複合ヘリコプター

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複合ヘリコプター(ふくごうヘリコプター、コンパウンド・ヘリコプター、compound helicopter)は回転翼機の分類の1つである。垂直離着陸機であり、回転翼の揚力によって自重を支えることで垂直離着陸やホバリングを行い[1]、他の推進力で水平飛行を行なう。ジャイロダイン (Gyrodyne)もこの分類に含まれる。

歴史[編集]

1930年代には、イギリスで検討が開始されている。1947年には試作されたフェアリー FB-1 ジャイロダイン (Fairey FB-1 Gyrodyne) が初飛行に至った。これは、メインローターのほか、水平飛行用に推進用プロペラを胴体横に備えていた。1950年代にはフェアリー ジェット・ジャイロダインも試作されたが、実用化には至らなかった。

1960年代にはヘリコプター高速化の手法として、開発が行われ、アメリカ合衆国ではAH-56 シャイアンパイアセッキ 16Hが試作された。これらは機体末尾に推進用プロペラを装備し、機体下部に主翼を装備していた。また、大型ヘリコプターのヘリコプターの推進手段としても検討され、イギリスフェアリー ロートダイン(Fairey Rotodyne) やソ連のKa-22が開発された。これらは機体中央上部に主翼があり、そこに推進用プロペラを装備、機体後部には水平・垂直尾翼を有していた。しかし、これらの機体は技術・コスト問題などにより実用化はなされなかった。

このように一度は廃れた複合ヘリコプターであったが、2000年代に入るとヘリコプターの速度向上が頭打ちになり、それを打破するために再び複合ヘリコプターが着目を浴びている。アメリカ合衆国ではYSH-60Fを改造し、X-49を飛行させており、またシコルスキー X2も製造された。これらは技術研究目的であり量産計画はない。

必要性[編集]

速度の制約

ヘリコプターは垂直離着陸が行える航空機として有用性が高いが、「衝撃波による制約」と「揚力の非対称性」によって固定翼機に比べて飛行速度に限界がある。衝撃波による制約とは、高速回転する回転翼の先端部が概ねマッハ0.9以上で空気を切り裂くようになると、翼の上面だけでなく下面まで衝撃波に包まれて能力低下が激しくなるため、投入エネルギーに関わらず有効な翼長や回転数に限界があり、機関出力を有効に利用できなくなることである。これは固定翼プロペラ機が音速飛行しない理由でもある。揚力の非対称性とは、ヘリコプターが水平飛行を行う場合には、常に回転翼の一部は対気速度に飛行速度分が加わり、その反対側は飛行速度分が減じられる部分が生じることで、高速飛行時には進行方向の片側の揚力が失われて機体がロール運動を起こすことである。 垂直離着陸や空中停止といったヘリコプターの特性を維持したまま、固定翼機のような高速飛行を行うために、水平方向に大きな推進力が得られる何らかの仕組みを機体に加える工夫が行われており、これが複合ヘリコプターである[1]

脚注[編集]

  1. ^ a b 青木、86-89頁

参考文献[編集]

  • 青木謙知「高速ヘリ、X2技術デモンストレーター」『軍事研究 2011年6月号』、ジャパン・ミリタリー・レビュー、ISSN 0533-6716

関連項目[編集]

外部リンク[編集]