艦上攻撃機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ハリアーIIアメリカイタリアスペインで運用されている。

艦上攻撃機(かんじょうこうげきき)は、航空母艦(空母)に搭載して運用する攻撃機アメリカ海軍の場合、従来の雷撃機艦上爆撃機とを統合するかたちで1946年に制定した[1]。略して「艦攻」(かんこう)ともいう。

概要[編集]

プロペラ機の時代には航空機をもって行う対艦船攻撃手段は雷撃急降下爆撃が主であり、そのうち雷撃を主たる任務とする機種を、日本海軍では「攻撃機」と称した。そしてその中で空母に搭載する機体を「艦上攻撃機」と称した。ちなみに陸上基地で運用する攻撃機は「陸上攻撃機」、空母に搭載し急降下爆撃を主たる任務とする機種は「艦上爆撃機」と称した。

なお雷撃を専門に行う機体を総称して雷撃機ともいう。

第二次世界大戦・中後期より発動機の強化などを背景に、日本海軍で言う所の艦上攻撃機と艦上爆撃機の両者を統合する動きが現れた。またロケット弾誘導爆弾などの発達に伴い、航空魚雷対艦兵器としての役割を終えて対潜兵器としての性格を強めていったこともあり、1946年には、アメリカ海軍は雷撃機という機能分類を廃止し、艦上爆撃機とあわせて艦上攻撃機に統一した[1]

空母に搭載できる機数は限定されるため、作戦の多様性を維持するためには、艦載機艦上機)は出来るだけ1機種で多くの任務をこなせることが望ましい。上述の艦上攻撃機と艦上爆撃機の統一もその考えに沿うものだが、近年ではそれが艦上戦闘機と艦上攻撃機の統一にも及んでいる。今日空母攻撃部隊の殆どはアメリカ海軍の運用するもの(空母打撃群)だが、アメリカ海軍からは、A-6イントルーダーの退役後、専用の艦上攻撃機は消滅し、F/A-18ホーネット戦闘攻撃機ファミリーが艦上攻撃機の任務を引き継いでいる。

代表例[編集]

プロペラ機[編集]

魚雷攻撃を行うもの[編集]

魚雷攻撃・急降下爆撃兼用機[編集]

大日本帝国の旗 大日本帝国

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

ジェット機[編集]

ジェット機になってからは、雷撃と急降下爆撃は廃れている。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 正確には戦闘雷撃機であり、戦闘機を兼ねる。
  2. ^ 1962年以降A-1と改称。
  3. ^ ()内は1962年までの呼称、以下同じ。
  4. ^ 空軍の攻撃機だが、統合運用の一環として、艦上展開も行っていた。
  5. ^ 計画当初は戦闘攻撃機と位置付けられていた。
  6. ^ 公式には軽襲撃機(シュトゥルモヴィーク)と称される[2]

出典[編集]

  1. ^ a b 山内 1978.
  2. ^ Polutov 2017, p. 124.

参考文献[編集]

  • Polutov, Andrey V.「ソ連/ロシア空母建造史」『世界の艦船』第864号、海人社、2017年8月、NAID 40021269184 
  • 山内, 秀樹「海軍機運用思想の歴史」『世界の艦船』第253号、海人社、1978年4月、70-75頁。