デコイ (兵器)
デコイ (decoy) は、攻撃を受けるとき、敵を欺瞞して本物の目標と誤認させ、攻撃を集中させる目的で展開する装備である。
可視光での索敵を欺瞞するもののほか、赤外線、レーダー、ソナーなどを欺瞞するものがある。肉眼以外を対象とするものは、多くの場合、本物よりは小さいが、高い反射率などで本物に似せている。レーダーを対象としたものは電子妨害手段 (ECM) に分類される。
ある程度自律的に行動するものもあり、それらは無人兵器にも分類される。
自ら電波や音などを発するアクティブデコイと、反射するのみのパッシブデコイに分けることもできる。
演習や訓練で使われるターゲット(模擬敵)をデコイと呼ぶこともある。
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種類 [編集]
地上 [編集]
敵の空爆が予想される場合に、可視光での索敵を欺瞞するため、木・紙・布・風船などで、戦車や航空機に似せたハリボテを作る。
空挺 [編集]
空挺部隊がパラシュート降下するときに、空挺兵に似せたデコイを同時に投下し、敵を欺瞞する。これをパラダミーと呼ぶ。ただし、パラダミーには気象状態を確認する用途もあり、この用途ではレジャー目的のスカイダイビングなどでも使われる。
第二次世界大戦でドイツ軍がオランダとベルギーで初めて使い、ノルマンディー上陸作戦で連合国軍が多用した。
航空機 [編集]
航空機のデコイは、レーダーと赤外線を対象とする。
航空機から発射され自力で飛翔するデコイは空中発射デコイと総称される。マクドネルのクェイル、イスラエル製の戦術空中発射デコイ (Tactical Air-Launched Decoy, TALD) などがある。
フレアは、燃焼することで赤外線を発する金属粉末でできており、赤外線誘導ミサイルをひきつける。
水上艦 [編集]
艦船のデコイは、レーダーと赤外線を対象とする。
艦船は静止もしくは移動しても低速であるため、ドップラー・レーダーでの検出が難しく、デコイを動かさなくてもレーダーに対する欺瞞が容易である。
赤外線誘導ミサイルの欺瞞のためには、航空機と同様のフレアも使われる。
潜水艦 [編集]
魚雷発射管から発射するが、魚雷よりもずっと小型のこともある。弾頭はなく、偽のスクリュー音や反射音を発する。
アメリカ海軍のMK70などがある。
古い物としては、第二次世界大戦末期、一部のUボートに「ノイズメーカー」と呼ばれるデコイが装備された。このノイズメーカーと呼ばれる物は、囮魚雷タイプのデコイとは違い、Uボートから射出されると、化学反応を利用した泡を放出しながら水中をしばらく漂い、ソナーを利用しての探知行為を攪乱する物であった。ちなみにこのノイズメーカーには、イタズラをする妖精の「KOBOLD(コボルト)」をもじった「ボルト」という俗称が付いていた。
弾道ミサイル [編集]
弾道ミサイルの一種であるMIRVのデコイは、レーダーを対象とする。MIRVは複数の弾頭を搭載しているが、その中に、アルミ塗装した風船を混ぜ、レーダーでは弾頭と区別できなくする。
デコイは弾頭やチャフなどとともにミサイルバスに搭載される。中間フェーズで本物の弾頭とともにバスから放出され、最終フェーズでは大気との摩擦で燃え尽きる。
迎撃を妨害するというデコイ本来の効果のほか、本物の弾頭がどこを目標としているかを着弾直前まで分からなくさせるという効果もある。