FC-1 (航空機)

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FC-1 梟龍
JF-17 Thunder

離陸するパキスタン空軍のJF-17(2010年)

離陸するパキスタン空軍のJF-17(2010年

FC-1英語Fighter China)またはJF-17Joint Fighter)は、中国パキスタン・イスラム共和国が共同開発した単座式全天候型多用途戦闘機。中国では「梟龍」(枭龙)、パキスタンでは「サンダー」(Thunder:「」)が愛称となっている。

成都で開発されている殲撃10型と同様、1980年代アメリカ合衆国第二次天安門事件以降はソ連およびロシア連邦の技術支援により開発された第4世代機である。

開発[編集]

中国は、長らくMiG-21派生のJ-7を生産し、人民解放軍防空戦闘機として運用するとともに、中小国家に安価に輸出してきた。しかし、1980年代に入ると、自国での使用のみならず輸出商品としても性能の陳腐化が目立つようになったため、アメリカ合衆国航空機メーカー・グラマンの協力のもと、J-7をベースにアメリカ合衆国の技術を取り入れた新戦闘機スーパー7超七)を開発する計画を開始した。ところが、開始直後に発生した第二次天安門事件の余波によりアメリカはじめ西側からの技術提供が打ち切られることとなり、遅滞を余儀なくされた。

スーパー7は新たにFC-1と名前を変えて開発を再開し、中国第132航空廠が担当することになった。そして、パキスタン空軍からの協力でF-16の特徴を参考にし、開発を加速した。また、関係を改善したロシアミコヤン設計局で開発を進めていた単発小型戦闘機41の開発で得られた技術も開発計画に活かされている。しかし、パキスタンが度重なる核実験により国際制裁の対象となった結果、パキスタン空軍が熱望していた西側製アビオニクスの調達が不可能になってしまったため、アビオニクスは機体開発よりも後の段階で別途開発することとなった。

FC-1は、2003年9月3日に初飛行を行い、2005年までに試作機3機が完成し各種飛行試験を行った。2006年に完成した試作4号機(PT-04)では性能向上のため、機体の軽量化や大きな特徴であるDSI(ダイバータレス超音速インレット)の採用などの改設計を実施。この仕様が量産型の元になった。

特徴[編集]

J-7の機首にあったインテークは、電子機器搭載スペース拡大のため機体側面に移り、機体各部もJ-7より空力的に洗練された。大幅な改設計の結果、今までのJ-7系列とは外見が大きく異なり、主翼前部のストレーキや垂直安定板基部の処理など、むしろ、F-20に近いフォルムとなっている。そして、F-35より早く、世界で初めてDSIを実機に装備している。

パキスタン空軍のJF-17(2011年)

コックピットは3基の多機能ディスプレイを装備したグラスコックピットとなり、大型化・高性能化が図られた中国国産のレーダーによって視界外攻撃能力を獲得した。また、操縦方式は縦方向のみデジタル・フライ・バイ・ワイヤを採用し、横方向はコンピュータ補助の機械式制御となっている。エンジンは、ロシアクリーモフRD-33の派生型RD-93を採用、全量をロシアから輸入しているが、現在中国ではRD-33をベースにしたWS-13が開発されており、1機がこれを搭載して飛行したと報じられている[1]

ハードポイントは7箇所となり、新型のPL-12などの中距離レーダーホーミングミサイルをはじめとした各種空対空空対地空対艦ミサイル誘導爆弾や通常爆弾を搭載できる。1機1,500万ドルと比較的安価であり、共同開発相手のパキスタン空軍のみならず、発展途上国のMiG-21やF-5の代替として積極的な輸出を見込める価格となっている。

初期型のブロック1に続き、現在は改良を加えたブロック2の開発が進行している。ブロック2ではアビオニクスの改良や空中給油プローブの追加などが盛り込まれており、空中給油プローブについては既にブロック1仕様の機体で試験が行われている。

2013年6月のパリ航空ショーにおいて、複座型FC-1Bの模型が展示された。転換訓練用の複座機であり、搭載燃料が少なくなったものの、単座型同様に実戦への投入が可能な機体を目指している。また、FC-1Bは操縦系統が一新され、3軸安定式4重デジタル・フライ・バイ・ワイヤとなったほか、WMD-7英語版照準ポッド英語版に対応し、各種誘導爆弾の単独運用が可能となった。この改良は、単座型にも適応される予定である。

配備[編集]

購入予定の国

パキスタンは、2003年12月に中国と購入了解覚書を交わし、最初の16機を中国とパキスタンで8機ずつ生産することになった。2007年3月23日に最初の2機がパキスタンに到着。同発表によれば2機の配備は実戦配備ではなく飛行評価を主とするものである。そして、2009年3月7日、中国は先述のパキスタン製機を含む42機をパキスタンに売却し、同国と共同生産を進める契約に調印した。中国紙・環球時報3月10日付)によると、パキスタンは将来的に計250機まで増やす計画だという[2]。パキスタンでの生産初号機は2009年11月23日に引き渡された。その後2013年12月18日にはブロック1の最終号機たる50号機の納入式典が行われ、さらにブロック2仕様機50機の生産を行うことを明らかにした。

パキスタンは、人民解放軍空軍にも同機が配備されることを望んでいるとされるが、ハイ・ローミックスのロー側を担う殲撃10型が既に量産体制に入っているため、配備されるかどうかは未定である。

海外では、アゼルバイジャン空軍が装備品の近代化の一途としてパキスタンからJF-17の購入を計画しており、24機(一説には26機)が導入される予定である[3][4]。また、スーダンが12機のJF-17を購入する交渉を行っているとされる[5]ジンバブエも12機のJF-17を導入するとされているが、未だ実現していない[4]。さらに、アルゼンチンFAdeA (en) が2013年のパリ航空ショーにて中国の成都飛行機とFC-1の合同生産について議論したとされる[6]

前出の環球時報の記事は、パキスタンの軍事アナリストの話として、北朝鮮アゼルバイジャンタンザニアなど、世界で1,500機の需要があるという見通しだと伝えている。約300機程度を中東アフリカ諸国に輸出したいとされている。

評価[編集]

パキスタン空軍高官によると、2001年アフガン空爆を支援した見返りにアメリカから導入したF-16A/Bよりも高性能であると評価されている[7]。 また、本機はSu-30MiG-29にも対抗し得るとも言われている(年間飛行時間が200時間もあるパキスタン空軍のパイロットの腕を加味した可能性あり)(参考;新浪軍事 梟龍性能深度分析)。

仕様 (JF-17 / FC-1)[編集]

ファーンボロー国際航空ショーにて展示されるJF-17と搭載武装
  • 乗員:1名
  • 翼幅:9.46m
  • 全長:14.96m
  • 全高:4.77m
  • 空虚重量:6,411kg
  • 通常離陸重量:9,072kg
  • 最大離陸重量:12,474kg
  • 最大兵器ペイロード:6,063kg
  • 最大兵器搭載量:3,629kg
  • エンジン:RD-93ターボファンエンジン×1
  • 最大速度:マッハ1.6-1.8
  • 通常航続距離:2,037km
  • 戦闘行動半径:900km
  • 実用上昇限度: 15,240m
  • 最大上昇率:
  • 荷重制限: 8.5G
  • 武装:PL-12中距離空対空ミサイル、など

脚注[編集]

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外部リンク[編集]

関連項目[編集]

  • JL-9 - J-7の複座練習機型であるJJ-7を基にサイド・エアインテーク化した複座練習機。よって、J-7を基にサイド・エアインテーク化したFC-1の従兄弟と言える。機体サイズもほぼ同じ。