ブラックボックス (航空)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
ブラックボックスの例。手前が説明の為にケースを開けた状態、中がフライトデータレコーダ、奥がコクピットボイスレコーダ

ブラック・ボックスとは、フライトデータレコーダー(FDR)とコックピットボイスレコーダー(CVR)の通称である。航空事故に関してブラックボックスと表現する場合は、FDRないしはCVRそれぞれ、あるいは双方を纏めて指している。航空事故の原因調査に大きな役割を持つ。旅客機に装備され、軍用機や個人所有の軽飛行機には一般に装備されない。

ブラックボックスとは内容物が隠蔽ないしは封印されていることの比喩的形容であり、必ずしも「」を意味しない。FDRやCVRは事故後発見回収しやすいよう実際には赤色やオレンジ色に塗装されている。


事故が発生した際、乗員・乗客が全員死亡することも珍しくない航空事故では、事故原因究明の手掛かりを得ることが大変難しい。そのため、飛行中のコックピット内で操縦士たちが交わした会話や航空交通管制機関との交信内容、機体の飛行状況を記録し続けることにより、事故原因究明のための手掛かりとするべく旅客機に搭載されていることが多く、法によって搭載装備を義務付ける国もある。アメリカなど国によっては軍用機にも搭載義務がある。

すべてを記録すると記録量が膨大になるため、古いデータを消しながら直近の出来事をエンドレスに(記録を書き換えながら)記録する。このため、一定時間以前のデータは記録に残らない。

外装は、墜落に伴う衝撃や火災、海没に耐えられるよう高い耐衝撃性・耐熱性・耐水性を備えた密閉容器である。搭載位置は、比較的破損が及びにくいとされる機体尾部が多い。

フライトデータレコーダー(FDR)[編集]

フライトデータレコーダの例 「フライトレコーダ/開けるな」とフランス語で大書されている

FDRの試作機は、父を航空機事故で亡くしたオーストラリアの科学者デビッド・ウォーレン(1925年3月20日 - 2010年7月19日)が、1956年に初めて設計した。開発当初はステンレスなど金属製のテープにダイアモンド製の針で飛行高度、飛行速度などのデータを刻印する方式だったが、1980年代までにデジタル化され、最低でも(事故による)動作停止前400時間の詳細なデータ(機体に加わった加速度やエンジン回転数など)が記録できるようになった。

コックピットボイスレコーダー(CVR)[編集]

コクピットボイスレコーダの例 右側面に「ボイスレコーダ/開けるな」とフランス語で大書されている

旅客機のコックピット天井に会話収音用マイクロフォンが装備されているとともに、航空無線機の音声信号も簡易なミキサーを通じて収録される。


回収[編集]

海没した場合に発見を容易にするため位置通報用の音響発信機(アコースティック・ビーコン)を内蔵しているものもある。[1]バッテリーが30日しか持たないため、引き上げ準備に手間取った場合、バッテリー切れで捜索が困難になることもある。

だが、ごく稀にブラックボックスのうちどちらか一方もしくは両方とも発見できない場合がある(→w:List of unrecovered flight recorders)。

海から引き揚げた場合海水の塩分によるで電子部品を痛めてしまうため、まず真水で海水を洗い流し、空気(すなわち酸素)との接触を絶ち錆の発生や進行を抑えるべく、真水を張ったクーラーボックスに入れられ解析当局にクーラーボックスごと送られる。

関連項目[編集]

  1. ^ 2014年マレーシア航空機、南東インド洋。