UH-60 ブラックホーク

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UH-60 ブラックホーク

UH-60 ブラックホーク (UH-60 Black Hawk:黒鷹の意) は、シコルスキー・エアクラフト社製の中程度積載能力を持つ多目的または強襲用ヘリコプターであり、20ヶ国以上で使用されている。民間型として武装を省略したシコルスキー S-70も販売されている。

目次

[編集] 開発経緯

UH-60 ブラックホークは1972年アメリカ陸軍が提示したUTTAS(汎用戦術輸送機システム)構想により、傑作であるUH-1 イロコイの後継機として開発された。基本設計においては、C-5 ギャラクシーC-17 グローブマスターIII輸送機に搭載が可能であるよう、10tトラックと同じ容積、重量であることが求められている。またキャビン容積としては完全武装の歩兵1個分隊約10名が搭乗可能なスペースを要求されていた。

3つのプロトタイプが試作され、初飛行は1974年10月に行われ、競争相手だったボーイング・バートル社の設計よりも評価された。耐衝撃性も調達要件として出されていた。採用前のテスト飛行で墜落事故も起こしたが、死者は無く、メインローターの修理のみで飛行可能であったという。

暗視装置や夜間航法装置を装備した形で、ブラックホークの製造が決定し、1979年UH-60Bアメリカ軍で使用され始めた[1]

[編集] 機体

ブラックホークは航空騎兵隊(空挺部隊)、電子戦、MEDEVAC(医療救急)などの幅広い任務で活動することができる。エアフォースワンならぬマリーンワンとしてアメリカ合衆国大統領を運ぶことさえある。空からの強襲作戦では1分隊11名とその装備か、105-mm榴弾砲(M102)と砲弾30発と6人の操作要員を、同時に運搬することもできる。2,600ポンド(1,170キログラム)の積荷、ヘリで吊り下げる形であれば9,000ポンド(4,050キログラム、例えばHMMWVなど)の積荷を運ぶこともできる。

また外部搭載支援システム(ESSS)を裝着することにより追加される左右2箇所ずつのハードポイントにAGM-114ヘルファイア対戦車ミサイル4連装ランチャー、2.75インチ(約70mm)19連装ロケット弾ポッド、ガンポッド、増槽などを搭載することもできる。このためAH-64 アパッチの開発費が高騰した際にはこれを代わりに利用することも検討された。またブラックホークはGPSなどの最新の航空電子機器を装備している。

[編集] 実戦

先に降りた兵はブラックホークの安全を確保し、後続の展開を保護する
(2007年6月、イラクでの訓練の様子)。

初陣は1983年グレナダ侵攻であったが、暗視装置は配備が間に合わなかった[1]。その後の実戦には湾岸戦争モガディシュの戦闘アフガニスタン戦争イラク戦争など、近年のアメリカが関与した戦争戦闘にはほとんど参加しているが、運用方法から極低空を低速で飛行することが多く、個人携行対空ミサイルや小火器からの対空砲火などの餌食になりやすい。そのため、これらの戦闘によって数多くの機体と兵士を失った。

なお、モガディシュの戦闘において、アイディード将軍派の民兵の攻撃によって2機が撃墜された際の顛末は、映画『ブラックホーク・ダウン』において詳細に描かれている。

[編集] 派生型

汎用ヘリコプターであるS-70は、数多くの派生型も生産されている。それぞれのバージョンによって製造費用も異なり、例えばUH-60L ブラックホークは590万ドルだが、空軍のMH-60G ペイヴホークは1020万ドルの費用がかかる。民間向けにはS-70の名称で販売されている。

[編集] SH-60 シーホーク

詳細は「SH-60 シーホーク」を参照

アメリカ海軍では、1983年に水上戦闘艦搭載用のLAMPSヘリコプターとしてSH-60B シーホークを、1988年航空母艦艦載用のSH-60F オーシャンホークを受け取った。SH-60はUH-60の哨戒ヘリコプターバージョンであり、レーダーなどの哨戒機器と対潜兵器を搭載できる。また、機体はS-70Bとして輸出も行なわれているが、搭載機器はほとんど輸出されておらず、顧客が独自に開発するか、別途に輸出用の機器を調達して搭載している。

[編集] HH-60 / MH-60

HH-60シリーズは、遭難した航空隊員や戦争中に孤立した人間を救助することを主な目的として、UH-60を改造したものである。

アメリカ空軍は当初、UH-60の燃料搭載量を増やしたHH-60D ナイトホークを運用していたが、1982年にはこれを大幅に改良したHH-60G ペイヴホークを採用した。600ポンド(270キログラム)の運搬能力がある250フィート(75メートル)のケーブルをもった救助用の巻き上げ機や、脱着可能な空中給油装置が装備されている。武装はサイドワインダーもしくはスティンガーといった空対空ミサイルの搭載も可能となっている。

同系の機体として、陸軍が特殊部隊の強襲作戦に用いるMH-60シリーズも存在する。こちらはMH-60G ペイヴホークの他、高価な電子装備を搭載したMH-60K ブラックホークや、UH-60Lの設計を反映させたMH-60L ブラックホークが存在する。特にMH-60Lはモガディシュの戦闘に投入されたことで知られる。

[編集] HH-60H レスキューホーク / HH-60J ジェイホーク

HH-60J Jayhawk

詳細は「SH-60 シーホーク#救難ヘリコプター(HH-60H レスキューホーク、HH-60J ジェイホーク)」を参照

アメリカ海軍では、遭難した艦載機パイロットなどを救助したり、Navy SEALsの作戦を支援したりするため、HH-60H レスキューホークと呼ばれる機体を運用している。また、アメリカ沿岸警備隊でも救難や密輸取締りなどを目的として1992年HH-60J ジェイホークを導入した。これらは空軍向けのHH-60と同じような装備を持つ一方、艦上運用を前提としているため、胴体構造はSH-60シリーズをベースとしている。

なおアメリカ海軍ではHH-60Hの後継としてMH-60S ナイトホークへの切り替えを進めているが、こちらはむしろ陸軍向けのUH-60Lに似た機体となっている。

[編集] VH-60N プレジデントホーク

アメリカ海兵隊が運用する政府専用ヘリコプターとして、VH-60N プレジデントホークが存在する。

ホワイトハウスでよく見られるVH-3Dや、その後継機であるVH-71に比べ、輸送機への搭載が比較的容易であることを利用して外遊に用いられる。その分キャビンが非常に狭く、要人用としては乗り心地が劣るとして不評である。

[編集] 採用国

S-70シリーズは、アメリカ軍での使用が最も有名だが、他にも日本自衛隊アルゼンチンオーストラリアバーレーンブルネイ中国コロンビアエジプトイスラエルマレーシアメキシコモロッコフィリピンサウジアラビア韓国台湾トルコ軍隊でも使われている。

[編集] 日本

詳細は「UH-60J (航空機)」を参照

[編集] 中国

中国ではチベット地域などでの高高度地域航空輸送用器材として、民間型UH-60(S-70)を14機輸入し、陸軍で運用されていたが1989年に発生した天安門事件以降、アメリカからの部品購入が困難となったため、飛行停止状態となっているが現在も10数機を運用中。これは、陸軍での同機の評価が高いためである。

[編集] 性能・主要諸元 (UH-60J)

UH-60A 三面図
  • 乗員:最低2名
  • 全長:19.76 m
  • 全高:約3.7 m
  • 主回転翼直径:16.36 m
  • 非装備時重量:10.1 t
  • 最大離陸重量:11.113 t
  • 超過禁止速度:約265 km/時
  • 戦闘行動半径:約680 km
  • 最大航続距離:約2,220 km
  • 実用上昇限度:5,790 m
  • 上昇率:3.6 m/s
  • 武装

[編集] 出典

  1. ^ a b ヒストリーチャンネル「ブラックホークとナイトストーカーズ

[編集] 主題・主役とした作品

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 外部リンク