Su-30 (航空機)

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Flag of the Soviet Union (1923-1955).svg Su-30 / Су-30

Sukhoi Su-30 inflight.jpg

Su-30(スホーイ30、スホイ30;ロシア語:Су-30スー・トリーッツァチ)は、Su-27UBを発展させた複座多用途戦闘機ロシアスホーイが製造し、インドなどでもライセンス生産されている。

Su-30のNATOコードネームフランカーF1 (Flanker-F1)、Su-30M以降のNATOコードネームはフランカーF2 (Flanker-F2)。

概要[編集]

1986年ソビエト連邦では防空軍向けの長距離迎撃機の開発を開始し、1988年に試作機Su-27PUを初飛行させた。Su-27PUは、量産化に伴ってSu-30と名称変更され、機体形状は基本的に複座型のSu-27UBと同じであるがレーダーは改良型のN001Vメーチを搭載している(後にSu-27も、同様のレーダーに換装)。

Su-30を複座多用途戦術機としたのがSu-30Mで、TV指令誘導システム、対レーダーミサイル誘導システムなどの対地攻撃兵装用システムを装備し、航法装置もより精度の高いものになっている。Su-30Mの輸出基本型Su-30MKでは搭載電子機器をオプションで西側製に変更可能で、フランスのセクスタン・アビオニク社製パッケージを装備できるほか、インド向けのSu-30MKIはイスラエル製の電子戦システムを、マレーシア向けのSu-30MKMは南アフリカ製の警戒システムを装備している。

インド空軍のSu-30MKI カナード翼が装備されているのがわかる

Su-37にて研究されたカナード翼推力偏向ノズルを装備したSu-30M2が1997年7月1日、Su-27UB改造機が1998年3月23日にそれぞれ初飛行した。1998年6月15日にはインド軍関係者へ披露され、これらの要素がSu-30MKIに取り入れられている。インドは1996年11月30日にSu-30計50機(MK8機、K10機、MKI32機)の購入契約を交わし、1997年3月からSu-30MK及びKがSu-30MKI完成までの繋ぎとして引き渡しが開始された。のちにこの18機はロシアに返却され、KN仕様へと改修されておりベラルーシが取得を検討していたが[1]、最終的にアンゴラが取得した[2]。2002年からはSu-30MKIの引き渡しが開始され、さらに222機がインドでライセンス生産されつつある。

1999年8月には中国空軍がSu-30MKKの採用を決定し、2000年12月から引き渡しが開始された。Su-30MKKはマッピング機能を含む空対地モードを拡張したN001VEレーダーを装備し、コクピット前席にはMFI-9カラー液晶多機能表示装置2基、後席にもMFI-9表示装置1基とMFI-10表示装置1基を装備している。また中国海軍がSu-30MK2を採用した[3]

マレーシアは2003年5月19日に新多用途戦闘機として採用し、2006年からSu-30MKMの引き渡しが開始されている。ベトナムはSu-30MK2Vを12機調達予定であり2011年12月31日現在、4機の引き渡しが完了している。しかし、このベトナムへの納入機と同型の機体が2012年2月28日に右側のエンジンからと見られる火災によって墜落した[4]

また、2007年7月30日の『エルサレム・ポスト』によると、イランがSu-30を購入するためロシアと交渉しているという。

ロシア空軍はSu-30M2を4機2009年に契約し、2010年には試験飛行を終了[5]、2011年にロシア空軍に納入された。 また、初めての大量生産型となるSu-30SMを2012年3月に30機、12月にさらに30機を契約した。これらは2016年までに納入予定である[6]。合計してロシア空軍向けに60機、海軍向けに50機の納入が決まっている[7]。海軍航空隊向けの最初の契約は2013年12月に結ばれ、5機のSu-30SMが配備される予定である[8]

派生型[編集]

Su-30
複座長距離戦闘機型
Su-30K
輸出型
Su-30KI
インドネシア向け生産型。Su-30ファミリーにおいて唯一の単座型。
Su-30KN
Su-27UB、Su-30、Su-30Kに対して提案された改修型。 インド空軍が売却したSu-30MK/Kがこの仕様に改修されベラルーシが取得を検討していた。
Su-30M
複座多用途戦術機型
Su-30M2
Su-30の2番目の改良型を示す名称で、カナード翼とTVCを搭載。1997年に初飛行している。
Su-30MK
Su-30Mの輸出型。
Su-30MKI
インドでのライセンス生産型。NATOコードネームはフランカーH (Flanker-H)。カナード翼とTVC搭載型。エルビット英語版社製の967型HUD、タレス社製のMFD-55/66液晶ディスプレイ、DARE英語版社とHAL社製のミッションコンピュータ、イスラエル製の電子戦システムを装備している。
Su-30MKK
中国向け生産型。NATOコードネームはフランカーG (Flanker-G)。中国空軍で運用中。カナード翼とTVCは非搭載。後期生産型では中国製のフェイズドアレイレーダーを装備している。
Su-30MKM
マレーシア向け生産型。基本的にSu-30MKIと同じだが、各部に西側仕様のアンテナが追加され、警戒システムが南アフリカ製のものとなっている。
Su-30MKA
アルジェリア向け生産型。フランスのセクスタン・アビオニクス社製パッケージ(カラー液晶表示装置、VEH3000HUD、トテム慣性航法装置、GPSなど)を装備。
Su-30MKT
タイ向けの輸出型。性能はSU-30MKMに順ずる。2005年12月19日の報道によれば、5億ドルで12機のSu-30MKTの購入を契約したがクーデターにより実現しなかった[9]
Su-30MKL
リビア向けの輸出型。計画のみ。
Su-30SM
Su-30MKI/MKMをベースとしたロシア国内向けの機体で、ベース機に搭載されていたアビオニクス類 (射出座席、通信/航法システム、IFF等) などの外国製機材がロシア製の最新のものに変更されている[10]。広角のHUDを装備しているのが特徴[11]。レーダーは改良型のBars-R、電子戦スイートはヒービヌィ-Uがそれぞれ搭載され、アビオニクスにはオープンアーキテクチャ概念が導入されている。このほかにもロシア空軍の要求に応じた改良が施されており[12]、兵装類も最新のものが統合されている[13]。エンジンは推力及び信頼性が向上したAL-31FM1を搭載する。
Su-30MK2
Su-30MKKの能力向上型でKh-59などの空対艦ミサイルを運用可能[14]。中国海軍他で運用中。カナード翼とTVCは非搭載。
Su-30MKV
ベネズエラ向け生産型。
Su-30MK2V
ベトナム向け生産型。
Su-30M2
ロシア仕様[15]。アビオニクスとエンジンをSu-27SMと共通化している。前述のSu-30M2とは関係がない。
Su-30MK3
Su-30MK2のバージョンアップ型。エンジンやアビオニクスが強化されている。MK2に続いて中国海軍に納入されるとされた[16] が実現していない。
殲撃16型(J-16)
中国がJ-11Bの複座型であるJ-11BSをベースに中国海軍のSu-30MK2と同仕様に改修して開発した機体。YJ-91などの空対艦ミサイルを運用可能。中国海軍で運用中。国産のWS-10Aエンジンを搭載。カナード翼とTVCは非搭載。

運用[編集]

運用国

仕様[編集]

Szu-30.svg

出典: =KNAAPO[17]、スホーイ[18]

諸元

  • 乗員: 2名
  • 全長: 21.94m(機首プローブ除く)
  • 全高: 6.35m
  • 翼幅: 14.70m
  • 翼面積: 62.0m²(C)
  • 空虚重量: 17,700kg
  • 最大離陸重量: 34,500kg
  • 動力: リューリカ設計局製AL-31FP ターボファンエンジン
    • ドライ推力: 74.5 kN (16,754 lbf) × 2
    • アフターバーナー使用時推力: 122.6 kN (27,557 lbf) × 2
  • 海面上昇率:13,800m/min
  • 最大兵装搭載量:8,000kg

性能

  • 最大速度: M2.3
  • 航続距離: 3,000 km 1,620NM(機内燃料のみ)
  • 実用上昇限度: 17,300m
  • 上昇率: 230 m/s (45,275 ft/min)
  • 翼面荷重: 401 kg/m2 (82.3 lb/ft2)
  • 最大推力重量比: 1
  • 最大耐G値:9G+

武装

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参考資料[編集]

脚注[編集]

登場作品[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]