空母航空団

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空母航空団(くうぼこうくうだん Carrier air wing,CVW)とはアメリカ海軍における航空母艦搭載航空機部隊の編制である。

2013年時点では、空母打撃群の主兵力であり、複数の飛行隊(航空隊)で構成され、戦闘攻撃機から電子戦機早期警戒機対潜哨戒機輸送機までが含まれた混成航空部隊である。所属機はヘリコプターも含め90機程度である。

1隻の空母には1個CVWが搭載され、運用が行なわれる。各CVWは搭載先の空母が決められているほか、訓練・整備・補給拠点となる地上基地も設定されている。

編制の変遷[編集]

第二次世界大戦[1]
開戦時の「ヨークタウン級航空母艦」における典型的な空母航空群は下記のような編制であった。
エセックス級航空母艦」が竣工し戦力化された1943年以降の空母航空群は下記のような編制となった。
1944年8月には以下の編制が新たに制定され、1943年時の編制とともに終戦までの基本編制とされた。
  • 1個戦闘飛行隊
    • F6F-3/5 ヘルキャット艦上戦闘機×54機
  • 1個爆撃飛行隊
    • SB2C-3 ヘルダイバー艦上爆撃機×24機
  • 1個雷撃飛行隊
    • TBF/TBM-1C アベンジャー艦上攻撃機×18機
1945年1月には爆撃飛行隊と雷撃飛行隊を減らし、戦闘爆撃飛行隊を加えた編制が制定された。
  • 1個戦闘飛行隊
  • 1個戦闘爆撃飛行隊
    • それぞれF6F-5/5N ヘルキャット艦上戦闘機、またはF4U-1D コルセア艦上戦闘機×合計73機
  • 1個爆撃飛行隊
    • SB2C-4 ヘルダイバー艦上爆撃機×15機
  • 1個雷撃飛行隊
    • TBF/TBM-3 アベンジャー艦上攻撃機×15機
朝鮮戦争
1950年7月から1951年3月までの空母「フィリピン・シー」の航海で乗艦した第11空母航空群(CVBG-11)は下記のような編制であった。
ベトナム戦争
1970年4月から1970年12月までの空母「アメリカ」の航海で乗艦した第9空母航空団(CVW-9)は下記のような編制であった。
またこのほか、固有の搭載機としてC-1A トレーダー輸送機×1機があった。
グレナダ侵攻
湾岸戦争
1990年12月から1991年6月までの空母「レンジャー」の航海で乗艦した第2空母航空団は下記のような編制であった。
  • 2個戦闘飛行隊
    • それぞれF-14A/A+ トムキャット艦上戦闘機×9機(「ミッドウェイ」は搭載せず)
  • 2個攻撃飛行隊
    • それぞれA-6E イントルーダー艦上攻撃機×12機
  • 1個電子戦飛行隊
    • EA-6B プラウラー電子戦機×4機
  • 1個早期警戒飛行隊
    • E-2C ホークアイ早期警戒機×4機
  • 1個対潜飛行隊
    • S-3B ヴァイキング艦上哨戒機×6機
  • 1個対潜ヘリコプター飛行隊
    • SH-3 シーキング哨戒・救難ヘリコプター×6機
  • 1個艦載輸送飛行隊分遣隊
また一部の艦では、戦闘飛行隊ないし攻撃飛行隊のかわりに、F/A-18 ホーネットを装備した戦闘攻撃飛行隊が搭載されていたほか、KA-6D イントルーダー空中給油機が搭載されていた艦もあった。
イラク戦争
イラク戦争にて作戦中のCVN-75 ハリー・S・トルーマン飛行甲板
  • 1個戦闘飛行隊
    • F-14A/B/D トムキャット艦上戦闘機×12機
  • 2個戦闘攻撃飛行隊
  • 1個海兵戦闘攻撃飛行隊[2]
    • F/A-18C ホーネット×12機
  • 1個電子戦飛行隊
    • EA-6B プラウラー電子戦機×4機
  • 1個早期警戒飛行隊
    • E-2C ホークアイ早期警戒機×4機
  • 1個海上制圧飛行隊
    • S-3B ヴァイキング目標探知/空中給油機×8機
  • 1個対潜ヘリコプター飛行隊
  • 1個艦載輸送飛行隊分遣隊
    • C-2A(R) グレイハウンド輸送機
現在
CVN-74 ジョン・C・ステニス甲板上の艦載機(2007年)
  • 2個戦闘攻撃飛行隊
    • それぞれF/A-18E スーパーホーネット×12-14機
  • 2個海兵戦闘攻撃飛行隊
    • それぞれF/A-18C ホーネット×10-12機
  • 1個電子攻撃飛行隊
    • EA-6B プラウラー電子戦機×4-6機
  • 1個早期警戒飛行隊
    • E-2C ホークアイ早期警戒機4-6機
  • 1個艦載輸送飛行隊分遣隊
    • C-2A(R) グレイハウンド輸送機×1-2機
  • 1個対潜ヘリコプター飛行隊
    • SH-60F オーシャンホーク哨戒ヘリコプター、またはHH-60H レスキューホーク救難ヘリコプター×6-8機
今後(計画)
  • 2個戦闘攻撃飛行隊
    • それぞれF/A-18E/F スーパーホーネット戦闘攻撃機×10-12機
  • 1個早期警戒飛行隊
    • E-2D アドバンスド・ホークアイ早期警戒機×4-6機
  • 1個電子戦飛行隊
  • 1個艦載輸送飛行隊分遣隊
    • C-2A(R) グレイハウンド輸送機×2機

空母航空団の一覧[編集]

2013年時点

名称 略称 インシグニア テイルコード 搭載母艦 陸上基地
第1空母航空団 CVW-1 Cvw-1.gif AB CVN-71 セオドア・ルーズベルト オセアナ
第2空母航空団 CVW-2 Cvw-2.gif NE CVN-76 ロナルド・レーガン リムーア
第3空母航空団 CVW-3 Cvw-3.gif AC CVN-75 ハリー・S・トルーマン オセアナ
第5空母航空団 CVW-5 CVW-5-Insignia.JPEG NF CVN-73 ジョージ・ワシントン 厚木
第7空母航空団 CVW-7 Cvw-7.gif AG CVN-69 ドワイト・D・アイゼンハワー オセアナ
第8空母航空団 CVW-8 Cvw-8.gif AJ CVN-77 ジョージ・H・W・ブッシュ
第9空母航空団 CVW-9 Cvw-9.gif NG CVN-74 ジョン・C・ステニス リムーア
第11空母航空団 CVW-11 Cvw-11.gif NH CVN-68 ニミッツ
第14空母航空団 CVW-14 Cvw-14.gif NK
第17空母航空団 CVW-17 Cvw-17.gif AA CVN-70 カール・ヴィンソン

脚注[編集]

  1. ^ 大塚好古「太平洋戦争におけるアメリカの各種艦上機」歴史群像太平洋戦史シリーズ vol.53 『アメリカの空母』2006年、学習研究社、p180-186、ISBN 4-05-604263-2
  2. ^ 海兵隊所属

関連項目[編集]