短波

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短波(たんぱ、HF (High Frequency) あるいはSW (Shortwave, Short Wave))とは電磁波のうち短波帯 (3 - 30MHz) の周波数電波をいう。波長は10 - 100m。

概要[編集]

この周波数帯の特徴として電離層の反射により上空波が地球表面の遠方まで到達するため、適切な設備を使い適切な周波数を選べば世界中との通信が可能である。周波数帯自体は技術的に発達した現代においては狭いものの、帯内それぞれの周波数において様々な電波伝播の特性があり、通信内容に応じた周波数・電波形式の選定は重要である。

電離層F層での反射の影響により受信信号の周期的な強弱の変化(フェージング)が起こりやすく、電離層の日変化、季節変化、太陽黒点の活動の影響を大きく受けるために電波伝播の安定度は劣る。昼夜・季節・太陽黒点活動による電離層の変化に対応するため、周波数や電波の放射角度などを変更することで安定した通信を確保する。短波無線機は、航空洋上管制や漁業無線に用いられる。逆に、その電離層の存在から地表面から宇宙空間への通信には全く向かず(逆も然り)、専ら地球上の地表面同士での電気的通信に利用される。

帯域内全ての周波数幅が27MHzと、21世紀現在の大容量・広帯域の電気的通信を賄うには周波数帯が狭く、専ら古くからの通信方式による比較的シンプルな電波形式・通信内容による通信が実施される。例えばモールス符号による電信振幅変調およびその応用である単側波帯 (SSB) を利用した単信無線電話、低ボーレートのデジタル通信の一種であるRTTYなどが代表例である[1]。いずれも、限られた周波数帯域を効率良く利用する為に様々な技術開発が行われ、20世紀の移動体通信における重要な技術であった。

時代は21世紀に移り衛星通信の台頭により重要度は低下しているが、地球表面上のある2点間の電気的通信において、原則的にその中間に中継設備等のインフラを必要とせず、地球の裏側までの通信をも可能とする周波数帯であることから、その特徴を生かした使われ方がされている。極端には、その2点に送受信機と空中線(アンテナ)、そして電源さえあれば良い。

用途[編集]

ラジオにおける短波の周波数範囲[編集]

短波帯はその伝播特性から、国際放送の手段として古くから用いられてきた。この放送を受信するために短波ラジオ(BCLラジオ)が数多く生産された。この短波ラジオにおいては、多くは1.6 - 30MHzがSW(短波)と表示される。これは1.6MHzが中波放送の上限周波数で、それより上の周波数が短波として取り扱われたからである。このことから短波ラジオを使って放送を聴取することを「SWL」ともいう。

高級な短波ラジオでは受信可能範囲内で受信できない周波数がない(所謂「歯抜け」がない)ため特に意識することはないが、比較的普及クラスの短波ラジオにおいては放送波の集中する9-12帯程度に周波数帯を分割し、それぞれのバンド(周波数帯)をその周波数の波長で表記する慣習がある。分割位置は概ねどの製品でも多少の差こそあれ概ね同じような分割がなされる。また、表記方法は波長でなく単にSW1、2、等の簡易的表示もあるが大抵はMB(メーターバンド)で表記される。

高速電力線搬送通信反対運動[編集]

現在市販されている「高速電力線搬送通信」(PLC) だが、短波の利用に影響をきたす可能性が考えられるとの理由から許可取り消しなどを求める反対運動が起こっている。

脚注[編集]

  1. ^ 但し、27MHz以上の短波帯ではFM変調も利用される場合がある

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

1957年国際電信電話(現・KDDI)の企画の下で東京シネマが制作した短編映画《現在、上記サイト内に於いて無料公開中》。太陽活動に伴って生成・変化する電離層と短波通信の関係に触れると共に、それを通して当時の国際通信事情についての紹介もしている。