OH-58 カイオワ

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OH-58 カイオワ

OH-58D カイオワ

OH-58D カイオワ

OH-58 カイオワ(OH-58 Kiowa)は、ベル・ヘリコプター社が開発した観測ヘリコプターである。アメリカ陸軍においては、主力観測ヘリコプターのほか、戦闘ヘリコプターとしても使用される。その性能は世界から高く認知され、これまでに6ヶ国に輸出されている。

愛称のカイオワ(Kiowa)は、アメリカ先住民カイオワ族にちなむ。

開発[編集]

軽観測ヘリコプター (LOH) 計画[編集]

アメリカ陸軍1960年代中期、H-13スー観測ヘリコプターの後継機となる新たな主力軽観測ヘリコプター(LOH:Light Observation Helicopter)計画を提示し、LOHは4人乗りで最大速度103kt以上、有効積載量180kg以上などの性能要求が出された。これに対し、12社に上るメーカーから22種類におよぶ設計案が提出され、このうちベル・ヘリコプターやヒューズ社、ヒラー社が最終選考まで進んだ。1961年5月19日に陸軍から試作機製造が承認され、各社5機ずつ製造した。

ベル・ヘリコプターは「モデル206」、ヒラーは「FH.1100」、ヒューズは「モデル369」を提案した。「モデル206」にはYOH-4A、「FH.1100」にはYOH-5A、「モデル369」にはYOH-6Aの名称が与えられ、比較評価試験が行われた。1年間におよんだ評価試験の結果、1965年5月26日に機体性能の良さと安価なことからYOH-6Aを選定、OH-6の名称で導入し、ベル・ヘリコプターのYOH-4Aは破れた。

ベル・ヘリコプターは「モデル206」を民間型に改良したベル 206ジェットレンジャーを開発、1966年1月10日に初飛行させた。ベル 206は民間市場で好調なセールスを記録し、1968年1月にはアメリカ海軍がTH-13練習ヘリコプターの後継機として着目し、TH-57A シーレンジャーの名称で採用した。さらに1960年代後半にはOH-6Aの生産費用が急騰したことから調達中止となり、再度軽観測ヘリコプターの入札が行われ、1968年3月8日OH-58A カイオワの名称で採用が決定し、新たな観測ヘリコプターとして2,000機が発注された。OH-58A量産初号機は1969年5月23日にアメリカ陸軍へ引き渡されてベトナム戦争に投入されている。

陸軍ヘリコプター改善計画 (AHIP)[編集]

1970年代後期、アメリカ陸軍は陸軍ヘリコプター改善(AHIP:Army Helicopter Improvement Program)計画を提示、1981年9月21日に主契約会社をベル・ヘリコプターに決定した。ベル・ヘリコプターはこの計画で、OH-58Aを大幅に改造したOH-58D カイオワ・ウォリアを提案、アメリカ議会により592機の改修が決定した。しかし、後に改修機数は477機、206機と削減された。だが、議会が改修計画を支持したため、1995年に追加が認められ、383機が改修された。

OH-58Dでは、エンジンをアリソン製T703-AD-720に変更し、トランスミッションの出力も増加、主ローターを複合材料製4枚ブレードへ変更、油圧安定制御および増強システムの操縦系統への付加、操縦室に多機能表示装置および暗視ゴーグル対応型計器の装備、マクドネル・ダグラス社とノースロップ社が共同開発した、主ローターマスト装着式照準器(MMS)を装備し、中にTVおよび赤外線光学装置、レーザー目標指示/測距装置の収容などの改良が行われた。

OH-58D初号機は1983年10月6日に初飛行し、1985年12月からアメリカ陸軍への引き渡しが始められた。

OH-58D初期引き渡し分のうち、15機は特殊武装型のプライム・チャンスと呼ばれる機体で、AIM-92 スティンガー空対空ミサイルAGM-114 ヘルファイア対戦車ミサイル、M260 2.75inロケット弾ポッドや機銃ポッドを胴体側面に携行できるようにされた。

今後[編集]

アメリカ陸軍では、OH-58Dをさらに改修して使用する多目的軽ヘリコプター(MPLH)計画を提示している。

アメリカ陸軍はこの計画について、OH-58D(I)のスキッド式降着装置を折り曲げ式にするとともに、主ローター・ブレードと尾部垂直安定板を折り畳み式にし、輸送機への搭載などをさらに安易にできるようにするとしている。また、機外に担架などを固定できる機外取り付け具の装備も検討している。

さらに、OH-58Xへの改修も計画している(下記を参照)。

しかしOH-58も初飛行が1960年代と基本設計が古く、改修計画とは別に、OH-58Dを偵察任務から外し、新しい偵察ヘリコプターとしてARH-70を導入することも検討していたが、ARH-70の導入費用が当初の予定を大幅に超過したためにARH-70開発が2008年10月16日に中止された(詳細はARH-70#開発中止を参照)。 これに伴い、アメリカ軍は残存する339機のOH-58Dの電子機器の入れ替えと安全対策の強化を進めている。

派生型[編集]

OH-58A[編集]

OH-58の通常型。4つの座席からなる。

OH-58B[編集]

オーストリア空軍向けのOH-58。

OH-58C[編集]

テストパイロット学校(カリフォルニア州モハーベ砂漠)を飛行するOH-58C

基本的にOH-58Aと同じ。

変更点は、エンジンを313kWのアリソン T63-A-720にパワーアップ、電子機器類性能向上、操縦室計器の配置変更などがおこなわれている。アメリカ陸軍が採用したほか、ドミニカ共和国も採用。

OH-58D[編集]

バクダッド市内を飛行するOH-58D

愛称はカイオワ・ウォリア(Kiowa Warrior)。

OH-58Aからの変更点は、エンジンを出力向上型の485kWのアリソン T703-AD-720に変更、メインローターブレードを4枚にし、複合材を素材に使用、操縦系統へ油圧安定制御と増強システムを付加、操縦席へ多機能表示装置と暗視ゴーグル対応型計器類を装備、ローターマストに照準器、TVおよび赤外線光学装置、レーザー目標表示・距離測定装置の装備である。

アメリカ陸軍のほか、台湾陸軍が採用している。

OH-58D(I)[編集]

OH-58Dの武装携行型。兵装パイロンが胴体両側面に取り付けられ、トランスミッションの出力が強化されている。搭載電子機器類では、AN/ARC-201地上・空中用単一チャンネル無線システム(SINCGARS)の装備、AN/APR-44(V)3レーダー警戒装置、AN/ALQ-144(V)1赤外線妨害装置、AN/AVR-2レーザー探知装置などを追加装備し、乗員の生存性を高めている。

OH-58X[編集]

アメリカ陸軍が計画する、OH-58Dのステルス型。機首ターレットに視野30度の前方監視赤外線(FLIR)を装備して夜間の超低空飛行を可能にするもので、航法システムでもリング・レーザー・ジャイロ式慣性航法装置(INS)の装備や全地球測位システム(GPS)の追加、地形地図および統合型ヘルメット表示装置も取り付けられる。1992年にOH-58D試作4号機が改造されて試験に使用されたが、量産改修はまだ行われていない。

406CS[編集]

OH-58Dの状態で、武装を軽装備化した海外輸出型。GIAT 20mm機関砲ポッドTOW対戦車ミサイル、70mmロケット弾を胴体側面に装備する。エンジンやローターなどは、そのままOH-58Dのものを使用する。

現在、13機がサウジアラビア陸軍で使用されている。

愛称はコンバット・スカウト(Combat Scout)。

採用国[編集]

イラクで飛行するAH-64 アパッチ(上)とOH-58D(下)
アメリカ陸軍のOH-58D
OH-58A (オーストラリア陸軍
OH-58B (オーストリア空軍
COH-58A (カナダ空軍
CH-136 (カナダ空軍)
OH-58D (台湾陸軍
OH-58C
406CS (サウジアラビア陸軍
OH-58A (アメリカ陸軍
OH-58C (アメリカ陸軍)
OH-58D (アメリカ陸軍)

性能・主要諸元[編集]

OH-58A[編集]

OH-58D[編集]

OH-58D 三面図

406CS[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]