ティルトローター

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ティルトローター機 V-22
2007年のパリ航空ショーで飛行機形態で飛行するBA609
NASA ドライデン飛行研究センターで離陸するXV-15

ティルトローター (tilt-rotor, tiltrotor) とは、垂直(短距離)離着陸のための手法のひとつで、ローター(プロペラに似た回転翼)を、機体に対して傾ける(ティルトする)こと。翼ごと傾けるタイプの機体はティルトウィングと言う。

構造[編集]

ティルトローターを装備した航空機(ティルトローター機)は、外見はプロペラ機に似ているが、ローターの角度を変えることでヘリコプターのように垂直上昇ができる。上昇後はローター軸を前方に向けて普通のターボプロップ機として飛行する。このホバリング(空中静止状態)から水平飛行への遷移時の姿勢制御が難しいようで、V-22も開発当初は事故が多発し、「未亡人製造機」などと不名誉な呼称で呼ばれていた時期もあった。しかし試験段階で事故が起きるのはどのような新規航空機製作でも共通している常識であり、それにより問題点を洗い出し、量産化される段階では各種試験は通過しているため、高い安全性が保証されている点に注意が必要である。 量産化された現在では安全性も向上し、運航時間に対する事故率は通常の回転翼機より極めて低い値となっており、MV22(オスプレイ)に至っては、米国を始めとした各国で、要人輸送機として運用される程の高い信頼性を誇る機体となっている。 発動機を機体内に装備し、推進軸の方向のみを変更する方法もあり、このほうが運用コストが下がるという利点があるが、現在実用化されているのは翼端のエンジンをナセル(容器)ごと回転させる方式が主流である。一方、前述の利点があるためにベル イーグル・アイのように胴体内にエンジンを収めて伝達軸で翼端のプロペラを回転する機種もある。

両端にエンジンを装備している機種でも片方のエンジンが停止した場合に備えて主翼内に左右のプロペラに動力を伝達する為の伝達軸がある。

ヘリコプターに比べて最高速度が大きく航続距離が長い、固定翼機と比べて短い滑走路で離着陸可能などの利点がある。

飛行中のターボシャフトエンジンの停止は致命的なので運用実績のある信頼性の高いエンジンが使用される傾向にある。


歴史[編集]

1994年、軍用のV-22「オスプレイ」が生産を認められ、2005年9月19日アメリカ空軍への引渡しが開始されており、民間用ではAW609が開発中である。

2006年11月18日にアメリカ空軍へオスプレイが9機が引き渡された。実験目的ではなく、実戦を想定している部隊に対して配備されるのはこれが最初である。


現在、FAAV-22AW609などのティルトローター機を対象とした「Powered Lift」という新しいカテゴリーのライセンスを設置している[1]

ティルトローター機の一覧[編集]

類似形式[編集]

アメリカが開発したX-22のように、通常のローターではなくダクテッドファンを傾かせる形式の機体も存在する。

傾かせるエンジンがジェットエンジンなものは、ティルトジェット英語版と呼ばれる。ドイツが開発したEWR VJ 101やアメリカが計画したD-188などがティルトジェットを採用しているが、これらの機体は垂直離着陸用のリフトエンジンとティルトジェットを併用している。

エンジンとプロペラ(ローター)のみならず、主翼も同時に傾けるものを、ティルトウイングという。

脚注[編集]

  1. ^ [1]

関連項目[編集]