H-2 (航空機)
H-2 シースプライト
H-2 シースプライト(Kaman H-2 Seasprite)は、アメリカ合衆国において海軍向けに製作された小型の艦載汎用 / 対潜ヘリコプター。
当初は航空母艦等に搭載される小型の汎用ヘリコプターだったが、水上戦闘艦の多目的戦闘システムLAMPS(Light Airborne Multi-Purpose System)にSH-2として組み込まれることによって活動範囲を飛躍的に広げた。SH-2は対潜水艦攻撃および地平線を超えた対地攻撃の能力を持ち、すべてのタイプの潜水艦や、水上艦、および対艦ミサイルを備えた航空機の脅威に対して、艦の持つ探知機器や兵器の能力を増強することが可能である。
シースプライトの今日の主たる役割は、対潜水艦戦闘、対地戦闘、および対艦ミサイルからの防衛と敵艦の監視・照準である。またその他にも、救急輸送、捜索、救難、人員や貨物の輸送、小型艇の撃退、水陸両用作戦の援護、火砲の目標指示、機雷の発見、攻撃成果の評価など、多岐にわたる役割をこなしている。
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概要[編集]
HU2K / UH-2[編集]
H-2は当初「HU2K-1」と呼ばれた単発小型の汎用ヘリコプターであり、捜索・救難を目的として航空母艦等に配属された。1962年のアメリカ三軍の航空機呼称統一により、「HU2K-1」は「UH-2A」、電子装備を軽減した昼間作戦型「HU2K-1U」は「UH-2B」と改称された。
シースプライトの機体構成はこの汎用・救難タイプの目的に沿ったもので、幅広い平坦な底部を持つ胴体は30度傾いても転覆しない安定性を持っており、尾部ローターも高い位置に置かれている。また、前脚は胴体内に完全に引き込まれるが、これも救難の際に使用するホイストに絡む危険を防ぐための配慮である。機体にはたびたび改修が行われたが、最も大きな改修は双発化と外部搭載装置の追加であった。
陸軍向け実験機[編集]
1963年にはUH-2A改造の陸軍向け軽攻撃ヘリコプター「トマホーク」が開発された。トマホークは本格的な攻撃ヘリコプターであるAAFSS(AH-56。後に開発中止となった)が配備されるまでのつなぎのガンシップヘリコプターとして陸軍に提案されたが、ベル AH-1 コブラに敗れ、採用はならなかった。
一方、1964年にはUH-2Aを改造した高速研究機が作られた。既存のT58に加えてGE YJ95ジェットエンジンを右側に1機追加し、回転翼機による水平方向の推力増大と高速飛行時の操作性、安定性を調査するための機体でその後の複合ヘリコプターの開発研究に多大な貢献をなした。
これら2機は海軍の機体番号をつけたまま陸軍で運用され、後者は後に海軍に返還された。
LAMPS[編集]
詳細は「LAMPS」を参照
1972年にスタートした「Light Airborne Multi-Purposeシステム(LAMPS)」計画において、その対象の機体としてHH-2Dが選定された。LAMPSとは、1960年代後半、航空機を搭載していない軍艦を支援し、その対潜作戦における攻撃手段となる有人ヘリコプターを開発するという緊急の必要性から生まれた計画である。
LAMPS Mk Iとして知られる兵器システムは、ヘリコプターに搭載した最新式のセンサー、処理装置プロセッサーと表示装置からなり、軍艦が、そのレーダーの有効範囲を地表による限界線の先まで広げ、また水中においては、船体に装備したソナーの水中の脅威に対する音響探知と防備の範囲の狭さを補うものであった。LAMPS任務を割り当てられたH-2は「SH-2D」と改称された。
最初の実用のSH-2D/LAMPSヘリコプターは、1971年12月にミサイル巡洋艦「ベルナップ」に搭載された。
その後、海軍の運用するH-2は2機を残して「SH-2F」に改造され、また1980年代に新たに59機のSH-2Fが作られた。SH-2Fの最終機の納入は1986会計年度だった。SH-2Fは1993年10月に実戦から退いたが、ちょうど同じ頃に予備役に編入または売却されたノックス級フリゲートにはSH-2の後継でより大きいSH-60 シーホークを搭載することができなかったため、SH-2Fも生き残ることとなった。
SH-2の最終型はローターを複合材料化し、エンジンの強化及びアビオニクスの一新を行ったモデル K-894 SH-2Gで、「スーパーシースプライト」と呼ばれる。SH-2G スーパーシースプライトは、アメリカ海軍においては2001年5月に予備役からも退役したが、エジプト海軍、ポーランド海軍、オーストラリア海軍およびニュージーランド海軍では今も現役にとどまっている。ポーランド海軍では、今後SH-60を導入する予定である。
使用国[編集]
各型解説[編集]
- HU2K-1 : UH-2Aの開発当初の海軍による呼称。
- HU2K-1U : UH-2Bの当初の呼称。
- UH-2A : 汎用輸送ヘリコプター。1,250shpのゼネラル・エレクトリック T58-GE-8Bターボシャフトエンジン1基で駆動。最初の生産型
- UH-2B : 汎用輸送ヘリコプター。UH-2Aの電子装備を軽減し、作戦範囲を有視界飛行に限定したもの。
- UH-2C : UH-2AとUH-2Bを1,250shpのゼネラル・エレクトリック T58-GE-8Bターボシャフトエンジン双発としたもの
- NUH-2C : 評価用に1機のみ試作。UH-2CにAIM-9サイドワインダーとAIM-7スパローIII空対空ミサイルの搭載および発射が可能にしたもの
- NUH-2D : NUH-1Cを改称
- HH-2C : 捜索・救難ヘリコプター。機首下面にミニガン1丁を搭載
- HH-2D : 捜索・救難ヘリコプター。武装および装甲なし。
- SH-2D : 対潜作戦用ヘリコプター
- YSH-2E : 最新式のレーダーとLAMPS装置を装備した評価試験機。2機製作
- SH-2F : 対潜作戦用ヘリコプター。改良版
- SH-2G スーパーシースプライト : 対潜作戦用ヘリコプター。1,723shpのゼネラル・エレクトリック T700-GE-401ターボシャフトエンジン双発。
- SH-2G (A) : オーストラリア向け輸出用
- SH-2G (M) : マレーシア向け輸出用(提案のみ)
- SH-2G (NZ) : ニュージーランド向け輸出用
性能・主要諸元(SH-2G)[編集]
出典: 江畑謙介 『艦載ヘリのすべて―変貌する現代の海洋戦』 原書房、1988年。ISBN 978-4562019748。
諸元
- 乗員: 3 名(操縦士、副操縦士兼戦術士(TACCO)、センサー操作員(SENSO))
- 全長: 16.0 m
- 全高: 4.5 m
- ローター直径: 13.4 m
- 空虚重量: 4.13 t
- 最大離陸重量: 6.124 t
- 動力: GE T700 ターボシャフトエンジン、 (1,723shp) × 2
性能
- 最大速度: 256 km/h (138kt)
- 巡航速度: 222 km/h (120kt)
- 航続距離: 1,000 km
- 実用上昇限度: 7,285 m
- ホバリング上昇限度(IGE): 6,340 m
- ホバリング上昇限度(OGE): 5,486 m
- 上昇率: 762 m/min
武装
関連項目[編集]
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