サーブ 39 グリペン

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サーブ 39 グリペン

JAS Gripen a (cropped).jpg

サーブ 39(JAS39 JASは「ヤース」と発音)はスウェーデンサーブ社を中心として開発された戦闘機。愛称はグリペンスウェーデン語Gripen (有翼獅子))。

目次

[編集] 概要

JAS39のJASはスウェーデン語のJakt(戦闘)、Attack(攻撃)、Spaning(偵察)の略で、文字通り戦闘・攻撃・偵察をすべてこなすマルチロール機(多目的戦闘機)である。機体のサイズで分類すれば軽戦闘機となり、航続距離などで妥協する代わりに運用の容易性と高いコストパフォーマンスを実現している。

グリペンはカナード(先尾翼)とデルタ翼の組み合わせ(クロースカップルドデルタ)という、サーブ 37 ビゲンを踏襲した形状となっている。ただしビゲンのカナードが揚力カナードであるのに対し、それ以降のクロースカップルドデルタ形式は、揚力を発生しない制御カナードを用いる例が多い。グリペンも同様であり、カナード全体がエレベーターのように可動するオールフライング方式を採用している。さらに着陸時には前に最大まで傾き、エアブレーキの役目を果たす。

武装は機銃1門のほか、機体下面に対空・対地・対艦兵装を搭載する。

[編集] 開発

[編集] 要求

冷戦期のスウェーデンは軍事的に中立という政策を打ち立てていたため、戦時は敵に先制攻撃を受ける可能性が高かった。そのため先制攻撃を受けてもダメージが少なくてすむよう、戦闘機は空軍基地に配備するだけでなく各地に分散して配備し、通常は山をくりぬいて作ったシェルターなどに格納している。そして作戦時は高速道路を使用して離着陸する。当然、高速道路で滑走路のように何キロも直線状になっているものは少ない。そのためスウェーデンの戦闘機は短距離の直線道路で離着陸(STOL)できる必要がある。

また、シェルターのように整備が十分にできない場所でも整備ができるように、高い整備性も求められた。

[編集] 経緯

サーブ37ビゲンの後継として1980年から開発が開始、1981年に機体初期提案がなされ翌1982年に政府はこれを承認、試作機5機と量産型30機の開発契約が与えられた。

試作初号機は1988年12月9日に初飛行を行った。試作初号機が1989年2月3日に試験飛行中にフライ・バイ・ワイヤのソフトの欠陥から機体振動 (PIO[1]) を起こし、着陸に失敗。試作初号機が大破したため、その穴埋めとしてJAS39A量産初号機が試験に使用された。これは1992年に初飛行している。そして量産2号機が実質量産初号機となり1993年に初飛行したが、この機体も試作初号機と同じくフライバイワイヤの欠陥から同年8月8日に墜落、ソフトウェアの改善が必要とされ生産の計画は大幅に遅れることとなる。

1995年を見込んでいた最初の飛行隊の発足は1年遅れ、1996年になってからであった。なお複座型のJAS39Bは1996年に初飛行を行った。

^PIO:Pilot Induced Oscillation(パイロットに起因する振動)

[編集] 年表

  • 1980年:開発を開始
  • 1982年:スウェーデン政府と開発契約を結ぶ
  • 1988年12月9日:試作初号機が初飛行
  • 1989年2月3日:試作初号機が大破
  • 1992年:JAS39Aの量産初号機が初飛行
  • 1993年:量産2号機が初飛行
  • 1993年8月8日:量産2号機が墜落
  • 1996年:部隊運用開始
  • 1996年:JAS39Bが初飛行
  • 2008年4月23日:グリペンDemoロールアウト
  • 2008年5月27日:グリペンDemo初飛行
  • 2011年:リビアにスウェーデン空軍が派兵。初の実戦投入。

[編集] ビゲンとの違い

グリペン以前にスウェーデンが使用していた戦闘機、サーブ 37 ビゲンは、スラストリバーサー(逆噴射装置)を使用することによって通常の離着陸は500 mあれば十分という、良好なSTOL性能をもっていた。しかしビゲンは自重が10 t以上と重いため、通常の高速道路では着陸できず、特別に補強をする必要があった。

一方のグリペンは、通常時離着陸に必要な滑走路の距離は700mとビゲンよりは長い。しかし自重が約6.5 tと軽量であるため、高速道路を特別に強化する必要はなく、結果的に使用可能な場所が増えることとなった。

[編集] 各型

JAS39A
単座型。
JAS39B
複座型。機銃なし。
JAS39C
単座型。GPS端末を装備するなどA型の電子装置を改良したもの。2002年2月にスウェーデンは中立政策放棄を行っており、テロ対策及びヨーロッパでの戦争に対して積極的な役割を果たすという新ドクトリンを打ち出している。これに伴い、国外運用およびNATO軍との連携を考慮、プローブアンドドローグ方式空中給油装置を追加装備している。
JAS39D
複座型。C型同等の改良を施したもの。
グリペンDemo
グリペンNGの先行試験機。複座型をベースに2008年4月23日にロールアウト[2]、同5月27日に初飛行した[3]。エンジンをRM12(F404改)からF414Gに、レーダーをPS-05/Aからタレスと共同開発したAESAに換装。さらに主脚を再設計し、格納位置を胴体部分から主翼付け根部分に移動させる事でエアフレームを流用したまま40%の燃料搭載量の大幅な増加を図った。また主脚の格納方式の変更に伴い、胴体下のハードポイント数が2個増加している。
グリペンNG(next generation)
グリペンDemoにさらなる改修を施した輸出型。変更点はエンジンのF414GF/A-18E/Fにも採用されているもの、推力約10t)への換装、AN/APG-80等のAESAレーダーの搭載、コンピュータアビオニクスの改良、衛星通信能力・改良型データリンク、改良型電子戦機器などの導入があげられる。

このほかにも、JAS39DをUCAV化する計画が現在スウェーデン空軍で行なわれている。

[編集] 輸出

前任のビゲンの他国への輸出がゼロだった結果を反省し、グリペンは輸出にも積極的である。同世代の戦闘機に比べ能力的には劣るものの、安価(特に機体の維持整備に関わるコストが安い)で小型軽量な多目的戦闘機という特徴を生かし、イギリスBAEシステムズと提携して、各国の次期主力戦闘機候補として売り込みを行っている。主な取引先は、以下の通り。

南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国

南アフリカ空軍が運用しているチーターC/Dの代替として、28機の購入を決定している。機体は2008年から配備が始められる予定。

ハンガリーの旗 ハンガリー

ハンガリー空軍で運用しているMiG-29A/UBの代替として14機のリースを決定済み。2006年3月から2007年12月の間に配備される予定。

チェコの旗 チェコ

チェコ空軍のグリペン
チェコ空軍向けに一度24機の購入を決めたものの、2002年にヨーロッパで発生した大洪水により被害を受けた首都復興に予算が充てられ一旦取り消しとなった。評価は続けられ、その後の再考の結果、リースではあるが再び採用を決定した。
2005年度中に同国空軍で運用中の全てのMiG-21MF/MFN/UMを代替するとして、同年8月には全ての機体の納入が完了した。

タイの旗 タイ

タイ空軍F-5の代替として、12機の購入を閣議決定している。第1ロットの6機は2011年2月に配備された。[4]価格は第1ロット6機が整備部品や訓練費用込みで190億バーツ(約610億円)、第2ロット6機が154億バーツ(約495億円)となっている。[5][6]2011年2月22日、タイ南部スラートターニー空軍基地に第1ロット6機が配備された[1]

イギリスの旗 イギリス

機体の輸出ではないが、王立テストパイロット学校(ETPS)が、高速ジェット練習機課程にてスウェーデン空軍とともにシミュレータを用いた訓練を行い、さらにサーブ社において同機の複座型に搭乗しての教育を行っている[2]

スイスの旗 スイス

スイス空軍が運用しているF-5E/Fの代替として、グリペンNGを22機導入することを発表した[3]

[編集] スペック(JAS39A)

JAS39 Gripen.svg
  • 乗員:1名(B/D型は2名)
  • 全長:14.1 m(B型:14.8 m)
  • 全幅:8.4 m
  • 全高:4.5 m
  • 翼面積:30.0 m²
  • 空虚重量:6,620 kg
  • 最大離陸重量:13,000 kg
  • 戦闘航続距離:約800km
  • フェリー飛行時航続距離:約3,000km
  • 上昇限度:15,240 m
  • 最高速度:マッハ 2.0
  • エンジン:ボルボ・フリューグモートル社製 RM12(ゼネラル・エレクトリック F404ベース) × 1基
  • ミリタリー出力:5,488 kgf
  • アフターバーナー出力:8,210 kgf
  • 固定武装:BK-27 27mm機関砲 × 1

[編集] 登場作品

[編集] 参考文献

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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