国債
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国債(こくさい、英: Government bond)は、国家が発行する公債である。
目次 |
概要 [編集]
国債は発行時に償還期限と利率が定められており、購入者はこれに応じた利息を受け取ることができる。償還期限を迎えると、元金である国債の発行時の金額(額面額、または額面価格という)が支払われる。
国債は他の債券同様に発行された後でも市場で売買できるため、価格は常に変動している。国債:価格とその裏返しとしての国債金利(長期金利)は世界情勢や、国債を発行している国の社会動向、経済状態を反映するため、政治的にも非常に重要な要素である。
現代においては、国家への融資であることから比較的安全な投資であるとされる。2000年にアルゼンチンがデフォルト(債務不履行)を宣言している例がある。これはアルゼンチンがアメリカから、アメリカ・ドル建てで借りていた債務(公的対外債務)が支払い不可能に陥ったためにデフォルトを宣言する事態になったのであって、日本のように自国民から自国通貨建てで借金している場合は形式上デフォルトはありえない(ハイパーインフレーションによって通貨がほぼ無価値になることはありえる)。事実2002年、大手格付け会社のムーディーズが日本国債を格下げしようとした際、日本の財務省は各格付け会社に対して「自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」という意見書を叩きつけた[1]。
国家が債務不履行に陥るのは、1998年のロシアや2001年のアルゼンチン(ドル建て国債)、そして2012年のギリシャ(ユーロ建て国債)のように、外国から外国通貨建て(共通通貨建てを含む)で借金している場合である。
国債の信用力については、民間会社による格付けが行われている。
歴史 [編集]
国債をめぐる政策は、広義の近代化である大航海時代以来、長く社会問題の軸になってきた。君主が発行する公債は、君主の私的債務か国家の公的債務かの区別が曖昧だった。償還の原資が必ずしも保証されておらず、資金繰りに困った君主により恣意的に債権放棄させられる危険性ばかりでなく、次代の君主が先代の債務を引き継がないなどの原因でしばしばデフォルトに陥った。そのため、公債は償還期限が短期でリスクを反映して利率が高く、それゆえ君主が返済に困ってデフォルトを繰り返すという悪循環を繰り返していた。絶対王政の時代には欧州の君主はしばしば戦争を行い、それらの戦費はこうした公債で賄われることがしばしばであった。
償還期限が長期で利率の低い(すなわちリスクが低い)国債が安定して発行されるのは、恒久的な議会が国家の歳出と歳入・課税に関する権利を国王から奪取し、君主の私的財政と国家の財政(国庫)を分離する時代まで待たなければならなかった。オランダではホラント州の議会がそのような先鞭を付け、オランダ国王はホラント州議会の保証を裏付けとして公債を発行することができた。
イギリスはウィリアム3世の時代にオランダの制度を導入して、国債の発行時に返済の裏付けとなる恒久的な税を創設することなどが行われるようになった。名誉革命と権利章典により、議会が国庫と課税を管理し、君主は議会の同意なしに課税も国庫からの支出も行えなくなった。イギリス議会はコンソル債とよばれる単一の国債に既に発行済みの複数の公債を一元化し、金利の安定化と流動性の確保に務めた。それにより、コンソル債は欧州でもっともリスクの低い債券として信用され、各国の国債のベンチマークとなった。この過程でイングランド銀行は国家の歳出・歳入口座をもつ唯一の銀行、すなわち中央銀行としての地位を確立した。
欧州では18世紀までの度重なる戦争で、諸国政府は莫大な国債発行残高を抱えていた。イギリスは19世紀初頭には国民所得の数倍に達するほどの発行残を抱えていた。その後、産業革命による活発な民間投資と経済成長、夜警国家政策により国民所得に対する比率を低下させた。
中央銀行による国債購入 [編集]
中央政府が発行した国債を中央銀行が直接引き受けることは財政規律や通貨安定を損なう恐れがあるため、各国で財政規律や通貨安定を損わないことを目的に、中央銀行の直接引き受けについて一定のルールが設けられている。
日本における財政法第5条[2]のように、中央銀行が国債を直接引き受けることは原則として禁止している国が多いが、中央銀行が市中から購入することは広く行われている。ちなみに日本における財政法第5条には、但し書きで、特別な理由がある場合には国会の議決の範囲内で直接引き受けは可能であるとしている[3][4]。
たとえば、2010年11月に米国のFRBは、8ヶ月間で総額約50兆円(約6000億USドル)の米国債を買い取る決定をした。その際にFRB議長であるベン・バーナンキは、この国債の引き受けの目的を「長期金利の上昇を抑制するため」と述べている[5]。
さらに高橋洋一によれば、直接引き受けについても、実際には満期を迎える国債の借換債の引き受け等という形で日本銀行による国債の直接引き受けは毎年行われており「国債の日銀引受は禁じ手」というのは文学的表現に過ぎないとする[6]。2011年末時点で日本銀行は67.6兆円(8.95%)の日本国債を保有している。さらに、国債のほかに政府短期証券(FB)も24兆円保有している。
各国の国債 [編集]
日本 [編集]
「日本国債」を参照
アメリカ合衆国 [編集]
詳細は「米国債」を参照
アメリカ合衆国では、1990年代始めごろ、政府は史上最悪の財政赤字を抱えていたが、1998年には財政黒字に転換した。背景には、クリントン政権の財政再建政策(所得税の最高税率引き上げなど)とITを軸とした活発な民間投資がある。しかしその後、2002年に再び赤字になってからは財政赤字の状態が続いている。
オーストラリア [編集]
21世紀に入って、資源価格高騰などで活況を呈するオーストラリアは、とうとう累積国債の完済を実現できる段階にまで達した。完済により、長期金利の基準がなくなることが憂慮されるほどである。
外国国債 [編集]
「外債」も参照
発行国の国外で売り出しまたは売出の取次がなされる外国の国債は、海外債券の一種で外国債と言う。主に証券会社の証券外務員・ネット証券のルートを中心に販売されている。
アメリカ(トレジャリーノート・、トレジャリービルなどの米国財務省証券)、イギリスなど先進国のものから、金利が比較的高いオーストラリア、更にアルゼンチンや南アフリカ共和国などの開発途上国まで、リスクとリターンは多種多様である。ただし、外国債は海外債券であるため、海外債券保護預かり口座などの名目で毎年口座管理手数料が徴収される場合が多く、預け入れ資産が一定以上でなければ、手数料で元本割れする可能性が高い。
また、サムライ債を除いて、基本的に本国通貨建て(米ドル・ユーロ・オーストラリアドルなど)で購入することが一般的であるため、邦貨と外貨の為替変動リスクでも損益が大きく変動する点も留意しなければならない。
国債の格付け [編集]
「信用格付け」も参照
AAAが一番良い状況(信用)とされている。参考のため一部の国のみ掲載する。
| 格付け | 国名 |
|---|---|
| AAA | 英国、スイス、ドイツ、フランス、カナダ、オーストラリア |
| AA+ | 米国、ベルギー |
| AA | カタール、スロベニア |
| AA- | 日本、中国、台湾、クウェート、サウジアラビア |
| A+ | イタリア、チリ |
| A | アイルランド、韓国 |
| A- | ポルトガル |
| BBB+ | |
| BBB | ロシア、スペイン |
| BBB- | ブラジル、インド |
| BB+ | |
| BB | ヨルダン、フィリピン |
| BB- | ベトナム |
| B+ | ベネズエラ |
| B | アルゼンチン、エジプト |
| B- | パキスタン |
| CCC+ | |
| CCC | |
| CCC- | |
| CC | |
| C | ギリシャ |
| D |
脚注 [編集]
- ^ 外国格付け会社宛意見書要旨
- ^ すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。
- ^ 「高橋財政」に学び大胆なリフレ政策を――昭和恐慌以上の危機に陥らないために 東洋経済 2009年6月16日
- ^ 失われたGDPを取り戻す秘策PHPビジネスオンライン 衆知 2010年1月18日
- ^ 与謝野大臣が渋る日銀の国債引き受けは、ごくまっとうで安全な復興資金の調達方法だ。欧米の経験に学んで、今こそ大規模な金融緩和を実施せよ。 森永卓郎 Safety Japan 日経BP社 2011年5月17日
- ^ 「日銀引受は禁じ手」の虚妄 実は毎年行われている 高橋洋一の民主党ウォッチ 2011年4月14日
参考文献 [編集]
- 富田俊基『国債の歴史―金利に凝縮された過去と未来』(東洋経済新報社、ISBN 4492620621)
関連項目 [編集]
- 地方債
- 減価償却
- 有価証券のペーパーレス化(国債の無券面化)
- 債務不履行(デフォルト)
- インカムゲイン
- 予算(国や自治体で、予算上で国庫債務負担行為を国債と略して呼ぶことがある)
- 金利スワップ (国債利回りと同様に、リスクフリーの基準金利として金利スワップの利回りが用いられることがある)
外部リンク [編集]
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