ヘリコプター救急
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ヘリコプター救急(ヘリコプターきゅうきゅう)とは、ヘリコプターを使った救急活動のことである。滑走路を必要とせず、適当な空き地さえあれば離着陸可能な、ヘリコプターによる救急活動は、コストは高いものの非常に有効な救急活動である。世界各地で行われているが、特にアメリカやヨーロッパで活発である。
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[編集] 日本の場合
ヘリコプターではないが目的を同じとする領空侵犯以外のスクランブルも参照されたい。日本においては、市町村の消防機関が救急搬送の責務を負っている。通常は、各消防本部や一部の消防団が救急自動車で救急患者を医療機関まで搬送するのが通例だが、生命に危機が迫り緊急を特に要する場合などは、ヘリコプターにより救急搬送することがある。ただし、市町村でヘリコプターを保有するのは一部の政令指定都市に限られているので、多くの場合、当該消防本部等の要請を受けて、都道府県の消防防災ヘリや警察ヘリ、さらには自衛隊、海上保安庁のヘリが出動している。なお、国の機関である自衛隊・海上保安庁の出動に当たっては、都道府県知事からの出動要請が必要である。
しかしながら、離島や山間部が多い日本では、行政機関以外の機関・救命救急センターを備えた病院が救急活動を行うことも多い。代表的なものとして挙げられるのは、現在、16道府県18機(2009年(平成21年)3月末日現在)[1]で運航しているドクターヘリである。
[編集] 消防・防災ヘリ
総務省消防庁は、1998年(平成10年)に「救急隊の編成及び装備の基準」を改正し、回転翼航空機すなわちヘリコプターによる救急隊の編成について規定を置いた。1995年(平成7年)の阪神淡路大震災において消防・防災用途のヘリコプターが不足し、災害救助・救急活動に非常に支障を来したことから、以降、各政令指定都市・都道府県への消防防災ヘリコプター配置が進められていたが、1998年(平成10年)に至ってある程度の消防防災ヘリが配備されたことに伴って、法令整備されたものである。
法令では、救急搬送の権限・責務を有するのは市町村消防機関のみであるため、都道府県消防・防災ヘリによって救急搬送するために、各都道府県は管内市町村とヘリ運航協定を締結している。当初は協定のみに基づいて救急搬送が行われていたが、2003年(平成15年)の消防組織法改正において、都道府県も管内市町村長の要請に応じ、航空機を用いて当該市町村の消防を支援できるとする規定(消防組織法第18条の3)が設けられ、都道府県消防・防災ヘリによる救急搬送に、明確な法的根拠が与えられた。
消防庁の指導により、救急救命士の搭乗が望ましいとされており、特定の医療機関と提携して、市町村から救急搬送の要請があったときは消防防災ヘリに医師を常時同乗させて「ドクターヘリ」のように運用を行っている都道府県もある。こうした取り組みは山口県が2003年(平成15年)9月から日本で初めて運用開始しており、以後、埼玉県、岐阜県など消防防災ヘリによるドクターヘリ運用を開始した都道府県が増えている。
[編集] 埼玉県の事例
埼玉県は、2005年(平成17年)8月1日より県の防災ヘリで救急医療を実施してきたが、出動要請を受けた埼玉医科大学総合医療センター(川越市)の医療スタッフが、川島町の県防災航空センターに待機する防災ヘリに駆け付け離陸するまでに約25分を要することや、大型のヘリのため着陸できる場所が限られるなどの理由で、これまでの出動件数はわずかに37件であったため、2007年(平成19年)10月26日に、ドクターヘリ導入に踏み切った。[2]。さらに、2008年(平成20年)年度は輸送時間の短縮化等を計るため、144ヶ所より3倍の460ヶ所に増やし2009年(平成21年)年度は、高速道路上なども新設する計画[3]。
2009年4月より埼玉県は県の消防防災ヘリコプターを活用して、医師がヘリコプターに乗り込んで患者を治療しながら搬送する「ドクターヘリ」を全国でも初めて、県内全域で夜間も運用する方針を決めた。 埼玉県では、ドクターヘリが川越市にある埼玉医科大学総合医療センターに配備されているが運用は日中に限られ、医療機関が少ない山間部を中心に夜間の救急患者の対応が課題となっていた。 そこで埼玉県は、日高市にある埼玉医科大学国際医療センターの協力を得て、県内全域の夜間の救急活動を、県の消防防災ヘリコプターで対応することが決まり厚生労働省も「ドクターヘリと防災ヘリを連携させた24時間の救急活動は全国に先がけた取り組みで活動の効果に注目したい」と話している。 現在埼玉県にはドクターヘリが1機あり、消防防災ヘリ2機がドクターヘリのバックアップ体制をとる。
[編集] 東京都の事例
東京都では、東京消防庁と連携して主に伊豆諸島から24時間体制で消防ヘリ(東京消防庁航空隊)による救急搬送を行っている。東京都立広尾病院(渋谷区)や独立行政法人国立病院機構災害医療センター(立川市)などが医師、看護師の派遣や患者の受け入れを行っている。場合によっては東京都庁舎(新宿区)も使われる。東京都立広尾病院は東京23区内で数少ない平常時にヘリコプター着陸が可能な医療機関であり、病院ヘリポートを使用して重症患者を直接収容している。しかし、夜間の離着陸が不可能であるなど課題も多い。国立成育医療センター(世田谷区)は夜間の離着陸も可能な屋上型病院へリポートを有し、母体・新生児・小児に限定しているが重症患者を受け入れている。
[編集] 警察ヘリ
警察は日常的に救急を扱う立場にはないが、山中における山岳警備隊の遭難者救助活動に、都道府県警察航空隊ヘリが投入されることが多い。 救助された遭難者を飛行場やヘリポートに搬送して、救急車に引き渡すことが日常的に行われており、ヘリコプター救急が業務の一部として行われている実態がある。阪神・淡路大震災以降、各都道府県警に広域緊急援助隊が設置されたことにより、大規模災害の発生を受けて出動し、広域緊急援助隊の支援として救助活動に参加し、救助者を緊急搬送する機会が増えている。
また、警察ヘリは全都道府県に1機は必ず配備されているため、消防・防災ヘリが何らかの理由で使用できないときに、消防からの要請により、警察ヘリを使って急患搬送することもある。このような傾向は、特に消防・防災ヘリの配備数が少ない県において顕著である。現在は、ほぼ全県に消防・防災ヘリが配備されているが、以前は、警察ヘリしかなかったため、急患搬送を一手に引き受けていた県が多かった。一部の県では、依然として警察ヘリによる急患搬送の出動数が多く、警邏と並ぶ日常業務のひとつとなっている。当然、地元から寄せられる期待も高い。
しかしながら、警察ヘリは主に救命を目的としたものではないため、脊髄損傷が疑われる患者の搬送や、連絡体制についてなお改善の余地がある。
[編集] 自衛隊ヘリ・固定翼機
自衛隊ヘリ・固定翼機による急患搬送は、自衛隊法第83条に基づくものであり、都道府県知事の要請に基づく「災害派遣」という名目で行われる。自衛隊ヘリ・固定翼機による救急は、手続き上面倒であるため、陸上では決して日常的なものではないが、防災ヘリに比べて能力が優れている軍用機であるため、気象条件が厳しく、ヘリポートに夜間照明がない等、ヘリコプター救急体制が不安がある離島については、日常的に自衛隊による急患搬送が行われている。特に沖縄県(沖縄本島周辺)では、自衛隊ヘリ・固定翼機による救急搬送が、防災ヘリが1機しかない沖縄県から自衛隊に全面的に任されており、沖縄県の救急体制にとって不可欠の存在になっている。小笠原諸島では、硫黄島航空基地を経由した、海自救難飛行隊UH-60Jヘリと輸送機とのリレー搬送や、厚木航空基地に派遣されている岩国第71航空隊派遣隊のUS-1A飛行艇による急患搬送が行われている。隠岐諸島では、第3輸送航空隊のC-1輸送機を使用した、救急車ごと搬送するという変わった急患搬送が行われることがある。急患搬送に当たっては、自衛隊基地や公共ヘリポートで救急車に引き継がれる。海自救難飛行隊や空自航空救難団といった救難専門部隊では、准看護師(MEDIC)資格を持った機上救護員または降下救助員が搭乗する。付き添いの医師も便乗することがある。
[編集] 海上保安庁ヘリ・固定翼機
海上保安庁の活動範囲(急患搬送)は原則として海上に限られている。 しかし、多数の航空機・船舶を所有し24時間体制である救助機関であることから、遠距離または離島について海上保安庁法第2条及び第5条第16号に基づき、都道府県知事からの協力要請を受けてヘリ・固定翼機・巡視船による急患搬送が行われている。急患搬送に当たっては、航空基地や公共ヘリポートで救急車に引き継がれる。
八重山諸島では、石垣航空基地所属機による急患搬送が、沖縄県との協定により海上保安庁に任されており、八重山諸島の救急体制の一翼を担っている。北海道の釧路航空基地や函館航空基地では、海上保安庁のヘリのみが拠点を構えているため、奥尻島の急患搬送(函館)以外にも、要請に基づいて釧路市・函館市内の拠点病院からより医療体制が整っている札幌市内の病院まで、海上保安庁機で重症患者を病院間搬送する場合がある(陸上輸送するには遠すぎるため。丘珠空港で救急車に引き継ぎ)。新潟県中越地震などの大災害でも、陸上の急患搬送を行うことがある。一部の航空基地では、救急救命士の資格を持つ隊員が任務に当たっている。
また、航行船舶乗組員の救急医療として、1985年(昭和60年)から社団法人日本水難救済会による「洋上救急制度」が開始された。 「洋上救急」とは急患発生時に、無線または衛星電話により衛生管理者が医師の指示を仰ぐ「医療指示」及び、海上保安庁が指定した医師を速やかに患者の下へ派遣し、巡視船内の医務室やヘリ機内で医師による治療をしながら陸上の病院まで搬送する制度である。このシステムがあるのは日本だけである。 遠方海域で発生した急患を本土まで速やに搬送するため、現場から本土までの間にヘリコプター搭載型巡視船またはヘリ甲板付き巡視船をヘリコプターの航続距離に合わせ配置し給油を繰り返しながら搬送する「飛び石搬送」を行う場合もある。
[編集] ドクターヘリ
ドクターヘリとは、1970年にドイツで誕生した、医師がヘリコプターで患者の元へ向かうシステム。日本の場合厚生労働省と該当する県からの補助を得て運用する救命救急センター補助事業である。単に医療機材を搭載して患者を搬送するヘリコプターではない。急患の迅速な搬送という目的もあるが、第一の目的は、重篤な患者が発生した場所に医師と看護師をいち早く派遣し、初期治療を開始することにある。ヘリの運航は民間のヘリ運航会社に委託している。
基地病院の構内や病院の隣接地にヘリポートを設置し、そこにヘリを離陸可能な状態で常時待機させており、搬送協定を締結した市町村消防署や広域市町村圏消防本部からの出動要請を、病院内の救急救命センターが受けると、すぐに出動する。そして、消防との交信の上で決定された、学校グラウンドや駐車場など、事前に設定された場外離着陸場に着陸するが、場合によっては消防機関や警察機関が着陸場所を確保したうえで災害現場直近に降りることもある。消防機関が着陸場所を着陸可能な状態にしてから、患者の負担にならないよう救急車から少し離れた場所に着陸し、医師と看護師が救急車に向かい、救急車車内で初期治療を開始する。患者の状態、および地域の医療事情に応じて、医師、看護師が同乗して近隣の医療機関に搬送したり、ヘリで他の病院(基地病院とは限らない)に搬送する。なおヘリが現場に着陸してから離陸するまでの間は消防隊が安全管理を行っている。 医療機関や消防機関、警察機関などの連携が必要である。 なお、ドクターヘリの要請は消防機関および医療機関(病院)によっておこなわれるため、一般人が直接呼ぶことはできない。ちなみに搬送費用は無料であり、治療費のほかに往診料等が請求されるだけである。
日本においては、経済的条件や地形的・気象的条件、場外離着陸場の確保の制約などから1990年代に至るまで、離島・僻地・船舶からの急患移送は行われていたものの、ドクターヘリなど機内や事故現場での治療はあまり行われてこなかった。しかし、1990年代から実験が行われ、その有効性が確かめられてからは、各地域での導入が進められている。日本に先んじて導入されたドイツでは、国内に73機配備されており、国内何処にでも要請から15分以内に到着できる。ドクターヘリ導入後、交通事故の死亡者が1/3に激減したと言われている。
日本は2001年に岡山県でドクターヘリ導入促進事業が始まって以来、ドクターヘリへの理解が進んで来ているが、ドイツ国内は73機配備しているのに対し日本はまだ1道1府11県14病院での運用にとどまっているのが実情である。最大の問題は、年間2億円近い運航費用の負担であり、昨今の地方自治体の財政事情で導入を躊躇しているところが多い。
また基地病院内や病院間の横の連携、十分な数の医師の確保、乗員の養成システム、ヘリポートの不足、運用時間が日中に限られ、夜間離発着ができない事や、着陸する場所がまだ少ないなどといった、解決しなければならない課題が多い。 ドクターヘリ事業者らは、「ドクターヘリが真に必要な地方ほどドクターヘリの導入が遅れている」とし、さらなる導入促進のために、運行経費を医療保険から補助するよう求める提言を行っている。 これらに対して与党はドクターヘリ全国配備のため国会に新法案を議員立法で提出し2007年の通常国会にて可決、成立した。
今まで、高速道路上で起きた事故に対してのドクターヘリの出動は、愛知県と静岡県内の東名高速道路で発生した2件の多重衝突事故において、旧日本道路公団が道路上の着陸を拒否して救急救命活動が遅れた騒動等で、ヘリの着陸にいわゆる行政の壁が浮き上がっていた。2005年10月、日本道路公団が民営化され「行政の壁」が取り除かれたことにより、以降建設している高速道路等でドクターヘリの着陸訓練を活発化させている。西日本高速道路株式会社は、2006年10月から九州自動車道の太宰府インターチェンジから久留米インターチェンジ間で、ドクターヘリを使用した高速道路上での救命・救急活動を実施している。なお、2007年6月28日に九州自動車道本線上に着陸し、救急活動を実施したことについて、マスコミが全国初のドクターヘリの高速道路本線上への着陸と報道したが、すでに2005年6月18日に静岡県のドクターヘリが東名高速道路本線上に着陸し、救急活動を実施している。
2006年8月、日本自動車連盟(JAF)は、2010年にもドクターヘリを導入すると発表した。JAFの参入により、交通事故における救命率の増加が期待される。JAFは全国組織であり、全国各地に支部とヘリコプターの着陸が可能な敷地、JAFの持つ緊急通信網があり、ドクターヘリ事業の推進に大きな追い風になる。
[編集] 幼い命を救ったドクターヘリ
以下に示す文章は、ドクターヘリによる人命救助の一例として取り上げたものである。
2008年(平成20年)1月2日、愛知県東部の町で当時3歳の男児が誤って池に転落し、息子がいないことに気付いた父親が救出した時にはすでに心肺停止状態だったという事故が発生した。男児の伯母が救急車を呼び、それまでの間、家族は消防本部からの指示で心肺蘇生を施していた。やがて救急車が到着し、深刻な症状に陥ってることを察した救急隊員が消防本部に対してドクターヘリの出動を要請したが、愛知県内のドクターヘリは別の患者の発生により出動しており要請できなかったため、消防本部が静岡県の聖隷三方原病院にドクターヘリの出動を要請した。男児は救急車に乗せられて、ドクターヘリとの合流地点であるヘリポートからドクターヘリに収容された後、静岡市の県立こども病院へ搬送され、一命を取り留めた[4]。
[編集] 国内初の事態
2009年(平成21年)3月18日、浜松市の遊園地「浜名湖パルパル」駐車場にドクターヘリが緊急着陸するという事態が発生した。副操縦席側の風防(アクリル製)が直径約30cm破損したが、乗員5人(機長、整備士2人、医師、看護師各1人)に負傷者はなかった。ヘリは中日本航空所有で、聖隷三方原病院のヘリポートを飛び立って、市内の90歳代の男性を搬送するために現地へ向かう途中だった。
副操縦席にいた整備士の話では、風防を突き破った鳥は体長約40cmのトビだったという。なお、男性は救急車で病院に搬送された。中日本航空では「ヘリと鳥が衝突して風防に穴が開き、緊急着陸するのは国内初ではないか?」とコメントしている[5]。
[編集] ドクターヘリ運用を行っている医療機関
- 厚生労働省の事業によって運用を行っている医療機関(カッコ内は病院所在地)
- 手稲渓仁会病院(北海道札幌市手稲区)
- 八戸市立市民病院(青森県八戸市)
- 福島県立医科大学附属病院(福島県福島市)
- 前橋赤十字病院(群馬県前橋市)
- 埼玉医科大学総合医療センター高度救命救急センター(埼玉県川越市)
- 日本医科大学千葉北総病院(千葉県印旛郡印旛村)
- 東海大学医学部附属病院高度救命救急センター(神奈川県伊勢原市)
- JA長野厚生連佐久総合病院(長野県佐久市)
- 順天堂大学医学部附属静岡病院(静岡県伊豆の国市)
- 愛知医科大学附属病院(愛知県愛知郡長久手町)
- 大阪大学医学部附属病院(大阪府吹田市)
- 和歌山県立医科大学附属病院(和歌山県和歌山市)
- 川崎医科大学附属病院(岡山県倉敷市)
- 久留米大学病院高度救命救急センター(福岡県久留米市)
- 独立行政法人国立病院機構長崎医療センター(長崎県大村市)
- 浦添総合病院(沖縄県浦添市)2008年12月1日から県によるドクターヘリ運行開始
- 病院の独自事業で、ヘリコプター救急を行っている医療機関(カッコ内は病院もしくはヘリコプター基地所在地)
- 都道府県消防・防災ヘリで、ドクターヘリ運用を行っている医療機関(カッコ内は病院所在地)
- ドクターヘリの運航を担当している航空事業会社(パイロットや機体の整備)
- ドクターヘリを運航するために参考となる書籍
- 『ドクターヘリ導入と運用のガイドブック』
- 監修:日本航空医療学会(メディカルサイエンス社)
- 2007年10月刊行。
- 『ドクターヘリ導入と運用のガイドブック』
- 監修:日本航空医療学会 編著:小濱 啓次、杉山 貢、西川 渉(メディカルサイエンス社)
- 『ドクターヘリ』
- 著:小濱 啓次(へるす出版)
[編集] 沖縄の救急ヘリ事情
沖縄県は2008年12月から、浦添市にある特定医療法人仁愛会が全国14道府県15機目のドクターヘリの運用を開始した。しかしながら多くの離島を抱えるにも関わらず他の地域に関しては県財政難を理由にドクターヘリを運用していない。
それを補完する対策として、陸上自衛隊の災害派遣や海上保安庁と結んだ協定「沖縄県内における急患輸送等の救援に関わる申し合わせ」に基づき、航空機による救急搬送が行われている。 また航空機に添乗する医師・看護師確保のため、「ヘリコプター等添乗医師等確保事業」があるものの、ドクターヘリのように医師・看護師が常時搭乗するものではなく、傷病者の状態により判断され、その都度搬送病院若しくは離島診療所の医師・看護師が同乗する。
本土復帰以来の搬送実績は、本島周辺離島(陸上自衛隊)7000件、先島諸島(海上保安庁)2000件を 超えている。
陸上自衛隊や海上保安庁による急患搬送は24時間体制で行われており、空港のない離島のヘリポートにも夜間離着陸を行なっている。それ故、搭乗員への負担は大きく過去には墜落事故も起こっている。
なお、浦添総合病院(浦添市)は、2005年7月から「ヘリコプター等添乗医師等確保事業」の補完事業として、独自にドクターヘリ的な搬送事業を開始していた。飛行範囲は片道30分以内の本島周辺離島で、鹿児島県沖永良部島や与論島へも要請により出動している。病院隣接地にヘリポートが置かれておらず、読谷村内にヘリポートと格納庫を設置している。当初は那覇空港で待機していた。
その後、沖縄県立南部医療センター・こども医療センター(南風原町)が、科目等で浦添総合病院よりも適当と考えられる患者を受け入れる形で、浦添総合病院のヘリ搬送事業に加わった。運用の際は、沖縄県病害虫防除技術センター場外ヘリポート(那覇市)に着陸して救急車で搬送される。
2007年6月からは、名護市にある北部地区医師会が北部地区医師会病院を基地病院として、ヘリコプターによる救急医療サービスを開始した。これは、病院隣接地に臨時ヘリポートを設置してチャーターしたヘリコプターを常置し、通報を受けて救急医療に精通した医師、看護師を派遣するもので、ドクターヘリに準じた2年間の研究事業である。これは、道路整備の遅れから、名護市までの搬送に90分以上かかることもある沖縄本島北部(国頭郡)の救急事情の改善を図るものであり、国頭消防本部管内で行われている。一方で国頭郡では、郡内にある診療所を閉鎖し、名護市内の病院に医師を集約することで、十分な医師数の確保及び医師の過重労働の軽減を図り、病院の医療体制を強化する方向であるとされ、その功罪が議論されている。[1]
なお、浦添総合病院が行っている事業はU-PITS(Urasoe Patient Immediate Transport System)、 北部医師会が行っている事業はMESH[2](Medical Evacuation Service with Helicopter)と呼ばれている。
現在、北部地区医師会のMESHが資金難により運航休止に追い込まれている。これは先に成立したいわゆるドクターヘリ整備法においてもヘリの常駐先は原則救急救命センターであることから、その以外の病院では助成が受けられないためである(救急救命センターの多くは大都市近辺に配置されており、必然的にヘリ配備は離島・山間地等搬送に時間を要す地域よりも大都市周辺が優先されている)。
MESH再開には、病院救急部医師がNPO団体(NPO法人MESHサポート)[3]を立ち上げ、奮闘し続けている。
[編集] 小笠原の救急ヘリ事情
小笠原諸島は本土から約1,300km離れており、航続距離1,000km程度の東京消防庁ヘリコプターでは往復することができない。そこで、東京都は海上自衛隊と協定を締結し、海上自衛隊機による急患搬送を行っている。小笠原の父島、母島には飛行場が存在しないため、患者は、US-1飛行艇で直接父島の二見港に入るか、海上自衛隊硫黄島航空基地のヘリコプターによりいったん硫黄島まで搬送される。硫黄島からは、海上自衛隊機(YS-11輸送機やP-3C哨戒機、US-1飛行艇など)に乗り換え、厚木航空基地または羽田空港まで搬送され、待機している救急車に収容されて医療機関へ運ばれる。
添乗する医師はほとんどの場合、都内の医療機関から派遣されるため、急患要請を受けると医師は救急車で厚木航空基地へ駆けつけ、自衛隊機で硫黄島へ飛び、現地で患者を収容して再度厚木や羽田へ引き返すという行程である。このため第一報を受けてから、医療機関に患者が収容されるまで最低でも5〜6時間はかかっている。場合によっては、海上自衛隊からの要請を受けて羽田空港の海上保安庁機が硫黄島に向かうこともある。その場合、救急救命士資格を持つ隊員が同乗する。
なお、硫黄島には自衛隊医官が駐在しており、本格的な医療設備はないが、応急的な初期治療ができる体制になっている。
[編集] アメリカの場合
アメリカでは夜間飛行が全飛行時間中の1/3を占めている。そのため飛行条件が一般的なヘリコプターの飛行条件よりも悪くなりがちであり、事故も多くなる傾向がある。 「1998年から2005年までの8年間に89件の事故」があり、「うち31件が死亡事故で、死者は75人」発生した。『日本航空新聞』2007年9月20日
[編集] 関連項目
- ヘリコプター
- よみがえる空 -RESCUE WINGS-(航空自衛隊航空救難団を題材にしたテレビアニメ)
- 東京消防庁航空隊
- 災害派遣
- ベル 206 - ヘリコプター救急の元祖機。ロングレンジャーの観音開き構造により実現した
- コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- (ドクターヘリを題材にしたテレビドラマ)
- MD エクスプローラー - 上記のドラマコードブルーに登場する機種でもある、MD902はNOTAR®システムを利用してるためテールローターが不要となり、結果として騒音や接触の危険性が低減された。(MDヘリコプターズ)
- AS365(EC155 ドーファン) -警察ヘリや消防防災ヘリなどで活躍している。
- ユーロコプター EC 135 (ユーロコプター社)
- BK117(川崎重工)
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[編集] 脚注
- ^ ドクターヘリ導入促進事業について(PDF) 国土交通省。同省の事業は13機であるが、静岡県は独自に1機配備されている。
- ^ ドクターヘリの就航について 埼玉県ホームページ
- ^ ドクターヘリ 離着陸場3倍に 県、搬送時間を短縮化 2008年9月2日 埼玉新聞
- ^ 同年9月23日にテレビ朝日系列で放送された学べる!!ニュースショー!より。
- ^ 「静岡新聞」 31p 2009年3月19日発刊。
[編集] 外部リンク
- 総務省消防庁
- 救急ヘリ病院ネットワーク
- 航空の現代
- エアロパートナーズ コードブルーに使用されているMD902を取り扱う商社(ドクターヘリのビデオ有)
- ホワイトバード情報 医療法人財団池友会が運営する民間救急ヘリ「ホワイトバード」のホームページ

