SINCGARS

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AN/PRC-119。代表的なSINCGARS対応戦術無線機である。

SINCGARS英語: Single Channel Ground and Airborne Radio System、地上・空中単一チャンネル無線システム)は、アメリカ陸軍海兵隊軍用無線機CNR)のシステムアーキテクチャMIL規格においてMIL-STD-188-241-1/-2として規定されている。

概要[編集]

1970年代アメリカ陸軍の航空機・地上部隊においては、下記のような戦術無線機が使用されていた。

  • 携行式: AN/PRC-68
  • 背負式: AN/PRC-77
  • 車載用: AN/VRC-12, AN/VRC-43〜49
  • 機上用: AN/ARC-114, AN/ARC-131, AN/ARC-186

これらはいずれも、周波数ローVHF変調方式周波数変調(FM)方式を採用しており、相互に交信することはできたが、異なる設計に基づいていたことから、相互運用性には問題があった。このことから、共通の設計に基づき、また信頼性や性能を向上させた戦術無線機によって、これらを統合的に更新することが計画されるようになった。この共通システムアーキテクチャとして開発されたのがSINCGARSである。1983年11月には最初の契約がITT社との間に締結され、1991年12月にはジェネラル・ダイナミクス社が副次的契約を獲得した。1990年12月第1歩兵師団に配備されたのを皮切りに全軍への導入が開始され、現在までにSINCGARS対応端末が500,000基配備されている。

SINCGARSにおいては、使用周波数と変調方式は従来通りで、ローVHF(30〜76 MHz)、FM方式であることから、従来機との交信も可能である。また、従来通りの単一周波数方式に加えて、周波数ホッピング・スペクトラム拡散(FHSS)によって抗堪性を向上させることも可能となっているが、この場合は従来機とは交信できない。ホッピング回数は100 rpsである。また、SINCGARS端末は、改良型データ・モデム(IDM)およびデジタル通信端末(DCT)とともに、地上部隊の標準的戦術データ・リンクとして配備が進められているVMF-TDL物理層を構成する。

SINCGARSに対応した戦術無線機としては下記のようなものがある。

  • 携行式: AN/PRC-148 - 小隊の指揮系統に使用されるほか、警備任務や特殊任務にも用いられる。新型のソフトウェア無線機で、HAVE QUICKにも対応可能。
  • 背負式: AN/PRC-119 - 中隊の指揮系統に使用されるほか、必要に応じて車載・機上用としても用いられる。
  • 車載用: AN/VRC-87〜92
  • 機上用: AN/ARC-201/222
  • 艦載用: AN/ARC-210, AN/SRC-64

なお現在、アメリカ空軍の戦術通信システム・アーキテクチャであるHAVE QUICKとの相互運用性を確保し、またソフトウェア無線化された端末システムとして、統合戦術無線システム(JTRS)が開発されている。

参考文献[編集]