スホーイ・スーパージェット100

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スホーイ・スーパージェット100
Sukhoi Superjet 100
Сухой Суперджет-100

ヤクーチヤ航空のスホーイ・スーパージェット100(2013年8月23日、新潟空港)

ヤクーチヤ航空のスホーイ・スーパージェット100
(2013年8月23日、新潟空港)

スホーイ・スーパージェット100Sukhoi Superjet 100)とは両国の航空機メーカーによって共同開発される60~95席クラスの地域ジェット旅客機リージョナルジェット)である。

名称は英語ロシア語に関係なくラテン文字で「Sukhoi Superjet 100」及び略称として「SSJ-100」と表記されているが、ロシア語発音では「スホーイ・スーピェルジェト・ストー(Сухой Суперджет-100)」となる[1]

概要[編集]

ソ連時代に軍用機専門の設計局であったスホーイ社が新たに民間旅客機市場に参入するために新規に開発されるのが当形式である。開発計画当初はロシア製地域ジェットの略称である、スホーイRRJ英語: Russian Regional Jetロシア語: Российский Региональный Самолёт Сухого ラスィーイスキイ・リギアナーリヌィイ・サマリョート・スホーガ)と呼称していたが、2006年7月17日に現在の名称に変更された。これはスホーイと韻を重ねたとのことである。またスホーイでは「居住性、燃費、技術とサービス、機体価格」のいずれも国際競争力が充分あるとしているほか、操縦桿エアバス機のようなサイドスティックを採用したり、対テロ装備として操縦室を完全防弾仕様とするなど様々な新機軸を導入している。

プロジェクトの株式の75 %は、スホーイの民間機部門となる株式非公開会社「スホーイ民間航空機」Гражданские самолеты Сухого)が保有し、残る25 %はイタリアアレーニア・アエロナウティカが保有している。機体の設計と製造はロシアのスホーイ設計局、型式証明取得作業をイリューシン、販売や顧客管理をアメリカ合衆国ボーイング社がそれぞれ担当している。またエンジンもロシアのサトゥールンフランススネクマの共同開発であり、空調制御系はドイツリーブが担当する。そのため、ソ連時代からの「純国産」を放棄し、多くの国際企業の協力を得ている。

エンジンは露仏共同開発のSaM146ターボファン双発であるが、オプションでアメリカ製エンジンの搭載も可能である。また、胴体の長短による乗客数の違いによって、スーパージェット60スーパージェット75スーパージェット95と呼称される。

2001年4月に合意成立後、2004年7月にロシアのシベリア航空からRRJ95を50機の発注(その後キャンセル)を受けプログラムがローンチになり、生産はロシアのアムール川沿の都市コムソモリスク・ナ・アムーレにあるYu・A・ガガーリン記念コムソモリスク=ナ=アムーレ航空機製造合同で行うことになっていたが、航空会社とスホーイの協力メーカーからの提案から、スホーイはモスクワなどロシアのヨーロッパに近い都市に変更した模様である。

この機体のライバルとしてアントノフAn-148エンブラエル E-Jetボンバルディア Cシリーズなどがある。またスホーイは2020年までにシリーズ全体で600機、最終的に800機の販売を目標にしており、そのうち60%に当たる500機をロシア以外で販売しようとしており、そのために西側の環境基準達成を目標にしている。実際にイタリアのブルーパノラマ航空から8機を受注し、他の航空会社からの関心も集めているという。

2011年4月19日アルメニアアルマヴィアに引き渡され、人類最初の宇宙飛行士であるユーリ・ガガーリンの名前が付けられた[2]。同年6月16日にはアエロフロート・ロシア航空でも定期便での運行を開始した[3]

仕様[編集]

スーパージェット60型 スーパージェット75型 スーパージェット95型
全長 23.87m 26.37m 29.87m
全高 10.28m 10.28m 10.28m
全幅 27.80m 27.80m 27.80m
主翼面積 77 m2 77 m2 77 m2
航続距離 3,204km 3,265km 3,050km
巡航速度 マッハ0.81 マッハ0.81 マッハ0.81
最大離陸重量 35,790kg 38,820kg 42,520kg
貨物室容量 10.22m3 15.01m3 21.97m3
基本座席数 68(最大) 83(最大) 105(最大)


SSJ 100–75 SSJ 100-75LR SSJ 100–95 SSJ 100-95LR
乗員 2名
座席数 83 (1-クラス, 過密)
78 (1-クラス, 標準)
68 (2-クラス, 標準)
103 (1-クラス, 過密)
98 (1-クラス, 標準)
86 (2-クラス, 標準)
座席間隔 30 in (1-クラス, 過密), 32 in (1-クラス, 標準)
36 & 32 in (2-クラス, 標準)
31 in (1-クラス, 過密), 32 in (1-クラス, 標準)
36 & 32 in (2-クラス, 標準)
全長 26.44 m (86 ft 9 in) 29.94 m (98 ft 3 in)
全幅 27.80 m (91 ft 2 in)
全高 10.28 m (33 ft 9 in)
胴体最大直径 3.35 m (11 ft 0 in)
客室幅 3.236 m (127.4 in)
客室高 2.12 m (6 ft 11 in)
座席横間隔 51 cm (20 in)
座席幅 46.5 cm (18.3 in)
一人当たりの容積 0.07 m3 (2.5 cu ft)
最大離陸重量 (MTOW) 38,820 kg (85,600 lb) 42,280 kg (93,200 lb) 45,880 kg (101,100 lb) 49,450 kg (109,000 lb)
空重量 (OEW) - - 25,100 kg (55,000 lb) -
DOW - - 26,600 kg (59,000 lb) -
最大着陸重量 35,000 kg (77,000 lb) 41,000 kg (90,000 lb)
最大積載量 9,130 kg (20,100 lb) 12,245 kg (27,000 lb)
最大燃料容量 13,135 L (10,600 kg or 23,370 lb) 13,135 L (10,600 kg or 23,370 lb)
貨物容量 15.01 m3 (530 cu ft) 21.97 m3 (776 cu ft)
最大離陸重量での滑走距離 1,515 m (4,970 ft) 1,731 m (5,679 ft) 2,052 m (6,732 ft)
最大飛行高度 12,500 m (41,000 ft)
巡航速度 マッハ 0.78 (828 km/h/511 mph / 448knots at 11,000 m/36,000 ft)
最大巡航速度 マッハ 0.81 (870 km/h/ 541 mph / 469knots at 11,000 m/36,000 ft)
航続距離 (満席時) 2,900 km (1,800 mi) 4,550 km (2,830 mi) 3,048 km (1,894 mi) 4,578 km (2,845 mi)
エンジン (x 2) パワージェット SaM146
離陸推力 (x 2) 13,500 lbf (60 kN) 15,400 lbf (69 kN)
APR 推力 (x 2) 15,400 lbf (69 kN) 17,500 lbf (78 kN)
ファン直径 1.22 m (48 in)
エンジン全長 2.07 m (81 in)

出典: スホーイ民間航空機会社,[4] スーパージェット インターナショナル,[5] パワージェット.[6]

ギャラリー[編集]

発注状況[編集]

原型機(機体記号:97001)は2007年9月26日に完成し、2008年5月19日にコムソモリスク・ナ・アムーレ市にて初飛行に成功した。現在は型式証明取得のためモスクワ郊外で4機体制での試験飛行に臨んでいる。すでに200機以上の受注を獲得しており、2011年4月には量産初号機がアルマヴィアに引き渡された。[7]

発注一覧[編集]

発注年月日 航空会社 引渡年 タイプ75 タイプ95 オプション
2005年11月22日 Flag of Russia.svg Financial Leasing Company 2009   10
2005年12月7日 Flag of Russia.svg アエロフロート・ロシア航空 2009-2011   30 15
2007年9月14日 Flag of Armenia.svg アルマヴィア 2010   2 2
2008年7月15日 Flag of Russia.svg アビアリーシング 2010   24 16
2008年12月5日 Flag of Indonesia.svg カルティカ航空 2011   30
2009年6月17日 Flag of Russia.svg ガスプロム TBD   10
2009年8月21日 Flag of Russia.svg ヤクーチヤ航空 2011 2
2010年7月21日 Flag of Thailand.svg オリエント・タイ航空 2011-2014 12 12
2010年7月21日 Flag of Bermuda.svg パール・エアクラフト・コーポレーション -2012 30 15
2010年9月2日 Flag of the United States.svg ウィリス・リース・ファイナンス -2012 6 4
2011年1月17日 Flag of Mexico.svg インテルジェット -2012 15 5
2011年6月21日 Flag of Indonesia.svg スカイ・アヴィエーション 2012-2015 12
2011年6月22日 Flag of Italy.svg ブルーパノラマ航空 -2012 8 4
2011年8月18日 Flag of India.svg Aviotech TBD 10 (VIP) 10
2011年8月19日 Flag of Russia.svg クバン航空 2012-2015 12
2011年8月19日 Flag of Russia.svg モスコビア航空 2013 3 2
2011年8月 Flag of Russia.svg ヤマル航空 2012-2015 10
2011年8月 Flag of Kyrgyzstan.svg キルギスタン航空 2013 2 2
2011年8月 Flag of Tajikistan.svg タジク・エア 2013 2 4
2011年10月9日 Flag of Switzerland.svg コムラックス 2014 2 (SBJ) 2
タイプ別小計 0 232 97
合計 329

イタリ航空マレブ・ハンガリー航空などからの発注もあったが、その後の破産によって取り消しとなっている。

航空事故[編集]

2012年5月9日インドネシア(ジャワ島)のジャカルタ付近で、インドネシアの航空関係者らが搭乗しデモフライト中だったRA-97004[8]機が消息を絶ち [9]、墜落したことが確認された[10]

管制官との連絡が途絶えたのは離陸から21分後の現地時間午後2時12分。すぐに2機のヘリコプター捜索に向かったが、強風天候不良のため、救助活動は行えず、基地への帰還を余儀なくされていた[11]

スホーイ社のインドネシア代理店によれば、搭乗数は乗客42名と乗員8名であるが、インドネシアの救助当局は、実際に搭乗したのは37名としており、ロシアの国営ノーボスチ・ロシア通信社は乗客・乗員合わせて44名が搭乗していたと報じるなど、情報が錯綜した[12]。インドネシアの救助隊は、2012年5月10日、インドネシアのジャワ島西ジャワ州ボゴールに近いサラーク山で、機体の残骸を発見した[13]

機体の残骸の周囲には、遺体が散乱しており、2012年5月10日、インドネシア当局は乗っていた全員が死亡したとみられると発表した。スホーイ社は、当初、乗っていた人数を50名と発表していたが、10日に45名に訂正した。乗っていたのは、インドネシアの航空当局者が主であり、他にスホーイ社の社員4名を含むロシア人8名と、アメリカ人とフランス人が各1名であるという[14]

2012年5月11日、インドネシアの救助部隊は、12名の遺体を発見した。インドネシアスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領は、ロシアウラジーミル・プーチン大統領と電話会談を行い、今後、両国が協力して事故の調査を行うと発表した[11]

2012年5月15日、インドネシアの捜索隊とロシアの専門家チームが捜索を続けていたブラックボックスが発見された[15]

参照[編集]

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  1. ^ ただし、通常はラテン文字及び英語発音によって表記/呼称され、略称としても「ССД-100」と表記されることは少ない。
  2. ^ First Sukhoi Superjet 100 delivered to Armenian airline(2011年4月19日 RIAノーボスチ通信 英語版)
  3. ^ Aeroflot’s Sukhoi SuperJet to make first regular flight.(2011年6月16日 イタルタス通信 英語版)
  4. ^ "Features." sukhoi.org. Retrieved 9 November 2010.
  5. ^ "Technical specifications." superjet100.com. Retrieved 9 November 2010.
  6. ^ "Engine specifications." powerjet.aero. Retrieved 9 November 2010.
  7. ^ 2008年6月2日 Japan Aviation News
  8. ^ aviation-safety.net/20120509-0
  9. ^ 44人乗りロシア機が消息絶つ=デモ飛行中-インドネシア - 時事通信
  10. ^ ロシア機の残骸見つかる=ジャカルタ南方に墜落-インドネシア - 時事通信
  11. ^ a b “ロシア旅客機墜落事故、12人の遺体を発見 インドネシア”. CNN. (2012年5月11日). http://www.cnn.co.jp/world/30006551.html 
  12. ^ “ロシア旅客機がインドネシア上空で消息を絶つ”. CNN. (2012年5月10日). http://www.cnn.co.jp/world/30006525.html 
  13. ^ “ロシア機の残骸発見 インドネシアの山”. 産経新聞. (2012年5月10日). http://sankei.jp.msn.com/world/news/120510/erp12051014260005-n1.htm 
  14. ^ “インドネシアで消息絶ったスホイ旅客機事故、全員絶望 写真6枚 国際ニュース”. AFPBB News. (2012年5月11日). http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/accidents/2877168/8921737 
  15. ^ “インドネシアで墜落の露スホイ旅客機、ブラックボックスを発見”. AFPBB News. (2012年5月16日). http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/accidents/2878175/8948846 

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]