増槽

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増槽(ぞうそう)は、兵器外部に取り付けられる追加の燃料タンクのこと。内蔵燃料では不十分な、長期・長距離作戦を遂行するために装備される。増加燃料タンク(ぞうかねんりょうタンク)、増設燃料タンク(ぞうせつねんりょうタンク)とも。軍用機の翼下・機体下・機体側面、軍用車の側面・後面などに取り付けられる。

大日本帝国陸軍の航空部隊(陸軍航空部隊)では落下タンク(らっかタンク)と称した。

軍用機の増槽[編集]

軍用機に用いられる増槽には、ドロップタンク(drop tank, 落下型増槽)とコンフォーマル・フューエル・タンク(conformal fuel tank, CFT, 密着型増槽)があり、初期のジェット戦闘機やジェット練習機などには、翼端増槽(tip tank)が用いられたことがある。

翼下のハードポイントにドロップタンクを搭載したP-51
主翼下のハードポイントにドロップタンク、主翼の翼端にティップタンクを搭載したF-104S
ドロップタンク
ハードポイントに取り付けられ、内部の燃料を使い切った後で切り離せるようになっている増槽のこと。普通は両端が尖った円柱形状をしており、一見爆弾ミサイルのようにも見える。それ自体の飛翔を目的としないので、ほとんどの物は安定板を持たないが、投下時に機体にぶつからないように安定させるために付いているものもある。航続距離延長のために、第二次世界大戦ごろから使用されるようになった。機関銃機関砲によるドッグファイトの機会が多かった第二次大戦時は、空気抵抗と重量を減らすためや、弾着による引火爆発を防ぐため、残量にかかわらず会敵時に投棄されることが多かった。そのため、進攻時にはドロップタンクの燃料から消費し、機内タンクの燃料を温存した。
ドロップタンクを海上に投棄した場合の回収は容易ではないが、イギリスドイツフィンランドなどは、主に戦略物資であるアルミニウム合金の節約を目的として、陸上で投棄された増槽を回収していたという事例もある(ドイツの場合、発見した民間人に対し「礼金を出すので届けよ」と、回収を促す注意書きがあったほどである)。反対に、イギリス駐留のアメリカ第8航空軍では、敵に資源として回収されないようにで作られ、燃料注入後一定時間経過すると使用不能になるタンクも使用された。第二次大戦時の日本軍でも製の枠組みに紙を貼ったり、ベニヤ板を曲げ加工し、防水処理したドロップタンクも使われたが、これは回収されないようにと言うより、自国の資源不足が原因であった。
また、スペースシャトル外部燃料タンクも、一種のドロップタンクであると言える。
F-15Eのコンフォーマルタンク
コンフォーマル・フューエル・タンク
機体側面に密着するように装備される増槽のこと。飛行中の切り離しはできないが、ドロップタンクに比べ空気抵抗が小さいため燃費に優れ、ハードポイントを要しないのでより多くの兵装を搭載できるという有利な面がある。F-15Eでは標準装備されている。F-16 ブロック60と(ポーランド空軍が採用している)ブロック52+も採用している。ほかには、サーブ 39 グリペンラファールタイフーンでも利用が検討されている。
翼端増槽(ティップタンク)
左右翼端に取り付けられた増槽。取り外し不可能な固定式と、駐機中に限り取り外し可能(飛行中の切り離しは不可能)な半固定式がある。主に、初期のジェット戦闘機に用いられたが、戦闘任務を考慮しない練習機およびCOIN機では現在でも用いられている。P-80T-33F9FF-5A/BF-104L-39A-37SF-260など。
機体両脇に増槽を装備したUH-60J
ヘリコプター
一部の機種は、パイロンに増槽を取り付けることができる。従来の機内に燃料タンクを増設する方式と比べて機内スペースを犠牲にすることなく航続距離・飛行時間を伸ばせるというメリットがある。UH-60CH-53AH-64OH-1などで採用されている。

軍用車両の増槽[編集]

T-72の増槽

戦車自走砲装甲車のような軍用車両にも増槽が取り付けられることもある。

戦車の燃料は、引火点の高いディーゼル燃料であっても榴弾の爆発の高温で着火し、装備位置によっては車体にかかり、延焼して危険であるため、非常時や戦闘時のために車内から操作して投棄可能なものが多い。戦後のソ連軍戦車の場合、フェンダー上などにも露出した固定式の燃料タンクが搭載された物が多いが、中東戦争ではこれらに着火してしまうケースが実際に多かった(ただし、車体外側が延焼するだけで、誘爆はしない)。

また、第二次世界大戦中に燃料補給の利便化のためにジェリカンが発明され、補助タンク代わりに車体外部に大量に搭載している例も見られた。

フィクション作品における増槽[編集]

フィクションでもガンダムシリーズマクロスシリーズなどでは、燃料効率が極めて高く実用上燃料切れの心配がない核融合エンジンが実用化され、燃料ではなく宇宙空間で消費される推進剤用の増槽が登場し、プロペラントタンク(propellant tank)などと呼ばれる。

ガンダムシリーズでは主にモビルスーツの主推進装置があるバックパックに取り付けられ、作中ではドロップタンクのように会敵時に機体から切り離す描写がなされている。

マクロスシリーズでは増槽のみでなく、追加装甲、ブースターポッド、ミサイルポッドなどと一纏めにした、「スーパーパック」、「アーマードパック」といった追加武装の一部として描かれており、推進剤を使い切った場合などには不要な部分のみをパージして戦闘を続行するシーンがある。

他に、宇宙戦艦ヤマトに登場する艦載機輸送艦にも搭載されている。しかし、仕組み上切り離し可能なはずだが、切り離し描写は無い。

関連項目[編集]