B-1 (航空機)

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B-1 ランサー

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B-1は、B-52の後継機として1965年にスタートしたAMSA(次期有人戦略機)計画により、ロックウェル社によって開発され、アメリカ空軍で採用されている可変翼(VG翼)の戦略爆撃機。公式の愛称は「ランサー」(Lancer:槍騎兵の意)だが、実際に本機を運用する人々からは「ボーン(→B-oneの意)」と呼ばれている。

超音速で敵領空内に低空侵入する長距離戦略核爆撃機として開発されたが、現在は緊急近接航空支援という、以前とはまったく別の任務を担っている。


概要[編集]

大型爆撃機としては珍しい可変翼を採用し、15度から67.5度の後退角で幅広い速度領域をカバーしている。最高速度は、空気取り入れ口が可変式となっているA型でM2.2、固定式となったB型ではM1.25となっている。また、ステルス性を持ち、レーダーによる発見率は低いといわれている。

ロックウェル社の航空宇宙部門は、ボーイング社に吸収されており、現在はボーイング社が供給している。ソビエト連邦Tu-160(Blackjack)は、B-1を参考にして開発したと言われている。これは、両者の外見的特徴が酷似しているのが要因であるが、両者は技術的には大きな差異があり、また、寸法もTu-160の方が一回り以上大きい。同じような現象は同時期の米ソ両国の宇宙往還機スペースシャトルブランにおいても見られる。

2012年時点で、66機を保有している。

沿革[編集]

翼後退時のB-1

B-1は、戦略爆撃機であるXB-70の開発が挫折したあと、超低空飛行により、搭載された電子妨害装置によって敵の防空網を無力化して、敵地奥深くまで侵攻し、核攻撃を行う必要があるとの戦略思想の元に亜音速低高度爆撃機(SLAB)の研究が1961年に開始された。1963年には、航続距離延長戦略航空機(ERSA)と低高度有人侵攻機(LAMP)の研究に進み、その後、他のメーカーは政府との契約に基づき、発進型有人侵攻機(AMP)と発進型有人精密攻撃システム(AMPSS)の研究を開始した。1965年にはAMPとAMPSSは一体化されて、発進型有人戦略航空機(AMSA)計画となり、1970年よりロックウェル社がこの計画の担当に指名されて開発が開始された。さらに、ソ連の先制核攻撃によって滑走路が一部破壊されても残った滑走路で離陸できるようにSTOL(短距離離着陸)性能も要求され、これらを満たすために可変後退翼が採用された。

B-1Aの初飛行は、1974年12月23日に行われている。1977年6月30日カーター政権下の軍縮によって開発・導入が中止された。戦略ミサイルが大量に配備され、新しい巡航ミサイルの開発が行われている状況においては、有人爆撃機の有効性に疑問があること、有人爆撃機の生産・管理には多くの経費が必要であることが理由であった。導入が中止された後も、完成した試作機4機を用いて爆撃侵攻評価(BPE)と呼ばれる試験飛行だけが続けられた。

1981年8月、レーガン政権による「強いアメリカ」政策によって計画の復活が発表された。既に大陸間弾道ミサイル(ICBM)などの大量配備により、大型長距離爆撃機による核爆弾攻撃という戦術は実情にそぐわなくなったこと、1980年代後半には退役するB-52の代わりとして新型爆撃機が必要となったことがあり、B-1は長距離戦闘航空機(LRCA)として装備することになった。そのため、要求仕様が大きく変更され、B-1も要求仕様が大きく変更された。特徴であったコックピットごと緊急脱出する分離脱出システムを通常の射出座席に変更・エンジン用空気取り入れ口を可変型から固定型の変更による最高速度の低下(M2→M1.25、コスト減・ステルス性向上のため)を行いつつも、B-1Bとして生産が開始された。

B-1Bの特徴と性能[編集]

B-1Bは、超低空侵攻による/通常攻撃、通常の戦略爆撃巡航ミサイルプラットホーム、などの任務をこなすため、地形追随レーダーや、赤外線監視装置ドップラー・レーダーECMシステムなど、充実した電子機器を搭載している。なお、第二次戦略兵器削減条約(START II)の対象となったため、現在配備されている機体はすべて核兵器の搭載を行っていない。

エンジントラブルや搭載コンピュータとECMのミスマッチング(B-1BのECMは自身を妨害するなどと揶揄された)により開発は遅延し、初の実戦投入は1998年砂漠の狐作戦となった。

B-1Bの搭乗員は、機長副操縦士、兵装システム操作員、防御システム操作員の4名で、これらの座席はすべてACES II 射出座席である。

B-1B

B-1Bの機体はB-1Aに引き続き、主翼から固定内翼部を介して胴体と滑らかに融合したブレンディッドウィングボディとなっている。固定内翼部分が発生させている揚力はかなりのもので、迎え角が大きいときには特に顕著となる。主翼は、前縁には、全翼幅にわたるスラットと防御装備と一緒の埋め込み式アンテナが、後縁には、全翼幅の約3/4を占める隙間式フラップを装備しており、コックピットから同じレバーを使って操作できるようになっている。エルロンは無く、その代わりとしてスポイラーが上部に装備されている。尾翼垂直尾翼は、垂直安定板と方向舵で構成されているが、水平尾翼は全体が可動する全遊動式となっており、ローリングの際には主翼のスポイラーと水平尾翼の差動により行われる。後退時、主翼後端はヒンジの付いた上部パネルによって巧みに覆い隠され、2重膨張シールによって保護される。機首下部には、2枚の低高度ライド・コントロール・ベーンが装備されており、低高度の飛行中に起きる乱気流を打ち消して飛行を安定させる。操縦装置はフライ・バイ・ワイヤ方式を装備しており、機体のローリングとピッチングを操作する操縦装置は大型機で使用されている操作輪ではなく、戦闘機に使用されている操縦桿が装備されている。また、乗員は前脚の後部にある機体下面から昇降する梯子を使用して乗り降りする。

エンジンは、ゼネラル・エレクトリックF101-GE-102アフターバーナー付きターボファンエンジンを4基搭載している。B-1A用に開発されたF101は、典型的な戦闘機用のエンジンより幾分大きく、ミリタリー推力海面高度で約75.6kN、離陸時にはアフターバーナーを使用し133.4kNの最大推力を発揮する。エンジンは2基組合わせてポッド式にして主翼付け根付近に搭載されている。

ランディング・ギア(着陸装置)は3脚で、主脚は二輪ボギー式の二重タイヤで四輪、前脚は二重タイヤとなっており、前脚は前方に引き込まれて収納されるが、主脚は二組のエンジンに挟まれたスペースに収納されている。「七面鳥の羽」と呼ばれるアクチュエーター・カバーがエンジンに装着されているが、取り外して軽量化することも可能である。

兵装の最大搭載量は34,020kgとなっている。胴体中央には、機内の3つの兵器倉が主脚前方に2つと主脚後方に1つあり、その中の前方の2つは、中央にある区間隔壁が可動式になっており、搭載される兵装の種類により区画割りが変更できるほか、取外して1つの兵器倉とすることが可能である。また、その下面には、6つの二重パイロンと2つのシングル・パイロンの8つの機外搭載ステーションがあり、そこにも兵装が搭載可能である。

搭載される兵装の種類は、機内の兵器倉に空中発射巡航ミサイル(ALCM)のAGM-86Bが8発、発展型巡航ミサイル(ACM)のAGM-129が4発、短距離攻撃ミサイル(SRAM)のAGM-69が24発搭載でき、自由落下のMk82通常爆弾Mk36機雷84発が搭載できる。8つの機外搭載ステーションにもAGM-69とAGM-129をそれぞれ12発が搭載可能である。また、それらの兵装類を兵器倉に搭載する際には最初に専用の回転式のランチャーに取付けてから兵器倉に搭載される。

その後、搭載兵装類の追加が行われており、ブロックCと呼ばれる能力向上では、各種のクラスター爆弾が搭載可能となり、ブロックDと呼ばれる能力向上では、軍規格1760兵器データバスが完全統合化されたことにより、総合直接攻撃弾薬(JDAM)の運用が可能となり、ブロックEと呼ばれる能力向上では、風偏差修正子弾散布装置(WCMD)のAGM-154 JSOWとAGM-158 JASSMの搭載が可能となっている。2008年からは、AN/AAQ-33 スナイパーXRと呼ばれる目標指示装置の運用能力の付与が行われている。

レーダーは、AN/APQ-164多モードパッシブフェーズドアレイレーダーで、機首に装備されている。

B-1Bの電子戦自衛装備の中核となるのが、防御システム操作員によって操作される防御電子機器システム(DAS)である。DASは、レーダー受信と対レーダー妨害を統合していることが特徴で、AN/ALQ-161A 無線周波数監視(RFS)/電子妨害システム(ECMS)、AN/ASQ-184 攻撃電子機器システム/防衛管理システム(DMS)と防衛操作および表示システム、AN/ALQ-161尾部警戒機能(TWF)の3つのパートで構成されている。AN/ASQ-161Aは、データパスにより他の機器とリンクしてインターフェースを行い、AN/ASQ-184を通して防御システム操作員との間で操作と表示ができるようになっており、データパスのインターフェースが故障して操作・表示ができなくなっても、単独での運用が可能である。また、自身のデジタル・データ通信ネットワークにより、機体の周りを多数取り囲んでいる妨害電波チェーンの制御を行い、機体のあらゆる方向からやって来る、多数のレーダーのあらゆる周波数の電波に対して同時に妨害を掛けることができるようになっている。尾部警戒機能(TWF)は、パルス・ドップラー・レーダーを使用して、後方から来る複数のミサイルを探知して位置のモニターを行い、その中から脅威のものが探知されると、TWFから妨害信号が発信されて、AN/ASQ-184を介してミサイル警報音とその方位と距離情報が表示され、防御システム操作員に知らせる、その後、その方位と距離情報を元に、DMSがコックピット後方の上面に搭載されている使い捨て式妨害装置(EXCM)のどちらかの側面を使用するかを判断してチャフ/フレアを射出する。また、2005年には、データリンク装置の導入と、乗員へ知らせる各種表示装置のアップグレードが行われ、2010年には、完全統合型データリング(FIDL)の装備が行われている。

チャフ/フレアは、前述したコックピット後方の後方上面にあるコンピュータ制御の自動および手動発射式の使い捨て式妨害装置(EXCM)に搭載されており、各8つの赤外線フレアとチャフのディスペンサーを構成して収納庫に格納されている。

派生型[編集]

B-1A
4機のプロトタイプが製作された。インテークは可変式を採用し、最高速度M2.2。1-3号機まではコックピットモジュール式脱出装置を採用している。
B-1B
要求仕様の変更からB-1Aから仕様を改めた機体。コックピットを通常の射出座席へと変更。ステルス性の向上とコスト低減のため、インテークを固定式としたため最高速度はM1.25に低下している。100機が生産された。
B-1R
既存のB-1Bのために提案されたアップグレード案。エンジンプラット・アンド・ホイットニーF119へ換装、レーダーAESA化、(あくまで防衛のためであるが)空対空戦闘などにも対処するため幾つかのハードポイント空対空ミサイルを装備可能とするなどの計画が盛り込まれていた。また、F119の搭載により、B-1Aより持続時間が20%短いものの、最高速度がM2.2になる予定であった。

ギャラリー[編集]

配備状況[編集]

爆弾を投下するB-1
上面から見たB-1

注)年号はB-1運用期間とその後

  • アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
    • アメリカ空軍
      • 第96爆撃航空団(96th BW)
        • 第4018乗員訓練飛行隊(4018th CCTS)1985-1986 解散:人員および機材を338th SBTSに引き継ぎ
        • 第338戦略爆撃訓練飛行隊(338th SBTS/1987年に第338戦闘乗員訓練飛行隊(338th CCTS)に改称)1986-1993 解散:人員および機材を7th WG/337th BSに引き継ぎ
        • 第337爆撃飛行隊(337th BS)1985-1993 人員および機材を7th WG/9th BSに引き継ぎ。部隊名は7th WGに人員機材無しで移動
      • 第28爆撃航空団(28th BW)
        • 第77爆撃飛行隊(77th BS)1985-1995 1997-2002 解散:人員および機材を34th BSに引き継ぎ
        • 第34爆撃飛行隊(34th BS)2002-運用中
        • 第37爆撃飛行隊(37th BS)1987-運用中
      • 第384爆撃航空団(384th BW)
        • 第28爆撃飛行隊(28th BS)1987-1994 人員機材無しで7th WGに移動
      • 第319爆撃航空団(319th BW)
        • 第46爆撃飛行隊(46th BS)1987-1993 解散
      • 第7航空団(7th WG)1997年に第7爆撃航空団(7th BW)に改編
        • 第9爆撃飛行隊(9th BS)1993-運用中
        • 第337爆撃飛行隊(337th BS)1993-1994 解散:人員および機材を28th BSに引き継ぎ
        • 第28爆撃飛行隊(28th BS)1994-運用中
        • 第13爆撃飛行隊(13th BS)2000-2005 人員機材無しで第509爆撃航空団(509th BW)に移動。B-2A運用飛行隊に
      • 第366航空団(366th WG)
        • 第34爆撃飛行隊(34th BS)1994-2002 人員機材無しで28th BWに移動
      • 第184爆撃航空団(184th BW)
        • 第127爆撃飛行隊(127th BS)1992-2002 KC-135Rに機種改編
      • 第116爆撃航空団(116th BW)
        • 第126爆撃飛行隊(126th BS)1996-2002 E-8Cに機種改編
      • 第53航空団(53d WG)
        • 第337試験評価飛行隊(337th TES)2004-運用中
      • 第57航空団(57th WG)
        • 戦闘兵器学校B-1部門(USAFFWS B-1 Division)1992-2003 77th WPSに改称
        • 第77兵器飛行隊(77th WPS)2003-運用中
      • 第412試験航空団(412th TW)
        • 第419飛行試験飛行隊(419th FLTS)1989-運用中

仕様 (B-1B)[編集]

諸元[編集]

B-1B 三面図
  • 諸元
    • 乗員:4名
    • 全長:44.81m
    • 全幅:41.67m(可変翼最大展開時)/23.84m(最後退時)
    • 全高:10.36m
    • 翼面積:181.16m²
    • 全備重量:216.365t
    • 空虚重量:86t
    • エンジン:GE F101-GE-102 ターボファン 4基(推力13,962kg)
  • 性能
    • 最大離陸重量:217t
    • 爆弾搭載量:34.02t(機内)/26.76t(機外)
    • 最高速度:M1.25
    • 航続距離:11,978km

武装[編集]

  • 搭載量
    • 爆弾など最大34.019tを、3つのウェポンベイに収納。

関連項目[編集]

  • 類似する航空機
Tu-160
Tu-22M

外部リンク[編集]

Nuvola apps kview.svg 画像外部リンク
B-1A 構造図
Searchtool.svg B-1A 構造図 Flightglobal.com