グローバル・ポジショニング・システム

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Navstar=GPS衛星(図は初期のBlock-I衛星)
舶用GPS受信機

グローバル・ポジショニング・システム(Global Positioning System, GPS, 全地球測位網)は、アメリカ合衆国によって運用される衛星測位システム地球上の現在位置を測定するためのシステムのこと)を指す。

ロラン-C (Loran-C: Long Range Navigation C) システムなどの後継にあたる。

概要[編集]

アメリカ合衆国が軍事用に打ち上げた約30個のGPS衛星のうち、上空にある数個の衛星からの信号をGPS受信機で受け取り、受信者が自身の現在位置を知るシステムである。

元来は軍事用のシステムであったが、現在では非軍事的な用途(民生的用途)でもさかんに用いられている。

GPSは地上局を利用するロラン(LORAN)-Cと異なり、受信機の上部を遮られない限り、地形の影響を受けて受信不能に陥る事が少ない。

GPS衛星からの信号には、衛星に搭載された原子時計からの時刻のデータ、衛星の天体暦(軌道)の情報などが含まれている。GPS受信機にも正確な時刻を知ることができる時計が搭載されているならば、GPS衛星からの電波を受信し、発信-受信の時刻差に電波の伝播速度(光の速度と同じ30万km/秒)を掛けることによって、その衛星からの距離がわかる。3個のGPS衛星からの距離がわかれば、空間上の一点は決定できる。

実際のGPS受信機に搭載されている時計はクオーツなどを利用しているため、あまり正確ではない。時刻の誤差がたとえ100万分の1秒であったとしても(100万分の1秒の時刻精度を維持することは非常に難しい)、距離の誤差は300mにも及んでしまう。そこで、4つのGPS衛星からの電波を受信し、GPS受信機内部の時計の校正を行いつつ測位を行う。

GPS衛星は約20,000kmの高度を一周約12時間で動く準同期衛星である(静止衛星ではない)。軌道上に打ち上げられた30個ほどの衛星コンステレーションで地球上の全域をカバーできる。また中地球軌道なので信号の送信電力としても有利であり、ある地域からみても刻々と配置が変化するため、全地球上で誤差を平均化できる(地域によってはカバーする衛星の個数が常に少ない場合もある)。

原理[編集]

二つの球面が交わるとき、一般に共通部分は円になる。
球面と円周が交わるとき、一般に二つの交点ができる。

3次元測位[編集]

GPS測位の原理は、局所慣性系で光速cが一定であることによる。

c=2.99792458 × 108 m/s

GPS衛星と受信機がともに正確とみなせる時計をもっていれば、送信時刻と受信時刻の差の時間tに光の速度cを掛けると距離rがわかる。

 ct = r

衛星の位置を座標 (X,Y,Z)、受信機の位置を (x,y,z) とすると、

 r^2 = \left(X-x\right)^2 + \left(Y-y\right)^2 + \left(Z-z\right)^2

GPS衛星の位置X, Y, Zは受信データに重畳された航法メッセージ信号を復調して得る。

受信機の位置である三つの変数x, y, zを得るには最低三本の連立方程式を要する。このため三つ以上のGPS衛星を受信する。つまり、

  • 1個の衛星からの電波が受信でき距離が決定できたとすると、そこから距離が一定である点は球面上のどこかになる。一定の長さの糸におもりをつけて振り回すと、おもりは糸の長さを半径とする球面上のどこかにいることになる。
  • 2個の衛星からの距離が決定できた場合、二つの球面が定まる。受信機は、二つの球面の交わりである円周上のどこかにいることになる。
  • 3個の衛星からの距離が決定できれば、二つの球面による円にさらに一つの球面が加わる。円と球面は2点で交わり、受信機はそのうちの一点に位置する(もう一つの点は衛星が位置する3点を通る平面に対し対称な位置、すなわち地球から離れた位置にある)。三脚は3本の脚(長さは異なってもよい)があるため固定できるのと同様である。

GPS衛星には原子時計が搭載されているため、時刻は正確とみなせる(現実には遅れ等の誤差が生じるので補正する)。一方、GPS受信機は原子時計ほど正確な時計をもたず、通常のクォーツ時計程度の精度である。そこで生じる時間の誤差をδとすると、式は

\left( r - c\delta \right)^2 = \left(X-x\right)^2 + \left(Y-y\right)^2 + \left(Z-z\right)^2

四つの未知数、x,y,z,\deltaを求めるには最低4本の連立式を要する。つまり、4つの衛星から受信することで、原理的に受信側の時計の誤差を除くことができる。

ただし、実際には誤差\deltaが定数とは限らず、衛星によって多少異なるかもしれないし、誤差の要因は他にもある。そこで、衛星との距離 r ではなく、二つの衛星との距離の差 \Delta を考える。

\Delta = c\left( t_1 - \delta_1 \right) - c\left( t_2 - \delta_2 \right) = c\left( t_1 - t_2 \right) - c\left(\delta_1 - \delta_2 \right) = r_1 - r_2 - c\left(\delta_1 - \delta_2 \right)

δ1 とδ2は等しくは無くても、差は小さい。打ち消しあうことで\Deltaの誤差は r の誤差よりはるかに小さくなることを利用する。
2衛星からの距離の差が一定な点は、2衛星を焦点とする回転双曲面をなす。上記同様、3衛星について双曲面の交わりから、受信機の位置を知ることができる(双曲線航法)。 それでも残る誤差の差分に応じて幅を持たせておく。さらに、より多くの衛星から受信することで誤差を減らすことができる。一般には、衛星iに対し、

\left( c\left(t_i - \delta \right) \right)^2 = \left(X_i-x\right)^2 + \left(Y_i-y\right)^2 + \left(Z_i-z\right)^2

i本の連立を、\Delta_iを用いて解くことになる。

SS変調による測距[編集]

GPS衛星からの情報を変調する方式であるSS (spread spectrum) 変調方式(CDMA: code division multiple access方式などともよばれる)は、人工的に作った(真の乱数と区別が付かない)コードである擬似雑音系列に送信データを掛けて送信信号を生成する。

このため、FMAM変調などに比べて広いバンド幅で低電力で送信でき、秘話性(擬似雑音系列がわからなければデータを復調できない)や秘匿性(白色雑音と区別がつかないため送信していること自体がわからない)、同一バンドを異なる擬似雑音系列で多重利用できることなどの特徴がある。

擬似雑音系列の開始位置の時刻を定めておけば、復調時に精度よく送出時刻を知ることができることも特徴のひとつで、GPSではこの特徴を活かして測位とデータ(天体暦(軌道)の情報などが含まれる)の送信を同時に行っている。

GPS衛星からのL1電波 (1.57542GHz) には公表されているC/Aコードを擬似雑音系列に用いた信号と、公表されていない擬似雑音系列であるP(Y)コードの2種類の信号が載せられている。P(Y)コードは軍事目的を想定しており、系列の生成多項式の次数が大きい(擬似雑音系列が一巡するのに長時間かかる)ため、精度は非常に高く(16cm程度)、ミサイル誘導爆弾の誘導に用いられている。

民間利用が許されている暗号化されていないC/Aコードのデータを用いると、95%以上の確率で正確な緯度経度から10m以内の座標が得られる程度の精度となる。これは短時間での精度であり、長期間受信し続けることにより精密な測量も可能である。

測位法[編集]

GPSの測位方法は、コード(搬送波の変調)に基づく方法(コード測位方式)と、搬送波の位相に基づく方法(搬送波測位方式)に分けられる。一般にはコード測位が用いられているが、高精度の測量には搬送波測位が用いられる。

単独測位 
コード測位。誤差10m程度(民生用)。
DGPS 
Differential GPS(相対測位方式)。コード測位。測位対象となる移動局のほかに、位置のわかっている基地局でもGPS電波を受信し、誤差を消去する方法。基地局で生成された補正情報を送信し、移動局で受信すれば、実時間でDGPSの補正処理を行うことができる。日本国内では、海上保安庁の中波ビーコンにより補正情報を送信しており、これを使用するのが一般的である。誤差数m
RTK測位 
Real Time Kinematic GPS。干渉測位方式。DGPSと同様に、電子基準点から受信する電波の位相差を計測し、測位計算。測位時間1分以下、誤差数cmが可能。測量地点では、基準受信機を参照基準点(既知)に設置し、(複数の)移動受信機で測位。
高速スタティック測位 
干渉測位方式。測量地点で、複数のアンテナを固定設置し、測位時間30以下、誤差1cm以下が可能。
VRS-RTK測位 
Virtual Reference Station RTK-GPS。RTK測位の弱点(初期待ち時間、複数の受信機が必要、移動範囲が限定、電子基準点から電波が届かない等)を改良。仮想基準点方式。複数の電子基準点と通信回線を結ぶVRSセンターがあり、測量地点では、1つの移動受信機から得られるデータを、携帯電話等によりVRSセンターと送受信し(データを持ち帰り後日計算も可能)、RTK測位を実施。

精度[編集]

GPS受信機の測位精度には、原理的な誤差による要因・人為的要因などさまざまな要因がある。ここではその他の不具合も含め列挙する。

下記のうち誤差要因については、GPS受信機である程度推定し表示することができる。GPS受信機がある円内にいる確率が50%であるところの円を、CEP (Circular Error Probability) とよぶ。地図を表示するタイプのGPS受信機では、この円も同時に表示し利用者への参考としているものもある。

電波伝播経路の特性[編集]

GPS衛星からGPS受信機まで電波が達する経路では、電離圏対流圏での電波特性の変化により、若干の電波伝播速度の遅延が生じる場合がある。これによって、計算で定めたはずの空間上の一点の信頼性が損なわれる。一般的に受信機からみてGPS衛星が低仰角の場合、この誤差は増加する傾向がある。これは大気中を電波が伝播するときの遅延による影響が、高仰角(薄い大気を通過する)よりも低仰角(厚い大気を通過する)で大きいからである。またそもそも低仰角衛星からの信号は減衰が大きい。

このための補正手段として、正確な時計をもち座標のわかっている固定局を設置し、GPS受信データから計算した位置と固定局の位置の差から、精度を上げるなどの仕組み(ディファレンシャルGPS、Differential GPS、DGPS)も確立されている。DGPSの補正信号は、かつてFM放送の利用されていない帯域で送信するシステム(JFN系列の放送局で実施)があり、カーナビなどでの利用には有用であった(1997年5月〜2008年3月)。また、WAASやMSASMTSATを利用した日本の運用)では、静止軌道の衛星からDGPSの補正信号を各受信機に送信している(WAAS/MSAS静止衛星自体もGPS衛星同様、測位にも使われる)。

このほか、ビル街や谷山ではマルチパス(ひとつの衛星からひとつの受信機までの電波経路が反射などによって多数存在すること・テレビのゴースト現象同様)により、信号の時間差が生じたりS/N比が低下し、精度が落ちる。

受信可能な衛星の個数・配置による影響[編集]

GPS衛星の軌道アニメーション。数字は北緯45度(北海道付近)から同時受信可能な衛星数

通常日本(本州)では、理想的に空がひらけている場合、受信可能な衛星は6〜10個程度である。位置の計算に最低必要な4個より多い衛星がみえている場合は、複数の衛星からの情報で測位精度を向上させることができる。それぞれの衛星からの信号強度(S/N比)を観測したりDGPS情報から衛星ごとの信頼度を与え、また4つ組みの取り方をなるべく計算誤差が大きく出ないように取ったり、さらに複数の測位結果の信頼度が低いものを棄却・平均化するなどの方法がとられる。

受信可能な衛星の個数・配置により、電波伝播の誤差が大きく利いてくる場合がある。原理での三脚での喩えを用いると、三脚の脚が固定の長さではなく、ある程度伸び縮みしたとしよう。すると三脚の頭が動く範囲(推定誤差範囲)は、三脚の脚の開き具合によって異なる。計算に用いる衛星のみかけの位置が接近していると、計算に用いる推定誤差が大きくなる(脚を閉じた三脚ではぐらつきが大きい)。また計算に用いる衛星が一直線に並んでいたりする場合は、ある方向への信頼度が大きく低下する(三脚の脚が並んでいると垂直方向にぐらつきが大きい)。

補助手段による精度の向上[編集]

GPSは原理的には最低4つの人工衛星がみえていることが必要であるが、空がひらけていない場合などは、補助手段で精度を向上させることも可能である。

まず、GPS受信機内部の時計が正確な時刻に校正された後の一定時間は、時刻情報は内部の時計を用いて3つの衛星で3次元の位置を知ることができる(#原理参照)。ただしクォーツ程度の進み遅れがあると、これも数分で信頼できない時刻になってしまう。

また、地球の形が分かっており、地表(あるいは一定の高度)を移動していると考えられる場合、さらに1つの衛星からの距離を省略しても位置は求められる。地球の形(平均海面)は球体ではなく赤道付近が膨らんだ回転楕円体扁球)であることは知られているが、これをよく近似した3次元曲面(WGS84など)を多くのGPS受信機がデータとして持っている。

さらに受信機のドップラーシフトを観測すると、C/A信号の1ビット送信時間未満の距離の観測もできる。衛星と受信機の距離が接近または乖離している場合、ドップラー効果により受信周波数の上昇または低下(これは信号の位相変化として観測される)がおきる[1]。これを用いれば、受信機が等速直線運動しかしていないか、それ以外の方向に動いたかも推定できる(1つないし2つの衛星からの信号でもある程度の位置は推定できる)。なお長時間の位相観測によりC/A信号の精度限界以上に精度を上げる方法は、測地用のGPS受信機などでも用いられている。

またカーナビなど大きなGPS受信機では、GPSで初期位置を決定した後は、ジャイロ加速度センサなどから得られる情報で自律位置推定できるGPS受信機もある。この場合完全に空が塞がれている状態(トンネル内に入ったとき)などもある程度の位置は分かる。航空機の慣性航法装置と同様であるが、精度は3桁程度低いため、数分程度の自律位置推定で測位は大きく外れる。

登山用のGPS受信機では、気圧高度計高度方向の位置推定の補助手段としたり(GPS信号の信頼度が高いときには逆に高度を校正したり)、磁気コンパスを併用するものもある。なおもともとGPSでは、高度方向は精度が低い場合が多い。空間の (x, y, z) 方向の誤差は均等であるが、前述のようにGPS受信機の多くは地表に沿って動く(地表と鉛直方向には動かない)ため、計算アルゴリズムを工夫して、地表に沿った方向の位置推定の精度を上げる代わりに高度方向の位置推定を犠牲にしているためである。

携帯電話・モバイル情報機器搭載のGPSでは、携帯電話の基地局の位置情報(精度数百m〜数km程度)を補助情報として用いることができる。このため初期捕捉を速くしたり、高速移動時に衛星を見失わないための補助手段とすることができる。

GIS情報を補助手段として用いる場合もある。カーナビでは地図を搭載しているため、道路情報と照らし合わせることで誤差を修正しているものもある(車は道路以外を走れない・水面を走れない、などという制約を利用している)。

測地系[編集]

GPS受信機に経緯度を直接入力してナビゲーションする場合、測地系をあわせることにも注意が必要。(例えば、WGS84若しくは日本測地系を選択)

原子時計の遅れ[編集]

受信機側での信号処理には、さまざまな要因によるものが含まれるが、高速で運動するGPS衛星の運動による発振信号の時間の遅れと、地球の重力場による時間の遅れである。後者は、衛星軌道の擾乱や信号到達距離の湾曲、発振信号の時間の遅れなどを引き起こす。 地上の時計は、GPS衛星の時計よりわずかに遅れるので、GPS衛星の時計は、これを補正するため遅く進むように設計[2]されている。この時間の遅れは相対論効果を考慮した計算結果と高い精度で一致しており、身近な相対性理論効果の実証の一つとして挙げられる[3]

GPS時刻[編集]

GPS時刻(GPSの基準時刻系)は1980年1月6日のUTC(TAI−19秒)を開始時刻(基準)とし、その後は、UTCのような閏秒調整は施されない。したがって、現在、GPS時刻はUTCから16秒進んでいる(2012年7月1日の修正後)。

このGPS時刻とUTCとの差はGPS信号の中に含まれているため、受信機ではこの差を補正してUTC時刻を出力することができる。このUTCとのオフセット信号は255(8ビット)の値まで持てるため現状の閏秒挿入のペースであれば2300年頃まで問題ないと考えられる。

人為的に加えられた誤差とその解除[編集]

1990年から2000年までは、米国の軍事上の理由(敵軍に利用されることを防止する)で、C/Aコードにおいて民間GPS向けのデータに故意に誤差データを加える操作(Selective Availability、略称 SA)が行われ、精度が100m程度に落とされていた。

SAが加えられていたときから既にGPSは民生用として有用であることが知られていたため、2000年5月2日4時5分 (UTC)[4][5] から米国はGPS技術を広く役立てて欲しいという主旨でこれを解除した[6]。競合技術であるガリレオEUが主体となって推進している)が提案された理由のひとつに、GPSのSAによる誤差により民生用で精度が上がらないということがあるが、これに対して優位を保ち続けリーダシップを取るという米政府の意図も含まれている。また民間GPS機器の軍事転用により調達コストを抑える目的もあると見られている。SA解除以降は、民間GPSでもC/Aコードの技術的な限界までの精度が得られるようになっている[7]

2000年以降は米国の政策上の必要に応じて、有事があった際など特定地域において精度低下の措置がとられる可能性があるとされていた。しかし、米国のジョージ・W・ブッシュ大統領と国防総省は2007年9月18日に、次世代GPS (GPS III) にはSA機能を搭載しない(正確には、「SAを持つ衛星を調達しない」)との大統領決定を発表した。したがって、この決定が将来覆されない限り、SAの操作は永久に実施されないこととなった[8][9]

多くの天文観測設備では天体追尾にGPSに同期させることで補正するクォーツ時計やルビジウム時計を用いている。このため、米国が秘密裏にSAを加えようとしても、少なくともSAが加えられたこと自体はエラーとして検出される。

1999年8月21日問題[編集]

1999年8月21日問題(GPSの時計が桁溢れする日)などが1024週ごとにある。これは、GPS衛星に搭載されている時計の週の積算データが10ビットで管理されているため、GPS時計の周期開始日である1980年1月6日から1024週後の1999年8月21日(JSTでは1999年8月22日午前9:00)にリセットされて内部で0週に戻ってしまう仕様となっていたのを無視してカーナビゲーションシステムを製造したために、発生した問題である。当時、対応が迫られていた2000年問題と同根の問題であることもあり、こう呼ぶ。

日本国内において修正ミスが原因の不都合が、一部のカーナビゲーションシステムで生じた。

その次にGPSの週の積算が0になるのは基点から2048週間後の2019年4月7日午前9:00 (JST) である。

様々な用途[編集]

民間利用の一例、タクシーにて。(2004年7月16日京都)

民生用GPS受信機は当初航空機船舶測量機器、登山用(個人携帯等)に利用されてきたが近年は自動車カーナビゲーション・システム、以下カーナビ)や携帯電話などにも搭載され利用されている。

個人携帯用[編集]

GPSを備えたタブレットの一例「Nexus7

携帯電話にGPSを組み合わせた製品も出現している。この種の製品では、地図情報・GIS情報をサーバ側にもつことにより詳細な地図を提供したり付加サービス(例えば最寄の料理店を検索し電話を掛けて予約する)の可能性が拡がっている。また情報を送信できないGPSと送受信機である携帯電話を組み合わせ、セキュリティ(児童誘拐や徘徊老人対策等)への応用も拡がっている。

さらに位置情報を併用したメッセージ交換システムも登場している。携帯端末利用者が、ある地点に特有の情報(例えば地理的な注意喚起、お店の感想、写真など)を残し、後から来たひとが検索・表示できるものがある。また検索を時刻で制約することで地点・時刻に特有な情報(例えば天候や交通機関の遅れ状態など)を参照することもできる。GPSで測位しつづけたトラッキング情報は、前記のように登山などの記録のため自己のみが参照できる・セキュリティのため限られたひとが参照できるのが普通であったが、最近ではあるコミュニティ(または完全にオープン)の中で自分の位置情報を配信し続けることができるサービスがある。これを利用すると仲間の行動が把握できたりするが、プライバシー漏洩防止の観点からは十分に注意しなければならない。これらのメッセージ交換システムは、あくまでもGPSで測位した地点と補助情報を(地理的に関係ない位置にある)サーバに蓄積し参照するものであるが、うまく作られている場合はあたかも地点にメッセージが結びついているかのように利用できる。

現在の携帯電話ではA-GPS (Assisted Global Positioning System) を利用して空が開けていない場所でも携帯電話の基地局から衛星の軌道データを受け取ることで測位までの時間の短縮を行っている[10]

携帯電話との組み合わせならではの技術として、空が開けていない場所でも携帯電話の基地局の位置情報を補助情報として利用する方式があげられる。 これは、基地局の既知の位置と、GPSから計算される位置を比較することで得られる誤差情報を基地局から携帯電話に送ることで、携帯電話の位置誤差を小さく出来るA-GPSと呼ばれる技術である。ちなみに、GPSチップ・携帯電話搭載のプロセッサの能力が低かった時代は、位置計算が高速でできない携帯電話のために、測距情報をホストに送り、緯度・経度・高度情報を携帯端末に送り返してもらうというシステムも存在した(現在はワンチップ型のGPSチップの中で位置計算まで完了できるのでこの種のサービスはない)。

登山用・単体モジュールを問わず、NMEA信号を出力することができるGPS受信機(GPSロガー等)は、プロ用一眼レフカメラなどと連動し、撮影記録を自動的に残すためにも使われている。対応機をGPS受信機と組み合わせれば、JPEG画像ファイルなどのExifフィールドに自動的に撮影地の緯度・経度・時刻などが記録される仕組みである。単体のコンパクトデジタルカメラ、GPSとカメラ双方を内蔵したスマートフォンでもこれが可能なものが出現している。

その他、ラップトップ型のPCやPDA、携帯ゲーム機をカーナビとして使えるようにするGPSユニットとソフトも発売されている。なお単体のGPSユニットは(電源内蔵でない場合、本体から電源を供給されなければ動作しないが)、測位等はすべてユニット内で完結しており、NMEAなどの標準フォーマットで緯度・経度その他の情報を送り出すものが多い。PCやPDA本体ではこれを受信し、地図ソフトなどと組み合わせてカーナビ同様に使ったり、トラックの記録をすることができる。PCやPDAの接続も、かつてはRS-232C(シリアル)接続やPCMCIA(PCカード)・CFカード規格が多かったが、現在はBluetoothで測位情報を本体に転送するものもある。

ゲーム・スポーツ[編集]

登山用
登山用はもともと数値的に経度緯度を表示するだけのものであった。これは経度と緯度が細かく記してある正確な地図がなければ役に立たない。この種のものはトラッキング(移動経路)を記録することができるものが多く、登山のみならずグライダー等での競技にも用いられている。最近では登山用でも、白黒の低解像度の地図を内蔵するものから比較的詳細なカラー地図を表示できるものへと進化が進んでいる。いずれにしても電池切れや故障に備え地図と磁気コンパスを携行することは必要である。
フィールド用
アスリート用に走行距離・ラップなどを表示する、腕時計のような形態の非常に小型の製品も実用化されている。これはナビゲーション用途ではなく、従来は歩数計(振動の情報を利用)などを利用していた測位の精度向上のためである。
ジオキャッシング
ジオキャッシングはネット上で公開されたキャッシュ(宝)の緯度・経度とヒントを元にGPSを利用しキャッシュを探すゲームである。当初はGPSのSA解除に伴い、GPSの精度でどのくらい位置を精密に特定できるか、というネットニュース上での問いかけに応じる興味で始まったものである。10年以上・数百万人以上のプレイヤーがいる現在では、類似のハイテク宝探しの元祖として、趣味として確立されている。キャッシュには様々なタイプがあるが、実体があるキャッシュ (物理キャッシュ) の実体は、数ccのチューブ〜数十Lのバケツ以上の大きさの容器 (コンテナ) であり、ログブック (見つけた日時・ジオキャッシングIDを記録する) や交換アイテム (オプション) などが入っている。見つけた人はログブックに記録しオンラインのログにも記録する。
GPSドローイング(GPS絵画)
GPSドローイングGPS絵画)はGPSロガーで描いた緯度・経度の軌跡により、文字やイラスト等のイメージを制作する行為である。軌跡はGoogle Earthなど地図ソフトウェア上に表示ができる。
パラグライディング競技・パラシューティング競技
これらのスポーツでは、(1) 競技者がGPSを公式な記録として提出することができる、(2) GPSを用いてより良い記録を出すことを目指す、などの利用がなされている。滑空距離や落下位置の正確さを競うこれらの競技では、従来写真による記録や審判員による目視で記録がなされることが多かった。プレイヤーが所有するGPSの記録を提出し、それが改ざんされていないと認められれば、有力な記録の証拠となる。また単体機のGPSレシーバでは、立体的にリアルタイムの移動距離・降下率を計算し、事前に設定した目標へ近づく参考となる機能を備えたものもある。
エリア奪取
エリア奪取auのGPS携帯電話位置情報サービスを使って、陣取り合戦をするゲームである。地球上を緯度1分×経度1分の四角形で区切ったものを「エリア」と呼び、「エリア」を参加者が奪い合う。ただし、位置情報サービスはEZwebの通信を使っておこなうため、auの電波状態が良好な地域に限られる。逆に、auのEZwebで通信できるなら、険しい山岳や海上も「エリア」となる。
迷路・ビーストハントなど
ガーミンの単体機GPSレシーバには、GPSを利用したゲームが内蔵されているものがある。ある程度以上広いところでGPSが受信できるならば、実際にプレイヤーが動くことでゲームをプレイする(レシーバが表示した仮想の迷路をプレイヤーが動いて脱出する、など)のゲームを行うことができる。

船舶[編集]

船舶にとってGPSは重要な航法支援設備である。航空機同様、陸から離れたら目印をもたない海上において、遭難・衝突や座礁を免れるために、精度の良い航法支援システムを利用することは重要であった。そもそもGPSはロラン-Cに取って代わるためにつくられたシステムである。

漁業用船舶や個人用のレジャーボートに搭載されるGPSでは、魚群探知機と組み合わせ、漁場をマークするなどの機能が付加されているものもある。

カーナビゲーションシステム[編集]

カーナビゲーションはGPSの実装において技術的に有利な応用である。自動車からは安定した大容量の電源が供給でき、GPS用アンテナを良い位置に設置できる。また本体が大きくてもよいため、詳細なカラー地図を内蔵できる。

しかし目的地への案内を目的としたカーナビゲーションの特性から、地図上の自動車道の新設・廃止等に随時追従する必要性や、近年では地図のみならず、例えば電話番号やレストランのリストなどGIS情報まで活用するようになり、ROMなどで固定データを本体に内蔵するのは不利になってきた。そのためデータを任意で更新できるような仕組みが備わっているものが標準的である。これには大きく分けてCDDVD等の記録媒体でデータを供給し必要に応じて記録媒体そのものを交換して更新するものと、機器に内蔵されたハードディスクフラッシュメモリのデータを何らかの手段で書き換えることで更新を行うものとがある。

また、レーダー等による速度規制取り締まりやシートベルト着装取り締まり等を行っている場所の緯度・経度をデータとして持ち、その近辺で警告を発する機器も存在する(レーダー探知機の項を参照)。

航空分野[編集]

GPSやGLONASSなどの位置情報を航空機にも使用することが促進されている。

従来の航空機航法は、VORDMEなどの地上航法支援施設を用い、いわば電波の灯台への方位・距離を測定して現在位置を知る方法だった。これに対し、衛星が4個以上見えていればある程度の精度で絶対位置がわかるGPSは、航空機向けの測位方式であるとも言える。

しかしながらGPS信号をそのまま航空航法に使用するには、測位の安全性・信頼性・精度等に問題がある。具体的には、低高度、特に精度がもっとも必要とされる着陸寸前の地形による遮蔽・マルチパス、機体の姿勢変更に伴いロックした衛星(測位に用いている衛星)が変化すること、一般にGPSによる測位では航空機にとって重要な高度方向の精度が緯度・経度方向の精度より低いこと(ただしこれは計算方法にもよる)、ジェット機などは高速移動するためドップラーシフト・衛星コンステレーションの時間的変化が無視できないこと、などである。

ただし、大型機ではINS(慣性航法装置)や従来の測位方式などと併用すること、小型機ではVFR(有視界飛行方式)が主であることなどから、実際の運用では(制度上は認められていないものの)機長判断の参考として用いられている場合が多かった。

こういった流れを受けて、また近年では航空機運航の高密度化により定められた航空路以外の経路を飛ぶための一手段として、GPS情報を航法に利用することが国際民間航空機関 (ICAO) や国土交通省航空局 (JCAB) でも検討されてきた。その成果として日本では、一部の空港の離着陸手順においてRNAV (GPS) 航法の実施が2007年9月27日より開始された[11]。航空機はウェイポイントとよばれる架空の点を結ぶ線を経路とするように飛行する。従来のVOR/DME航法では、VOR/DMEの位置、あるいは1つまたは2つのVOR/DMEから一定の方位角・距離にある架空の点をウェイポイントとしていた。これに対しRNAV航法では、地上施設に拠らない自由な点をウェイポイントとして定めることができるため、飛行経路の短縮による運航時間の短縮、燃費の節約などが見込まれる。

航空機での精度向上を一次目的とした、静止衛星型衛星航法補強システム (SBAS: Satellite Based Augmentation System) の運用が以下の各国で開始され、あるいは計画されている。

  • 米国:WAAS (Wide Area Augmentation System)
  • ロシア:SDCM (System for Differential Corrections and Monitoring)
  • 欧州:EGNOS (European Geostationary Navigation Overlay Service)
  • 日本:MSAS (MTSAT-based Satellite Augmentation System)
  • インド:GAGAN
  • 中国:CNSS (Compass Navigation Satellite System)

SBASでは、GPS衛星の補正情報(特に高度情報の補正)や信頼性情報を送信し、またSBAS衛星自体も測位のためのひとつの衛星として働く。さらにSBAS衛星は静止軌道にあるため、中〜低緯度地方では天頂に近い高仰角でみえているのも有利な点である(北緯35度では仰角55度)。航空以外の分野でも、例えばビル街でのカーナビの精度向上にも役立つと考えられている。SBASを補助情報として用いることができるGPS受信機はすでにSBAS対応(WAAS対応)受信機として広く普及し始めている。

日本のMSASについては、航空機でのRNAV運用に伴い、2007年9月27日から試験信号フラグ (MT0) が運用モード (MT2) となり、正式に供用開始となった。ただし初期のWAAS対応機など一部のSBAS対応受信機では、MSASの衛星番号を設定・処理できないため測位に利用できないものがある。

科学技術分野[編集]

科学技術分野では、もちろん国土の形状を明らかにしたり、cm単位で地球の動きを知り地震予知に役立てるなどの、いわばGPS本来の用途のほかに、トラッキングや時刻の高精度同期などにも利用されている。

大型の渡り鳥にGPS発信機を装着して、その渡りの過程を追跡することに利用されている。山階鳥類研究所は絶滅が危惧されているアホウドリの繁殖活動を行っており、その一環として伊豆諸島鳥島で生まれたアホウドリを聟島へ移住させて繁殖地の拡大を図っているが、そのうちの7羽にGPS発信機を装着してその後の足取りを追跡した。その中の1羽がカムチャッカ半島アリューシャン列島アラスカ湾カナダ西海岸を経由してアメリカカリフォルニア州サンフランシスコ沖に辿り着いていることが人工衛星による追跡で判明し、現地での写真撮影によりその個体が確認された。アホウドリの2万km以上におよぶ渡りの経路の詳細がGPSの技術により明らかになった[12]

GPS衛星搭載の原子時計からの時計情報も科学分野を中心に広く活用されている。GPSの時計情報はGPS衛星に搭載されている原子時計の精度とほぼ一致し、クォーツ時計の精度よりもはるかに高い。そのため、野外で正確な時刻を知る必要がある場合や、複数点で時計情報を高精度で一致させる(同期する)ために用いられる。GPS本来の目的である位置決定とは異なる利用法であるが、とくに地球科学土木工学分野に大きな効果を与えている。

たとえば地震を監視しその震源を高精度に決定するためには、広範囲に多数設置された地震計すべての時計を秒未満の精度で一致させ[13]、かつ数ヶ月から数年間にわたりその状態を維持する必要がある。そのために従来はJJY信号を同時に記録し時刻を記録していたり、各地震計に原子時計を接続する必要があり、コスト負担が大きかった。しかしGPS受信機を接続することにより、GPS衛星からもたらされる高精度の時計情報を受信できるようになったため、すべての地震計を容易に時刻同期させることが可能となった。

地震計に限らず精度の高い時刻情報が必要な場合、計測機器に小さなGPS受信機を取り付けることが多い。また、こうした用途のために各計測機器にGPS受信機が付属している場合がある。

コンピュータの時刻をネットワークで高精度に同期させるプロトコルであるNTPサーバでは、大元となる超高精度のサーバ (stratum 0) は従来、構築が容易ではなかったが、GPS受信機との接続により比較的容易にstratum 0サーバを構築できるようになった。

このほか、位置が既知の基地局で高精度にGPS測位を行い、その誤差情報からGPS電波伝播経路の大気の状態を知るGPS気象学なども実用化を目指して研究されている。

防犯[編集]

窃盗誘拐等の特定の物や人物に対する犯罪を防止するために、GPSが活用されている。例えば、建設機械は高価な機械も少なくなく、開発途上国などで需要が高いため日本等において窃盗されることが多いが、メーカーがGPSで現在位置を報告する装置を一台ごとに組み込んだところ、窃盗された建機の位置が特定し犯人が検挙された事例が報道され、建機の窃盗が減っている[14]。また、誘拐等の児童に対する犯罪が社会的関心が高まる中で、保護者が児童の位置を管理しそれらの犯罪を防止するためにGPS付の携帯端末が販売されており、一部の携帯端末(mamorino等)は警備会社と提携して、問題行動があれば保護者に代わりに即応できる体制のサービスも提供されている。近年は、GPS携帯端末を徘徊行動をする認知症を患った高齢者や、一人暮らし若しくは持病のある高齢の親に持たせて、何かあった場合に位置を確認して親類が保護したり、警備員が駆けつけるサービス[15]を利用して保護している家庭もある。それ以外に重要なモノを管理するために活用したり、児童や高齢者同様成年男性や女性の居場所を探すために利用されている。しかし、これらの機能がストーカーの付きまとい行動に悪用されている事件も発生している。

軍事用途[編集]

勿論、本来の目的である軍事用途においてもGPSは活用されている。湾岸戦争イラク戦争では、アメリカ軍の地上部隊はGPSのおかげで何の目印もない広大な砂漠での進軍を可能にした。誘導爆弾もGPSを利用したタイプが登場し、安価でレーザーなどによる誘導操作が不要である反面、命中精度に劣る事や標的座標エラーによる誤爆の危険があるなどの問題点がある。

高周波信号の生成[編集]

従来水晶振動子を用いて生成していたPLLの基準信号をGPSの受信信号に置き換えることにより、PLLの要素機能をほぼそのまま流用しながら、GPS信号とほぼ同等の精度および安定性を持つ高周波信号の発振回路を作ることが出来る。このような回路はGPSDOと呼ばれ、基準信号であるGPS信号と同じく時刻および周波数基準に使用されたり、QRSS等の超狭帯域無線通信(おおむね数Hz以下)の信号生成に用いられる。

GPSにまつわる誤解[編集]

以下の言説は、すべて誤解である。

  • GPS衛星はGPS受信機(カーナビ等)に直接その座標値 (x, y, z) を送っている。
  • GPS衛星がカーナビのルートを作成している。
  • GPS衛星はGPS受信機の位置を逆探知できる。
  • GPS衛星とGPS受信機が相互に通信をしている。
  • GPS情報によって方位も決定している。(ただし、GPSコンパスを実装している製品を除く)

正しくは、GPS衛星は宇宙空間に向けて基本的に時報と自衛星の天体暦(軌道)情報を発しているだけであり、一方、GPS受信機はそれらを受信することで、そのGPS受信機の現在位置を計算する。

また、方位についてはGPSコンパス[16][17]と呼ばれるような機能によって、ある程度離した二つ以上のアンテナによって受信したGPSの位相信号と、そのアンテナたちの相対的な位置関係から方位を算出することができる。しかし、その機能を実装していない多くの製品においては、ジャイロ機構や方位コンパス等を使用していない場合、静止している受信機器の向いている方位を知ることはできない。なお、進行方向については移動しながら累積した複数の位置座標から容易に求める事が出来る。

GPS受信機は、外部に電波を発する装置を有していないため、位置情報をGPS衛星に通知するのは原理上そもそも不可能である。つまり、GPS受信機は受信するだけ、GPS衛星は送信するだけなのである。

実際、大半の航空会社では離着陸時を除いてGPS受信機の機内での使用を認めている。[要出典]

この誤解の元となった技術に、運輸業などの車両位置監視システムや、児童・徘徊老人のセキュリティシステムなどがあるが、これらではGPS受信機の位置情報を外部に通知するために、携帯電話等による通信を行っている。2008年2月5日に岡山市で現金自動預払機 (ATM) が盗まれた事件では、事件発生後約45分でGPSによって盗難ATMを発見するという成果を挙げている。このケースでも機器組み込み型の携帯電話モジュールでセキュリティ会社への位置通報をしていたとみられる。

同様の技術・関連技術[編集]

前述の様にGPSは元々アメリカの軍事用システムであるため、民間や他国の利用には一定の制限が設けられる事が多い。そのため、より自身の利益に適った独自のシステムを保有しようとする動きがみられる。下記以外にも、中国やナイジェリアトルコなどにも他の衛星ナビゲーションシステムの開発の動きがある。

日本[編集]

日本には、3基の人工衛星からなりGPSの位置情報を補正して高精度の測位を可能とする準天頂衛星システム (Quasi-Zenith Satellite System, QZSS) と呼ばれる計画がある。すでに事業化を検討する民間の主体として新衛星ビジネス株式会社が2002年に設立されており、高速で移動する車輛の内部で精度25cmとされる測位精度を用いた各種事業が検討されていた。最初の人工衛星は2008年に打ち上げられる予定だが予算の都合で通信・放送との複合機能衛星となっており、それらのサービスのシナジー効果が期待されていたが、採算性の面から2006年3月に放送・通信の事業化が断念され、純粋な測位衛星として利用されることになった(新衛星ビジネス株式会社は2007年8月2日に解散し財団法人衛星測位利用促進センターが測位分野のみ継続)。

ちなみに日本では2005年第44回衆議院議員総選挙自由民主党マニフェストである「政権公約2005」の52項目に「国家基盤としての衛星測位の確立と骨格的空間情報の整備」との記載があり、日本独自の高精度な位置測定衛星を打ち上げる可能性が出ている。

日本ではその後、内閣官房測位・地理情報システム等推進会議が設置され、2006年3月には「準天頂衛星システム計画の推進に係る基本方針」を発表した。それによると、国家が衛星測位の重要性を認識し、民間の資金負担がないとしても、国家が衛星測位システムを整備することを宣言している。

2010年9月11日に、準天頂衛星の実用試験機「みちびき」が打ち上げられてシステムの有効性が検証され、今後2019年までに衛星3基が追加で打ち上げられ、4基体制でシステムが運用されることが決定された。

ロシア[編集]

旧ソ連は米国との対抗上、GPSと同様のGLONASSを構築しようとしたが必要な衛星を全て打上げる前にソ連が崩壊してしまい、予算の縮小から衛星打ち上げが頓挫した。ロシアになってから計画が再開され、2005年には再開後初の衛星を打ち上げ、2010年までに24基の衛星を打ち上げる予定とされる。2011年には全世界で測位可能となり、現在は測位精度を高めるためにGLONASSとGPSを併用する受信機が登場している(GLONASS#受信機も参照のこと)。

欧州連合[編集]

GPSを使用する上で米国に頼ることを嫌ったEUは独自のGalileo(ガリレオ)を計画、中国も計画に参加している。2005年にはロシアのソユーズロケットを用いて最初のジオベ衛星を打ち上げたが、共同事業体の体制がととのわず、民間企業も採算の見込みが立たないと手を引いたため、本格運用開始の目処が立たない状況となっている。

インド[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ ドップラーシフト値を用いると、0.1 m/s以下の精度で速度計測が得られる。
  2. ^ U.S. Coast Guard Navigation Center, "Interface Control Document (ICD 200c)"
  3. ^ GPSと物理 九州大学理学部物理
  4. ^ [1] Data From the First Week Without Selective Availability
  5. ^ [2] 2000年5月2日4時以降は、それまでの最大100mの誤差が10m程度の誤差に改善されている。
  6. ^ [3] SA解除についての大統領声明 2000年5月1日
  7. ^ [4] SAについてのよくある質問
  8. ^ [5] Office of the Press Secretary September 18, 2007
  9. ^ [6] "DoD Permanently Discontinues Procurement Of Global Positioning System Selective Availability" September 18, 2007
  10. ^ [7]
  11. ^ [8]
  12. ^ 東京新聞特報部「太平洋渡るアホウドリ」、『東京新聞』2009年(平成21年)10月28日(水曜日)、 24面。
  13. ^ 1979年時点でも、100分の1秒の精度が望ましいとされた。地震学会編、1979、『地震の科学』、保育社
  14. ^ 建設機械にGPSなど「防犯」効果 盗難被害激減 2011年2月09日 神戸新聞
  15. ^ ココセコム 高齢者を見守る 警備会社セコムのサービス案内のページより
  16. ^ [9]
  17. ^ [http://gishop.jp/html/page8.html

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]