F-35 (戦闘機)

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F-35 ライトニング II

F-35 ライトニング II: F-35 Lightning II)は、アメリカ合衆国の航空機メーカー、ロッキード・マーティンが中心となって開発した単発単座の多用途性を備えたステルス戦闘機である。開発計画時の名称である統合打撃戦闘機(: Joint Strike Fighter)の略称JSFで呼ばれる事も多い。

概要[編集]

統合打撃戦闘機計画に基づいて開発された、第5世代ジェット戦闘機に分類されるステルス機である。

概念実証機のX-35は2000年に初飛行を行い、競作機となったX-32との比較の結果、X-35がJSFに選定される。量産機のF-35は2006年に初飛行し、現在でも開発は継続中である。アメリカ空軍への本機の納入は2011年から開始され、初期作戦能力(IOC)獲得予定は2017年後半以降となっている[1]アメリカ海兵隊への配備は2018年以降からとされる。

JSFの名の通り、ほぼ同一の機体構造を用いながら、基本型の通常離着陸(CTOL)機であるF-35A、短距離離陸・垂直着陸(STOVL)機のF-35B艦載機(CV)型のF-35Cという3つの派生型を製造する野心的なプロジェクトである。戦闘機のマルチロール機化は、現代の戦闘機開発の主流となっているが、1960年代には空軍の戦闘爆撃機と海軍の艦隊防空戦闘機を兼務するF-111の開発において、機体が大型化し想定した任務の全てを果たせず、失敗している。対してF-35は、比較的小型の機体で多任務とステルス能力の付加、さらには基本設計が同一の機体でCTOLとVTOLを派生させるという前例の無い多任務能力を達成し、採用予定国も複数に上る。

アメリカ空軍・海軍・海兵隊、イギリス空軍海軍航空自衛隊などが採用を決定しており、あわせて数千機が製造される見込みであるが、開発の遅延や当初予定より大幅なコスト高などの課題も抱える。2011年5月時点で開発総額は3,850億ドル(31兆円)に達している[2]

開発の経緯[編集]

SDD機であるAA-1
約100回の飛行後に退役し、その役目を終えた[3]

アメリカのF-16A-10F/A-18AV-8B、およびイギリスシーハリアーハリアー GR.7カナダCF-18などを含む、多種類な戦術航空機を代替する新型機の開発を目的とした「統合打撃戦闘機計画」に基づき、ボーイング社のX-32ロッキード・マーティン社のX-35の2種の概念実証機が開発された。

開発競争の結果、2001年10月26日にX-35が選定された。X-35にはF-35制式名称が与えられ、現在も開発は継続中である。

特徴[編集]

外形[編集]

F-35B内部の様子

F-35はF-22に似た[4]ステルス性に優れた菱形翼のすぐ後方に、主翼と似た平面形の全遊動式水平尾翼を持ち、2枚の垂直尾翼はステルス性向上のために外側に傾けられている。

主翼付け根前縁から機首先端まで続くチャインは機体の上面と下面を明確に分けており、エアインテーク(インレット)はチャインの下、コックピット後方の左右にある。従来の超音速ジェット機にあったような境界層分離板[5]が無く、胴体側面の出っ張りによって境界層を押しやる仕組みになっており、ダイバータレス超音速インレットなどと呼ばれている。

コックピットには前方ヒンジ方式の一体型キャノピーを採用した[6]。これによりアクチュエーターの小型化と重量の軽減が可能となった[6]。合わせて、整備の際のアクセスも容易となった[6]。電気システムのユニットや整備アクセス関連のユニットを、それぞれ胴体側面に配置した事で少ないアクセスパネルで対応できる[6]

一つの基本設計を基に、通常離着陸(CTOL)型、短距離離陸・垂直着陸(STOVL)型、艦載機(CV)型と3タイプの開発・製造を目指すものの、設計の共通性は高い[7]。各タイプの設計に占める独自設計部分はA型が19.8%、B型が32.6%、C型が43.1%と、最も共通性の低いC型でも50%以上の完全な共通設計、もしくは同類設計が用いられている[7]

ステルス性については詳細が公表されていないものの、F-22と同様にアンテナやセンサー類の張り出しを極力設けない設計を採用し、F-35では機体フレーム内にそれらを埋め込む事で、その効果を高めている[8]。単発のF-35の機体サイズ自体もF-22と比べて小型化した事で、目視での発見を困難とする(低視認性)[8]

エンジン[編集]

リフトファン使用時には機体上下のドアが開いて空気が下方へ噴射される
機体後部のエンジン排気もノズルによって下方へ曲げられる
エンジンの圧縮機で作られた高圧空気の一部も翼の左右に導かれてロールポストで調整され下方へ噴射される
P&W F135ジェットエンジン(V/STOL用)のYak-141でも使用されていた3ベアリング回転ノズルの偏向動作モデル
上図:水平飛行時 下図:V/STOL飛行時
回転面がずれた3つの筒部を互い違いに回転させることで、真後ろ方向から垂直下方までジェット排気の推力を偏向させる

F-35ではその開発に際し各軍からの要求の多くを実現しようとしたため、単発戦闘機としては重量級の機体となった。それにあわせエンジンも強力なプラット・アンド・ホイットニーF135を搭載しており、その推力はドライ出力でも125kNアフターバーナー使用時には191kNにも達し、比較的小型な第4.5世代双発戦闘機の合計推力に匹敵・凌駕するものとなった。

以下に比較例を挙げる。

  • ラファールM88、ドライ出力:50.04kN×2=100.08kN、A/B出力:75.62kN×2=151.24kN)、
  • ユーロファイターEJ200、ドライ出力:60kN×2=120kN、A/B出力:89kN×2=178kN)、および
  • F/A-18E/FF414、ドライ出力:62.3kN×2=124.6kN、A/B出力:97.9kN×2=195.8kN)等

と比較されたい。しかし、この高推力エンジンと固定インテイクの取り合わせにより、騒音が大きくなった[9]。エンジンはプラット・アンド・ホイットニー以外からの供給も考慮され、GEアビエーションおよびロールス・ロイスそれぞれがF136を開発していたが[10]。2011年12月2日に開発は中止された[11]。代替エンジン自体は、1996年11月より検討作業が行われていた[10]

STOVL機であるF-35B型はV/STOL能力のためにリフトファン方式と特殊なエンジンノズルを採用している。このため、F-35Bのジェット噴流による推力について、他と同様の最大125kN(ドライ推力)となるのは、燃焼排気ジェットを後方へ直接出す場合であり、90度下方に偏向させたノズル配置では、ノズルのジェット噴流のみの推力最大値は80kNまで低下する。ただし、V/STOL時に発揮されるすべての推力を合計した最大垂直推力は180.5kNであり、その内訳は、上記ノズルの推力最大値である80kN、リフトファンの最大84kN、左右それぞれのロールポストからの最大16.5kN×2ヶ所、である。ちなみに、V/STOL時の姿勢制御は、ロール制御をロールポストからの吹き出し量により、また、ヨー制御をエンジン排気ノズルの角度調節により、それぞれ行う[12]
F-35Bの複雑な構造は整備性を悪化させている。また、F-35BはF-35A/Cに比べ航続距離も短くなっている。これは、リフトファンとシャフトが垂直離着陸時や短距離離着陸時にのみ使用され水平飛行の際には単なる重量物となること、およびそれらを機体内部に収容する空間を燃料搭載量を削減して確保したこと、による。


アビオニクス[編集]

HMD

ヘッドアップディスプレイ(HUD)に代わってヘッドマウントディスプレイ(HMD)が採用された。HUDはコックピット正面に固定されているため、パイロットは視線を前方から外すことが難しかったが、HMDでは従来のオフボアサイトミサイル照準用などで使用していた統合ヘルメット装着式目標指定システム(JHMCS)を更に発展させて、基本的にはHUDの表示機能の全てを含めたものである[13]。これは上下を含む自機の全周360度をカバーした映像がバイザーに投影されるというもの。ディスプレイの重量はバイザーに情報を投影するイルミネーターが2基あるにもかかわらず、全体が炭素繊維でできているため、従来の汎用ヘルメットよりも軽量である。開発メーカーはイスラエルのビジョン・システム・インターナショナル社(VSI)で、VSIはJHMCSの開発も行なっている[14]。しかし、投影装置や表示装置の問題、搭載するISIE-10暗視カメラの能力不足などが指摘されており、現在ISIE-11暗視カメラを搭載した改良型が開発中であるが、開発に遅れが生じる可能性もあるためBAEシステムズが民生暗視ゴーグルなどを使用した代替簡易版を並行開発していた[15]。しかし、2013年10月製造企業のVSI社から、12%のコスト削減保障が得られ代替品開発費用を削減することが可能になったため、この簡易型HMDの開発は中止された[16][17]

現在このHMDは"Gen 2"と呼ばれるタイプが試験中で2015年7月にから提供される予定である[18]。完全な能力を備える"Gen 3"は、改良型の夜間暗視装置・制御ソフトウェアを搭載する予定で、2016年の生産ロット7の初期生産機体と共に提供ができるとしている。

操縦桿は座席右側にジョイステック方式のサイドスティック[19]になっており、左側にはスロットル・レバーがある。F-35Bではスロットル・レバーの横にSTOVL操作用レバーが加わる[12]

また、主表示装置については、従来の機体と異なりひとつの大型液晶ディスプレイとなっている(カラー表示、タッチパネル式)このディスプレイの表示をいくつかのウィンドゥで区切って分割し、そこに各種の情報を表示する為、従来の機体の表示装置よりも大幅に見やすくなっている。画面分割数やウィンドゥのサイズ等、表示する情報をパイロットが変更出来る。これにより、必要な情報のみを表示し不必要な情報は表示しない、という従来の機体にはない使い方も可能で、パイロットに与える負担は大幅に減っているとロッキード・マーティンのアル・ノーマン主任テストパイロットは語っている[20]

センサー[編集]

AN/APG-81レーダー

機首には、米ノースロップ・グラマン社製のAN/APG-81AESAレーダーが搭載される。AN/APG-81レーダーは、F-22Aに搭載されているAN/APG-77の技術を元に開発されたもので空対地機能と空対空機能に加え、電子戦能力も付与されたレーダーとなっている[21]

AN/AAQ-40 EOTS
EOTS

機首下面に取り付けられたロッキード・マーチン社とBAEシステムズ社共同開発の電子・光学式照準システムEOTS[22]は、F-35の機首下に設置された攻撃用センサーである。このセンサーはAN/AAQ-33 スナイパーXRをベースとしいくつかの部品を共用としたものでほぼ同等の性能・機能を備えており、GPS・レーザー誘導兵器の運用が可能である。また、IRSTのような赤外線による目標探知機能を持ち、運用法の一つとして、地上目標に対する戦術偵察任務などの付与が検討されている[23]

AN/AAQ-37 DAS

防御用のセンサーには、ノースロップ・グラマン社製の画像配信システムDAS[24][25]が採用されている。DASはパッシブ式の赤外線画像センサーであり、機体各部の6ヶ所にDASのセンサーが備えられることで、パイロットはHMDによって自機全周の赤外線画像が得られることで状況認識能力が高められ、完全オフボアサイトによるミサイルへの目標指示も可能になっている[12]

武装[編集]

胴体内兵器倉
GBU-12の投下試験
また、胴体内兵器倉ではなく、主翼下にAIM-9を搭載している

本機の高ステルス性能を維持するためには、ミサイルや爆弾類の機外搭載は避けて胴体内兵器倉(Weapon-bay)の中に隠し持つようにして搭載する必要がある。隠密性より兵器の搭載能力が優先される場合には、機外に7ヶ所あるハードポイントパイロンを装着し、合計で約8トンの重さの武器を搭載できる[26]

空対空ミッションでは胴体内兵器倉に左右で最大4発のミサイルを、空対地ミッションでは同じく胴体内に2,000lbJDAM2発搭載と中距離空対空ミサイル2発を搭載可能である[27]。空対艦ミッションでは、兵器倉には搭載できないハープーン等の対艦ミサイルを主翼の下にぶら下げて運用するが、これではステルス性を損ねるため、代わりにF-35に搭載するためにノルウェーコングスヴェルグ社がロッキード・マーティンと共同開発しているJoint Strike Missile という、ステルス性のある形状の空対艦ミサイルを兵器倉内部に搭載することとなる[28]

ロッキード・マーティンは兵器倉内部のハードポイントを現状より増やす研究を行っており、Block-3の機体からそれが可能になるとしている[29]。ステーション数は、兵器倉内天井部は1つもしくは2つを交換式で選択できるようにし、兵器倉外側扉の内側に2か所増設することで、最大5か所、左右合わせて10か所となる[29]。また、内側扉内部ステーションにAIM-9を搭載する際には専用の2連装ランチャーを用いるとしており、この場合だとAIM-9を2発搭載しつつ4か所のステーションが使用可能となる[29]

なお、F-35は日本の次期戦闘機に選定されたが、日本が独自に運用するAAM-4(中距離対空ミサイル)はAIM-120に比べ太く、兵器システムの大部分を担任しAIM-120のメーカーでもあるレイセオンによれば、F-35の胴体内兵器倉への装着は極めて困難で、機体側の改修は可能だろうが、加えて兵器システム用ソフトウエアの書き換えなどの手間と費用を考慮すれば、実績のあるAIM-120をF-35と共に導入することが合理的との見解を示している[30]。それに対して、ロッキード・マーティンのスティーブ・オブライアン副社長は、長さがほぼ同じであればスペース的な問題は生じず、太さ1インチの差というのは大した差ではなく、装着用アタッチメントを変更するだけで済むので、このことが大きな問題になることはないとの見解を示している[31][32]

翼下パイロンは左右3ヵ所ずつあり(一番外側は空対空ミサイル専用)各種ミサイル・爆弾が搭載可能である[27]。胴体の下にも1ヶ所あり、ステルス性を犠牲にする代わりに機関砲ポッドまたはドロップタンクを搭載可能である。

固有武装は、F-35A型のみが GAU-22/A 25mm機関砲を機内に固定装備しており、B型とC型では機外搭載オプションの1つとしてステルス性を備えた機関砲ポッドが用意される[33][34]

新型爆弾
SDB

小直径爆弾と呼ばれる「SDB」[35]は、開発段階から第五世代戦闘機の爆弾槽に合わせて小径に設計された爆弾である。戦闘機としての空戦能力と高いステルス性能を維持したまま、A-10の後継機として爆撃任務にも対応する必要から、狭い爆弾槽をより有効に活用する要請に応えて開発されている。

愛称[編集]

本機につけられている愛称である「ライトニングII(: Lightning II)」は、かつてロッキード社によって開発され、第二次世界大戦で活躍したP-38ライトニングに因んだものである。また、共同開発の最大のパートナーであるイギリスの、自国で開発した唯一の超音速戦闘機イングリッシュ・エレクトリック ライトニングに因む愛称でもある[36]。なお、YF-22F-15の後継機の座をYF-23と争った際、この愛称を名乗っていた時期もあった [37]

派生型[編集]

以下に各タイプの概要を挙げる。なお、F-35は現在開発中の機体であり、細かいスペックなどは発表されていない。

F-35A[編集]

F-35A

F-35Aは、F-35シリーズの基本型でアメリカ空軍での使用が考慮されたCTOL[38]タイプ(通常離着陸)2006年12月15日初飛行。2017年初期作戦能力獲得予定。

2011年5月9日にロッキード・マーティン社からアメリカ空軍へ本機の納入がされた事が発表された[39]

F-35B[編集]

垂直着陸中のF-35B

F-35Bはアメリカ海兵隊ハリアー IIの後継機として使用するために、旧ソ連のYak-141の技術[40]を使用したSTOVL[41]タイプ(短距離離陸・垂直着陸)2008年7月11日初飛行。2017年より配備予定。

エンジンのノズルを折り曲げて下方に向けることができ、エンジンから伸びるシャフトはクラッチを介して前方のリフトファンを駆動する。リフトファンの吸気ダクト扉は後方ヒンジによる一枚扉となっている。キャノピーの形状はA/Cと違い、完全な水滴型になっていない。

アメリカ空軍はA-10の後継機にA型ではなくB型を充当することを検討していたが、結局A型に一本化された。

イギリス海軍イギリス空軍クイーン・エリザベス級STOVL空母の就役を前提に、シーハリアーハリアー GR.5/7の後継機としてB型の配備を計画していたが、2010年10月25日のストラテジック・ディフェンス・アンド・セキュリティー・レビュー[42]に伴い、これをC型に変更すると発表。しかし2012年にはC型の開発の遅れや、空母に装備するカタパルトアレスティング・ワイヤーの高価格などを理由に、再びB型に変更することを検討している。

2012年1月11日にF-35Bの完成機2機が、パイロット養成用として初めてアメリカ海兵隊に納入された[43]。同年8月8日には、F-35Bの試験機であるBF-3が大西洋のテストレンジで、高度4,200フィート、速度400ノットで飛行しながら1,000ポンドのGBU-32(JDAM)を胴体内兵器倉から初の投下試験に成功した[44]

2013年5月10日には、メリーランド州パタクセント・リバー海軍航空基地で垂直離陸試験に成功した[45]

F-35C[編集]

カタパルト発進の試験を行うF-35C

F-35Cは、アメリカ海軍での使用を主としたCV[46]タイプ(艦載型)2010年6月8日初飛行。2017年以降より配備予定。

F/A-18A-Dの後継機であり、艦載機に要求される低速時の安定性の強化のため、主翼と垂直尾翼を大型化している。また、ニミッツ級ジェラルド・R・フォード級原子力空母での運用のために、機体構造や降着装置の強化、前脚の2重車輪(ダブルタイヤ)化とカタパルト発進バーの装着、アレスティング・フックの強化、特に空母格納庫スペース節減のための主翼の折り畳み機構を追加している。これらにより機体重量は増大している。

2010年10月25日、イギリスはストラテジック・ディフェンス・アンド・セキュリティー・レビューにより、調達機をB型ではなくC型に切り替えると発表されたが、2012年に再度B型に変更することを検討しており、C型の使用が確定しているのは2013年現在アメリカ軍のみとなった。

なお、当初はアレスティングフックが主脚に近すぎることやフックの形状などに設計上の問題があり適切なタイミングでアレスティング・ワイヤーを掛けることができないなどの問題が存在し、[47]当初導入予定であったイギリスが抗議するという事態になった[48]。現在、フックの位置などを再設計し、試験飛行が行われている[49][50]

UAV化計画[編集]

2006年8月16日、ワシントン・ポストは、ロッキード・マーティンが同機の無人化バージョンを提案したと報じた [51]

配備計画と課題[編集]

計画参加国
  主開発国:アメリカ合衆国
  レベル1:イギリス
  レベル2:オランダ イタリア
  優先顧客(SCP):イスラエル シンガポール

現在アメリカ軍はF-35を約2,500機を配備することを予定している。また、SDD段階から参加する国での採用もほぼ確実で、現在F-16などを使用しているその他の国でも採用される可能性が高く、最終的に製造数は5,000機以上にのぼることが予測されている。

しかし開発の遅れが著しい。アメリカ空軍への本機の納入は2011年5月から開始されたが、訓練の開始は2011年の後半からであり、さらに初期作戦能力獲得予定は2017年後半となっている[1][リンク切れ]アメリカ海兵隊は2018年以降からとされる。

量産計画[編集]

量産型の生産計画についてアメリカ軍では、2006会計年度に第1期初期低率生産(LRIP-1)の長期先付け(LL)品の購入が認められ、また、2007会計年度には完全な予算が承認されたことで、2機のF-35Aの製造が開始された[52]。また、合わせてLRIP-2のLLの購入も開始され、2008会計年度予算で全生産予算が承認されれば、F-35Aが6機とF-35Bが6機の、計12機の製造が開始される[52]。このLRIPは2013会計年度のLRIP-7まで続けられる予定で、その後の2014会計年度より多年度調達(MYP)計画に移行するとされる[52]

ロッキード・マーティン社では、2010会計年度のLRIP-5からは対外有償軍事援助(FMS)機の製造を組み込む事も可能になるとしており、海外からの発注があれば、もっとも早ければ2014年の引き渡しが可能になるとしている[52]。そして同社は、F-35を輸出可能な最初の第5世代ジェット戦闘機と位置付けている[52]。また、F-16F/A-18と同等の価格で諸外国に提供でき、維持・整備費などの費用はより安価になるとしている[52]。その販売や運用中の支援についても、F-16で確立された国際協力関係が活かされることになる[52]

このほか、航空自衛隊第4次F-Xとして2011年12月に次期主力機に選定されており、防衛省は平成23年度の概算要求で最大10億円を有償軍事援助(FMS)契約による「米政府への情報開示請求費用」として計上する[53][リンク切れ]

また、武器輸出三原則の緩和によって、日本企業が他国の企業が行うF-35の部品製造へ参加が可能となる見通しが出ている[54]

課題[編集]

2011年1月6日、海兵隊型のF-35Bについてロバート・ゲーツ国防長官は、システム開発実証(SDD)が2016年まで遅れ、初期作戦能力獲得は2017年になる見込みと、2年以内に改修ができないあるいは計画通りに進展がない場合は、開発が中止になるだろうと発表した。アシュトン・カーター国防次官は、現在のアメリカの財政状況を鑑みて「高額になりすぎて負担しきれない」として、計画の見直しが必要だと指摘した[2]

2011年12月16日、産経新聞はアメリカ国防総省内部資料を出所とした「ステルス性能に疑問」という記事を報じ、また、具体的問題点として、攻撃能力、被弾や事故時の生存可能性、旋回や上昇など飛行性能、空対空ミサイルの発射、電子戦能力がテストパイロットなどより運用上深刻な、または特別な懸念として挙がっている、としている。それによると、報告者は国防総省のアハーン次官補代理ら計5人で、報告書では「今後の生産を中止するような根本的なリスクは認められなかった」としながらも、上述の問題点より「設計の安定性で信頼に欠ける」と結論し、「調達・生産計画の真剣な再考」が求められている、としている[55]

上記課題について2013年5月23日に発表されたアメリカ国防総省の報告書によると、昨年のF-35計画は全体のコストが45億ドル下がっており、上昇傾向にあったコストが減少に転じた[56]。 また、2013年5月31日には、2017年になる見込みだった初期作戦能力獲得も2016年へ前倒しされることが発表された[57]

価格[編集]

度重なる開発の遅延により、フライアウェイ・ユニットコスト(FUC、純粋な機体1機あたり製造コスト)、ウェポンシステム・ユニットコスト(交換部品や兵装込みの調達コスト)、プログラム・ユニットコスト(開発総額も含めた金額を1機あたりで割ったコスト)等の各種コストは当初の予定から大幅に上昇を続けている。

2002年時点のフライアウェイ・ユニットコストは5,000万ドル、2007年時点では1.5倍の7,500万ドルであったが、2010年3月11日に米国会計検査院(GAO)が上院軍事委員会(SASC)に報告したところによれば、F-35のフライアウェイ・ユニットコストは当初予定の約2倍の8,000万~9,500万ドルとされている[58][59]。2010年11月には2010年度2度目のF-35の開発の遅れが発表された。50億ドルの開発コスト増加が予想されている。

アメリカ空軍によると、2011年度予算におけるF-35Aのフライアウェイ・ユニットコストが1億2,200万ドル、ウェポンシステム・ユニットコストが1億8,400万ドルである[60]

2012年3月30日、アメリカ国防総省が議会に提出した報告書によると、開発、生産費が当初の見積もりより4.3%増加して総額約3,957億ドル(約32兆円)となり、本格生産に入る時期も2017年から2年遅れの2019年になるとしている。国防総省の報道官は、アメリカ軍が同機を約2,440機調達する計画に変更はないとしているが、配備後の運用・維持コストの総額は1兆1,000億ドル(約91兆円)となり、昨年の見積もりより1,000億ドル上昇するとしている[61]

2013年4月14日、アメリカ国防総省が発表した2014年度に出した国防予算案で、1機当たりウェポンシステム・ユニットコストを1億9千万ドルとすることを明らかにした[62]※引用元の記事では「航空自衛隊が調達を決めた最新鋭ステルス戦闘機F35Aの価格が、1機当たり約1・9億ドル(約189億円)であることが明らかになった」と書かれているが、これは誤報であると考えられる[63]

2011年末にA型の導入を決定した日本防衛省は、1機あたりの調達価格を本体のみ約89億円(スペア部品などを含めた場合約99億円)としていた[64]。翌2012年6月29日に正式契約が交わされた際には、2016年度に導入する4機については1機当たりの価格が約96億円(交換部品を含め約102億円)と上昇[65]。毎日新聞は2012年9月4日の記事において、製造に習熟していない作業員が製造に関わっているためコストが上昇し、一機当たりの価格が当初の1.5倍の150億円に達する見通しとなったと主張している[66]

配備[編集]

採用国 レベル 軍隊 型式 購入機数 IOC 備考
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 主開発国 アメリカ空軍 F-35A 1,763 2017年
アメリカ海軍及び海兵隊 F-35C 260及び80
アメリカ海兵隊 F-35B 340 2018年
イギリスの旗 イギリス レベル1 イギリス空軍 F-35B 未定
イギリス海軍 B型からC型に変更するも再度変更[67]
イタリアの旗 イタリア レベル2 イタリア空軍 F-35A 69 合計調達機数を90機へ削減
イタリア空軍及び海軍 F-35B 62
オランダの旗 オランダ オランダ空軍 F-35A 37
ノルウェーの旗 ノルウェー レベル3 ノルウェー空軍 56
デンマークの旗 デンマーク デンマーク空軍 30 導入未定
オーストラリアの旗 オーストラリア オーストラリア空軍 100 LRIP6での調達機数は2機、以降は未定
トルコの旗 トルコ トルコ空軍 100
カナダの旗 カナダ カナダ空軍 65→0 2012年12月14日導入を白紙撤回
イスラエルの旗 イスラエル 優先顧客 イスラエル航空宇宙軍 19 75機までの増加を予定
日本の旗 日本 航空自衛隊 42 LRIP8から調達開始の見込み[68]

調達予定国[編集]

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
アメリカ空軍
エグリン空軍基地に飛来した量産型F-35A(2011年7月)
アメリカ空軍F-16A-10を置き換える為に約2,400機以上の配備を計画したものの、後にA型1,763機導入へと削減された[69]。A-10後継としてB型の導入も検討されていたが、現在ではA型に一本化されている[69]
フロリダ州エグリン空軍基地第33戦闘航空団が、F-35Aを最初に装備する部隊となった[69]。2011年夏には訓練用機の引き渡しが行われ、パイロット育成が開始された[69]。他の配備予定の基地はユタ州ヒル空軍基地、サウスカロライナ州ショウ空軍基地とマッキンタイヤ空軍州兵基地、沖縄県嘉手納基地が発表されている[70]


アメリカ海軍
F-35CとF/A-18F
F/A-18A-Dの後継としてF-35Cを約430機導入する計画であった[70]。この計画通りに配備が完了すれば、空母航空団はF-35C 2個飛行隊、F/A-18E/F各1個飛行隊という構成になる[70]予定であった。現在では260機に削減されており、海兵隊のF-35Cを空母航空団に受け入れる計画となっている。
アメリカ海軍で最初にF-35Cが配備されるのは第101戦闘飛行隊(VF-101)で、アメリカ3軍のF-35訓練基地を1か所に統合する為、エグリン空軍基地を拠点とする[70]


アメリカ海兵隊
アメリカ海兵隊F/A-18ハリアーIIの後継機として、F-35Bの導入を予定していた[70]。現在ではF-35B 340機に加えて、F-35Cを80機導入し海軍の空母航空団に派遣する計画となっている[71]
アメリカ海兵隊でF-35Bを最初に装備を予定しているのは、第501戦闘攻撃訓練飛行隊(VMFAT-501)である。この部隊もエグリン空軍基地を拠点とする[70]
また、アメリカ国防総省は、最新鋭のF-35戦闘機を2017年に海外の基地としては初めて山口県の岩国基地に配備すること決定した[72]
イギリスの旗 イギリス
イギリス空軍のハリアーGR.5/7/9、イギリス海軍のシーハリアーFA2の後継機としてJSFを導入する事を計画し、垂直離着陸機であるB型の採用を計画した[73]。当初の計画では空軍が90機、海軍が60機の計150機を2014年後半より実戦配備の開始を予定していた[73]2006年にシーハリアーFA2の退役、2010年の新しい国防計画に基づくハリアーGR.7/9の早期退役と飛行隊の解散によりハリアー・ファミリーは退役を迎えたが、B型の導入計画はそのまま維持された[73]
その後、イギリス海軍のCATOBAR空母導入計画を受けて、導入をB型からC型へ切り替えるとし、空軍も共通性の確保からC型の導入を決める[73]。この時の装備計画機数は138機と発表された[73]。しかし、C型の開発が遅れているため、2012年5月に再度B型の導入に変更することを検討している。LRIP機に対する発注を行っており、LRIP3で2機、LRIP4で1機がイギリス向けに製造されており、いずれもB型である[73]
イスラエルの旗 イスラエル
F-35のSDD作業に、保全協力参加国として参加していたイスラエルは、イスラエル航空宇宙軍のF-16A/Bの後継機としてA型の購入を2010年8月に決定する[74]。当初は20機としていたが、現在では19機へ削減されている[74]。現在運用しているF-16A/B(現在88機/16機運用)の置き換えとして、最終的な装備機数は75機になると見られている[74]
更に将来必要となるF-16C/D(現在75機/54機運用)の後継として、可能であればF-35で代替をイスラエルは希望している[74]。これが実現すれば、F-35保有数は200機近くに達すると見られている[74]
価格高騰を受けてレーダー等を国内開発することも検討したが、逆に開発費がかかり過ぎると判明し、発注済みの19機についてはアメリカ空軍向けの機体と基本的に同じものになるという[74]
イスラエル航空宇宙軍は、ヒズボラハマスの長射程ロケット弾や、イラン地対地ミサイルによって、イスラエル国内の空軍基地の滑走路が破壊される危険度が高まったため、短距離発進・垂直離陸型のF-35Bの導入も検討している[75]
イタリアの旗 イタリア
イタリア空軍がA型とB型、イタリア海軍がB型の導入を計画している[73]。空軍と海軍の内訳は明らかになっていないが、装備計画機数はA型を69機、B型を62機とされる[73]。空軍はトーネード IDSAMXの後継機として、軽空母を有する海軍はハリアーIIの後継機としての配備を予定している[73]
オーストラリアの旗 オーストラリア
2006年12月12日、JSFへの参加を決定し署名を行うオーストラリア国防相ブレンダン・ネルソン英語版とアメリカ合衆国国防副長官ゴードン・R・イングランド
後ろはコンドリーザ・ライス国務長官(当時)
1995年にオーストラリアはF-111F/A-18A/Bの後継機の検討を開始し、「プロジェクト・エア6000」の名で調査を行った[76]。結果、JSFが最も高い評価を受けるが、F-111の退役には間に合わない事からF-111の後継にはF/A-18E/Fを充てることとなった[76]。よってF-35はF/A-18A/Bの後継としてのみの導入となり、予定数は100機となった[76]
当初は広大な国土をカバーする為に航続距離の長いC型の導入を検討したが、A型でも十分であるとしてA型の導入を決定する[76]2009年にオーストラリア政府は、14機分の第一次調達分の経費約32億オーストラリアドル(約2,590億円)の支出を承認している[76]
計画では2012年に52機分の購入規約を交わし、先の14機を含めた66機で3個飛行隊、及び1個訓練飛行隊を編成する計画である[76]。残りの34機は追加編成もしくは予備機にするとされる[76]


オランダの旗 オランダ
オランダ空軍が運用している、F-16AM/BMの後継としてA型を85機導入する計画であった[73]。早期導入を必要としていることから、イギリスと同様にLRIP機での発注を行っている[73]
LRIP3とLRIP4(オプション)でそれぞれ1機が製造されることになっているが、SDD作業の遅れで大幅に遅れることになった[73]
予定では第一陣の2011年受領、第二陣の2012年の受領だった[73]。また、2012年に量産機の調達についての方針が決められる予定だった[73]。実際には2013年に2機の試験機に加え35機の購入を決定した[77]。85機は当時のF-16保有機を1対1で更新する数であったが、実際には計37機まで縮小された。
トルコの旗 トルコ
トルコ空軍のF-4E 約40機、及び改修機である54機のF-4E 2020の後継機としてA型の導入を計画している[74]。100機の導入を予定しているが、2014年から2023年にかけての引き渡し予定は遅れている[74]。2013年1月12日に2012年に決定していた最初の2機の調達の延期を表明したが、全体で100機の調達に変更はないという[78]。2014年2月27日、トルコはF-35の調達を2015年に開始すると発表した[79]
日本の旗 日本
2011年12月航空自衛隊F-4EJ改後継としてA型を選定する[80]。導入予定機数は42機とされる。F-4だけでなく、F-15Jの初期型(Pre-MSIP)分の100機も代替する案もあり、購入数は42機以上となる可能性もある[81][82]
当初は2016年度期限内に1号機の納入を、アメリカが確約した旨が伝えられた[80]。だが、その直後に機体強度に関する不具合が確認された為、アメリカ政府高官や軍関係者からは2年程度の配備の遅れを容認する声が上がり始めた[80]。これを受けて、2016年度中の取得は難しくなる見方が強まっている[80]
防衛省はF-35Aの調達価格は、2012年度予算ベースで1機あたり本体のみ約89億円、スペア部品などを含めた場合約99億円としていた[83]。2012年度予算案においては、対外有償軍事援助を利用し調達される4機分が395億円(1機あたり98.75億円)、訓練シミュレーター整備費として205億円が計上された[84]。ただし、将来的には日本国内でライセンス生産をする予定であるため、ライセンス料が加算されて1機あたりの価格上昇は確実である。2012年5月3日にはアメリカ国防総省が、日本が導入を予定している42機の売却額が計100億ドル(約8千億円)との見通しを発表したが、これには予備部品及び15年のサポートが含まれており機体のみの価格は不明である[85]
同年6月29日に日本政府は、米国防総省と2016年度に導入する4機について、正式契約を交わした。1機当たりの価格は約96億円(交換部品を含め約102億円)である。交換部品の購入を減らすなどしたものの、2012年度予算に計上した89億円(同99億円)と比較して、約7億円(同約3億円)の上昇となった[65]
F-35Aの調達数
予算計上年度 調達数
平成24年度(2012年) 4機
平成25年度(2013年) 2機
平成26年度(2014年) 4機
合計 10機
ノルウェーの旗 ノルウェー
F-16AM/BMの後継機として将来戦闘航空機計画を立案、2008年1月に拘束情報要求を各メーカーに発出した[74]。これについてサーブ社、ユーロファイター社、ロッキード・マーティン社が提案を行い、ロッキード・マーティン社の提案したF-35についてより確実な情報を取得するため、2002年6月にSDD作業レベル3で参加することとなった[74]
選定の結果、2008年11月にF-35Aを後継機として決定する[74]。ノルウェー政府は「運用要求を完全に満たす事が出来たのはF-35だけだった」とし、機体価格についても候補の一つだったサーブ 39 グリペンの約2倍であるものの、30年間使用し続けた全運用期間中のライフサイクルコストはF-35のほうが30億ドルほど安くなるとしている[74]。2011年6月にはノルウェー議会が訓練使用機4機の購入経費の支出を承認している[74]
当初は48機の導入を予定していたが、現在は56機に増加している[74]。導入決定時の配備予定は2016年から2020年にかけてとされていたが、開発の遅延等を受けて現時点では明確な時期は示されていない[74]

採用検討国[編集]

デンマークの旗 デンマーク
デンマーク空軍のF-16AM/BMの後継機としてJSFの検討を行っており、SDD作業にレベル3で参加している[76]。だが、計画参画国中で唯一、現時点までF-35の導入を決定していない[76]。これはF-35の開発の遅延と機体価格の上昇によるもので、F-35以外にサーブ 39 グリペンF/A-18E/Fを加えた3機種による評価作業を行うとしている[76]
導入機種の決定は、当初は2009年6月を予定していたが2010年3月に延長され、F-16AM/BMの延命が可能である事が判明したことで、決定は更に2014年に延長となった[76]
F-16AM/BM後継機の導入機数は48機とされたが、2010年に24機∼36機と発表され、現在ではF-16AM/BM保有数と同じ30機とされている[76]
韓国の旗 韓国
F-4E後継機の第3次FXの60機において、F-15SE、ユーロファイターと並んでF-35AがRFPに応じた[86]。2013年8月16日、韓国の防衛事業庁が示した入札基準予算(8兆3000億ウォン)に、ロッキード・マーティンは予算を超過する金額を示し、F-35は選定から事実上脱落したとネットにて報道された[87]。9月24日、防衛事業庁はF-15SE採用を否決して、入札を白紙からやり直す事を発表した。韓国国防省は、新たな入札に1年程度の時間を要するとしていたが[88]、11月23日、入札条件にステルス機能と電子戦能力を追加することを決定し、F-35Aのみを検討対象とすることを事実上決定した[89]。一方で、第3次FXで購入する機体は韓国国産戦闘機として計画されるKFXの基礎技術として採用することが検討されており、日本と異なり韓国はライセンス生産が認められていないことから、技術移転の面で白紙撤回すべきとの国内意見もある[90]

導入中止[編集]

カナダの旗 カナダ
カナダ空軍のCF-188A/Bの後継機として、2008年5月にA型の購入を制式決定した[76]。予定では受領開始を2016年からとし、初度作戦能力達成を2018年としていた[76]。購入数は65機で、CF-188を直接置き換える計画であった[76]。配備はバゴビットビル基地の第3航空団とコールドレイク基地第4航空団の計3個飛行隊を予定していた[76]
2012年4月、カナダ会計検査院(OAG)は、F-35調達計画に予算上の不備があったことを指摘しており、同国のメディアでは「スキャンダル」あるいは「失敗」として報じられるようになっている[91][92][93]。5月9日には、中華人民共和国国務院系のニュースサイトである中国網により調達中止が報じられた[94]が、5月24日、ロッキード・マーティン社の副社長は、カナダが依然としてF-35の導入方針を堅持していることを発表した[95]。しかし12月14日、調達の白紙撤回を正式決定した[96]

仕様[編集]

F-35A 通常離着陸型
F-35B 短距離離陸・垂直着陸型
F-35C 艦載型
A型とB型とC型の比較表
F-35A F-35B F-35C
乗員 1名
全長 15.70 m 15.60 m 15.70 m
全幅 10.67 m 13.11 m
※折りたたみ時:9.10 m
全高 4.60 m
翼面積 42.73 m² 62.1 m²
空虚重量 12,426 kg 13,888 kg 13,924 kg
機内燃料重量 8,165 kg+ 5,897 kg+ 8,618 kg+
最大離陸重量 31,800 kg 27,000 kg 31,800 kg
エンジン F135-100 F135-600 F135-400
ターボファン
推力 18,144 kgf
最大速度 M1.7 M1.6 M1.7
航続距離 2,220 km 1,670 km 2,520 km
戦闘行動半径 1,092 km 833 km 1,111 km
実用上昇限度 19,240 m
運用状況 実用試験中


兵装[編集]

固定武装
A型のみ
各種ミサイル
空対空ミサイル
空対地ミサイル
空対艦ミサイル
対戦車ミサイル
巡航ミサイル
爆弾
F-35の兵装位置
F-35A,Cの搭載兵器総覧


出典・脚注[編集]

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参考文献[編集]

  • 月刊『JWings』2007年5月号 イカロス出版
  • 『世界の名機シリーズ F-35ライトニングII』2011年9月30日発行 イカロス出版
  • MC☆あくしず』2012 SPRING (Vol.24) イカロス出版
  • 月刊『航空ファン』2008年3月号 文林堂
  • 月刊『航空ファン』2008年12月号 文林堂
  • 月刊『航空ファン』2009年2月号 文林堂

登場作品[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]