ストレーキ

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ストレーキ(strake)とは、航空機の胴体や機首の側面に設けられたフィンのことで、特に主翼付け根の前縁部分を前方に延長したものは前縁付け根延長(Leading Edge Root Extension)、略してLERXとも呼ばれる。

概要[編集]

翼の前後方向の長さが大きいものは、大迎角時に渦を発生させる効果がある。ストレーキはこの効果を利用し、発生させた渦を主翼部分に当てる事で、大迎角時における翼上面の気流の剥離を抑えるものである。これにより離着陸性能の改善、急旋回時における失速の防止による旋回性能の上昇を図るものである。

ストレーキの最初の採用例として知られるのは、ノースロップ社のF-5戦闘機である。前縁フラップの作動器の収納スペースとしてこれを設けたのであるが、偶然にもこれが離着陸性能の向上に役立っている事が発見された。この設計はノースロップ社の次作戦闘攻撃機F/A-18にも採用された。F-5と違って意図的に設けられたストレーキは巨大なものであり、これによりF/A-18は高翼面荷重の設計でありながら、高い離着陸性能と運動性を持つ事で知られる。 ストレーキを用いた機体には大迎角をとった時や高機動時にはストレーキ上部に渦が生じて気圧が下がり、その後部に雲状の水滴が発生するのが確認できる。

LERXの渦流により渦上の雲状の水滴を発生させているF/A-18

またF-5よりも若干開発時期の早いサーブ 35 ドラケンの主翼形状は「ダブルデルタ翼」と称しており、ノースロップ社の開発したストレーキとは全く関連は無いものの、原理的には全く同等のものである。無尾翼機の場合は離着陸性能に難があるのが欠点であるが、ダブルデルタ翼(ストレーキ)の採用によって、大幅に改善している。

その他、F-15の主翼付け根部分の膨らみも、ストレーキと全く同等の働きをしている事で知られる。応用としてBAe ホーク練習機の後期型では水平尾翼の前縁部分にストレーキと同様のフィンを取り付けており、これはSMURF(側面装着式下側付け根フィン)と呼ばれる。

欠点としては、空気抵抗が大きくなる事が挙げられる。無尾翼機であれば尾翼が無い事による空気抵抗減少効果のほうが上回っているのだが、通常の尾翼つき形式で、かつ特に巨大なストレーキを持つF/A-18においてはその欠点が著しく、加速性能の不足はこの機体の弱点として挙げられている。

この欠点を改善する方法としては、ブレンデッドウィングボディ形式と併用して、胴体とストレーキを滑らかにつないで、抵抗を減らす手法が存在する。マッハ3の高速を誇る偵察機SR-71は、ストレーキとブレンデッドウィングボディ形式を併用した代表例である。F-16も同様であり、F/A-18よりも加速性能に勝っている。

ただし、ストレーキと全く同等の効果は、カナードつきデルタ翼形式においても達成出来る。その最初の例となったのはサーブ 37 ビゲンである。カナードつきデルタ翼形式はCCV技術の適用に都合が良かったため、これ以降の多くの戦闘機に採用され、一時はこちらのほうが主流になるかに見えた。しかしながらカナード翼にはステルス性を損なうという新たな問題がある事が発見されたため、F-22においては通常の尾翼形式とストレーキが採用されている。比較審査においてF-22に敗れたYF-23にも、ブレンデッドウィングボディ形式を併用したストレーキが採用されていた。

主な採用機[編集]

関連項目[編集]