ処理による高精度計測に関する研究」『日本船舶海洋工学会講演会論文集 Conference proceedings, the Japan Society of Naval Architects and Ocean Engineers』第22号、[東京] : 日本船舶海洋工学会、2016年5月、383-387頁。別題:[High Precision Measurement by Superposition Processing of High-Speed 3D Scan Data]。
- 久保 祐貴(著)、画像ラボ編集委員会(編)「3Dスキャン・検査・コントロール機能の全てを搭載 : オールインワン3次元スマートセンサー「Gocator」(特集 高速・小型化・3D・AI etc…高機能化が進むスマートカメラ(2))」『画像ラボ』、東京 : 日本工業出版、2023年8月、71-76頁。別題:[The all-in-one 3D smart sensor Gocator that provides built-in 3D scan, measurement, and control capability with FactorySmart]。
- 久保江 陽介「写真測量法(フォトグラメトリー)を用いた3Dスキャンスタジオ『iris』について」『映画テレビ技術 = The motion picture & TV engineering』第781号、東京 : 日本映画テレビ技術協会、2017年9月、44-51頁。別題:[iris : 3D scanning studio using photogrammetry]。
- 鈴木 謙一、高橋 成五「水中ライダ : 水中における可視光3Dスキャンライダの開発(小特集 ラストフロンティアに挑む水中無線技術)」『B-plus : 電子情報通信学会通信ソサイエティマガジン』第60号、東京 : 電子情報通信学会通信ソサイエティ、2022.春、307-313頁。別題:[Underwater LiDAR : Development of Underwater Visible 3D Scan LiDAR]。
- 竹下 俊治(著)、広島大学大学院教育学研究科附属教育実践総合センター(編)「生物の形態観察における3Dスキャンアプリの活用」『学校教育実践学研究』第27巻、東広島 : 広島大学大学院教育学研究科、2021年、9-16頁。別題:[Using of the 3D scanning application for morphological observations in biology class]。
- 福田 香子、田中, 浩也(著)、日本バーチャルリアリティ学会(編)「個人の身体に関する3Dスキャンデータと、その実物大3Dプリント品に対する鑑賞者の行動と考察 : 「i am」の制作を通して(「アート&エンタテインメント4」特集)」『日本バーチャルリアリティ学会論文誌』第21巻第3号(通号81)、東京 : 日本バーチャルリアリティ学会、2016年、437-445頁、ISSN 1344-011X。別題:[An Art work "I am" making for Deliberation of personal 3D scan data and its printed objects]
- 三船 温尚、廣川 守(著)、Fusus編集委員会(編)「3Dスキャンと鋳造痕跡調査による古代中国青銅器の文様技法研究(1)根津美術館所蔵饕餮文方罍と饕餮文方彝について」『Fusus : アジア鋳造技術史学会誌 : journal of the Society for the History of Asian Casting Technology』第8号、高岡 : アジア鋳造技術史学会、2016年2月、43-54頁。別題:[Study on Techniques for Patterning Ancient Chinese Bronzeware by Three-Dimensional Scanning and Tracing Casting (1) Fang Lei with Taotie Motif and Fang-Yi with Taotie Motif Owned by the Nezu Museum]。
- 三船 温尚、廣川 守(著)、Fusus編集委員会(編)「3Dスキャン調査による東京国立博物館蔵羽状文扁壷の文様鋳造技術研究」『Fusus : アジア鋳造技術史学会誌 : journal of the Society for the History of Asian Casting Technology』第9号、高岡 : アジア鋳造技術史学会、2017年6月、45-64頁。別題:[An Examination of Pattern-Casting Techniques in a 3D-Scan Study of the Bian Hu with a Wing Pattern Held at the Tokyo National Museum]。
- 山口 穂高、藤巻 吾朗(著)、岐阜県生活技術研究所(編)「木材の質感を伝達する製品提案手法の開発と家具製品への応用(第2報)3Dスキャンとリバースエンジニアリングによる実製品の3DCG作成の事例研究」『岐阜県生活技術研究所研究報告』、高山 : 岐阜県生活技術研究所、2022年。別題:[Development of Communication Method Presenting Wooden Visual Textures and Application for Furniture (2) Case Study for Creating 3DCGs from Actual Products via 3D Scanning and Reverse Engineering]。
- 山本 努「リモート溶接を可能にするインテリジェント3Dスキャンシステム(特集 高輝度レーザによる加工応用と周辺光学機器の最新動向))」『Optronics : 光技術コーディネートジャーナル』第31巻4(通号364)、東京 : オプトロニクス社、2012年4月、174-177頁、2023年9月14日閲覧。別題:[Intelligent 3D Scanning system by SCANLAB]。
- 洋書
- Bernardini, Fausto; Rushmeier, Holly E. (2002). “The 3D Model Acquisition Pipeline”. Computer Graphics Forum 21 (2): 149–172. doi:10.1111/1467-8659.00574.
脚注
[編集]- ^ Bernardini & Rushmeier 2002, pp. 149–172
- ^ “Matter and Form - 3D Scanning Hardware & Software”. matterandform.net. 2020年4月1日閲覧。
- ^ OR3D. “What is 3D Scanning? - Scanning Basics and Devices” (英語). OR3D. 2020年4月1日閲覧。
- ^ “3D scanning technologies - what is 3D scanning and how does it work?” (英語). aniwaa.com. 2020年4月1日閲覧。
- ^ “what is 3d scanning”. laserdesign.com. 2022年11月14日閲覧。
- ^ “3Dスキャンとは”. 有限会社 原製作所. 2023年9月14日閲覧。
- ^ 山本 2012, pp. 174–177
- ^ 木村, 中原 & 岩内 2016, pp. 383–387
- ^ 鈴木 & 高橋 2022, pp. 307–313
- ^ 三船 & 廣川 2016, pp. 43–54
- ^ 三船 & 廣川 2017, pp. 45–64
- ^ 竹下 2021, pp. 9–16
- ^ 久保江 2017, pp. 44–51
- ^ 久保 2023, pp. 71–76
- ^ 福田 & 田中 2016, pp. 437–445
- ^ 山口 & 藤巻 2022, pp. 4–9
- ^ 岸本 2023, pp. 83–87
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- ウィキメディア・コモンズには、3Dスキャニングに関するカテゴリがあります。