J-6 (航空機)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

Flag of the People's Republic of China.svg J-6(殲撃六型、Jian-6、-6)

J-6

J-6

J-6(殲撃六型、Jian-6、-6)は、中華人民共和国戦闘機NATOコードネームは「ファーマー(農夫)」(Farmer)。ソビエト連邦で運用されていたMiG-19の中国生産型である。「殲撃」の発音は「チエンチー」に近い。海外への輸出販売向けにはF-6と名づけられており、資料によってはこの名称が用いられる事もある。

概要[編集]

中華人民共和国はソ連からMig-19のライセンス生産に合意し生産された機体が当形式である。中国の航空機産業の未熟さや文化大革命などの政治的混乱により生産に支障をきたしたものの、1958年から1981年にかけてJ-6として大量に生産・配備された。しばらくしてMiG-21が開発され、すでに輸出販売が始まった時点で旧式化していたものの、廉価で使い勝手が良い事からパキスタン朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、バングラデシュイランなどにも輸出された。致命的なほどのエンジン寿命の短さ、頻繁にオーバーホールが必要な事は、本機の大きな欠点であるが、整備に要求される技術レベルはさほど高くなく、途上国でも維持・運用は可能であった。そのため、印パ戦争など多くの戦争に参加している。

ソ連では量産には至らなかった複座の練習型・殲教6(JJ-6。輸出向けにはFT-6とも)が開発されており、廉価かつ実戦投入可能な高等練習機として大量に生産・輸出された。

中国では1990年代後半に第一線から引退したが、練習機としては2010年まで利用された。輸出された多くの国では老朽化やスペアパーツの枯渇や後継機が登場したこともあり引退している。北朝鮮では、21世紀に入っても100機以上が実戦配備されていたが、2014年に墜落事故が頻発して飛行が差し止められた[1]。なお、JJ-6、あるいはJ-6をそのまま練習機の代用として、現役で運用を続けている国もある。

運用国[編集]

元パキスタン空軍のJ-6

現役[編集]

ミャンマーの旗 ミャンマー
詳細不明であるが、同国の保有するQ-5攻撃機の導入訓練用に数機を運用しているものと見られる(JJ-6の可能性も)。
朝鮮民主主義人民共和国の旗 北朝鮮

退役済み[編集]

Flag of the People's Republic of China.svg 中華人民共和国

アルバニアの旗 アルバニア
バングラデシュの旗 バングラデシュ
カンボジアの旗 カンボジア
シアヌーク政権時代に取得。当時は米国製無誘導爆弾を用いて対地攻撃に使用される事もあった。
エジプトの旗 エジプト
イラクの旗 イラク
エジプトからの中古機を購入。イラン・イラク戦争では、対地攻撃に使用したとみられる。
イランの旗 イラン
1980年代後半に北朝鮮から中古機を入手し、パイロットの教育も同国が請け負った。イラン・イラク戦争では、イラク同様対地攻撃に用いたといわれる。
ネパールの旗 ネパール
パキスタンの旗 パキスタン
射出座席マーチンベーカー・エアクラフト社製に換装し、AIM-9サイドワインダーAAMの運用を可能とするなど、限定的ながら旧西側製の装備が運用できるように改造が施されていた。また、機体は中国からの輸入であるものの、中国の指導の下、パキスタン国内に整備工場が建設され、整備及びスペアパーツの国産が行なえるようになり、同国の航空機産業の先駆けとなった。
ソマリアの旗 ソマリア
1機がソマリランドの首都ハルゲイサにて戦争記念モニュメントとして展示されている。
スーダンの旗 スーダン
タンザニアの旗 タンザニア
ベトナムの旗 ベトナム
ジンバブエの旗 ジンバブエ

スペック[編集]

J-6[編集]

  • 翼幅:9.2 m
  • 全長:12.5 m
  • 全高:3.9 m
  • 翼面積:25.00 m²
  • 燃料搭載量:1800 ℓ
  • 発動機: 渦噴6A(ツマンスキー RD-9B) アフターバーナー付きターボジェット、36.78 kN(8,267 lbf)×2
  • 最高速度:1540 km/h
  • 最大上昇力:9000 m/min
  • 実用上昇限度:17900 m
  • 乗員:1 名
  • 武装
    • 30 mm機関砲×3(翼砲70発×2、胴体砲55発×1)
    • 各個最大250 kg(550 lb)までの通常爆弾かロケット弾ポッド、もしくは翼下のパイロンにPL-2/PL-5(ソ連のK-13(NATO名 AA-2 「アトール」)の中国版)空対空ミサイル×4

派生型[編集]

殲撃6型丙(J-6 Bing)
MiG-19最初の量産タイプである。昼間戦闘機型MiG-19S“ファーマーC”の中国での量産型。MiG-19シリーズの基本型であり中国製の機体では計器表示その他は中国語に書き換えられている。エンジンはクリモフRD-9Bを中国でライセンス生産した渦噴6型。生産の主力はこの型。なお生産の途中から、ドラッグ・シュートを装備するようになっている[2]
殲撃6型甲(J-6 Jia)
制限全天候タイプのMiG-19PF“ファーマーB”の生産型で、機首空気取入れ口内に要撃レーダー(MiG-29PFではRP-5またはその発達型。NATO名“スキャンフィックス”、“スキャンロッド”または“スキャンキャン”)を持ち、また空気取入れ口上部には測距離レーダーを装備している。主翼付け根部にはNR-23 23mm機関砲を左右各1門を備える[2]
殲撃6型乙(J-6 Yi)
MiG-19PM“ファーマーE”の生産型で、機体形状や搭載装備などは殲撃6型甲に準じている。ただ、主翼付け根の固定機関砲を廃しており、武装は空対空ミサイルまたはロケット弾のみとしている[2]
殲撃6型新(J-6 Xin)
中国で独自に開発した発展型であり、殲撃6型丙を基に、空気取入れ口内に比較的大型の測距レーダーを装備、レーダー・アンテナ・フェアリングの尖った先端が飛び出しているのが大きな特徴となっている。エンジンもパワーアップの渦噴6の発達型に変更され、このため機首側面に片側4個ずつの補助空気取り入れ口が付けられている[2]
パキスタンへの輸出型(名称不明)
射出座席マーチンベーカー製となりAIM-9サイドワインダーの携行能力など、一部西側システムへの互換が採られている。胴体下面にコンフォーマル・タイプ増槽を装備している[2]
殲偵6型(JZ-6)
偵察機型。
殲教6型(JJ-6/FT-6)
殲撃6型を基にした複座型[2]
強撃5型(Q-5/A-5)
MiG-19に大幅な設計変更を加えた攻撃機[2]

出典[編集]

  1. ^ “北朝鮮でミグ19戦闘機の墜落相次ぐ 開発は半世紀以上前、老朽化”. 産経新聞社. (2014年7月30日). http://sankei.jp.msn.com/world/news/140730/kor14073012580003-n1.htm 2014年8月1日閲覧。 
  2. ^ a b c d e f g 青木謙知 『戦闘機年鑑』 『Jwings』特別編集、イカロス出版、2013年3月、2013-2014年度版。ISBN 978-4-86320-703-5

関連項目[編集]