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電源開発

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
電源開発株式会社
Electric Power Development Co.,Ltd.
J-POWER logo
電源開発本店
種類 株式会社
機関設計 監査役会設置会社[1]
市場情報
東証プライム 9513
2004年10月6日上場
略称 J-POWER、電発、でんぱつ
本社所在地 日本の旗 日本
104-8165
東京都中央区銀座6-15-1
設立 1952年9月16日
業種 電気・ガス業
法人番号 6010001050764 ウィキデータを編集
事業内容 電気事業
代表者
資本金 1805億2百万円
(2024年3月31日現在)[2]
発行済株式総数 1億8305万1千株
(2024年3月31日現在)[2]
売上高 連結:1兆2579億98百万円
単独:8432億29百万円
(2024年3月期)[2]
営業利益 連結:1057億4百万円
(2024年3月期)[2]
経常利益 連結:1185億35百万円
(2024年3月期)[2]
純利益 連結:777億74百万円
(2024年3月期)[2]
純資産 連結:1兆3330億78百万円
(2024年3月期)[2]
総資産 連結:3兆4757億49百万円
(2024年3月期)[2]
従業員数 連結:7,083人
単独:1,862人
(2024年3月31日現在)[2]
決算期 3月31日
会計監査人 EY新日本有限責任監査法人[2]
主要株主 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 13.20%
日本カストディ銀行(信託口) 5.19%
日本生命保険 5.00%
JP MORGAN CHASE BANK 385632 3.93%
J-POWER従業員持株会 2.74%
みずほ銀行 2.53%
JP MORGAN CHASE BANK 380072 1.94%
三井住友銀行 1.80%
富国生命保険 1.65%
三菱UFJ銀行 1.39%
(2024年3月31日現在)[2]
主要子会社 主な関連会社の項目を参照
関係する人物
外部リンク https://www.jpower.co.jp/
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電源開発株式会社(でんげんかいはつ、: Electric Power Development Co.,Ltd.)は、東京都中央区に本店を置く電力会社発電事業[3]送電事業者[4])である。愛称としてJ-POWER(ジェイパワー)が使われる。

概要

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太平洋戦争の日本敗戦後、GHQの指示で作られた過度経済力集中排除法の指定を受け日本発送電解体、地域電力会社に分割された。しかし、分割されたばかりの地域電力会社は資本的にも非常に貧弱で、復興のために必要となる電力を満足に供給できず、発電所新設の投資もままならない状態であった。そのため、国内での電力需要の増加に対応して制定された電源開発促進法により、1952年昭和27年)9月16日に国の特殊会社として設立された(資本構成は66.69 %を大蔵大臣(のちに財務大臣)、残りを9電力会社が出資)。

電源開発の最初の大事業は佐久間ダムであるが、10年はかかるとされた工事を、アメリカ合衆国からの技術導入により、3年で完成させた。続けて“OTM”と呼ばれる奥只見ダム田子倉ダム御母衣ダムなど大規模なものを含む水力発電所を次々に建設し、戦後復興期を電力面から支えた。なお、佐久間ダムの佐久間発電所が現在も年間発電量日本一の水力発電所であるなど、これら発電所は現在でも国内最大級の規模を有する。

高度経済成長期、大きく伸びる電力需要に合わせて、財務を立て直した電力会社と共に供給力も大きくしていったが、電力会社間の連携不足や昼夜間の需要ギャップ拡大など、効率面が問題となってきた。これに対し電源開発は複数の電力会社が利用できる広域火力発電所、電力会社間の連系送電線や佐久間周波数変換所などの連系設備、長距離直流送電、大規模揚水発電所を建設。電力会社の補完的事業を行う。

更に後、電力会社も十分な財務体質を有し、各社間で連系送電線やその他連系設備を建設していった。電源開発は当時斜陽化していた国内炭鉱産業支援のため、国内炭専用の火力発電所を建設したり(のち海外炭火力へと変更)、海水揚水発電所等の実証試験プラントや海外協力事業を積極的に行うなど、国策的性格が強い事業を行うようになった。

1997年、特殊法人合理化の中で5ヵ年程度の準備期間を置いた後に民営化することが閣議決定され、2003年に電源開発促進法を廃止。2004年10月6日東京証券取引所第1部に上場し、電力会社及び政府出資の民営化ファンドの保有株式の全てを売却した(初値は2,795円)。また合わせて愛称を「でんぱつ」から「J-POWER(ジェイパワー)」に変更した。

現在では、日本国内に水力火力合わせて60か所以上の発電所を有し、発電能力は旧一般電気事業者(10電力会社)以外としては突出しており、旧一般電気事業者と比較しても四国電力などを抜き、東北電力に匹敵する。特に石炭火力発電に関しては日本一の規模で、熱効率も世界最高水準を誇っている[5]。また、水力発電の規模も日本トップクラスである。

送電・変電設備、電力会社間の連系送電線やその他連系設備も多数保有しており、特に本州 - 九州間を連系する送電網を有するのはJ-POWERのみである。以前は北海道 - 本州間、50 Hz・60 Hz間、本州 - 四国間の連系を保有するのもJ-POWERのみだったが、現在はそれぞれ3分の2、40 %、75 %を保有している。なお、現在は原子力発電所を有していないが、青森県において大間原子力発電所を建設中である。風力発電についても東京臨海風力発電所など、2023年令和5年)7月現在で国内に27地点を有し、国内事業者第2位の規模である[6]。海外においてもポーランドでの事業に参画(ザヤツコボ風力発電所[7] [8])するなど、積極的な展開を進めている。

また、近年の電力自由化の流れに対応すべく事業を多角化(水道事業など)。併せて、これまで主にはアジア地域におけるコンサルティングを展開してきた海外事業も、近年はIPPへの積極投資(タイ・カエンコイ2発電所、アメリカ合衆国・テナスカフロンティア、エルウッド、グリーン・カントリーなど)、炭鉱開発(豪州・クレアモント炭鉱など)などにより拡大しつつある。

2019年4月1日、100%子会社として電源開発送電事業分割準備株式会社を設立。2020年4月1日に同社を電源開発送変電ネットワーク(J-POWER送変電)と改称し、送電事業が移管された[9]

沿革

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(主要設備運転開始時期等)

人事

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代表権のある取締役のみ、2024年6月28日現在。

  • 代表取締役会長
    渡部肇史(1977年入社、東大法卒)
  • 代表取締役社長社長執行役員
    菅野等(1984年入社、筑波大学比較文化学類卒)
  • 代表取締役副社長執行役員
    嶋田善多(1982年入社、京都大学大学院工学研究科了)

特殊会社時代には最高責任者の役職名は「総裁」であったが、一般の株式会社に改組してからは「社長」となっている。

歴代最高責任者

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氏名 就任日 退任日 備考
電源開発総裁
高碕達之助 1952年 1954年8月
2 小坂順造 1954年 1956年
3 内海清温 1956年 1958年
4 藤井崇治 1958年 1964年
5 吉田確太 1964年
6 藤波収 1966年8月28日 1970年8月27日
7 大堀弘 1970年 1975年
8 両角良彦 1975年6月1日 1983年5月
9 門田正三 1983年6月[11] 1986年10月[11]
電源開発社長
藤原一郎 1986年10月[12] 1991年7月[12]
2 杉山和男 1991年7月 1996年
3 杉山弘 1996年 2001年
4 中垣喜彦 2001年 2009年6月
5 北村雅良 2009年6月 2016年6月
6 渡部肇史 2016年6月 2023年6月
7 菅野等 2023年6月 現職

主要事業所一覧

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国内

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海外

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  • J-POWER USA Development Co., Ltd.(米国
  • J-POWER Generation (Thailand) Co., Ltd.(タイ
  • J-POWER Consulting (China) Co., Ltd.(中国

発電施設

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計 93箇所、1822万7179kW(2024年3月31日現在)[13]

  • 総出力には長期計画停止中、定期点検中の号機を含む。廃止された号機、建設中の号機は含まない。

水力発電所

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61箇所 857万7369kW

  • 主要な水力発電所(10万kW以上の発電所)
発電所名 水系 発電方式 認可出力 ダム 所在地 運用開始
下郷発電所 阿賀野川 ダム水路式(揚水式 100万kW 大川ダム(下池)
大内ダム(上池)
福島県南会津郡下郷町 1988年
奥只見発電所 ダム式 56万kW 奥只見ダム 福島県南会津郡檜枝岐村 1960年
大鳥発電所 ダム式 18.2万kW 大鳥ダム 福島県南会津郡只見町 1963年
田子倉発電所 ダム式 38.5万kW 田子倉ダム 1959年
沼原発電所 那珂川 ダム水路式(揚水式) 67.5万kW 深山ダム(下池)
沼原ダム(上池)
栃木県那須塩原市 1973年
佐久間発電所 天竜川 ダム水路式 35万kW 佐久間ダム 静岡県浜松市天竜区 1956年
新豊根発電所 ダム水路式(揚水式) 112万kW 佐久間ダム(下池)
新豊根ダム(上池)
愛知県北設楽郡豊根村 1972年
奥清津発電所
奥清津第二発電所
信濃川 ダム水路式(揚水式) 100万kW
60万kW
二居ダム(下池)
カッサダム(上池)
新潟県南魚沼郡湯沢町 1978年
1996年
御母衣発電所 庄川 ダム式 21.5万kW 御母衣ダム 岐阜県大野郡白川村 1961年
手取川第一発電所 手取川 ダム水路式 25万kW 手取川ダム 石川県白山市 1979年
長野発電所 九頭竜川 ダム式(揚水式) 22万kW 九頭竜ダム
鷲ダム
福井県大野市 1968年
池原発電所 熊野川 ダム式(揚水式) 35万kW 池原ダム
七色ダム
奈良県吉野郡下北山村 1964年
川内川第一発電所 川内川 ダム式 12万kW 鶴田ダム 鹿児島県薩摩郡さつま町 1965年

火力発電所

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運転中

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磯子火力発電所

7箇所、841万2000kW(2024年3月31日現在)

発電所名 使用燃料 総出力 号機 出力 熱効率(LHV) 所在地 運転開始 備考
磯子火力発電所 石炭 120万kW 新1号機
新2号機
60万kW
60万kW
45%

45%

神奈川県横浜市磯子区 2002年4月
2009年7月
(旧)1号機,2号機(共に26.5万kW)
廃止。
高砂火力発電所 石炭 50万kW 1号機
2号機
25万kW
25万kW
41%

41%

兵庫県高砂市 1968年7月
1969年1月
竹原火力発電所 石炭 130万kW 新1号機

3号機

60万kw

70万kW

48%

43%

広島県竹原市 2020年6月1983年3月 既設1号機(25万kW),2号機(35万kW)廃止。
橘湾火力発電所 石炭 210万kW 1号機
2号機
105万kW
105万kW
45%

45%

徳島県阿南市 2000年7月
2000年12月
松島火力発電所 石炭 100万kW 1号機
2号機
50万kW
50万kW
42%

42%

長崎県西海市松島 1981年1月
1981年6月
松浦火力発電所 石炭 200万kW 1号機
2号機
100万kW
100万kW
43%

44%

長崎県松浦市 1990年6月
1997年7月
石川石炭火力発電所 石炭 31.2万kW 1号機
2号機
15.6万kW
15.6万kW
42%

42%

沖縄県うるま市 1986年11月
1987年3月

原子力発電所

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建設中・開発中

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1箇所 138万3000kW(2024年3月31日現在)

発電所名 原子炉型式 号機 総出力 所在地 運転開始 備考
大間原子力発電所 改良型沸騰水型軽水炉 1号機 138.3kW 青森県下北郡大間町 未定

新エネルギー

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運転中

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発電所名 方式 総出力 運転開始 所在地
鬼首地熱発電所 地熱発電 1.5万kW 1975年3月 宮城県大崎市
島牧ウインドファーム 風力発電 0.45万kW 2000年6月 北海道島牧村
苫前ウィンビラ発電所 風力発電 3.06万kW 2000年12月 北海道苫前町
さらきとまないウィンドファーム 風力発電 1.485万kW 2001年12月 北海道稚内市
仁賀保高原風力発電所 風力発電 2.475万kW 2001年12月 秋田県にかほ市
東京臨海風力発電所 風力発電 0.17万kW 2003年3月 東京都江東区
南大隅ウィンドファーム 風力発電 2.6万kW 2003年3月 鹿児島県南大隅町
楊貴妃の里ウィンドパーク 風力発電 0.45万kW 2003年11月 山口県下関市
グリーンパワーくずまき発電所 風力発電 2.1万kW 2003年12月 岩手県葛巻町
田原風力発電所 風力発電 0.198万kW 2004年3月 愛知県田原市
長崎鹿町ウィンドファーム 風力発電 1.5万kW 2005年2月 長崎県佐世保市
阿蘇にしはらウィンドファーム 風力発電 1.75万kW 2005年2月 熊本県西原村
田原臨海風力発電所 風力発電 2.2万kW 2005年3月 愛知県田原市
瀬棚臨海風力発電所 風力発電 1.2万kW 2005年12月 北海道せたな町
郡山布引高原風力発電所 風力発電 6.598万kW 2007年2月 福島県郡山市
阿蘇おぐにウインドファーム 風力発電 0.85万kW 2007年3月 熊本県小国町
石廊崎風力発電所 風力発電 3.4万kW 2010年4月 静岡県南伊豆町
あわら北潟風力発電所 風力発電 2万kW 2011年2月 福井県あわら市
桧山高原風力発電所 風力発電 2.8万kW 2011年2月 福島県田村市川内村
上ノ国ウインドファーム 風力発電 2.8万kW 2014年3月 北海道上ノ国町
南愛媛風力発電所 風力発電 2.16万kW 2015年3月 愛媛県宇和島市

過去に存在した発電施設

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火力発電所

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発電所名 使用燃料 総出力 廃止時期 所在地
若松火力発電所* 石炭、重油 15万kW 1989年 福岡県北九州市若松区

* 若松火力発電所跡地には、研究・実験・研修施設としての若松総合事業所が建設された。

海外実績

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  • 技術コンサルティング 63カ国・地域318件(2011年5月末実績)
  • IPP(海外発電事業) 6カ国・地域29件(2010年6月末実績)

提供番組

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関連会社

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連結子会社

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電気事業(9社)

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  • 電源開発送変電ネットワーク株式会社[14]
  • 長崎鹿町風力発電株式会社
  • 株式会社ジェイウインド
  • 株式会社ジェイウインドせたな
  • 株式会社ジェイウインドくずまき
  • 株式会社ジェイウインド上ノ国
  • 江差グリーンエナジー株式会社
  • 石狩グリーンエナジー株式会社
  • 株式会社ジェイソーラー

電力周辺関連事業(17社)

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海外事業(45社)

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  • J-Power Investment Netherlands B.V.
  • J-POWER North America Holdings Co., Ltd.
  • J-POWER USA Development Co., Ltd.

その他の事業(5社)

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持分法適用会社

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電気事業(12社)

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海外事業(77社)

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不祥事・トラブル等

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TCIによる株式取得をめぐる問題

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電源開発の発行済株式の9.9%を保有する英国ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)は、2007年6月の定時株主総会の時点で増配要求を出すなど、経営方針に対して不満を表明していた[31]。2007年11月には、社外役員の派遣を経営陣に要請したものの、電源開発の取締役会は2008年1月7日、この提案に反対する旨の回答をする[32]

そこでTCIは、1月15日、電源開発の株式の保有率を20%まで引き上げるため、外為法による事前届出[33]を行った。しかし関税・外国為替等審議会外国為替等分科会外資特別部会は4月15日、この株式取得は日本の「公の秩序の維持が妨げられるおそれがあるもの」とする意見[34]を出した。この意見を受けて、額賀財務大臣甘利経済産業大臣は、TCIによる株式の取得の中止の勧告[10]を出すと同時に、「日本政府の対日直接投資促進は不変」という談話[35]を発表し、電源開発もこの勧告と談話を許容する内容のコメント[36]を発表した。

4月25日に入り、TCIは経済産業省から出された弁明の機会の付与[37]に対し中止勧告の応諾の拒否を通知したため、額賀財務大臣と甘利経済産業大臣は、外為法27条10項の中止命令のための手続に着手し、5月13日に中止命令[38]を発した。7月14日、TCIはこの中止命令に従い、不服申し立てを断念する旨の声明を発表した[39]

一方でTCIは、4月16日に、6月の電源開発の定時株主総会において、期末配当に関する提案と、条件が受け入れられない場合の社長の解任を内容とする株主提案を行うことを発表した。電源開発は4月18日にこの提案を受領した旨を発表し、4月30日にTCIの全提案に反対する旨の取締役会の意見[40]を発表した。その後TCIと電源開発との間で書簡の往来が続いたものの意見の対立は埋まらず、5月22日には、定時総会に向けて委任状勧誘を行うことをTCIが発表した。

6月26日の第56期定時株主総会にて、TCIによる株主提案はすべて否決されたものの[41]、それと前後して、TCIは電源開発の経営陣の責任を追及する訴えを提起のための手続を進めており、また、持合い株主の議決権の投票結果の開示を要請する[42][43][44][45][46]など、定時株主総会によるTCIの株主提案の否決後も係争は続いていた。

しかし、2008年10月31日に、電源開発はTCIが保有している全株式を買い取ることを発表し、一連の問題に終止符を打つこととなった。なお、TCIが株式の売却を決めた理由については、電源開発が2008年7月末に決めた子会社事業を本体に取り込む事業再編[47]によるものとする報道[48]と、2008年9月に発生した世界規模の金融危機の影響によるものとする報道[49]とがあり、錯綜している。

天下り問題

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福島第一原子力発電所事故以降、経済産業省と電力会社の天下り問題が、監督官庁である経産省の原子力発電所の安全基準を甘くさせる構造として批判が集まった。

その他

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放送送信施設

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本店屋上にはコミュニティ放送局である中央エフエムの送信所が置かれていたが[50]2013年6月4日歌舞伎座タワーに移転した[51]

脚注

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注釈

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  1. ^ 電源開発が正規代理店となっているロイヤルパープル製工業用潤滑油を取り扱う[21]

出典

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  1. ^ 経営・執行体制 - 電源開発株式会社
  2. ^ a b c d e f g h i j k 第72期(2023年度)有価証券報告書・確認書・内部統制報告書”. 電源開発株式会社 (2024年6月27日). 2024年6月28日閲覧。
  3. ^ 発電事業者一覧|発電事業に係る届出義務|電力需給対策|資源エネルギー庁”. www.enecho.meti.go.jp. 2019年12月8日閲覧。
  4. ^ 送配電事業者一覧(一般送配電事業者、送電事業者、特定送配電事業者)|電気事業制度の概要|資源エネルギー庁”. www.enecho.meti.go.jp. 2019年12月8日閲覧。
  5. ^ 電源開発株式会社, J.-POWER. “世界最高水準の発電効率 | もっと知ってほしい石炭火力発電 | J-POWER(電源開発株式会社)”. www.jpower.co.jp. 2022年2月10日閲覧。
  6. ^ 風力発電事業について”. 電源開発 (2023年). 2023年9月21日閲覧。
  7. ^ ポーランド国ザヤツコボ風力発電プロジェクトの概要”. 電源開発 (2008年9月10日). 2023年9月21日閲覧。
  8. ^ 三井物産、ポーランドの風力発電所が営業運転を開始”. Response. (2008年9月10日). 2023年9月21日閲覧。
  9. ^ 志水伸二 (2019年4月26日). “送変電部門の分社化に伴う吸収分割契約締結に関するお知らせ”. 電源開発株式会社. 2019年12月8日閲覧。
  10. ^ a b c 電源開発(株)に対するTCIの投資に係る外為法に基づく中止勧告について (経済産業省)
  11. ^ a b 人事興信所 1995, か149頁.
  12. ^ a b 人事興信所 1995, ふ120頁.
  13. ^ 電源開発株式会社, J-POWER. “企業データ | 企業概要 | J-POWER 電源開発株式会社”. https://www.jpower.co.jp/company_info/about/data.html 2018年9月2日閲覧。 
  14. ^ J-POWER送変電 | 電源開発送変電ネットワーク株式会社”. 電源開発送変電ネットワーク株式会社. 2023年12月28日閲覧。
  15. ^ 株式会社J-POWERハイテック”. 株式会社J-POWERハイテック. 2023年12月28日閲覧。
  16. ^ J-POWERジェネレーションサービス株式会社”. J-POWERジェネレーションサービス株式会社. 2023年12月28日閲覧。
  17. ^ 株式会社J-POWERビジネスサービス”. 株式会社J-POWERビジネスサービス. 2023年12月28日閲覧。
  18. ^ J-POWERテレコミュニケーションサービス株式会社”. J-POWERテレコミュニケーションサービス株式会社. 2023年12月28日閲覧。
  19. ^ 株式会社J-POWER設計コンサルタント”. 株式会社J-POWER設計コンサルタント. 2023年12月28日閲覧。
  20. ^ ジェイパワー・エンテック株式会社”. ジェイパワー・エンテック株式会社. 2023年12月28日閲覧。
  21. ^ RP-LUCID
  22. ^ トップ | 開発肥料株式会社”. www.jpsik.com. 2024年8月6日閲覧。
  23. ^ 大崎クールジェン株式会社”. 大崎クールジェン株式会社. 2024年7月5日閲覧。
  24. ^ 湯沢地熱”. 湯沢地熱株式会社. 2024年7月5日閲覧。
  25. ^ 鹿島パワー株式会社”. www.kashimapower.com. 2024年8月6日閲覧。
  26. ^ 鈴与電力株式会社”. 鈴与電力株式会社. 2024年7月5日閲覧。
  27. ^ 株式会社エナリス ENERES”. 株式会社エナリス. 2024年7月5日閲覧。
  28. ^ ひびきウインドエナジー株式会社”. ひびきウインドエナジー株式会社. 2024年7月5日閲覧。
  29. ^ 電源開発株式会社, J.-POWER. “5月9日 │ 米国バーチウッド発電所の権益取得について │ J-POWER | 電源開発株式会社| ニュースリリース | 2008年”. www.jpower.co.jp. 2024年8月9日閲覧。
  30. ^ 電源開発株式会社, J.-POWER. “英国Triton Knoll洋上風力発電事業への参画について │ プレスリリース │ J-POWER 電源開発株式会社”. www.jpower.co.jp. 2024年8月9日閲覧。
  31. ^ ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド (TCI)、Jパワー社の株主に株主提案の理由を説明, 2007年6月(PDF) (PDF)
  32. ^ Jパワー社 経営陣への書簡, 2007年11月(PDF) (PDF)
  33. ^ ザ・チルドレンズ・インベストメント・マスター・ファンドによる外国為替及び外国貿易法に基づく事前届出について (TCI) (PDF)
  34. ^ 関税・外国為替等審議会外国為替等分科会外資特別部会 意見 (経済産業省) (PDF)
  35. ^ 財務大臣・経済産業大臣談話〜日本政府の対日直接投資促進の姿勢は不変〜 (財務省)
  36. ^ TCIからの株主提案に対する当社取締役会の反対意見について (電源開発、現在はウェブページが存在せず)
  37. ^ TCIに対する弁明の機会の付与について (経済産業省)
  38. ^ 電源開発(株)に対するTCIの投資に係る外為法に基づく中止命令について (経済産業省)
  39. ^ Jパワー株式追加取得に係る政府の中止命令につき不服申立てを行わず、Jパワーのコーポレート・ガバナンスの改善に専念することを決定 (PDF)
  40. ^ 株主提案に対する当社取締役会の意見について (電源開発)
  41. ^ https://www.jpower.co.jp/news_release/news080626-1.html
  42. ^ http://www.tcifund.jp/pdf/news_jp30.pdf 支持を頂いた株主の皆様に対する感謝の意と、J パワーに対する持ち合い株主による投票結果の開示要請 (PDF) (PDF)
  43. ^ TCIによる5月8日付の公開要請について
  44. ^ TCI はJパワー監査役に対し、業務執行義務違反に関する実態調査を依頼 (PDF) (PDF)
  45. ^ 株主からの料金値下げ等に関する取締役責任追及の訴えの提起等の請求について
  46. ^ 株主からの取締役責任追及の訴えに関する不提訴理由通知書の送付について
  47. ^ 電源開発株式会社の会社分割による子会社(株式会社JPリソーシズ)の一部事業の承継に関するお知らせ
  48. ^ 英投資ファンドTCI、Jパワー株売却へ(日経ネット)
  49. ^ 凋落と逆襲 ファンド岐路 金融危機の行方、左右(フジサンケイビジネスアイ)
  50. ^ 会社概要”. 中央エフエム. 2006年2月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月29日閲覧。
  51. ^ 送信所移転のお知らせ”. 中央エフエム. 2013年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月29日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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