レーダー探知機

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レーダー探知機

レーダー探知機(レーダーたんちき、Radar detector)とは、警察の取締に使用されている速度計測器が発する電磁波などを検出して通知する装置である。

概要[編集]

レーダー式速度測定器、自動速度違反取締装置(通称“オービス”)などから発射されるレーダー波を検知し、チャイム音やLED点滅、文字表示、音声アナウンスなどでレーダー波の検知を知らせる。

また、レーダー波を用いない取締りに対しては、レーダー波受信機能による検知ができない。したがって、警察車両による追尾式取締り(レーダーを使用しないタイプ)や「光電管」などを用いた有人式取締りなどを、レーダー波受信機能によって検知することはできない。ただし、光電管などを用いた有人式取締りで取締無線(350.1MHz)などが用いられていれば、取締無線などを受信することはある。

レーダー探知機によっては、強いレーダー波(電界強度の強いレーダー波)を短時間に受信したときに「ステルスアラーム(ステルス波識別警報)」を発するものがある。ただし、ステルス式レーダーの性質上、「ステルスアラーム」(状況によっては、単なるレーダー警報)が鳴ったときには、すでに被測定車両の速度超過を現認している場合がある。なお、ステルス式レーダーへの接近(または遠去)を被測定車両が事前に察知できる(ステルス式レーダーに完全対応した)レーダー探知機は今のところ存在しない。そのため、GPSを用い、警報対象(オービス・取締多発地域)の附近を走行する際に、警報を出す機能が付属した機種もある。

しかし近年は、取締り側機器の非レーダ化が進み、道路アスファルト下に車両検知装置を埋め込んだ方式(ループコイル式、LHシステムなど)や光電管式(送受光器から対面する反射板間にレーザ光を送信し、2点間の通過時間から速度を計測する方式)に移行している地域も多い。このため、従来の取締に用いられる電磁波だけを受信して警告する機器は、取締を事前に察知する目的を達成できない場合も多く、それを車両に設置する意味が薄れてしまった。

現在ではそれらの機器に替わり、従来の取締に用いられる電磁波受信警報に加え、GPS受信機能によって現在地を判断し、警報対象箇所データ登録されている地点を警報する方式が実質的な主流となっている。GPS機能+定期的な警報対象箇所データ更新により、新たに設置された自動速度違反取締装置や新たな取締地点などが追加され、警報できる箇所が増えたり、撤去された場所での警報を防ぐことができる。

また、警報・警告の対象(識別対象)や機能が増加すると共に、データ件数も増加している。ただし、警報対象箇所データに登録されていない場所で、光電管式、ループコイル式や追尾式などのレーダー波を使用しない(または、測定の瞬間だけ電波を発射する狙いうち方式) 速度取締が行われていた場合には、GPS搭載機種でも警報できない。

過去における機能・機種など[編集]

取締りで用いられるレーダー波の周波数が、電波式の自動ドアの周波数と近接しているため、自動ドアの付近を通過する際にしばしば誤検知を起こすことがある。特に、デジタル信号処理(DSP)が用いられる以前のレーダー探知機は、コンビニエンスストアなどに設置された電波式の自動ドアを頻繁に検知したため、俗に「コンビニ探知機」と呼ばれた。

オートバイ用探知機には、バッテリーを内蔵し胸ポケットに入れて使う機種や、耐水性機能を付加しヘルメットや車体に据え付けて使用する機種が流通している。

2000年代初頭までは、フロントガラスに吸盤で固定する機種が多く見られたが、2014年現在、フロントガラスに貼付・固定する方法での取り付けは、道路運送車両法で禁じられている[1]

付属機能[編集]

レーダー波以外の要素を併用した探知機も多く製品化されている。

ソーラー機能
太陽電池を持ち、太陽光で発電した電力を内蔵のバッテリーに蓄えて使う機能。車室内の配線が不要になるメリットがある。しかし、内蔵バッテリーが尽きると動作しなくなる。また、機能の多様化や装置の小型化によって、動作電気量がソーラーで賄える電気量を越えている機種があり、それらは、バッテリー節約のため機能が一部制限されるなど、省エネモードに移行される。メーカーでは安定動作のため、ソーラー機能付であっても配線により自動車から電力を供給することを推奨している。近年は機能の多様化により、廉価機種以外は採用例が減っている。
無線受信機能など
警察車両搭載のカーロケーションシステム発信電波や各種のデジタル警察無線、取り締まりの連絡に使う警察無線の有無を傍受する機能。
警察で用いられる特定周波数の電波を検出すると警告を発するものが多い。
また、高速道路管理車両やレッカー車タクシー連絡無線など各種無線の音声を受信できる機能を備えていることが多い。(ただし、デジタル無線では交信の内容を聴くことができない)
GPS機能
レーダー波を用いない取締装置やNシステムHシステムの設置位置を座標データとしてあらかじめ記憶しておき、GPSにより自車の座標位置と照合することにより、警告を出す機能。取締装置が新設・変更された場合には対応できない。
近年、上位機種においては「準天頂衛星 みちびき」や「グロナス」、「気象衛星 ひまわり」に対応した高精度の測位を謳った機種も登場している。
なお、メーカーによっては有料または無料のサービスにより、機種別の最新データが定期的に配信されそのつどダウンロードできる、もしくはメーカーへ本体を送付することによる更新サービスを提供している機種もある。
無線LANにより、最新のデータを自動的に更新する機能が内蔵、またはオプションで搭載できる機種も登場している。
GPS機能の拡張として、自車の走行速度を検出する機能を持つ機種もある。停止時または低速走行時など警報の必要がない速度では警報を抑制したり、速度超過時には通常より強い警告表示が出たりする。
その他のGPS利用としては、「直前でのGPS電波受信が困難な、トンネル出口付近に設置された自動速度違反取り締まり装置を、トンネルに入る前に事前警告する」「走行道路が高速道か一般道かを判断して、該当道路に設置されたもののみを検出する」「一方向車線のみを対象に設置されている場合に、進行方向を判断して反対車線での警報を抑制する」などがある。
Gセンサ
GPSを用いた自車の座標位置特定機能は、トンネルなどのGPS電波受信が困難な場所ではうまく働かないという欠点を持っている。この欠点を補強する形で加速度センサを搭載している機種がある。GPS電波が途絶えた後も、車に対する加減速の度合いや左右への加速度の掛かり具合を加速度センサで測定しつづけることで、自車の座標位置を算出するというものである。これにより、GPS電波受信困難な場所、代表的にはトンネル内部等においても、開けた場所と同等の、自車の座標位置特定機能を提供できるとしている。
気圧センサ
高速道路一般道路が併走、もしくは一般道・高速道路等が高架または地下道によりどちらの道を走行しているか判断できないケースがある。この欠点を補う形で「気圧センサー」を搭載している機種が登場している。これによって自車の高低差を判断し、高速道路入口などの高低差を検知し、一般道と高速道路の識別およびそれぞれの警告ができるようになった。
液晶表示機能
機能の多様化にともない、警告音のみではただちに何の警告か判断が難しいことがある。そこで液晶表示パネルを備え、警告音に加えて警告表示を行うタイプが登場した。警告の必要のない通常時は、前述のGPS機能により車速や進行方向などを表示している。液晶表示機能のないタイプに比較するとやや大型化する傾向がある。
大型化への対策として、大型ルームミラーの形を取り、ミラーの端にレーダー情報が液晶表示されるようにしたものがある。大型ルームミラー自体、広い後方視界を確保する目的で市販されており、これとの融合によってレーダー自体の大きさを感じさせないようにしたものである。走り慣れた場所など、過度の警告を必要としないときは(警告のみ有効のまま)表示を切り、後方視界をさらに広げることも可能なタイプもある。
各種情報提供機能
GPS座標位置情報を利用し、前方もしくは近隣の自動速度違反取締装置以外の有用な情報も提供する。駐車禁止エリア、急カーブ、事故多発ポイント、警察署交番消防署などの注意すべき地点や、道の駅サービスエリアなどの、ドライバーの休憩所などを示す。
リモコン機能
機能の多様化と、機種の小型化にともない、機能設定のためのスイッチを全ての機能に対して割り当てることが困難になってきた。そこで基本的な機能設定スイッチだけをレーダー探知機本体に残し、他の応用的な機能設定スイッチを別体のリモコンにしたタイプがある。
OBD2のDLC(データリンクコネクター)
車両情報表示
一部メーカーでは配線をエンジンコントロールユニットの自己故障診断用OBDコネクターに接続することによってエンジン情報や燃費などを表示できるものがある。
OBD IIに接続し車速を取得することにより、GPSが受信できないトンネル内でも正確な警告が可能。OBD IIから取得した情報から水温や燃費やブースト圧などが画面に表示できる。
さらに一部輸入車でもOBD IIの接続に対応している。
PND(Personal Navigation Device)一体型
小さな液晶画面を採用し、簡易型カーナビゲーションとして使えるようにしたもの。レーダー探知画面とカーナビ画面とを切り替えて使用するが、カーナビ画面中にもレーダー情報が表示される。衛星電波が届かない場所ではカーナビとしては使えないなどPND特有の難点もあるが、レーダー探知機に付属するカーナビ機能として手軽に使用できる。
ゲーム機能
一部メーカーでは画面にキャラクターを表示し、走行距離や内容に応じてそのキャラクターが喋るセリフが増加するなどの機能を備える。

カーナビゲーションの付属機能[編集]

カーナビゲーション地図に速度違反取締機の設置位置を情報として持たせレーダー探知機としても使えるようにしたものがあるが、レーダー波を検知していないので厳密には本稿の定義から外れる。なお、カーナビゲーションの機種によっては速度違反取締機検出精度向上のため、レーダー波検知ユニットをオプションで取り付けられるようにしたものがある。

関連機器の違法性[編集]

レーダー探知機に関連する機器として発売されている「レーダーテスター」「レーダー探知機感度調整器」「レーダー妨害器(レーダージャマー)」「レーダースクランブラー」「Xバンド・シグナルジェネレーター」「Xバンド・オシレーター」「Xバンド・VFOスキャナー」などについて、他の無線局の運用(レーダー式速度測定器での速度測定等)を阻害するような混信その他の妨害を与えた場合には、たとえその出力が微弱電波(発射する電波が著しく微弱)の範囲の無線局(送信設備)であっても電波法第56条(混信等の防止)に反し、電波法違反となる。

Passport x50 Radar/Laser detector. Canada

日本国外におけるレーダー探知機の違法性[編集]

日本国内での所持および使用は合法である。メーカーは、取締りを積極的に回避させ、暴走行為などの法律に触れる行為を助長するものではないとしている。しかし、国によっては法を定め、違法としている場合もある。

フランスにおいては、レーダー探知機(Anti radar)の所持および使用は、違法である。実際に電源を入れて使用していた場合はもちろん、未使用の状態で所持していただけでも検挙の対象となり、当該機材(レーダー探知機)を没収の上、最高3000ユーロの罰金が科せられる(実刑判決が出たケースもある)。

オーストラリア(ウェスタンオーストラリアを除く)でも、レーダー探知機等("Radar detector" or "Radar jammer",etc.)の所持および使用は、違法である。

レーダー探知機が違法な国の例[2][編集]

  • アイルランド
  • アメリカの一部の州 - 州法によって異なる
  • アラブ首長国連邦
  • オーストラリア - ウェスタンオーストラリアを除く。
  • オランダ
  • カナダ - 一部の州を除く。
  • ギリシャ
  • サウジアラビア
  • シンガポール - 所持・購入・販売または使用が違法。
  • スイス
  • ドイツ
  • トルコ
  • フィンランド - 所持・購入・販売または使用が違法。
  • フランス - 所持および使用が違法。
  • ベルギー
  • ポーランド - 所有は合法だが、走行中の車両での使用は違法。
  • マレーシア - 所持・購入・販売または使用が違法。
  • 南アフリカ - 走行中の車両での使用は違法。
  • ルクセンブルク

メーカー[編集]

 かつて製造していたメーカー[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ レーダー探知機・よくある質問Q&Aユピテル社ホームページ
  2. ^ [1] 世界のレーダー探知機事情