ショックコーン

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ミグ21のショックコーン

ショックコーンとは超音速機のエアインテイクに設置されるものである。

目的[編集]

超音速の気流がそのままエンジンに入ると一見好都合に思えるかもしれないが、実際にはインテイク入口からエンジン内部にかけて複雑な衝撃波を発生させることとなり、吸気効率が著しく低下してしまい、さらに空気抵抗も増大し圧縮機の駆動に必要な動力も跳ね上がるため非常に効率が悪化し、エンジン損傷の原因にもなる。これを防止するためにインテイク手前で意図的に数段の斜衝撃波を発生させ、徐々に気流を減速かつ圧縮して亜音速としてからエンジン内部へと送り込む。

しかしいかに超音速機といえども離着陸時には亜音速以下になるため、超音速にしか対応できないのでは具合が悪い。また超音速飛行でも常に同じマッハ数で飛ぶとは限らないため、低速から超音速(最高速度)まで対応可能なように動かせるものがほとんどである。ただし性能を犠牲にして固定式とされたものも一部に存在する。

またラムジェットエンジンにおいては圧縮機が無く、前進速度によるラム圧でのみ吸気を圧縮するという性質上、低速では効率が非常に悪いため亜音速以下での飛行には全く向かず、超音速以上でなければその実力を発揮できないので、ショックコーンが持つ意味は非常に重要である。

歴史[編集]

超音速機が実用化され始めた頃は亜音速機とあまり変わらないエアインテイクを持っていた。このため超音速飛行においてエンジンの効率が低下し損傷しやすくなるという問題があったが、その頃には当然ながらショックコーンの持つ意義は知られていなかった。

史上初のショックコーン搭載の実用機はロッキードF-104であり、その高性能から「パイロットつきのミサイル」「最後の有人戦闘機」と呼ばれたりもした。なお、これ以前にもヴォートF8Uはインテイク手前に尖ったレドームが突き出しており、偶然にもショックコーンの役目を果たしていたが、元々その目的で設置されたものではないため固定式である。

初期のショックコーンはF-104がそうであるように円形もしくは半円形のインテイクの中心に配置されるスパイク型のものが多かった。これを前後に動かして衝撃波の角度をインテイクに合わせて速度に応じた効率を実現していた。

1970年代以降になると超音速機のインテイクは正面から見ると角型、横から見ると斜めに突き出しているものが多くなった。これは前に突き出した部分の角度を変えて低速から超音速まで対応するもので、スパイク型のものより調整が容易かつ幅広く行なえ、複雑な調整も可能なので主流となった。この場合インテイク入口の面積も同時に変更される。

写真[編集]