ドクターカー

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日本医科大学付属病院の高機能型ドクターカー。

ドクターカーとは、患者監視装置等の医療機械を搭載し、医師、看護師等が同乗し、搬送途上へ出動する救急車である。医師派遣用自動車ラピッド・レスポンス・カーとも言う。

日本(Rapid response car in Japan)[編集]

概要[編集]

ドクターカー
(川口市立医療センター)

救急現場に一刻も早く医師が駆けつけて初期診療を行い、救命率を向上させることを目的としている。

日本では、救急車によって救急医療機関に搬送して医師により診察を受ける救急医療体制が長い間続いていた。治療開始までの時間が長くなり救命率の低下につながっていた。一部の救命センターでは、救急ヘリに搭乗し、現場への医師派遣、広域救急搬送を行ってきた。しかしながら、ヘリが飛べない悪天候時等やヘリの降りる場所が近くにない場合には、救急車による陸路の輸送しか手段がなく、治療開始までに時間がかかっていた。また、交通事故などの外傷で救出に時間がかかるようなケースでは、現場への医師派遣は初期治療のうえでさらに必要性が高かった。そのため、少しでも早く傷病者が医師と接触できる手段の1つとして、救急現場等に医師や看護師を運ぶドクターカーが導入されるようになった。救急現場や搬送途中から救命治療を開始する体制を整備し、治療開始までの時間をほぼ半減させることで救命率の向上を図ろうとしている。

従前はドクターカーと言えば2通りの方式があり、消防機関が提供した救急車を病院の救急ワークステーションという出張所形式を取り消防職員(救急隊員)が常に救命救急センターに常駐する形でドクターカーとして活用している医療機関、医療機関等が独自で救急車を購入し、システムを独自に構築し医師を派遣するシステムをの2通りが存在していたが、2008年4月25日公布の道路交通法施行令改正によって、「(道路交通法施行令第13条1の5)医療機関が、傷病者の緊急搬送をしようとする都道府県又は市町村の要請を受けて、当該傷病者が医療機関に緊急搬送をされるまでの間における応急の治療を行う医師を当該傷病者の所在する場所にまで運搬するために使用する自動車」が緊急自動車として認められるようになった。すなわち傷病者搬送は消防機関の救急車で行い、医師搬送のみを行うという乗用車ベースのドクターカー(欧州型ドクターカー)が日本でも見られるようになった。

  • 救急車型ドクターカー
    • 既存の高規格救急車をベースにしたものやマイクロバスを特装したもの等バリエーションは多岐に渡る。近年では消防救急車との差別化を図る意味で車体に派手なマーキングを施した車輌がトレンドとなっている。
    • 一般的に医師が同乗するとドクターカーとなるので車輌表記がDOCTOR CARと記載される場合があるが、ここで触れるドクターカーとは意味が全く違うもので、転院搬送の為だけに保有する場合は正確にはドクターカーとはいわない。
  • 乗用車型ドクターカー
    • ベース車種はセダン、ステーションワゴン、軽自動車、SUVと幅広く、実際活動を想定している地域の地理的な特徴や医療機関のニーズに合わせてバラエティに富んでいる。[1]
    • 乗用車型ドクターカーは、緊急自動車であるが3ナンバーまたは5ナンバー登録となっているものが多い。

ドクターカーは、救命救急センター、三次救急医療施設に準ずる医療機関が有する。

24時間現場直行式・ドッキング方式運用を行っている医療機関[編集]

大阪府立中河内救命救急センター2代目ドクターカー


大阪府済生会千里救命救急センター4代目ドクターカー




府立時代の大阪府泉州救命救急センター2代目ドクターカー



  • 一般財団法人温知会会津中央病院[8](福島県会津若松市)ドクターカーの運行開始は1986年(昭和61年)と国内でも古く東北地方でのプレホスピタルケアの先駆けとして全国にも名が知れている。直接現場に出向く事もあるが、会津若松地方は面積が広大なゆえ病院への搬送まで2時間程度掛かる事も珍しく無く、処置を開始する時間を短縮する為に始められたシステムである。従って、直接現場に出場するというよりもドッキングポイントで救急隊とドッキングするケースが圧倒的に多い。運行車輌は札幌ボデー・トライハート



兵庫県災害医療センター2代目ドクターカー




日中時間帯・不定期で現場直行式・ドッキング方式運用を行っている医療機関[編集]

  • 岐阜県立多治見病院[14](岐阜県多治見市)国内で初めてとなる乗用車型ラピッドドクターカーの先駆けとしてだけでなく従来のドクターカーでは無かった医師が自らハンドルを握り現場まで緊急走行するという新しい試みで全国の医療関係者から注目を浴びた。2013年(平成25年)まで24時間運行をしていたが、医師の退職に伴いドクターカー自体の運行休止を余儀なくされた。現在は不定期での運行になっている。運行車輌はトヨタ・プリウス


  • 地方独立行政法人市立堺病院[15](大阪府堺市)現在は二次医療施設であるが、2016年度に新病院開院に伴い三次救命救急センターを開設予定。現在は日中時間帯での運用であるが、将来的には24時間運用を目指している。運行車輌は日産・シビリアン短尺ボデー
地方独立行政法人市立堺病院ドクターカー








など。

新生児搬送用[編集]

主に中・小規模の産婦人科病院からの要請で、新生児集中治療室(NICU)での処置が必要とされる場合(超早産等でハイリスクを伴う出産時)に、総合周産期母子医療センターに指定された病院から医師と看護師が同乗し、新生児に医療行為をしながら病院へ搬送する際に使用される。新生児搬送用ドクターカーは大型保育器などの医療機器を多数積載する為、医療機器を安定して動かす電源と車内スペースを多く確保する観点からトラックやマイクロバスをベースにした大型の車両が多い。最近では車両へ搭載する医療機器や発電機の性能向上・小型化などにより、商用ワンボックスカーベースでも運用が可能な車両が登場している。従来のトラック・マイクロバスベースタイプよりも車両の取り回しが良く、車両導入コストを安く抑えられることから今後商用ワンボックスカーベースの車両が徐々に増えていくものと思われる。

新生児搬送用ドクターカーは主に総合周産期母子医療センター指定病院が所有している。

など

日本国外[編集]

写真[編集]

脚注[編集]

関連項目[編集]