短波放送

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短波放送(たんぱほうそう)とは、国際放送や国土の広大な国での広域の国内放送に使われる、短波を用いる放送である。

日本では、総務省令電波法施行規則第2条第24号の2に「3MHzから30MHzまでの周波数電波を使用して音声その他の音響を送る放送」と定義している。放送法施行規則別表第5号第5放送の種類による基幹放送の区分(2)にもあるので、基幹放送の一種でもある。

周波数[編集]

一部例外を除き、国際電気通信条約で定められた次の14のバンド(周波数帯)による。それぞれのおよその波長から、〜メーターバンド(MB)と呼ばれる。最も長波長の120MB(日本では未使用)は厳密には、短波の通常の定義である3000から30000kHzより長波長(低周波)の中波だが、短波放送に含められる。

120mバンド
2300 - 2495kHz
赤道に近い熱帯地域で国内放送用に使われるため、俗にトロピカルバンドといわれる。
90mバンド
3200 - 3400kHz
120mバンド同様にトロピカルバンドである。
75mバンド
3900 - 4000kHz
アメリカ州では利用できない(3500から4000kHzまでアマチュア無線に割当て)。主として国内放送用。ラジオNIKKEIが使用。
60mバンド
4750 - 5060kHz
国内放送用。
49mバンド
5900 - 6200kHz
国内放送・国際放送用バンド。ラジオNIKKEIが使用。冬に多くの放送局が集中する。
41mバンド
7200 - 7450kHz
国際放送用バンド。アメリカ州では利用できない(7000から7300kHzまでアマチュア無線に割当て)。局数はあまり多くない。
31mバンド
9400 - 9900kHz
国際放送用バンド。短波放送のメインストリートといわれる。ラジオNIKKEIが使用。
25mバンド
11600 - 12100kHz
国際放送用バンド。短波放送のメインストリートといわれる。
22mバンド
13570 - 13870kHz
国際放送用バンド。開設されて歴史が浅いせいか局は少ない。
19mバンド
15100 - 15800kHz
国際放送用バンド。主として遠距離伝搬用。
16mバンド
17480 - 17900kHz
国際放送用バンド。19mバンドに特性が似ている。
15mバンド
18900 - 19020kHz
国際放送用バンド。開放されて歴史が浅いせいか局数は少ない。
13mバンド
21450 - 21850kHz
国際放送用バンド。太陽活動の活発な時期の遠距離伝搬用。
11mバンド
25670 - 26100kHz
国際放送用バンド。13mバンドと同様、太陽活動の活発な時期だけ使われる。遠距離伝搬用。

短波は電離層で反射するため、条件がよければほぼ全世界の放送を受信できる。但し、電離層の状態の変化により、条件の良い周波数は季節・時刻・地域などによって変わるため、放送局はどのような条件でも良好に受信できるように季節・時刻などによって複数の周波数を切り替えて、あるいは同時に使って放送することもある。冬季・夜間は低い周波数が良好に届き、逆に夏季・昼間は高い周波数が良好になる。また、電離層の状態は太陽黒点の活動の影響を受けるために、太陽黒点の数の増える時期になると高い周波数が、少ない時期になると低い周波数が良好になる。電離層と地表の間を反射して電波が伝わるために位相差フェージングが起こりやすい。

変調方式[編集]

変調方式は、中波放送と同じ両側波帯振幅変調(AM)である。但し、単にAM放送と言った場合は、中波放送に限り、短波放送は含めないのが普通である。なお、中波放送と異なり、ステレオ放送は存在しない。

WARC-HF-BC-87(1987年世界無線通信主官庁会議)において、2015年末までにSSBへの全面的移行が提議されたが、WRC-03(2003年世界無線通信会議)で、期限を定めずにデジタル方式に移行すると変更 [1] された。このデジタル方式とされたのがDRMである。対応受信機で聞くか、アナログ受信機で受信して中間周波数DRMコンバータに入力して復調することとなる。日本ではDRMの実施局はないが、外国局の受信はできる。

放送局[編集]

日本では、地上基幹放送として日経ラジオ社が「ラジオNIKKEI」(旧・ラジオたんぱ、日本短波放送)として全国放送を、日本放送協会(NHK)が「NHKワールド・ラジオ日本」として国際放送を実施している。 この二者は特定地上基幹放送事業者である。 特定失踪者問題調査会が行っている「しおかぜ」はNHKワールド・ラジオ日本の施設から送信しているが、地上基幹放送局ではなく広報業務用の特別業務の局として免許されている。気象庁航空機向けにVOLMET放送を、ファクシミリ船舶向けに気象無線模写通報を送信しているが、これらも気象用の特別業務の局である。これら特別業務の局が行うのは電波法令上は同報通信[2]といい地上基幹放送ではない。

日本以外では、イギリスBBCの「BBCワールドサービス」、アメリカの「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)などが有名である。また、日本政府拉致問題対策本部が行っている「ふるさとの風」は日本国外の第三国の送信所から行われている。その他、日本向け日本語放送も、かつてほどの本数はないものの、日本周辺のいくつかの国や地域(大韓民国朝鮮民主主義人民共和国中華人民共和国中華民国ロシアベトナム社会主義共和国など)で行われている。

受信機と受信アンテナ[編集]

短波放送を受信するためには、これに対応した受信機ラジオ)が必要である。

日本では、ソニーパナソニックなどが、また、業務用無線機やアマチュア無線機器などのメーカーが、据置型やハンディ型のオールバンド受信機を製造している。前者は海外旅行向けなどのやや特殊な商品と位置付けられ、大手家電量販店チェーンの中でも、一部の大規模店だけで販売している程度である。後者は主にアマチュア無線専門店で販売している。ホームセンターや家電量販店チェーン、ディスカウントストアなどでは安価な受信機を販売していることもある。ラジオNIKKEIのみ又はAM・FM放送を合わせて受信できる機種もあり「株・競馬ラジオ」などと称している。家電量販店などの他、ラジオNIKKEIのウェブサイト通信販売で購入できる。アマチュア無線用トランシーバーには広帯域受信の機能を持つものがあるが、アマチュア局免許が無ければ不法無線局の開設とみなされるので注意を要する。

バブル経済期は時代を反映し、高級車のデッキでの純正搭載が見受けられたが、現在はトヨタ・センチュリーのみに搭載されている。

国外から輸入する場合、ラジオ放送用の受信機器(関税率表85.27項)については関税率を無税としており、関税定率法の規定により計算される課税価格(原則として、輸入貨物の価格に日本までの運賃と保険料を加算したもの)に対して消費税が課される。個人輸入で比較的安価に購入できるものもあるが、故障の際に国内で修理できないリスクもある。

一般的な受信機ではロッドアンテナが付属することが多いが、外部アンテナが接続可能な機種もある。外部アンテナが接続できれば、窓際や屋外にアンテナを設置することにより格段に感度が上昇する。アンテナは無線機専門店で購入できるが、市販のビニール線(10m程度)を繋いで屋外に出すだけでもかなりの効果がある(ロングワイヤーアンテナを参照)。

日本国内の短波ラジオメーカー[編集]

  • 朝日電器(「ELPA」ブランド)
  • アンドーインターナショナル(「ANDO」ブランド)
  • オーム電機(「Audio Comm」ブランド)
  • 千住(「TEKNOS」ブランド)
  • ソニー(短波用外部アクティブアンテナ「AN-12」と「AN-LP1/LP2」も製造。高級ラジオの一部機種は十和田オーディオ製)
  • 十和田オーディオ(株・競馬ラジオ及びワールドバンドラジオ国内トップメーカー。AM専用及びAM/FM2バンドの一部モデルも含めた「SONY」ブランド高級ラジオを製造)
  • パナソニック(現行モデルはラジオNIKKEI対応3バンド=AM/FM/SW通勤ラジオ「RF-NT850RA」のみ。ワールドバンドラジオはRF-B11を最後に2011年限りで生産終了)

脚注[編集]

  1. ^ 電波法施行規則、無線設備規則、特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則及び電波の利用状況等の調査に関する規則の各一部改正にする省令案について (PDF) pp.9-10「短波放送を行う放送局の無線設備の技術基準の改正」(電波監理審議会(第896回)会長会見資料(平成17年6月8日開催)別紙「2.WRC-03による無線通信規則改正を受けた短波放送を行う放送局の無線設備の技術基準の改正」参考資料(国立国会図書館のアーカイブ:2009年10月21日収集))
  2. ^ 電波法施行規則第2条第1項第20号 「同報通信方式」とは、特定の二以上の受信設備に対し、同時に同一内容の通報の送信のみを行なう通信方式をいう。 (送り仮名の表記は原文ママ)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]