Su-27 (航空機)

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Flag of the Soviet Union.svg Su-27 / Су-27

Su-27SKM

Su-27SKM

Su-27(スホーイ27、スホイ27;ロシア語: Су-27 スー・ドヴァーッツァチ・スィェーミ)は、ソビエト連邦で設計・製造された戦闘機である。現在でもロシアを中心とする旧ソ連諸国や第三世界で使用されており、改良された本機はアメリカ合衆国F-15 イーグルにも匹敵する極めて高い格闘性能や長大な航続距離を誇る。

ロシアでは、非公式な愛称として「」の指小形である「ジュラーヴリク」(Журавлик) を用いている[1]

Su-27は「フランカー」(英語: Flankerラグビーアメリカンフットボールのポジションの一つ)という名称でも呼ばれるが、これは北大西洋条約機構 (NATO) がつけたNATOコードネームである。

開発までの経緯[編集]

1960年代の終わり、ソ連防空軍は新たなる防空戦闘機の開発を計画した。想定敵である西側諸国、特にアメリカ合衆国イギリスの保有する超音速/遷音速長距離爆撃機、及び開発中と見られるXB-70新型超音速爆撃機に対しては既にMiG-25の配備とその後継機MiG-31の開発が進められていた。しかし、アメリカがMiG-25に対抗するために新型戦闘機の開発を進めていたことから、ソ連空軍/防空軍としてもそれらに対抗しうる新型防空戦闘機の開発が急務とされていた。

従来、防空軍にとっての「迎撃戦闘機」として求められる要件は以下のようなものであった。

  • 敵機の侵入空域にいち早く急行すること
  • 大出力エンジンによる高速性能の発揮・航続能力を両立させるための大きな燃料搭載量(さらに広大な国土を持ち長大な航続距離を要するため)
  • 長距離空対空ミサイルとその火器管制装置の搭載能力(大型の戦略爆撃機を極力遠距離で撃墜するため)
  • 空力抵抗や兵装の減少を招く増槽を搭載しないこと(能力を阻害しないため)
  • 可能な限り全てを機内搭載すること

これらの要求は必然的に機体の大型化を招いた。 なお、それまでに完成した迎撃戦闘機は、いずれも、長射程の空対空ミサイルを装備して超音速で飛行すること以外の能力を殆ど持たない「対爆撃機迎撃専用機」として開発・配備されることになった。

しかし、アメリカ空軍空中給油の技術を完成させて小型の戦闘機に対する空中給油を可能にしたことにより、長距離戦略爆撃機にも戦闘機の護衛が付くこととなった。さらにベトナム戦争の戦訓から、領海に接近した空母機動部隊(現 空母打撃群)の搭載機による対地攻撃が大きな脅威となることも認識されるようになった。これらのために、防空戦闘機であっても爆撃機以外との空中戦が発生することが想定されるようになった。そのため、爆撃機のみを対象とした機動性能の低い「対爆撃機迎撃機」では機動性能で勝る戦闘機に対して大きく劣ることになる、と判断された。新型防空戦闘機の開発に当たっては、従来の「高速性能」「航続能力」「長射程対空兵装の運用能力」「多弾数搭載能力」に加えて「敵戦闘機と充分な機動戦闘が行える空中機動性能」が求められることとなった。この要求に基づいて、スホーイ設計局に設計開発が命じられた。

開発[編集]

試作機型 T-10

当局の命令に応じ、スホーイ設計局ではTsAGI(中央流体力学研究所)の研究結果を基に、流体工学的に優れているとされる機体形状を追求した機体の設計を進めた。提出された案は当局の認可を得て正式に「T-10」の設計局内名称が与えられ、試作機の製作が行われた。

T-10は“オージー翼”と呼ばれる緩やかな曲線を描いた後退翼の主翼を持つ機体であった。この機体は、ソビエトの実用戦闘機としては初のフライ・バイ・ワイヤによる機体制御を実装して完成され、1977年5月20日にはウラジミール・イリューシンの操縦により初飛行し[2]、各種の飛行テストが進められた。しかし、飛行の結果は好ましいとはいえなかった。迎え角が8度を超えるとLERXと主翼前縁から発生した渦が大きくなって交わり、気流が翼面から剥離することで激しい振動が発生するなど空中安定性が激しく不安定で、機体制御を司る電子機器の信頼性が低く、操縦安定性が極めて低く危険なものであった。1978年には試作2号機であるT-10-2が完成しさらなる飛行試験が続けられた。しかし、T-10-2は超音速飛行試験中に主翼が空中分解を起こして墜落、パイロットのイブゲニー・ソロビヨフが死亡するという事故を起こした。

この事故もあり、前任者のナウム・チェルニャコフが病気になったため計画担当になっていたミハイル・シモノフは、T-10設計の根本からの見直しを徹底的に討議・検討し実行した。それにより特徴であったオージー翼を直線形状の後退翼に変更したのを手始めに、ランディング・ギヤ(降着装置)の前脚の収納方式の変更[3]、主翼前縁には、前縁フラップを取付け、主翼後縁には、内側にフラップと外側にエルロンの2つの操縦翼面が取付けられていたのを、1つの操縦翼面とし、フラップとエルロンの両方の役目を持たせたフラッペロンに変更[4]、エアー・ブレーキは、左右の主翼前部の付け根付近で各1枚が下に可動する方式からF-15と同じ胴体上部の1枚が上に可動する方式に変更、2つの垂直尾翼の取付け間隔を大きくするなどのほか、胴体後部のエンジンの間を、薄い平板状のビーバー・テイルから長いテールコーン状に変更して、空気抵抗を減らすとともにドラッグ・シュートとチャフ・フレア・ディスペンサーが装備可能となるなど、機体のほぼすべての箇所に設計の見直しが行われた。これらの設計改良が行われた試作7号機以降は、名称も「T-10S-1」と改称され、1981年4月20日にチーフテストパイロットであるウラジミール・イリューシンの操縦により初飛行した。

ちなみにシモノフはこの時に生じた設計局内の軋轢により、設計が一段落した1979年に航空工業省の科学・新技術担当次官として引き取られたが、1983年1月に設計局長としてスホーイに復帰している。

T-10S-1の完成により、飛行性能は大幅に改善された。満足する性能を実現したとしてソビエト防空軍及び空軍への導入も決定した。その後、主翼端を曲線形状から直線形状に変更して、そこに地対空ミサイルのランチャーを取付け、垂直尾翼の上端の形状を水平にカットした形状から、前方から後方にかけて斜めにカットした形状に変更する改良が行われた。その後、「Су-27」の制式名称が与えられて量産が開始され、1982年11月には初期量産型の初号機がロールアウトしたが、開発段階からアビオニクス(電子機器)において、多くのトラブルが発生していた影響により、試験と評価のための引渡しが開始されたのは1985年までずれ込こんだ[5]、配備は1986年から開始されている。

翌年にはコラ半島の沖合を飛行中にノルウェー空軍P-3B対潜哨戒機から写真撮影され、初めてその姿を西側に曝した。その際にP-3は従来のジェット戦闘機では追随できないほどの低速でSu-27をやり過ごそうとしたがSu-27は同じ速度で追随し、P-3と接触事故を起こし国際問題となった。

性能と特徴[編集]

R-27RとR-27Tを搭載したSu-27

機体は、胴体から主翼へなめらかなに変化させたリフティングボディを採用し、主翼は、前縁に前縁フラップと後縁に翼幅の2/3程度のフラッペロンを装備しており、主翼前縁の付け根からコックピットの下部まで長く伸びたLERX(前縁付け根延長)が形成されている、これは、機体の重心位置の前方において揚力を発生させて、機首上げのモーメントを大きくすることにより、大きな迎角での飛行を可能としている。尾翼の垂直尾翼は垂直に取付けられており、水平尾翼は全遊動式で、ピボット(旋回軸)の位置を胴体尾端に置いており、水平尾翼が下げ位置になっても空気抵抗が発生しないように、引き込み式の流線型のフェアリングが装備されている。また、水平尾翼は左右の水平尾翼を差動させることが可能で、ピッチ軸(ピッチング)の操縦だけでなく、ロー軸(ローリング)の操縦にも使用される。

エンジンのエアーインテークには、コンピュータ制御の可変式の取入れ口ガイドベーンが装備されており、飛行中での高機動時において発生するエンジンのコンプレッサー・ストール[6]を防いでいる、また、荒れた飛行場に離着陸の際、異物がエンジンに入るのを防ぐ為、グリット式の異物進入防止柵を装備しているほか、エアーインテークの側面にはルーバー型の補助空気取入れ口が装備されている。

操縦装置は4重のアナログ式フライ・バイ・ワイヤ方式を装備しており、それにより機体を制御できるのはピッチ軸(ピッチング)だけで、ヨー軸(ヨーイング)は安定増強を行うだけとなっており、4基の飛行操縦コンピュータには、エアー・データ・ソースが別々の所から送られており[7]、機体に掛かる最大過重では+8.5Gから-2.5Gまでの間、迎角では30度から35度までの間で制限しているが、パイロットが飛行中に操縦桿を15kgの力で一杯に引くことによりリミッター解除スイッチが作動して、その制限を解除することができる。また、あらゆる高度においても、操縦席にあるボタンを押すだけで機体を自動的に水平直線飛行に戻すSAU-27自動飛行操縦装置[8]も装備されており、地上の管制ステーションやAWACS(早期空中警戒機)から機体を直接制御することが可能である。

プガチョフ・コブラ

Su-27の最大の特徴は高い機動性であり、機動性の高さを示す例としてはコブラがよく話題にあがる。コブラは水平飛行しているところからさほど高度を変えることなく急激に機首を上げ失速寸前まで速度を落とす機動であり、1989年パリ航空ショーテストパイロットヴィークトル・プガチョーフロシア語版の手によって初めて西側諸国の前で披露し注目を浴びた。[9]

発展型であるSu-35では旋回中にコブラを行うフックを行うことが可能であった。さらにその発展型であるSu-37では、高度を変えることなく1回転するクルビットを行うことが可能である。回転半径こそ大きくなってしまうもののSu-30MKI英語版/MKM英語版でも可能である。

また、Su-27は長大な航続距離とミサイル搭載能力も持ち合わせている。機内燃料のみでミサイルを10t近く搭載し、4,000km近く飛行を行うことが可能である。ミサイル搭載能力については、最大で10発が搭載可能であり、10発の場合は、中距離空対空ミサイルであるR-27を6発、赤外線誘導に中間指令誘導を組み合わせ、発射後に目標をロックして追尾するLOALの捕捉方式を備えた、オフボアサイト射撃能力を持つ短距離空対空ミサイルのR-73を4発搭載するのが標準となっている。なお、Su-27の発展型の機体が搭載する射程延長型のR-27EMは約110 kmの射程を持つとされる。また、最新型のR-77は約90kmの射程とされている。

Su-27の他の特徴として、IRSTレーザー測距装置やNSTs-27(ほかにもShchel-3UM-1やShchel-4UMなどといったHMDが使用可能)ヘルメット装着目標指示装置(HMD)やTKS-2と呼ばれるデータリンク・システムがあげられる。

  • IRSTは、UOMS製のOPES-27と呼ばれる赤外線を探知する装置で、コックピットの風防前にその収容部があり、最大で約50km先の目標まで探知することができる。レーダーは電波を探知されるのを防ぐため運用にある程度の制約がつくが、電波などの放出がないIRSTは、探知される危険性がないため運用の制限はない。一部ではこの機能によって「F-22が撃墜できるのではないか?」という推論もあるが、F-22は赤外線放出の減少も図られているため探知は困難とも考えられている。
  • レーザー測距装置は、IRSTと同じく収容部に収められており、敵機との距離を測定する(IRSTでわかるのは敵機の方向のみで距離がわからない)。レーザー測距装置は約18km程度までしか使用できないが、編隊内の戦闘機間でのデータリンクにより、他の機体で測定した距離と自機で測定した距離、自機と他の機体との位置関係を利用した三角測量で目標との距離を算出でき、その目標データを編隊内の戦闘機間で共有できる。また、データリンクはIRST、レーザー測距装置、レーダーで探知した目標データを、戦闘機間だけでなく、AWACS(早期空中警戒機)や地上の管制施設とも共有できる。
  • HMDは、従来のヘッドアップディスプレイ(HUD)とは違い、ヘルメットに照準用の画面を映し出すシステムで、Su-27ではヘルメットが動くとコックピットの風防前の収容部に装備されているIRSTのセンサーがリンクして動くようになっており、照準用の画面と共にIRSTにより、敵機のエンジン排気から放出する赤外線を探知する。それが自機に搭載されたオフボアサイト能力を持つ、R-73ミサイルの間でリンクすることで、機軸から左右60度の角度までの範囲にある目標に対してミサイルをロックオンせず発射して、その後のIRSTの追尾により、敵機の座標を中間指令誘導で、ミサイルに送ることにより、発射後に目標をロックオンして目標を追尾することができる。
Su-27UBのコクピット周り。コクピット前方に設置されているのは、IRST(赤外線捜索追跡システム)とレーザー測距装置の入ったセンサー収容部

高い機体性能をもつSu-27だが、アビオニクスは西側と比べ総合的には劣っている。Su-27に搭載されているレーダーは、N001メーチ(NATOコードネーム スロット・バック)パルス・ドップラー・レーダーで、基本的にはMiG-29の装備しているN019ルービン英語版レーダーと同じだが、機体がより大きいため、レーダーのアンテナ直径は大きくなっており、ルックダウン・シュートダウン能力を持ち、最大10目標の探知が可能であり、戦闘機クラス(レーダー反射断面積が3m2程度)の目標に対する最大探知距離100km、目標の最大追跡距離75kmの性能を持っている。レーダー画像の表示は、コックピット前方計器盤右上部にある小型のスクリーンに表示されるが、合成開口レーダーの画像はヘッドアップディスプレイ(HUD)にも表示が可能である。しかし、NATOのものと比べると、探知距離・探知数ではそれほど劣らないものの、複数の目標に対する同時攻撃能力が無く、ある目標をロックオンすると、他の目標の捜索や追跡が不可能となり、複数目標の同時ロックオンが出来ないなど他の面でかなり劣る部分があった。そのため、第1目標ロックオン後の第2・3の目標については、地上の警戒レーダーやAWACS(早期空中警戒機)などで目標を捕捉してもらい、その中から優先する攻撃目標の指示をそれらから受けることによりその問題をカバーしていた。発展型ではレーダーの換装が行われており、輸出型のSu-27SKでは、同時攻撃能力が付加され2目標のロックオンが可能なN001VEとなり幾つかのレーダーモードが追加された。また、既存のメーチについても後に改修が行われ、最終的に2目標との同時交戦が可能となった。

その他に自己防御装置としてSPO-15"ベリューザ"レーダー警報システムを搭載しており、その受信部を垂直尾翼後縁に取付けている、これは、相手の航空機から発信されるレーダーなどの電波を受信して、システムに内蔵された情報ライブラリーと照合することにより、脅威電波の識別と度合いのほか、その方向、距離、システムの型式を表示できるようになっている。また、相手のレーダーを妨害するアクティブ方式の妨害装置も搭載しているがその詳細は不明である。後部胴体中央のテールコーンの上にAPP-50チャフフレア・ディスペンサーが装備されており、96発のチャフまたはフレアカートリッジを搭載できるようになっている。

発展型の開発[編集]

Su-27は多くの発展型が開発・配備されてきた。冷戦後の軍縮とロシアの財政逼迫により、本来は輸出されなかったであろう国内向けの機体や新型機がソ連諸国から海外に売却された。Su-27も各国に輸出されている。そのため、国内向けの機体よりも輸出向けの機体の開発が先行するというソ連時代では考えられなかった状態が続いた。実際、Su-30Su-33等一部の新型機が国内向けに配備されているものの、生産された新型機の多くは海外へ輸出されており、国内配備数は2000年代まではごく少数に留まった。

しかし、経済の好転したことにより、ようやく国内向け主力機となるSu-27の発展型、Su-27SMが配備され始めた。Su-27SMは、これまで運用してきたロシア空軍のSu-27に寿命中近代化 (MLU) 改修を施した機体で、輸出型として開発が始まったSu-35や、やはり海外向けに公開されていた試験機のSu-37をもとに開発されたものである。単座の戦闘機型であるSu-27SMは、複座の戦闘爆撃機型であるSu-30MKよりも空中戦能力に優れる。レーダーも、より新しく探知距離の長い大型のものが装備されている。また、Su-30MKIなどと同様、推力偏向システムも装備するとされる。ロシア空軍の展示飛行チームのひとつである、「ルースキエ・ヴィーチャズィ」に配備された機体が、2005年に初めて公開された。発展型の国内向け新造機も、Su-35S、Su-30SM、Su-34などが2010年頃から予算化され、納入され始めた。

複座の練習戦闘機型であるSu-27UBMは、空中給油プローブのないSu-30KNに基づいて開発されたSu-27UBのマルチロール改修型である。また、ベラルーシで先行配備されていた同種のSu-27UBM1は、イルクーツク航空製造連合の開発したロシア空軍向けのSu-27UBMの派生型となる機体である。今後はロシア空軍に配備されるのもベラルーシのSu-27UBM1に準じた機体となるようである。

ベラルーシ空軍及び防空軍は、数機のSu-27UBをSu-27UBM1にアップグレードするなど、保有するSu-27の近代化改修に熱心であった。が、既に同国のSu-27は飛行しておらず、2013年2月にはベラルーシ国防相が同機は速やかに退役するであろうと述べていたが[10]2014年にベラルーシの国家安全保障委員会のセルゲイ・ゴロロフ氏は、ベラルーシ空軍のSu-27を近代化する方針である事を明らかとした[11][12]。なお、インド空軍で使用されていたSu-30KとMKがSu-30KN仕様に改修され、ベラルーシが取得を検討していたが最終的にはアンゴラが取得した[13]

インド空軍のSu-30MKI

最も注目を集めているSu-27の発展型のひとつが、インド空軍に配備されているSu-30MKI英語版である。同型は推力偏向システムを備えた初めての実用機として知られている。初期の機体はロシア製のものだが、以降はインド国内で多数のライセンス生産が行われており、インドの航空産業の発展にも大きく寄与している。Su-30MKIの開発が遅れたため、インドにはつなぎとしてSu-30K/MKが配備されていたが、Su-30MKIの配備後には返却されている。

中華人民共和国には、輸出を睨んで開発されたSu-27Sのダウングレード型(いわゆるモンキーモデル、ただしレーダーは、10目標の同時追跡、2目標の同時攻撃が可能なN001VEに強化されている)である、Su-27SK/UBKが配備されており、また国内で百機弱程がライセンス生産殲撃11型英語版 (J-11) として配備されている。この型は対地攻撃能力が追加されたが、非誘導兵器のみの搭載が可能となっている、アビオニクスに関してはガルデーニヤECCMElectric Counter Counter Measure:対電子妨害対抗手段)を中核とするLTTS統合防御システムが追加装備されている。これはF-15EのTEWS(内蔵型戦術電子戦システム)であるAN/ALQ-135英語版と同等の能力を発揮するとも言われている。また、Su-30MKK英語版が76機空軍に、MK2が24機海軍に輸入され配備された。これはSu-35の垂直尾翼を装備しているが、Su-30MKIとは違い推力偏向システムは装備していない。同機の実戦配備により、中華人民共和国は初めて台湾中華民国)全土への有効な航空攻撃手段を手に入れたことになった。また、遼寧の艦載機にはSu-33をもとにしたJ-15が選定された。

インドネシアには、以前よりSu-27やSu-30の輸出契約が結ばれては、経済危機や同国の政権交代のたびにキャンセルされるという状態が続いていた。しかし、2005年現在Su-27SとSu-30MKと同様の規格と思われる機体がそれぞれ2機ずつ納入されている。同国では旧式化したF-16Aなどを代替する機体を必要としており、また国内ゲリラ組織への対地攻撃機の需要もあることから、またもや別の理由でキャンセルが発生しない限りは、今後Su-30等が増備されていくと思われる。

メキシコでは、同国の沿岸権益を守るためとして海軍にSu-27とSu-27UBを配備することを決定した。しかし、後にアメリカの圧力を受けて撤回された。

ベネズエラでは、F-16A/Bに代わりSu-30MK2を配備している。

アメリカでは、1990年代に評価試験用に中古の2機をアメリカ空軍が購入したというが詳細は不明である。これとは別に、2009年、イリノイ州ロックフォードのPride Aircraftがウクライナ空軍の中古のSu-27UBを2機購入している。同社のSu-27UBは民間機である事から固定武装及び兵装システムは撤去されており、各種通信・電子機器も旧西側製の物に換装する改造が施されている。主として曲技飛行展示飛行に用いられていたが、現在(2012年)はコレクターに全機売却されたとみられる。

なお、Su-30MKの派生型はマレーシアアルジェリアなどにも配備が進んでおり、同シリーズは現在最も販売が順調なロシア製戦闘機となっている。また、Su-27シリーズに対するメンテナンスや小規模な近代改修は、ロシアのほかウクライナやベラルーシでも行われている。

ライバルとの比較[編集]

Su-27を相手にした空中格闘戦での想定勝率グラフ[14]
性能向上型のSu-27と空戦時の勝利確率をそれぞれの機体の能力から求めた。ユーロファイター タイフーンの開発主体であるBAEシステムズ社のデータである。[15][16]

Su-27は、F-15F-14などの当時の新鋭戦闘機に対抗して作られた戦闘機であるため、それらと比べられることが多い。

初期型のSu-27は、現在の空中戦の勝敗を決定する上で最も重要なレーダーなど電子機器全般の性能や信頼性が、アクティブ式フェーズドアレイレーダー(AESAレーダー)であるAN/APG-63(V)2以降を搭載しているF-15に比べて圧倒的に低い。さらに早期警戒管制機 (AWACS) など後方支援を担当するシステムとの連携もF-15に比べて劣っている。ただし、広大なロシアの国土を効率的に防衛するため、Su-27各型はF-15などアメリカ製の戦闘機が搭載するAIM-120空対空ミサイルなどよりも射程が長いR-27空対空ミサイルを装備している。このため、もし単機同士が向かい合って、電子的な妨害が無い状態で戦闘を行う場合を想定すると(そのような戦闘は現代ではまずありえないが)、ロシア製戦闘機の方が有利であるとアメリカ軍の当局者も認めている。

なお、アメリカがシミュレーションでSu-30(Su-27の発展型で、複座の戦闘爆撃機型)とF-15Cの1対1での空戦を行ったところ、ある一定の状況に追い込んだ場合確実にSu-30が勝利するという結果が出た。ただし、「一定の状況」とは「お互いに僚機を伴わず、レーダーサイトやAWACSの管制もなく、その他の電子的支援もないという環境で、特定の戦術飛行をした場合に限る」という状況であり、現実にはこの様な状況はあり得ないことに留意する必要がある。これはF-22の予算を獲得するためSu-30をわざと勝たせたとの説もある。

1992年にロシアのSu-27部隊がラングレー空軍基地を親善訪問した際、模擬空戦でSu-27がF-15Cに勝利したという情報もあったが、それは虚偽であるとの情報[17]もあり確かではない。

また、Su-27は同時期に開発されたMiG-29と比較されることも多い。しかし、スホーイ設計局では広大な国土を防空する用途として長い航続距離と高い積載能力をコンセプトにして開発されたのに対し、ミコヤン設計局では局地における格闘戦用途の戦闘機という方針で開発された。両設計局とも中央流体力学研究所の研究結果を基にしたため基本形状が似ているが、その点に関してはMiG-29の項目を参照されたい。なお、1999年2月25日にエリトリアが使用しているMiG-29とエチオピアが使用しているSu-27が交戦した。Su-27がMiG-29を撃墜し勝利に終わっているが、その詳細についてもMiG-29の項を参照のこと。

主な派生型[編集]

Su-27は艦上機型であるSu-33や戦闘爆撃機型であるSu-34など多数の発展型が開発されている。 F-15イーグルの戦闘爆撃機型であるF-15EがストライクイーグルとよばれることからSu-32/34はストライクフランカーと呼ばれることもある。

T-10
原型機。全面改良型である7号機 (T-10-7) 以降はT-10Sと呼ばれ、それ以前の製作機体は便宜的にT-10-1と呼ばれて区別される。偵察衛星で存在を確認したアメリカは当機をラムK (Ram-K) と呼んで識別し、NATOではフランカーA (Flanker-A) と呼んで識別した。
T-10S
T-10試作7号機以降の名称。T-10の設計を全面的に見直した改良型。飛行性能が改善され当機が生産型の基本型となった。量産型Su-27とはキャノピーの形状が異なっていることと、垂直尾翼の翼端が傾斜していないことで区別出来る。
T-10-20R
T-10Sのうちの1機(試作20号機)を周回速度記録用に改造した機体。テイルコーンが延長されているほか、レドームがより空気抵抗の少ない形状のものに換装され、ハードポイントなどの武装關係は撤去されている。
T-10-24
T-10Sのうちの1機(試作24号機)に左右差動式(左右の翼が独立して動く方式)のカナード翼を装備した機体。カナード翼装備型の試験に用いられ、Su-33等の開発に貢献した。別名T-10S-24。
T-10M
Su-27にSu-27K (Su-33) の設計を取り入れて開発されたマルチロール型試作機。
T-10-701
数機制作されたT-10MのうちT-10Sから改造された機体(T-10 701号機)。他の機体(T-10-702、-706、-707)と異なりベースが試作型Su-27のため機体形状が一部異なっている。
T-10V
ロシア語表記ではT-10Β。Su-27IB (Su-34) の試作型。
P-42ロシア語版
エンジンを推力1000kg増しの特別型であるR-32に換装し、必要最低限の電子機器だけを搭載した記録挑戦型。1988年から各種の速度・高度記録に挑戦し27の世界記録を樹立した。
Su-27
T-10Sを基に量産された初期量産型。現在も大多数の実戦配備機はこの型である。
Su-27S
Su-27の改修型。Su-27とはテイルコーン側面のアンテナの有無及びチャフ/フレアディスペンサーの装備数が異なる。ソビエト時代にはソビエト連邦諸国にのみ配備されていたが、ソビエト崩壊後は構成諸国であったウクライナベラルーシなどから中古機としてエチオピアなどに転売されている。NATOではフランカーB (Flanker-B) と呼んで識別した。
Su-27S1M
ウクライナにおける近代化改修型。
Su-27SK
Su-27Sの輸出向けの機体として開発されたダウングレード型。2文字目の「K」はКоммерческий(カメルチスキー)の略号で、“輸出型”を意味する。
殲撃11型英語版(殲-11、J-11)
Su-27SKの中華人民共和国ライセンス生産型。生産は1995年から行われた。
殲撃11型B(殲-11B、J-11B)
中国が独自に開発した改良型。機体設計の変更とレーダー波吸収塗料の使用により、レーダー反射断面をJ-11の15m²から5~3m²に抑制し、マルチロール化した近代化改修機。中国製の最新機材が搭載されてアビオニクスが大幅に強化されており、中国国産の武装も搭載し運用できる。非ライセンスのため、ロシアとの間で問題となっている。
Su-27SKM
Su-27SKの発展型。SMKをベースに、機内燃料の増加、翼端への「ソルブツヤ」ジャミングポッドの搭載、外部増槽への対応、ハードポイントの12箇所への増加、空対地ミサイル運用能力の付加などの改良が行われている。デモ機はSu-30KIから改造されたもので、塗装が同一である。
Su-27P
防空軍仕様。Pとは防空軍(PVO;ロシア語: ПВО)仕様の意味。非常に細かな差異[18]はあるが基本的に空軍型Su-27Sと同一の機体である。ソ連崩壊に伴い、現役機のほぼ全ては改修されてSu-27S仕様に統一されている。
Su-27P1M
ウクライナにおける近代化改修型。
近代化以前のコックピット (Su-27S)
近代化後のコックピット (Su-27SKM)
Su-27SM
ロシア空軍で既存のSu-27に対し近代化改修がされた型。外見は殆ど変わらないが、90年代に開発されたSu-35/37などのデモンストレーション機で蓄積された技術が投入されており、アビオニクス面で大幅に強化されている。レーダーはN001VEPに換装されR-77、Kh-29L/T、Kh-31A/P、Kh-35、KAB-250Kr、KAB-500Kr、KAB-1500Krの運用能力が付加されたほか、探知距離が延伸され10目標探知2目標追尾の同時交戦能力を獲得した。計器板はMFDであるMFI-10-6M 2基とMFIP-6 1基となりグラスコックピット化、ヘッドアップディスプレイもSILS-27Mに変更された。IRSTは改良が施されたOEPS-27Mとなり視界確保のため右側にオフセット搭載された。航法装置はGPS/GLONASS統合型の737-010に換装、エンジンは信頼性が向上したAL-31FM1に換装、レーダー警報受信機はSPO-32に換装された。そのほかHOTAS概念の導入が行われ電子戦装置などにも改良が行われた。2002年12月27日に初飛行。SMはSereeynyy Modernizeerovannyi(量産・近代化)の略。
Su-27SMK
輸出用のSK型をSM型に準じた仕様に改良したもの。空中給油装置を備えている。輸出を意識した機体だが、デモ機のみで量産はされていない。
Su-27SM2
Su-27SMを更に発展させた機体。当機はSu-27を元に改造された機体で、Su-35等より一時期Su-35を名乗っていたが、完全新造機であるSu-35BMの名称を譲っている。
Su-35
Su-27SM2に準じた発展型。ロシア空軍がSu-35Sの名称で160機を調達予定とされ、Su-35の最初の量産型となると見られる。カナード翼を廃した。Su-27M系列の初代Su-35との混同を避けるために試作機名称T-10BMに基づいてSu-35BMとも呼ばれている。
Su-27SM3
中国向けのSu-27SKのうち、キャンセルされて不要となった機体のエアフレームを流用し、Su-27SMと同等のアビオニクスを搭載したもの[19]
Su-27LL
ロシアのグロモフ研究所で使用されている各種試験用機。試験用装備以外の通常型との一番の差異はIRSTが装備されていないこと。サイドスティック式操縦装置(普通の操縦桿も残してある)、レーザー索敵装置欺瞞装置、3次元ノズルなどの運用試験に用いられている。
Su-27LMK
運動能力向上機 (CCV) 試験機。操縦装置はサイドスティック式(普通の操縦桿も残してある)でFADEC(フルデジタルエンジン制御装置)やスピン回復用のドラッグシュートなどを装備している。1990年より試験に用いられている。
Su-27RV
ロシア空軍のアクロバットチーム、ルースキエ・ヴィーチャズィ用の改修機。GPS航法装置を装備し、西側の周波数に対応した航空無線機を特別に搭載している。また、演技用のスモーク発生装置を翼端に搭載する。
Su-27UB
Su-27の複座練習機型。NATOではフランカーC (Flanker-C) と呼んで識別した。
Su-27UB-PS
2次元ノズル試験機。箱型の2次元ノズルを装備している。ただし、左側しか改造されていない。
Su-27UBK
Su-27UBの輸出型。
殲撃11型BS(殲-11BS、J-11BS)
複座練習機型。Su-27UBKをもとにJ-11Bと同様なアプローチで中国が独自に設計変更を行い開発した機体。
Su-27UB1M
ウクライナにおける近代化改修型。
Su-27UBM
Su-27UBの対地攻撃能力を強化したマルチロール改修型。新型ミッションコンピュータやGPS航行装置を装備し、Su-27PUのベースとなった。現在ではSu-27SMの複座型として改修が行われている。ロシア空軍が現在保有するSu-27UBもこのタイプに改修させる予定である。
Su-27UBM1
Su-27UBをベラルーシが改修したマルチロール型。既存のSu-27UBから改修され、ベラルーシ空軍及び防空軍に配備されている。
Su-27UBM2
カザフスタンのSu-27UBKをUBM1と同仕様に改修した機体。一部機材がUBM1と異なる。
Su-27UP
Su-27Pの複座型。
Su-27UP1M
ウクライナにおける近代化改修型。
Su-27PD
長距離飛行を目的とした長航続時間試験機。空中給油装置の装備、IRSTの移動、尾部の改修がなされている。民間アクロチームのテストパイロッツ用に改修した機体は武装関係は撤去されている。
Su-27PU
長距離迎撃戦闘機として開発された複座戦闘機。
Su-30
Su-27PUを改称。複座の長距離迎撃機型。ロシア空軍自体には少数が配備されたに留まった。NATOではフランカーF1 (Flanker-F1) と呼んで識別した。
Su-30K
対地攻撃能力を付与した輸出型。生産の遅れていたSu-30MKIの代替としてインド空軍に少数が配備され、のちに返却された。
Su-30KI
Su-30Kの単座型。インドネシア向けに開発されたが、同国の国内事情により何度か契約締結・契約破棄を繰り返した。また、同機に関連してメガワティ大統領の贈収賄疑惑も生じたことがあった。2005年現在、数機が同国空軍に配備されている。
Su-30KN
Su-30Kのアップグレード型。対艦インド空軍へ配備されていたSu-30MK及びKが同仕様に改修されベラルーシが取得を検討していた。
Su-30M
Su-30を多用途任務化したもので、対地攻撃用兵装システムを装備したもの。NATOではフランカーF2 (Flanker-F2) と呼んで識別した。
Su-30M2
Su-30の2番目の改良型を示す名称で、カナード翼とTVCを搭載。1997年に初飛行している。
Su-30MK
Su-30の設計を発展させた複座のマルチロール輸出型。数種類の発展型が開発されている。
Su-30SM
ロシア空軍向けでSu-30MKIをベースとしており、カナード翼と推力偏向装置を備える[20]
Su-30MKA
アルジェリア向けマルチロール型。
Su-30MKI英語版
インドに配備中の複座のマルチロール型で、カナード翼と推力偏向装置を備える。同国でのライセンス生産も契約されている。NATOではフランカーH (Flanker-H) と呼んで識別した。
Su-30MKK英語版
中華人民共和国に配備中の複座マルチロール型。推力偏向装置は装備されず、MKKでは対艦攻撃能力もオミットされているが、レーダーと電子装置は新型に換装されている。NATOではフランカーG (Flanker-G) と呼んで識別した。
Su-30MKM英語版
マレーシアに輸出された複座のマルチロール型で、Su-30MKIに準ずる機体。
Su-30MKT
タイ向けの輸出型。性能はSU-30MKMに順ずる。2005年12月19日の報道によれば、5億ドルで12機のSu-30MKTの購入を契約したがクーデターにより実現しなかった[21]
Su-30MKL
リビア向けの輸出型。計画のみ。
Su-30MK2
Su-30MKの能力向上型でKh-59などの空対艦ミサイルを運用可能である[22]。中国海軍やウガンダなど数カ国で運用中。カナード翼とTVCは非搭載。
Su-30MKV
2006年にベネズエラに輸出された複座のマルチロール型。
Su-30MK2V
ベトナム向け生産型。
Su-30M2
ロシア仕様[23]。アビオニクスをSu-27SMと共通化している。前述のSu-30M2とは関係がない。
Su-30MK3
レーダーやエンジンが強化され、対艦攻撃能力が追加された機体で、中国海軍にSu-30MK2に続き導入予定であった。計画のみ。
殲撃16型
中国がJ-11Bの複座型であるJ-11BSをベースに中国海軍のSu-30MK2と同仕様に改修して開発した機体。空対艦ミサイルを運用可能。中国海軍で運用中。国産のWS-10A 太行エンジンを搭載。カナード翼とTVCは非搭載。
Su-27K
Su-27の艦上戦闘機型。K型とはКорабль(艦上型)の意味。NATOではフランカーD(Flanker-D) と呼んで識別した。
Su-33
Su-27Kを改称。ソビエト海軍時代に開発された艦上戦闘機型。ロシア海軍に採用された。尚、中華人民共和国は本機の原型機であるT-10Kをウクライナから1機購入しJ-15を開発した。
Su-27KUB (Su-33UB)
Su-27K (Su-33) の並列複座型。
Su-33UBを発展させた複座迎撃型。
殲撃15型
中国がSu-33の試作機であるT-10K-7を参考にJ-11Bをベースに開発した艦上戦闘機。
Su-27KI モルニヤ
原子力空母での蒸気カタパルト運用を前提としたSu-27の艦上戦闘機型。カナードがなく、垂直尾翼の形状が異なるほか、ベントラルフィンを備えている。ソビエト海軍が航空母艦の整備に消極的だった為計画中止となった[24]
Su-27KSh グローザ
原子力空母での蒸気カタパルト運用を前提としたSu-27の艦上攻撃機型。主翼形状はT-10と同じオージー翼で、カナードは備えていない。ソビエト海軍が航空母艦の整備に消極的だったため計画中止となった[25]
Su-27KM
1980年代の初めに、建造計画が進められた「重航空機搭載巡洋艦(後のアドミラル・クズネツォフ級)」に搭載するために開発された大型艦上戦闘機。続いて建造されるソビエト海軍初の正規航空母艦(プロィェクト11437型、ウリヤノフスク級)の搭載機としても内定していた。
「Su-27KM」の制式番号だが、Su-27シリーズとの共通性はほぼ無く、Su-27の基礎設計を発展させた新規設計の機体である。前進翼を採用した革命的な新型戦闘機として期待されたが、財政難によりソビエト海軍が航空母艦の整備に消極的になった為に計画は中止され、Su-27の艦上機改修型であるSu-27K (Su-33) の開発計画に一本化された。
後にスホーイ設計局はSu-27KMの設計を陸上戦闘機に発展させてS-32を計画し、S-37 (Su-47) を製造するに至る。[26]
Su-27IB
Su-30をベースとした戦闘爆撃機。飛行中における乗員間の意思疎通を考慮しコックピットは並列複座方式に変更されており、機首はSu-27に比べて大型化されている。コックピットは通常巡航時には与圧され、生存性向上のためにチタン合金によって装甲されている。与圧構造のためもありキャノピーは開閉せず、搭乗員は前脚収容庫内の扉から乗降する。操縦席後方には長時間飛行に備えて簡易トイレと簡易ギャレーも設置されている。
低空侵入能力向上のための航法・攻撃・地形追随・回避レーダー、レーニネツB004フェーズド・アレイ・レーダー、大型化されたテイルコーンに後方警戒レーダー、深部侵攻作戦時の低空飛行安定性向上のため飛行安定制御システムを装備した。重量増加に対応するため主脚はタンデム配置のダブルタイヤになっている。1990年4月初飛行。
Su-34
Su-27IBを改修し名称を変更したもの。2006年にロシア空軍が制式採用した。NATOでは「Fullbackフルバック:「フランカー」と同じくラグビーアメリカンフットボールのポジションの一つ)」と呼んで識別した。
前述のように旧西側からは「ストライクフランカー」の俗称が付けられているが、同様に日本国外では「プラティパス」(platypus:「カモノハシ」の意)というニックネームも使われることがある
Su-34M
2010年より配備が開始された改良型[27]
Su-32FN
沿岸哨戒任務用の機体。赤外線画像装置レーザー測距装置等に加えソノブイ磁気探知装置を装備している。また、対潜ミサイルの運用能力の付加やシー・スネーク・レーダーの装備により対潜哨戒機としての運用も可能である。
Su-27M / Su-27M2
主に輸出を目的として開発が開始されたSu-27の発展型。
Su-35
Su-27Mを改称。カナード翼を装備していた。NATOではフランカーE1 (Flanker-E1) と呼んで識別した。
Su-35UB
Su-35の複座型。Su-30MKIやSu-37の成果をフィードバックし、より高度なアビオニクスを搭載していた。
Su-37
Su-27M2を改称。Su-35の更なる発展型として開発が行われていたマルチロール型機。推力偏向装置をシリーズで初めて装備した。2機製作されたが1機は墜落、もう1機は推力偏向装置が撤去されている。NATOではフランカーE2 (Flanker-E2) と呼んで識別した。非公式愛称は「Терминатор(チルミナータル、英語のTerminator(ターミネーター)のロシア語表記/読み)」及び「スーパーフランカー (Super Flanker)。

運用国[編集]

Su-27と派生型を採用した国(青)
インド空軍のSu-30K
Flag of the Soviet Union.svg ソ連
空軍 - Su-27/S/UB
防空軍 - Su-27/P/UB
海軍航空隊 - Su-27/UB/K
Flag of Russia.svg ロシア連邦
空軍 - Su-27/S/SM/P/UB/UBM/30/30M/30MK/34
海軍航空隊 - Su-27/UB/33
Flag of Ukraine.svg ウクライナ
空軍 - Su-27/S/UB
防空軍 - Su-27/S/UB
海軍航空隊 - Su-27/UB
Flag of Belarus.svg ベラルーシ
空軍及び防空軍 - Su-27/S/UB/UBM1計25機
Flag of Kazakhstan.svg カザフスタン
防空軍 - Su-27/UB 計80機
Flag of Uzbekistan.svg ウズベキスタン
空軍 - Su-27/UB 計25機
Flag of the People's Republic of China.svg 中華人民共和国
空軍 - Su-27SK、Su-27UBK、J-11/B/BS、Su-30MKK
海軍 - Su-30MK2、J-15
Flag of India.svg インド
空軍 - Su-30MKI
Flag of Indonesia.svg インドネシア
空軍 - Su-27SK 2機、Su-27SKM 3機、Su-30MK 2機、Su-30MK2 3機
Flag of Malaysia.svg マレーシア
空軍 - Su-30MKM 18機
Flag of Mongolia.svg モンゴル国
空軍 - Su-27/S/UB 計10機
Flag of Vietnam.svg ベトナム
空軍 - 苏-27SK 6機、苏-27UBK 3機、苏-27K 2機、Su-30MK2V 12機
Flag of Angola.svg アンゴラ
空軍 - Su-27/S/UB 計8機
Flag of Ethiopia.svg エチオピア
空軍 - Su-27/S/UB 計15機
Flag of Eritrea.svg エリトリア
空軍 - Su-27/S/UB 計8機
Flag of Venezuela.svg ベネズエラ
空軍 - Su-30MK2 24機
Flag of the United States.svg アメリカ
空軍 - 機種不明 2機(1990年代に入手)
民間 - Su-27UB 2機(Pride Aircraftがウクライナ空軍より2009年に購入)

購入計画があった国[編集]

Flag of Japan.svg 日本
航空自衛隊 - Su-27
1990年代の末、防衛庁(当時)にロシア側から打診があり、航空自衛隊飛行教導隊アグレッサー機として配備する計画があり、ロシアは日本にSu-27の売り込みを続け、技術ライセンスを含む購入計画もあったものの、諸事情によりキャンセルとなった、とする内容を記載するウェブサイトもあるが、実際に予算に盛り込んだり日本での代理店やライセンス生産を請け負う企業が名乗りを上げるなど「購入計画」と言えるほどに具体化したことはない。
航空自衛隊にロシア製の航空機を導入する事は、各種規格が全く違う航空機を運用しなければならないために制約と困難が多く、実際にSu-27が導入されていたとしても、配備先が教導飛行隊のみでは費用対効果を始め、補給整備の煩雑化や稼働率の維持など、どれだけの意義があったのかの疑問も呈されている。
機体の購入こそ行わなかったものの、平成10年10月に航空自衛隊のパイロット2名をロシアに派遣し、実際にSu-27への体験搭乗を行わせている。
スホーイ設計局のミハイル・A・ボゴジアンは平成12年8月の日経産業新聞のインタビューで「もし希望があれば所定の手続きにのっとって交渉できる。フランカーの開発、実用化の過程で膨大な国家資金を投じた。購入機数が数機程度では、商談に発展しないだろう。交渉を前進させるには一定の機数(十二機)確保が前提条件となる」と答えた。このことから(このインタビューの数年前にあったであろう)交渉は「所定の手続き」に至るだけの進展はなかったこと、自衛隊側が購入を意図したとしても数機以下の、かつてのヴァンパイア練習機のようなサンプル購入であり、ロシア側の望むような飛行隊が編成できる数量ではなかったことが推察できる。実際、購入予定であったものは新造品ではなく中古機であったという。
Flag of Algeria.svg アルジェリア
空軍 - Su-30MKA(予定はあったが部品強度の不備を理由に導入キャンセル。アメリカの圧力、政権内部の権力闘争などの背景が噂されているが詳細は不明)
Flag of Brazil.svg ブラジル
空軍 - Su-35/UB
Flag of Mexico.svg メキシコ
海軍 - Su-27/UB

仕様[編集]

SUKHOI Su-27 FLANKER.svg
  • 乗員: パイロット1名
  • 全長: 21.94 m
  • 全幅: 14.70 m
  • 全高: 5.93 m
  • 翼面積: 62.0 m2
  • 翼面加重: 371 kg/m2; (76 lb/ft2)
  • 空虚重量: 17,700kg
  • 最大離陸重量: 33,000kg
  • 動力: リューリカ設計局製 AL-31F アフターバーナー付きターボファン×2
    • ドライ推力 122.58 kN ×2
    • アフターバーナー推力 12,500 kgf ×2
  • 最大速度: マッハ 2.3 アフターバーナー
  • 実用上昇限度: 19,000 m (62,523 ft)
  • 上昇率: 300 m/s (54,000 ft/min)
  • 航続距離: 約4,000km
  • 燃料容量[28]: 9.400 kg(20,724 lb)
  • 最大運用高度: 18,000m
  • 翼面荷重(最大離陸重量時): 532 kg/m2
  • 推力重量比: 1.07(56%の燃料を搭載しての値)
  • 運用寿命: 3,000時間[29][30]
  • アビオニクス
    • 火器管制レーダー
    • レーダー警報受信機
      • SPO-15
      • SPO-32(Su-27SM以降)
    • APP-50チャフ・フレア・ディスペンサー
  • 固定武装: GSh-30-1 30mm 機関砲×1(150発)
  • 搭載兵器: 10つのハードポイントに分割して空対空ミサイルや空対地ミサイル、ロケット弾、爆弾を選択できる。合計4,430 kg (9,770 lb)の兵装を搭載可能[28]
  • 空対空ミサイル
  • 空対地ミサイル
    • Kh-29(Su-27SM以降)
  • 対艦ミサイル
  • 対レーダーミサイル
    • Kh-31P(Su-27SM以降)


脚注[編集]

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  1. ^ これは「鶴」を意味する「ジュラーヴリ」(Журавль) の指小形で、「若い鶴」や「子鶴」あるいは愛称形として「お鶴ちゃん」といったニュアンスになる
  2. ^ 隔週刊ファイティング・エアクラフトDVDコレクション24号
  3. ^ 機首後方に収納する方式から、機首後方に前脚を3m移動させて、そこを支点に機首前方に収納する方式に変更。
  4. ^ この方式は、アメリカのF-16戦闘機にも採用されている。
  5. ^ 機首に搭載されるレーダーの実用化を待つために保管されていたとも伝えられている。
  6. ^ ジェット・エンジンの前方にあるコンプレッサー(圧縮機)の回転が止まりエンジンが停止する現象。
  7. ^ 4重の変換器および信号バスを介して送られており、冗長性が持たれている。
  8. ^ PNK-27飛行および航法装置、S-27火器管制装置、SDU-27飛行操縦装置とリンクしたシステムとなっている。
  9. ^ 当初はドッグファイトにおいてもコブラは有効であると考えられていたが、実際のところコブラは約250 kt(時速460km)程度の低速域でしか行うことが出来ず、コブラを行った後は急激に速度が落ちてしまうため、空戦には不向きであった。ドッグファイトでコブラを使用することはほぼ不可能であり、またそのメリットもない、というのが一般的な評価である。しかし、コブラのような高迎え角の状態で機体を制御できるほどのポスト・ストール性能を持つという事実は、高く評価されている。参考までに、ハリアーも類似の目的の機動が出来る。ドッグファイトで敵機に後尾を取られたとき、ジェット排気口を下に向けて急上昇し、その下を敵機が通過してその後排気口を水平に戻し後尾を取る戦法が有効と言われていた。しかしコブラ同様、速度が著しく低下するため、「仕切り直し」以上の効果はなさそうである(出典-『自衛隊VS米軍・もし戦わば』)。
  10. ^ Belarus Phases Out Russian Warplanes, Radars
  11. ^ Belarus to modernize its fleet of Sukhoi Su-27 jet fighter
  12. ^ Белоруссия передумала списывать истребители Су-27
  13. ^ Барановичские Су-30К уйдут в Анголу
  14. ^ 「BVR」とは Beyond Visual Range:目視外射程 の略
  15. ^ 石川潤一著 『ユーロファーター・タイフーン』 軍事研究 2008/12号 59-71頁
  16. ^ typhoon.starstreak.net OpEval
  17. ^ F-15 vs Su 27 by Tom Murphy
  18. ^ 航法装置にソビエト本土以外の地図が用意されていない、無線機のチャンネルセレクタが防空軍の使用周波数以外には対応していない、火器管制装置のモードセレクタに空対空兵装以外の兵装の選択モードがない(搭載そのものは空対空兵装以外も可能)といった差異がある。
  19. ^ 月刊軍事研究2011年11月号
  20. ^ Russian air force orders thrust-vectoring Su-30SM fighters
  21. ^ [1]
  22. ^ KnAAPO Su-30MK2
  23. ^ 航空ファン2014年6月号
  24. ^ 艦上戦闘機Su-27K初期案・Su-27KI「モルニヤ」
  25. ^ 幻の艦上攻撃機Su-27KSh「グローザ」
  26. ^ 幻の前進翼艦上戦闘機Su-27KM(S-37ベルクト原案)
  27. ^ Испытания новых опций для Су-34 завершатся в 2010 году
  28. ^ a b Aircraft performance
  29. ^ Attrition: The Art Of Aging Effectively
  30. ^ 約25年間の運用が可能。ただし、西側の機体に比べて年間飛行時間の想定が少ないため、西側基準での寿命は短い
  31. ^ “Bombas Guiada SMKB” (Portuguese). Revista Asas 61: 29. (June 2011). ISSN 1413-1218. 

登場作品[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]