R-77 (ミサイル)

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R-77

R-77は、ロシア製のアクティブレーダー誘導の中距離空対空ミサイルNATOコードネームAA-12 Adder(アッダー、マムシの意)。

一般にはR-77またはNATOコードネームを用いてAdderと呼ばれるほか、アメリカではAIM-120がアムラーム(AMRAAM)と呼ばれていて、運用形態や性能が似ていることから「アムラームスキー」と呼ばれることもある。もちろん設計はアムラームとは全く関係なく、「アムラームスキー」は嘲笑的な呼び方である。また、形状的にも末尾に四翔ある「スノコ状」の舵翼など、アムラームとの差異は大きい。

概要[編集]

このミサイルヴィーンペル科学製造連合によって設計・製作されたミサイルで、AIM-120同様のアクティブレーダー誘導による撃ちっ放し能力を有する。

1982年より開発が開始されたとされ、運用が始まったのは1994年。射程距離と機動性でAIM-120に勝ると言われている。

1992年モスクワ航空ショーで公開され、このとき西側のジャーナリストからアムラームスキーの愛称がつけられた。

性能[編集]

R-77のシーカー

尾部のスノコ状のグリッドフィン英語版は通常のミサイルの十字翼と尾部制御デバイスを掛け合わせたものに値し、重量と容積を減らしつつ姿勢制御のための揚力が得られる構造となっており(最小限の体積で表面積を大きく取れるため)、従来のフィン機構に比べてアクチュエータのパワーを必要とせず、RCS(レーダー反射断面積)も低減できる。また、高いAOA性能を実現しており、最大旋回率は150°毎秒で120G以上の機動が可能である。この概念実証に3年の開発期間が割かれている。ちなみに、この尾翼には短距離弾道ミサイル OTR-21 トーチカ(SS-21)英語版の技術が流用されている。

このミサイルはアガトによって開発された多機能ドップラーモノパルスアクティブレーダーシーカーを装備している。これには2つの操作モードがあり、短距離では「撃ちっ放し」モードを起動、長距離では指令誘導と慣性誘導を併用、ターゲットとの距離が20km以内になるとアクティブレーダーモードが自動で起動する。もしターゲットからロックオンが外れても、ホストレーダーシステムがターゲット情報を保持するようになっている。RVV-AEの射程距離に関して、高高度の機動していないターゲットにヘッドオンで発射した場合、射程は100km(62mil)。ミサイルシーカーはターゲットを相対距離15km(9.3mil)でロックオンし、最大速度はマッハ4(3,045mph(4,900km/h)に及ぶ。実際のところ、最大射程は90km程度の模様。

ECMとしては、仮にシーカーがジャミングを受けた場合、自動的に逆探知モードに切り替わり、ジャミング電波の発信源に向かって飛翔する機能を持つ。


派生型[編集]

上からR-77、R-77-PD、R-77-SPK、R-77M、R-77M1
R-77(RVV-AE)
基本型。
R-77M(K-77M)
R-77の射程延伸型で開発名称はIsdelje-180(イズジェリェ-180)。後部フィンは、MFI採用機のウェポンベイに搭載するため折りたたみ式となっている。重量は185kgで100-150km程度の射程を持つとされる。
R-77M1(K-77ME)
AWACSミサイル型で開発名称はIsdelje-180-BD(イズジェリェ-180-BD)。R-77Mをベースにパッシブ式のシーカーを搭載し、射程延長のため大型のブースターを装備している。
R-77M-PD(RVV-AE-PD)
推進方式をラムジェットに変更した射程延伸型。弾体を太くし、中央部に4カ所のエアインテイクを備えている。R-77M-PDは1989年に、最初の設計研究が締結され開発が始められたが、経済の混乱による開発予算の不足と性能のさらなる発展のために、MBDAとの合弁で開発を行っている。開発は1994年に完了したが、その後の状態は不明である。
R-77E(RVV-AE-E)
輸出用ダウングレード型。
R-77MT(RVV-AE-MT)
赤外線誘導型のシーカーを搭載しているとされるが詳細は不明である[1]
R-77-SD(RVV-AE-SD)
大規模改良型。ステルス機でのウェポンベイへの収納が想定されており、スノコ状の舵翼が折り畳めるようになっている。舵翼はモーター点火、射出時に展開される。他にも改良が加えられており、射程距離の延長、対ジャミング性能・ルックダウン・シュートダウン性能の向上が図られている。また、シーカーは西側のAAMに先駆けてアクティブフェイズドアレイ化がなされている模様である[2][3]
R-77-SRK
地対空ミサイル型。
R-77-ZRK(RVV-AE-ZRK)
VLSからの発射に対応した艦対空ミサイル型。推力偏向装置を搭載し、搭載燃料を増加させている。2005年より配備が始められている。

仕様[編集]

R-77[編集]

R-77(RVV-AE)

R-77M-PD[編集]

R-77M-PD(RVV-AE-PD)

R-77-SD[編集]

  • 長さ:371cm
  • 直径:20cm
  • 翼幅:42cm
  • 射程距離:110km[5]
  • 弾頭重量:22.5kg
  • 発射プラットフォーム:T-50

採用国[編集]

R-77(一番右)

脚注[編集]

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  1. ^ 軍用機ウェポン・ハンドブック
  2. ^ ‘Absolute killer’ air-to-air missile readied for Russian 5G fighter jet”. 2014年1月1日閲覧。(記事内ではK-77Mとされているが既存のK-77M/M1とは別物である)
  3. ^ 西側では日本がAAM-4BにおいてシーカーのAESA化を行っている
  4. ^ メーカー公式より。なお、射程については諸説あり90km程度とも言われている
  5. ^ 「エアワールド」2011年1月号 エアワールド

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]