減災

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

減災(げんさい)とは、災害時において発生し得る被害を最小化するための取り組みである。防災が被害を出さないことを目指す総合的な取り組みであるのに対して、減災とはあらかじめ被害の発生を想定した上で、その被害を低減させていこうとするものである。

英語では、防災は、disaster prevention(災害の予防を重視する), disaster management(防災・減災・応急対応・復旧復興までを含む広い意味での防災全般を対象とする)という。減災には、disaster mitigation, disaster reduction, disaster risk reduction (DRR) が使われる。災害(disaster) を軽減(reduce) するのはおかしいという意見もあり、災害リスク(disaster risk) を軽減するという disaster risk reduction (DRR) という言葉がよく使われるようになってきている。被害軽減(damage reduction)という用語も使われる。類語としてdamage control (ダメージコントロール)があるが、これは事後の措置(応急処置)を対象とする。災害原因事象(地震、台風、火山噴火、竜巻など)はハザード(hazard)、それによってもたらされる負の効果を災害(disaster)という。disaster は、直接被害、間接被害、二次被害なども含む広い概念である一方、damage は直接被害のみを指す。経済被害の場合は経済損失(economic loss)という。一般に「災害の防止軽減」という場合には disaster prevention and mitigation が使われてきた。

概要[編集]

1995年1月17日に生起した阪神・淡路大震災後の2004年頃、被災者の体験から生まれた概念である。

それまでの防災は、あくまで被害を出さないために万遍なくコストをかける、いわば保険のような発想で行われていた。しかし、いざ災害が発生してみるとその地域の防災力を上回る被害が起こることがあり、被害を完全に防ぐことは不可能であり、また、発生が想定される全ての被害を食い止めようとすると、いくらコストをかけても間に合わないことが明白となった。また、防災とは災害が発生した後のことを重視している。しかし『減災』で重要なことは発生前の平常時に如何に被害を減らすために対策を講じるかである。

そこで、如何なる対策をとったとしても被害は生ずるという認識のもと、災害時において被害の程度が大きいと想定される課題に対して、限られた予算資源を集中的にかけることで、結果的に被害の最小化を図ろう(≒人命が失われるという最悪の事態だけは何としても避けよう)という発想が生まれたのである。これが減災の発想であり理念である。

ただ、災害における地域の弱点を発見し、対策を講ずるとしても行政単独で対策をとるだけでは、減災は達せられない。それは、災害時に最も被害を受けるのは他でもない、地域に住む市民自身であるからである。それだけに、近年は行政と市民が協働で地域の防災力を向上させようという防災まちづくり事業が多くの市町村において取り組まれるようになりつつあり、減災は防災まちづくりにおけるひとつの戦略として浸透しつつある。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]