サージング

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サージング (Surging) とは、ジェットエンジン等の圧縮機を有する機器が圧縮機失速、後段の圧縮空気が前段に向かって逆流する等によって正常に機能しなくなる現象である。圧縮機失速 (Compressor stall) を誘発することがある。

概要[編集]

閉じた部屋の中に空気を圧縮して詰め込むことを考える。もしこの部屋のドアを開けたら、空気はドアから外に出ようとする。軸流式圧縮機では、動翼と静翼を交互に空気が通過することによって圧力を上げていくので、圧縮された空気は動翼間や静翼間といったいわば「ドアが開いた」部屋に「閉じ込められて」いると言える。圧縮された空気が隙間から漏れるのを防ぐ為には、隙間(ドア)が開いている時間を極力短くしなければならない。低回転時はドアが長く開いていることになり、最も圧力が高くなる最後段から前段に向かって逆流するように空気が部屋の外に出ていく。これがサージングと呼ばれる圧縮機内の空気の逆流現象であり、エンジンスタート時などの低回転時に起こりやすい。

離陸時にも対気速度とエンジン回転数のバランスが崩れる等の理由により発生する。また上空では音速付近で発生し易い。軸流式圧縮機において比較的発生し易く、遠心式圧縮機では比較的発生しにくいが、皆無ではない。発生すると燃焼室への空気供給が滞るため、出力が急激に低下する。またサージング特有の轟音があるので乗客も気付き易い。

対策としては軸流式の場合ステーターの角度を可変式にする、圧縮機駆動軸を多軸化する、抽気を行なうといった方法がある。可変式ステーターは単軸式圧縮機が多かった時代にはよく見られたが、現在では多軸化等で設計が改良され、限界内で制御するFADECの採用で減りつつある。一方で多軸式圧縮機は、エンジンの要求性能や技術面での向上等から、現在に至るまで主流となっている。抽気は単軸時代から存在する方法で、圧縮機の途中に空気が出入り可能な構造を用意しここから圧縮機内部の様子に応じて給気もしくは排気することで気流を安定させ失速を防ぐ。多軸と単軸のどちらにも対応可能な方法で現在でもこの仕組を搭載したエンジンがある。

事例[編集]

サザン航空242便墜落事故ではパイロットが急激なスロットルレバー操作をして圧縮機のサージングを誘発し、これがエンジンに損傷を与えて不時着の一因となった。

サージングは流体力学失速により、コンプレッサーの空気流が揚力を失う。圧縮機の性能を著しく損ねる。原因はいくつかあるが、多くの場合、圧縮機の負荷の状態や設計に起因する。

要因として以下の例がある。:

ブレードのような部材に損傷を受ける 
民間機で損傷を受ける最も多い事例はバードストライク(離陸時、地上での移動時、着陸時にを吸い込むこと)である。しばしば重大な損傷を与える。
圧縮機部材の磨耗や汚染 
この場合、回転翼の侵食、ブリード弁やシールの錆びに起因する。
圧縮機部材の誤組立て 
この場合、圧縮機の案内翼が正常に作動しない事に起因する。

他にも以下の原因が含まれる:

  • 航空機の設計運用域を超えた運用を行なった場合
  • エンジンの設計仕様を超えた運用を行なった場合
  • エンジンに渦流や高温の空気が流れ込んだ場合。