ハードポイント

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F-35の搭載兵装類
機外兵装ステーションは1-3, 6, 9-11である

ハードポイント(hard-point、重量強化点、機外兵装ステーション)は、軍用機の胴体や主翼の下面にあらかじめ設けられた、兵装類を懸下して機外搭載するための取付部である。

搭載物の多くが航空機搭載爆弾ミサイルロケット弾ポッドやガンポッドといった兵器類であるが、増槽の搭載も可能なものがあり、また、電子戦ポッドなどを搭載する場合もある。投下物や銃砲ならば投下制御や発射制御を、誘導兵器やセンサー類であればプログラムやデータなどの通信路を、それぞれケーブル接続するための端子をハードポイント側に備えておく必要があり、同様に燃料タンクならば燃料配管の接続口も必要である。搭載するためには荷重制限や空力干渉、接続部の機構的な適合性だけでなく、火器管制システム類を含む電気系統の対応も求められるため、搭載可能な兵装類はそれほど多種類には対応していない。一般的には機外搭載物に対応した支持部品である「パイロン」を機体下面のハードポイントに取付けてから、このパイロンに兵装類を搭載する。パイロンにはミサイル用のレールランチャーや複数弾を搭載するためのマルチ・イジェクターなどとも呼ばれる個別、またはパイロンと一体の支持具が加わることがあり、この部分を総称して兵装支持架や兵器支持架と呼ばれることが多い[1]

ハードポイントが多ければ必要に応じて多数の兵器類を機外搭載できるが、むやみに数を増やすことは得策ではない。ここに取付けられる物のほとんどが重量物であり、かつ、空力的な抵抗となり、航続距離や飛行速度、運動性能といった軍用航空機として重要な性能を低下させるためである。また、機外搭載する部分には機体構造の強化も必要となり、それに伴う重量増は機外搭載物を外しても除去できない。軍用の固定翼機では、左右対称に、翼下に4-10箇所、主翼端に0/2箇所、胴体下面に1-6箇所程度備えるものが一般的である。攻撃ヘリコプターでは、機体固有の小翼がハードポイントや兵器支持架となるものもある。輸送/汎用ヘリコプターなどの機外懸下用フックやホイスト類は兵装支持架には含まれない。

ステルス性を有する戦闘機では、本来の性能を発揮するために機外搭載物を避ける必要があるが、そのような機体の多くが空中での格闘戦だけでなく、攻撃機のような異なる役割も果たすマルチロール機として位置づけられているため、狭い爆弾倉だけでは収容しきれない誘導爆弾類を多数機外搭載するためのハードポイントを多数備えている。超音速戦闘機の登場当初は主翼を可変翼とすることで離着陸時と超音速飛行時の異なる空力特性に対応したが、角度が変わり構造的にも弱い可変翼部分にはハードポイントが設けられない[2]ために、制空戦闘から爆撃任務まで1機種で多様な役割が求められる21世紀型の戦闘機では、運用柔軟性を選択していずれも可変翼を採用していない。既存の機体に対してコンフォーマル・フューエル・タンクを加えることによってハードポイントを増やす手法もある[3]

脚注[編集]

  1. ^ 翼端には短距離の空対空ミサイルだけ搭載可能とする機体では、パイロンは用いず翼端部に直接レールランチャーが備わっている
  2. ^ 例外としてF-111が挙げられる。詳細はF-111 (航空機)#可変翼を参照のこと。また、トーネード IDSトーネード ADVも主翼に合わせてパイロンの角度を変えるハードポイントを持っている
  3. ^ 石川潤一 「ロシア空軍の戦闘爆撃機 フェンサーからフルバックへ」『軍事研究』2012年1月号、ジャパン・ミリタリー・レビュー、雑誌 03241-01、ISSN 0533-6716、72-75頁

関連項目[編集]

参考文献[編集]