第4世代ジェット戦闘機

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共に第4世代ジェット戦闘機であるF-16とSu-27

第4世代ジェット戦闘機(だい4せだいジェットせんとうき、英語:4th generation jet fighterロシア語:боевой самолёт четвёртого поколения)とは、それまでの戦術航空機での戦訓と技術の進歩から1970年代に概念が打ち立てられ、おおよそ1980年代から運用が始められ、おそらくは2010年代以降まで運用されているであろうジェット戦闘機の一群のことをいう。これらの第4世代戦闘機の中でも電子機器を中心に一歩進んだ技術を有し、第5世代ジェット戦闘機の特徴のいくつかを備えたものは第4.5世代ジェット戦闘機と呼ばれることもある。

代表的な第4世代ジェット戦闘機としては、アメリカ合衆国F-14F-15F-16F/A-18中国J-10J-11、またロシアSu-27系、MiG-29系などが挙げられる。

概要[編集]

技術の高度化に伴って高騰した1機あたりのコストに見合う高性能と多種多様な任務をこなす能力が求められ、またF-4などの第3世代ジェット戦闘機が多用途戦闘機の嚆矢として活躍した実績をうけて、第4世代戦闘機にも多用途に用いることの出来るポテンシャルが要求された。

これに応える性能を獲得するため、前世代の大推力ターボジェットエンジンよりはるかに推力重量比の大きな戦術航空機用のアフターバーナーつきターボファンエンジンが装備された。推力の向上とエンジン重量の軽減から生じた余裕を、運動性能向上のための主翼面積拡大、迎撃にとどまらず制空や地上攻撃にも用いられる長い航続性能の達成、多用途に対応する高機能の電子機器搭載に割り振った。実際、第4世代の多くの戦闘機はそのような能力を備えるに至った。

第4世代ジェット戦闘機[編集]

F-15C
MiG-29
ミラージュ2000
J-10

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦

イギリスの旗 イギリス/ドイツの旗 ドイツ/イタリアの旗 イタリア

ユーゴスラビア社会主義連邦共和国の旗 ユーゴスラビア

フランスの旗 フランス

中華人民共和国の旗 中国

中華人民共和国の旗 中国/パキスタンの旗 パキスタン

中華民国の旗 中華民国(台湾)

イスラエルの旗 イスラエル

インドの旗 インド

第4.5世代ジェット戦闘機[編集]

第4.5世代ジェット戦闘機とは、第4世代ジェット戦闘機に分類されるが、第5世代ジェット戦闘機の一部の性能をも備えている戦闘機のことを言う。第4+世代ジェット戦闘機と呼ばれる場合もある。多くは1970年代から現在までにかけて開発され、初の実用化に成功したものはF-15Eがある。

第4.5世代ジェット戦闘機では、第4世代ジェット戦闘機の性能に加え、デジタルフライ・バイ・ワイヤとそれに伴うCCV設計、ストレーキカナード推力可変ノズルの装備などによって空戦時の機動性を向上させたり、ステルス性のある形状や素材を使う、アビオニクス類などをより先進的な物にするなどの工夫がされている。ただしこれらは一部の第4世代機でも採用例があるため、第4世代と隔絶した差がある訳ではなく、それゆえに第5世代ではなく第4世代の中の「第4.5世代」と分類されている。

アフターバーナー無しでのスーパークルーズ能力についても言及される場合があるが、実は既に第2世代ジェット戦闘機で実現した例もある。また第5世代機(F-22)のアフターバーナー無しでのスーパークルーズ能力は高度なステルスと組み合わせての対空ミサイル・対空砲火網の突破という明確な目的があるのに対し、第4.5世代で実現したアフターバーナー無しでのスーパークルーズに実用上の意味があるのかどうかは疑問視されている。

多くの第4.5世代ジェット戦闘機は、F-15E、F-16XL、F/A-18E/F、Su-30系のように、第4世代ジェット戦闘機の改良型として開発されている。

Su-30
タイフーン
F-2

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

ロシアの旗 ロシア

イギリスの旗 イギリス/ドイツの旗 ドイツ/スペインの旗 スペイン/イタリアの旗 イタリア

フランスの旗 フランス

スウェーデンの旗 スウェーデン

中華人民共和国の旗 中国

  • J-11B(Su-27の近代改修型)
  • J-15 Su-33を元に開発中
  • J-16 - J-11BSのステルス改修型
  • J-10B - J-10のステルス改修型

日本の旗 日本/アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国


第4++世代ジェット戦闘機[編集]

MiG-35

ロシアでは第4+世代ジェット戦闘機(第4.5世代ジェット戦闘機)の更に上の性能を持つ機体として第4++世代戦闘機という定義を使用している。

ロシアの旗 ロシア


性能比較[編集]

Su-27を相手にした空中格闘戦での想定勝率グラフ[1]
性能向上型のSu-27と空戦時の勝利確率をそれぞれの機体の能力から求めた。タイフーンの開発主体であるBAEシステムズ社のデータである。[2][3]

戦闘機の性能が向上するにつれて、各機種の性能の比較は、言葉や数字では大変表現しにくいものとなってきている。過去においては、その機種のスペックを見ればだいたいの性能が分かったが、現代の主要な戦闘機では、そのほかに機動力、フライ・バイ・ワイヤアビオニクス、ステルス性、操縦性などの要素が性能に大きく絡んでおり、数字では表現できなくなったためである。そうしたことから、その機種の撃墜数で性能が評価される事もあるが、世代が違ったり、交戦記録が無い戦闘機同士では、その評価が曖昧になる。例えば、F-15はアメリカやイスラエルの情報によればこれまで撃墜された記録が無く、世界最強の戦闘機と謳われる事があるが、F-15よりも格段に性能が良いF-22も、これまでに撃墜された記録は皆無である。(と言っても、訓練のみで実戦にはまだ使われてはいない。)

また、そのほかに各国では、戦闘機の性能評価を探るため、数機種での合同練習を行う事がある。これは比較的大規模になる事からあまり実施されないが、現代においては信頼できる性能比較となる。

また、1994年に、イギリスのDefence EvaluationとResearch Agencyは、Su-35を基準とした4.5世代の戦闘機を、実際のパイロットたちに参加してもらい、ネットワーク上のシミュレーションで対戦させ、性能評価を出した事がある。この記録は、当時は第5世代ジェット戦闘機の電子機器類などについての情報があまり無かったため、多少異なる点もあるが、世界的に有名な性能評価である。(初代Su-35に相当する)“性能向上型のSu-27”を基準1としており、数値が高い方が性能が高い。但し、此れは2014年現在からは20年も前のデータであり、現在の電子機器類の著しい発展等は含まれていない点は留意していただきたい。またF-15Eは戦闘爆撃機としての性能を追求した結果、空戦能力ではF-15Cよりも妥協しているはずだが、この性能評価ではそれが逆転している。

脚注[編集]

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  1. ^ 「BVR」とは Beyond Visual Range の略
  2. ^ 石川潤一著 『ユーロファーター・タイフーン』 軍事研究 2008/12号 59-71頁
  3. ^ http://typhoon.starstreak.net/Eurofighter/tech.php

関連項目[編集]