国債

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第二次世界大戦中に発行された日本の戦時国債(戦争国債)。戦後のインフレにより、ほぼ無価値となった。

国債(こくさい)は、日本国政府国債に関する法律(明治39年法律第34号)に基づいて発行する公債をいい、証券が発行されるもの(国債証券)と発行されないもの(登録国債及び振替国債)がある。実務上、日本国債又はJGBともいう。諸外国が発行する類似の公債を指して「国債」ということもある。国の運営に必要な資金を集めるために発行される。

目次

[編集] 概要

国債は発行時に償還期限と利率が定められており、購入者はこれに応じた利息を受け取ることができる。償還期限を迎えると、元金である国債の発行時の金額(額面額、または額面価格という)が支払われる。

国債は他の債券同様、発行された後でも市場で売買できるため、価格は常に変動している。国債価格とその裏返しとしての国債金利:長期金利は世界情勢や、国債を発行している国の社会動向、経済状態を反映するため、政治的にも非常に重要な要素である。

現代においては、国家への融資であるため、比較的安全な投資であるとされる。しかし、過去には2000年アルゼンチンがデフォルト(債務不履行)を宣言している例がある。国債の信用力については、民間会社による格付けが行われている。

[編集] 歴史

国債をめぐる政策は、広義の近代化である大航海時代以来、長く社会問題の軸になってきた。君主が発行する公債は、君主の私的債務か国家の公的債務かの区別が曖昧だった。償還の原資が必ずしも保証されておらず、資金繰りに困った君主により恣意的に債権放棄させられる危険性ばかりでなく、次代の君主が先代の債務を引き継がないなどの原因でしばしばデフォルトに陥った。そのため、公債は償還期限が短期でリスクを反映して利率が高く、それゆえ君主が返済に困ってデフォルトを繰り返すという悪循環を繰り返していた。絶対王政の時代には欧州の君主はしばしば戦争を行い、それらの戦費はこうした公債で賄われることがしばしばであった。

償還期限が長期で利率の低い(すなわちリスクが低い)国債が安定して発行されるのは、恒久的な議会国家歳出歳入課税に関する権利を国王から奪取し、君主の私的財政と国家の財政(国庫)を分離する時代まで待たなければならなかった。オランダではホラント州の議会がそのような先鞭を付け、オランダ国王はホラント州議会の保証を裏付けとして公債を発行することができた。

イギリスオレンジ公ウィリアムの時代にオランダの制度を導入して、国債の発行時に返済の裏付けとなる恒久的な税を創設することなどが行われるようになった。名誉革命権利章典により、議会が国庫と課税を管理し、君主は議会の同意なしに課税も国庫からの支出も行えなくなった。イギリス議会はコンソル債とよばれる単一の国債に既に発行済みの複数の公債を一元化し、金利の安定化と流動性の確保に務めた。それにより、コンソル債は欧州でもっともリスクの低い債券として信用され、各国の国債のベンチマークとなった。この過程でイングランド銀行は国家の歳出・歳入口座をもつ唯一の銀行、すなわち中央銀行としての地位を確立した。

欧州では18世紀までの度重なる戦争で、諸国政府は莫大な国債発行残高を抱えていた。イギリス19世紀初頭には国民所得の数倍に達するほどの発行残を抱えていた。その後、産業革命による活発な民間投資経済成長夜警国家政策により国民所得に対する比率を低下させた。

[編集] 日本の国債

国債の推移(1982年4月以降)。
赤が内国債、黄色が短期証券、青が借入金、水色が一時借入金。

国債(略称:JGB=JAPANESE GOVERNMENT BONDS)は政府が発行する。日本では、1965年(昭和40年)に赤字国債発行が開始された。現在の発行残高は2006年(平成18年)3月末現在に於いて670兆5794億円である。

[編集] 日本国債の種類

日本の国債には多くの種類がある。それらは発行の目的や償還期間の長短などにより分類される。国債の額面は、15年変動利付国債と物価連動国債が10万円、個人向け国債が1万円、そのほかは5万円である。物価連動国債と割引短期国債 (TB)、政府短期証券 (FB) は法人のみ購入が可能で、個人向け国債は個人のみ購入が可能である。

2003年1月27日以降に発行された物価連動・個人向けを除く固定利付国債は、元本部分と利札部分を分離して別々に流通させる事が出来るようになった(ストリップス債)。これらの分離された元本部分、利札部分はそれぞれ割引債であり、分離元本振替国債分離利息振替国債と呼ばれる。名前に「振替」の文字が入っているのは、これらの分離国債が振替決済制度によってのみ流通することができるからである。従って個人は購入できない。

[編集] 利払いや償還額による分類

固定利付債
半年毎に一定の利子が支払われ、償還時に額面金額が支払われる。
変動利付債
半年毎に支払われる利子の額が市場金利によって毎回見直される。償還時に額面金額が支払われる。
物価連動債
金利は固定であるが元本と利息が全国消費者物価指数に連動して増減する。そのため、元本割れになることもあり得る。
割引債
途中での利払いはないが、額面を下回る額で発行され、償還時に額面金額が支払われる。かつては3年や5年のものが発行された事があるが、2002年11月以降は短期のものしかされていない。

[編集] 国債の目的による分類

[編集] 償還期間による分類

超長期国債
15年(変動利付国債)・20年(利付債)・30年(利付債)・40年(利付債)
長期国債
10年(利付債)・10年(個人向け国債)・10年(物価連動国債)
中期国債
2年(利付債)・3年(利付債)・3年(割引債)・4年(利付債)・5年(利付債)・5年(割引債)・5年(個人向け国債)・6年(利付債)
4年債は2001年2月以降、6年債は2001年3月以降は5年利付債に統合されたため発行を停止した。割引債は、3年債は2002年11月に、5年債については2000年9月をもって発行を打ち切っている。
短期国債
6カ月(割引債)・1年(割引債)
政府短期証券
60日(割引債)

[編集] 国債の発行と流通のしくみ

日本国債は日本国内の全ての都市銀行地方銀行第二地方銀行ゆうちょ銀行郵便局会社ゆうちょ銀行代理業者となる郵便局貯金担当を含む)、一部の信託銀行協同組織系金融機関JAバンク信用金庫信用組合)、証券会社で購入できる。

個人向け国債については、現在東京スター銀行では販売取扱が無く、通常の国債(利付国債等)の取扱いが無いネット証券では取り扱っている会社がある。

日本国債は入札方式により銀行・証券会社・生損保等の金融機関が購入し、これがその他の機関投資家や個人に販売される。また、財投債という形で郵貯・簡保・年金資金運用基金が引き受けている部分もある。平成17年度以前は「シンジケート団(シ団)引き受け」と呼ばれる金融機関や共同で引き受ける方式も行われていたが、平成17年度末をもって廃止された。流通においては、通常の売買、レポ・現先といった貸借取引の他、日銀によるオペレーションも大きな役割を担っている。

なお、現在は国債のペーパーレス化により、証券での受け渡しはされなくなっている。機関投資家以外の一般的な個人向けには、以前より証券を販売金融機関に保護預かりする制度があり、銀行・協同組織系金融機関・ゆうちょ銀行の場合、総合口座に「国債(公共債)保護預かり口座」をセット(担保に組み込む)すると、総合口座普通預金の残高が不足した場合に、国債預かり残高の一定額(ゆうちょ銀行の場合は額面の80%まで)を限度に、「総合口座担保定期預貯金」と同様に、自動融資(口座貸越)・担保自動貸付けが受けられる場合がある。ただし、足利銀行など、取扱いを取り止めた、または取り扱わない金融機関もある。ゆうちょ銀行(旧郵便貯金)の場合は、「国債保護預かり口座帳」で直接貸付を受けることも可能である。

保護預かり口座は、ゆうちょ銀行・旧郵便貯金の様に通帳状にした「国債保護預かり口座帳」があるが、それ以外の金融機関ではその様な物は発行せず、利払日や手続き毎に保護預かり口座の内容をステートメント形式で郵送する方法が主流となっている。(ゆうちょ銀行・郵便局でも都度ステートメントは発送している。)

一部の銀行・証券会社では「国債保護預かり口座管理料」の名目で保管料を徴収するところがある。また、ゆうちょ銀行では国債購入以前に国債保護預かり口座を開設する場合は200円の口座開設手数料が発生する。

[編集] 入札方法

[編集] 個人向けの販促活動

[編集] 広報活動

  • 『国債っていいかも。』(藤原紀香
    「藤原さんのイメージを通じて、国債が身近で安全な投資対象だと知ってもらいたい。」(財務省
  • 『どこから見ても、安心、手軽。』『貯蓄の先を見つめています。』(松本幸四郎小雪
    「個人向け国債について広く一般に周知していきたい。」(財務省)
  • 『1万円から買えるのがいい。』『安心できるのがいい。』(小雪、本木雅弘
    「個人保有を促進し、国債の保有者を多様化させることは、安定的な国債市場の形成や国債の円滑かつ確実な発行にもつながるものと期待しています。」(財務省)

[編集] 日本の国債の現状

日本の国債は国内の需要が非常に高い。その結果、金利は1パーセント後半から2パーセント程と、他国と比べて非常に低い水準で推移している。その一方、日本は他の先進国に比較して、国内総生産(GDP)に対する国債の発行残高の割合が著しく高い。2006年はバブル崩壊以降初めてGDP比の債務額が減少しているとはいえ、累積債務の増加が続いている。財政状況は依然厳しく、その持続可能性が議論になっている。しかし、純債務[1]で見た場合のGDP比は他の先進国並であり、単純な債務額だけを見て財政規律を重視しすぎた結果、国内需要が縮小している状況で、更に需要を縮小させる政策が執られる事態となった。2006年現在、日本政府の一般会計税収入は約50兆円である。

[編集] 日本国債の格付け

2007年10月現在、日本国債の格付けは、米スタンダード&プアーズ (S&P) が最高位から2番目の「ダブルA」、ムーディーズが21段階中4番目の「Aa3」としている。他の先進国と比べると最低水準にある。だが、どの格付け会社も「返済能力が高い」という見解は崩していない。他にも、世界的な格付け機関からボツワナと同じ水準の格付けがされている。ボツワナはダイヤモンドの鉱山に恵まれ、財政も豊かである。国債の格付けとしては低くない。日本政府の所有する資産は国債発行残高を上回っているため、現時点では市場の債券価格は安定している。世界で一二を争う対外債権国であるが、円高の進行により対外債権が急速に劣化している。高齢化社会が進み将来的には増大する歳出に見合う歳入は全く見込めず、デフォルトも憂慮される。よく使われる例えに、年収420万円のサラリーマンが4500万の住宅ローンでマンションを買ったものの、生活費が足りず年間 360万の借金をして暮らしている窮状のようなものというのがあるが、この例えは「日本国政府」に対する例えであって、「日本国」に対するものではないことに注意する必要がある。

[編集] 国債発行と経済政策

1980年代後半のバブル経済の頃は好況により税収が多く、日本の国庫は潤っており、国債の発行額もそれほど多くはなかった。しかし、バブル経済が崩壊して税収が減少すると、それにともなって歳入が減少した。併せて、景気浮揚を目的にした財政出動が幾たびも行われた結果、国債を大量発行するようになり、発行残高は急激に増加していった。国債の大半は固定金利であるため、デフレにより名目成長率が伸び悩むことでGDP比の債務が増大しやすくなっている。

デフレ不況の長期化により歳入の伸びは低迷した。その結果、継続償還資金が不足し、政府は償還を目的に追加で国債を発行するようになった。この国債を借換国債という。この場合、事実上償還されていないことになり、国債の発行額はさらに増えてしまう。バブル経済崩壊後、日本は新規国債(新しく発行される国債)、借換国債ともに発行額が増加している。

利息元金の返済(償還)に対する懸念はことあるごとにクローズアップされ、にわかに財政再建推進政策推進の機運が盛り上がる局面もあった。しかし、財政再建などに由来する危機的な景況悪化に際して、政府による中途半端な財政出動と日銀による引き締め政策が行われた。さらに、需要不足であるデフレ不況であるにも関わらず、政府は供給側の効率性を向上させる「構造改革」を推し進める傾向がある。これらの事情により、経済政策の方向性は定まらず、日本経済の実力を大きく損なっている。

[編集] 2008年問題

1998年小渕恵三内閣が発行した国債40兆円の多くが2008年に償還期限を迎える。それにより国債危機が発生するのではないかと言われていた(2008年問題と呼ばれる)。実際には、すでに各種の借換対策が進行しており、2008年における償還集中は回避される。このため、デュレーションに由来する問題は発生しない。

[編集] 世界の国債

アメリカ合衆国では、1990年代始めごろ、政府は史上最悪の財政赤字を抱えていた。1998年には財政黒字に転換した(その後、2002年に再び赤字になっている。)。背景には、クリントン政権の財政再建政策(所得税の最高税率引き上げなど)とITを軸とした活発な民間投資がある。

21世紀に入って、資源価格高騰などで活況を呈するオーストラリアは、とうとう累積国債の完済を実現できる段階にまで達した。完済により、長期金利の基準がなくなることが憂慮されるほどである。

[編集] 外国国債

日本で売り出しまたは売出の取次がなされる外国の国債は、海外債券の一種で外国債と言う。主に証券会社の証券外務員ネット証券のルートを中心に販売されている。

アメリカトレジャリーノートトレジャリービルなどの米国財務省証券)・イギリスなど先進国のものから、金利が比較的高いオーストラリア、更にアルゼンチン南アフリカ共和国などの開発途上国まで、リスク・リターンは多種多様である。ただし、外国債は海外債券であるため、海外債券保護預かり口座などの名目で毎年口座管理手数料が徴収される場合が多く、預け入れ資産が一定以上でなければ、手数料で元本割れする可能性が高い。

また、サムライ債を除いて、基本的に外国通貨建て (米ドルユーロオーストラリアドルなど) で購入することが一般的であるため、円貨と外貨の為替変動リスクでも損益が大きく変動する点も留意しなければならない。

[編集] 脚注

  1. ^ 総債務から政府機関の金融資産などを差し引いたもの
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[編集] 関連項目

[編集] 参考文献

  • 富田俊基『国債の歴史―金利に凝縮された過去と未来』(東洋経済新報社、ISBN 4492620621

[編集] 外部リンク