多機能情報伝達システム

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多機能情報伝達システム英語: Multifunction Information Distribution System, MIDS)は、軍用無線データ通信システムの1つ。使用周波数はLバンド時分割多元接続(TDMA)技術を採用しており、高い対電子妨害耐性と秘匿性能を備えている。

従来、統合戦術情報伝達システム(JTIDS)によって運用されてきたリンク 16/TADIL-JやIJMSなどの戦術データ・リンクに対して完全な互換性を持ち、かつ、JTIDSよりも低コスト・低容積・低消費電力の実現を目標として開発された。商用オフザシェルフ化されたオープンアーキテクチャの端末装置である。

目次

MIDS-LVT [編集]

MIDS-LVT(Low Volume Terminal)は、もっとも初期に開発されたMIDS端末のファミリーである。アメリカ軍においてはAN/USQ-140の制式番号が付与されている。

開発はアメリカフランスドイツイタリアスペインの共同計画によって進められ、アメリカのViaSat社、DLS社(Data Link Solutions)とヨーロッパのEuroMIDS社の計3社がベンダーとなっている。なお、これらのベンダーのうち、DLS社はBAEシステムズ社とロックウェル・コリンズ社、またEuroMIDS社はドイツのEADS社、フランスのタレス社、スペインのインドラ社、イタリアのセレックス社の4社による、それぞれ合弁事業である。

MIDS-LVTには、基本的に3つのシリーズが存在する。

USQ-140(v)1シリーズ
MIDS-LVT(1)、およびこれを原型として派生した端末で、原則として空軍・海軍向けに用いられる。2つのLRUを基本構成として、さらに2つのLRUを追加することができる。
USQ-140(v)2/11シリーズ
MIDS-LVT(2)、およびこれを原型として派生した端末で、原則として地上部隊・軍用車両向けに用いられる。4つのLRUによって構成される。
USQ-140(v)3シリーズ
USQ-140(v)1シリーズをもとに派生した系列で、MIDS-LVT(3)のみがこれに属している。主としてF-15の近代化改修用として開発されたことから、MIDS-FDL(Fighter Data Link)とも通称されており、USQ-140(v)1シリーズをもとにして、秘匿音声通話機能とTACAN機能については機体固有の端末と連接させることでその機能を省き、また出力も抑えることにより、軽量化を達成した。2つのLRUによって構成される。
MIDS-LVTのバリエーション一覧[出典 1]
シリーズ 型式名 諸元 機能 インターフェース プラットフォーム例
寸法 [cm]
(L×W×H)
重量
[kg]
出力
[ワット]
リンク16
IJMS
音声 TACAN 1553 X.25 イーサネット
(v)3 MIDS-LVT(3)
USQ-140(V)3(C)
端末: 34×19×19
電源: 34×6×19
端末: 16.8
電源: 3.5
50 F-15 MSIP-2
F-15J/DJ J-MSIP
UCAV
(v)1 MIDS-LVT(1)
USQ-140(V)1(C) RT-1840
端末: 22.2
電源: 6.5
200[1] プラットフォームD E-2D
F/A-18
ユーロファイター タイフーン
ダッソー ラファール
MIDS-LVT(4)
USQ-140(V)1(C) RT-1841
サーブ 39 グリペン
・地上部隊
MIDS-LVT(5)
USQ-140(V)5(C) RT-1841
艦艇
早期警戒管制機
MIDS-LVT(6)
USQ-140(V)1(C) RT-1842
200 AC-130
F-16
MIDS-LVT(7)
USQ-140(V)1(C) RT-1843
B-2
(v)2/11 MIDS-LVT(2)
USQ-140(V)2(C) RT-1785
端末: 34×19×19
電源: 63×33×21
端末: 17.4
電源: 11.6
冷却装置: 4.6
マウント: 3.1
プラットフォームJ ・地上部隊、軍用車両
MIDS-LVT(11)
USQ-140(V)11(C) RT-1868
TACP

MIDS-JTRS [編集]

MIDS-LVTのベンダのうち、アメリカ側の2社によって開発されている、より先進的なMIDSがMIDS-JTRSである。これは、MIDSと、アメリカ軍の次世代無線通信システムである統合戦術無線システム(JTRS)を統合する試みであり、MIDS-LVTと同程度の容積・消費電力に押さえつつ、次世代の無線ネットワークとして開発中の広帯域ネットワーク波形(WNW)に対応し、またアメリカ国家安全保障局が開発した新しい暗号方式によるセキュア通信を実現する。このような性格上、MIDS-JTRSは、MIDS-LVTよりもさらに厳格な輸出統制がなされる見込みである。

イーサネットのインターフェースとしては、従来のMIDS-LVTではAIUが使用されていたのに対し、10BASE-Tが用いられている。

2006年11月には、F/A-18Eへの搭載に関する適合性が確認された[出典 2]

脚注 [編集]

  1. ^ 高出力増幅器(High Power Amplifier)を連接することで1,000ワットまで増強可能

参考文献 [編集]

  1. ^ ViaSat.Inc (2009年). “DLS Platforms - Frequently Asked Questions” (英語). 2011年12月31日閲覧。
  2. ^ Carol Kim (2009年12月2日). “VMIDS JTRS Program Status (PDF)” (英語). 2011年12月31日閲覧。