「事務次官」の版間の差分

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2006年12月24日 (日) 04:18時点における版

事務次官(じむじかん)とは、日本政府の各省および国務大臣を長とする各庁にあって、大臣を助け省務等を整理し、部局および機関の事務を統括する一般職の職員。

概説

各省におけるキャリア (国家公務員)のトップであり、官僚主導である日本の政治において実質的な最終決定権を有するとも言われる。任期は慣例的に1年~2年であり、それを越えることは稀であるが、守屋武昌防衛事務次官が4年目に入るなど、近年は長期化の傾向にある。官僚の出世レースのゴールであり、一般に同期入省又は後年入省の事務次官が誕生するまでに、同年次のキャリア組は退官する。

なお、官僚のトップの例外として、法務省、外務省、警察庁及び金融庁がある。
法務事務次官は、検事総長を頂点とする検察庁のピラミッドに至る一過程に過ぎず、検事総長のほうが上位にある。 外務事務次官は、経験者がその後大国又は国連等の重要な国際機関の大使を務めることが通例(多くの場合は最終的に在アメリカ合衆国大使を務める)である。但し、外務省の不祥事を受けた改革において、次官経験者の自動的な大使任用は改められた。とは言え政府は「適材適所の観点に立って」判断するとしており、次官経験者大使が誕生する可能性はある(参考・鈴木宗男衆議院議員の質問に対する政府答弁)。 一方、警察官僚のトップは警察庁次長ではなく警察庁長官であり、金融庁における官僚のトップは金融庁長官である。
警察庁長官や金融庁長官は役職名は違えど官界では事務次官と同等の身分である。

事務次官という役職名に定まったのは1949年6月1日の国家行政組織法施行時である。それまでは単に次官という役職名だった。従って、国家行政組織法施行前に廃止された官庁については、内務事務次官、逓信事務次官、鉄道事務次官などの役職名は存在せず、このような表記は誤りである。単に内務次官、逓信次官、鉄道次官という表記が正しい。また、国家行政組織法施行後も存在した官庁であっても、それ以前に次官ポストに在任した人物の経歴を表記する場合においては、外務次官、商工次官などと表記するのが正しい。

以前は、事務次官に並んで大臣補佐役として国会議員から政務次官が就任していたが、一般に当選2~3回の若手議員が政策勉強と人脈作りの目的で就任していたに過ぎず、実際、お飾り以上のものではなかった。2001年(平成13年)の中央省庁再編により、従来の大臣クラスの政治家が就任する副大臣大臣政務官職が創設され、政界からの牽制として期待されたが、現時点においては、前者は中央省庁再編による大臣ポスト削減の補償であり、後者については、従前の政務次官の役割以上のものではないとの評価ができる。

事務次官等会議

原則全ての省庁の事務方トップが出席し、月曜日と木曜日に首相官邸で開かれる。事務の内閣官房副長官が主催し、また警察庁長官及び金融庁長官もメンバーであるため、正式には「事務次官会議」である。

事務次官等会議では、翌日開かれる閣議に備えて各省庁からの案件を事前に調整し、この場で調整がつかなかったりした場合は、翌日の閣議案件として上らないことになっている。

与野党を問わず官僚主導を嫌う政治家やマスコミから、事実上の政府の意思決定機関といわれているが、実際は、この会議の俎上にあがる段階では省庁間の調整は完了しており、この会議で議論が紛糾することは皆無と言って良い。閣議同様、「会議」という名前はつくもののここで何かを議論している訳ではなく、実態としては閣議上程への合意形成が完了したことを確認する一種の儀式である。

国家行政組織法施行前には、前述のとおり事務次官の役職名は単に次官であったため、会議名称は「次官会議」であった。これが、国家行政組織法により、次官は事務次官と改められたため、会議名称も「事務次官会議」と改められた。さらに、1957年(昭和32年)7月30日、閣議決定により総理府総務副長官も構成員となった機会に、会議名称に「」が挿入されて「事務次官等会議」となったのである。総理府総務副長官の参加以前にも事務次官以外の構成員は存在したのだが、その時点では「等」は挿入されていなかった。

現在の事務次官等

 

歴代の事務次官(次官・長官等含む)経験者

内閣府事務次官(総理府総務副長官(事務担当)、総理府次長含む)

 経済企画事務次官(経済審議庁次長・経済企画庁次長含む)

沖縄開発事務次官

内務次官

総務事務次官(行政管理庁次長・行政管理事務次官・総務庁時代の総務事務次官含む)

自治事務次官(自治庁時代の自治事務次官含む)

郵政事務次官(逓信次官・電気通信次官)

法務事務次官(司法次官、法務総裁官房長(法務庁法務府)含む)

外務事務次官(外務次官)

財務事務次官(大蔵事務次官・大蔵次官)

政界
日本銀行総裁
東京証券取引所理事長
公正取引委員会委員長
横浜銀行頭取
伝統的に原則として都市銀行は天下り官僚を頭取として迎えないため、事務次官経験者の天下り先商業銀行は、地方銀行最大行である横浜銀行頭取となり、全国地方銀行の利害を代表し(しばしば、社団法人全国地方銀行協会会長に選出される)、当局と折衝することを期待される。
国鉄総裁
その他の事務次官・次官

文部科学事務次官

文部事務次官(文部次官)

科学技術事務次官(科学技術庁次長含む)

厚生労働事務次官

厚生事務次官(厚生次官)

労働事務次官

農林水産事務次官(農林事務次官・農商次官・農林次官・農商務次官)

経済産業事務次官(通商産業事務次官・軍需次官・商工次官)

国土交通事務次官

建設事務次官(建設院総務長官)

国土事務次官

北海道開発事務次官(北海道開発庁次長含む)

運輸事務次官(運輸通信次官・鉄道次官・鉄道院副総裁)

環境事務次官(環境庁時代の環境事務次官含む)

宮内庁長官(宮内次官)

金融庁長官(金融監督庁長官含む)

  • 日野正晴 - 金融監督庁長官→金融庁長官改称、法務・検察官僚
  • 森昭治 - 金融庁長官、大蔵官僚

警察庁長官(国家地方警察本部長官含む)

防衛事務次官(保安庁次長・防衛庁次長含む)

陸軍次官

海軍次官

拓殖務次官

拓務次官

大東亜次官

  • 田尻愛義 - 外務官僚、終戦にて外務次官就任、東京高商卒



関連書籍

関連項目