Su-35 (航空機)

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Su-35/Су-35

Sukhoi Su-35S in 2009.jpg

Su-35(スホーイ35、スホイ35;ロシア語:Сухой Су-35スー・トリーッツァチ・ピャーチ)は、ロシア連邦スホーイ社が開発し、Yu・A・ガガーリン記念コムソモリスク=ナ=アムーレ航空機製造合同(KnAAPO)が製造する長距離多用途戦闘機Su-27を発展させた第4++世代ジェット戦闘機であり[1]MAKS-2007航空ショーで発表された。Su-27やSu-30とT-50のギャップを埋める戦闘機として2005年から開発がはじめられている。PAK FAに使用されている技術のテストベッドも兼ねており新型FCS、アビオニクス、およびコックピットの設計はこの機体のシステムを基礎としている[2]

名称[編集]

Su-35BM、Su-35S、Su-27BM、Su-27SM2などと呼称されるが、Su-35BMというのは工場番号T-10BMТ-10БМ)に由来し、Su-35S(Су-35С)の末尾の「S(C)」は「Seriinye(серийные:量産型)」の頭文字で、Su-35の量産型であることを示す。

機体・構造[編集]

機体[編集]

従来のSu-35(Su-27M)とは異なりカナードは装備されていない

Su-35(Su-27M) との違いの中で最も特筆すべきはカナード翼が取り去られた点である。AL-41F1SのTVC機能、及びCCV技術の向上によって十分な機動性が確保できるようになったためであるが、電波吸収材料の使用なども貢献して、従来のフランカーに比べRCSが大きく低減している[3]。さらに、空気抵抗の減少にも一役買っている。機体構造も強化され、運用寿命はSu-27の2倍に当たる6,000時間となっている。

他に、水平尾翼には炭素繊維が用いられていること、背部のエアブレーキが廃止され燃料搭載量が増加していることが挙げられる。細部では、前脚のダブルタイヤ化、引き込み式空中給油用プローブの装備、などがある。テイルコーンや垂直尾翼の形状もSu-27と異なり、わかりにくいが両エンジン間の機体上面の形状も変更されている模様。また、PAK FAで使用されている多くの技術(統合情報処理システム、統合センサー、統合化APUなど)が使用されている[4]

エンジン[編集]

Sukhoi Su-35S 07 RED PAS 2013 07.jpg

エンジンは、推力偏向ノズルを搭載したAL-41F1S(117S)を搭載し、これに伴いエア・インテークが拡大された。AL-41F1SはAL-31にPAK FA用に開発されたAL-41F1(117)の技術がフィードバックされており、基部から可動するタイプの推力偏向ノズルを装備している。このエンジンは寿命が4,000時間[5]であり、機体の運用寿命が6,000時間に設定されているので、運用中のエンジン交換は1回で済む。

レーダー・IRST[編集]

イールビス-E。2009年のMAKSにて撮影

明白な外観の差異に留まらず、Su-35の航空電子装置にはロシア独自の技術が投入され、大幅に性能が向上した。 機首レーダーには、パッシブ・フェーズドアレイ・レーダー(PESA)N035 イールビス-E(Irbis-E)を搭載する。イールビス-EはSu-30MKI英語版/MKM英語版用に開発されたN011M バルス(Bars)英語版を大幅に改良した、8-12GHzの周波数帯を使用するXバンド・レーダーで、1,772個の発振素子を持つ。走査範囲は上下各60度、左右各120度。左右方向に関してはレーダーのみだと各60度であるが、油圧式首振り機構EGSP-27を備えることにより更に60度ずつスキャン範囲を広げている。

FCS(火器管制システム)全体を見てみると、新型の電波送受信機アリーヴァの搭載、導波管を容量10kwのチェルノーク2型×2基にしたことで、平均5kw、最大20kw照準時の連続波2kw以上という高性能を発揮でき、RCSが3m2程度の標準的な目標なら400km、RCS0.01m2程度のステルス目標や巡航ミサイルも90kmから探知できる。

セントラルコンピュータにはSolo-35が導入され、同時交戦能力も大幅に強化されている。空中目標なら30目標同時追尾・8目標同時交戦(セミアクティブレーダーホーミングミサイル使用時は2目標まで)、地上目標なら4目標同時追尾・2目標同時交戦が可能。これはバルスの倍の性能である。しかい、開発の遅れから2008年2月19日に初飛行した際はジュークMSFを搭載していた。

テイルコーン内にはN012後方警戒レーダーが装備されておりRCSが3m2の目標を16-27nmの範囲で捕捉でき、イールビス-E同様に強力なECCM特性を有する[6]

将来的に主翼前縁フラップの部分に、T-50同様の方式でLバンドレーダーを搭載する計画もある。複数個所にレーダーを備えることで、三角測量の要領で高精度な探知が可能になる。また、F-22などのステルス機は対Xバンドステルス性しか考慮されていないため、他の周波数に対してはステルス性能が低下すると言われておりLバンドレーダーと併用することでステルス機探知能力は大幅に強化されると思われる。[要出典]

Su-35はコックピット前方に、OLS-35という赤外線捜索追跡(IRST)システムを搭載している。Su-27が搭載していたOLS-27の改良型で、光学TV、赤外線撮像装置、レーザー測距儀を統合している。上方55-60度、下方15度、左右45度ずつを捜索できる。探知距離は航空目標に対し、ヘッドオンで50km、追尾する状況だと70km程度であるとされる(エンジンの排気ノズルから、より多量の赤外線を放射するため)。OLS-35はレーザー測距儀も備え、地上目標なら30km、空中目標なら20kmの距離で目標との距離評定及びレーザー誘導兵器の照準を行える。改修前のSu-27ではコックピット前中央に設置されていたが、視界を妨げないよう、右側にオフセットされている。同様の対処はSu-27SMやSu-33Su-30系でもなされている。

翼端のハードポイントには、R-73用レールランチャーと選択式でSAP-14 ECMポッドを搭載できる。効果範囲は左右上下45度で、4kwまでの出力で敵レーダーを妨害できる。デジタル周波数記録装置(DRFM)を搭載しており、敵レーダーの周波数を解析して同周波数の電波を発信、自機位置を欺瞞するディセプション・ジャミングが可能である。同様にセンターパイロンにもSAP-518ジャミング・ポッドを搭載可能である。

コックピット[編集]

操縦席には2基の大型液晶ディスプレイMFI-35(22.5x30.0cm、1450×1050ピクセル)が備えられ、完全にグラスコックピット化されている。また、HMDの併用も可能で、ディスプレイとの互換性を有する。一方でHUDも従来より広角のIKSh-1M(コリメーター式、視野角20×30度)が搭載されている。操縦桿、スロットルレバーにもHOTAS概念が導入され、ユーザーフレンドリーな設計となっている。

火気管制装置についてはすでに述べたが、他のアビオニクスも大幅に改良されている。操縦系には、Su-47に使用されていたものから発展した新型のKSU-35[7]デジタルフライ・バイ・ワイヤが導入され、GLONASS統合型無線航法装置を搭載する。

各型[編集]

Su-35BM
開発時の一般的な名称。
Su-35K
Su-35BMの輸出型。
Su-35S
Su-35BMのロシア空軍向けの量産型。

配備[編集]

ロシア空軍はSu-35を2012年から実戦配備する予定で、量産型のSu-35Sを2015年までに48機導入契約をスホーイと結んでおり、2015年までに納入の予定である。また、それ以上の機数を2020年までに揃えるとしており、最終的には150-200機の配備を望んでいる[8]。現在第二次発注において、最低でも48機、最大で56~64機を発注する予定である[9]

採用国[編集]

ロシアの旗 ロシア

ベネズエラの旗 ベネズエラ

中華人民共和国の旗 中国

仕様 (Su-35)[編集]

武装を搭載したSu-35

注記:情報はKNAAPOからの公式発表に基づくがSu-35は試作段階なので仕様が変更される可能性がある。

データの引用元:KNAAPO Su-35 page,[14] Su-35 booklet,[17] MAKS 2007 Su-35 展示,[15] Aviapedia,[18]

脚注[編集]

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参考文献[編集]

  • エアワールド2011年1月号 エアワールド

登場作品[編集]

関連項目[編集]