救世軍
| 種類 | 宗教法人・社会福祉法人・財団法人(現在の日本における法人格) |
|---|---|
| 本社所在地 | 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町二丁目17番地(日本本営) |
| 設立 | 明治45年1月19日(現在の日本本営が財団法人として法人登記した日付。任意団体としての設立は明治28年9月22日) |
| 業種 | 宗教、社会福祉、教育、医療 |
| 事業内容 | 宗教活動、社会福祉事業、教育事業、医療事業 |
| 代表者 | 中将 勝地次郎(日本軍国司令官)/大将 リンダ・ボンド(万国総督) |
| 従業員数 | 1202名(2012年版救世軍年鑑より、日本軍国所属の士官・士官候補生・軍属の総数) |
| 関係する人物 | 山室軍平(日本人初の士官で、日本人初の日本軍国司令官)/ウィリアム・ブース(創立者) |
| 外部リンク | http://www.salvationarmy.or.jp/ |
| 特記事項:軍隊を模した組織で活動を行っている | |
救世軍(きゅうせいぐん、英: The Salvation Army)は、世界124の国と地域で伝道事業(=宗教活動)、社会福祉事業、教育事業、医療事業を推進するキリスト教(プロテスタント)の教派団体。日本では日本福音同盟に加盟している。軍隊を模した組織をとって活動や、クリスマスを中心とした年末に行われる募金活動「社会鍋」で有名。
なお、英語の「The Salvation Army」を「救世軍」と日本語に翻訳したのは尾崎行雄である[1]。
目次 |
概要 [編集]
救世軍は、1865年にイギリスのメソジスト教会の牧師、ウィリアム・ブースと妻キャサリンによって、ロンドン東部の貧しい労働者階級に伝道するために設立された。設立当初は「キリスト教伝道会」(東ロンドン伝道会)と称する超教派の伝道団体だったが、軍隊式の組織編制、メンバーの制服・制帽・階級章類の着用、軍隊用語の使用などを採用し、1878年に「救世軍」と改称した。改称に当たってウィリアムは“Not volunteer army, but Salvation army(義勇軍に非ず、救いの軍なり)”という天啓を受けたという[2]。1880年代に爆発的に教勢が伸張し、ブリテン諸島から海外に拡大した。改称に伴い、教理もメソジスト・ホーリネス色が濃いものとなっていく。
現在、救世軍は国際連合経済社会理事会(ECOSOC)において1947年以降、特別協議資格を持つ国連NGOである。米国経済専門誌『フォーブス』の1997年8月11日号ではピーター・ドラッカーから「全米で最も効率の高い組織」として評価され、1991年と2004年にはノーベル平和賞候補に挙げられた。世界福音同盟の加盟団体でもあり、世界メソジスト会議及び世界教会協議会とも非加盟の提携関係にある。
現在イギリス国内においては政府に次ぐ規模の社会福祉団体であり、全世界で1万2千ヵ所近くの社会福祉施設、教育機関、医療施設を運営している。
救世軍の軍旗「血と火」は「救いと聖潔(きよめ)」を意味し、救世軍のモットーでもある。
日本 [編集]
日本では1895年から山室軍平らにより布教活動が行われ、廃娼運動を皮切りに、現在では医療施設や社会福祉施設の運営、他国の救世軍と連携しての内外の災害発生時の支援活動なども行っている。他に著名な信徒としては、自由民権運動家の村松愛蔵・落合寅市、元組合派牧師金森通倫(政治家の石破茂の曾祖父)、婦人民主クラブ呼びかけ人山室民子(軍平の長女)、聖書神学者渡辺善太、ヤマト運輸元社長小倉昌男、日本聖書協会副理事長朝野洋(救世軍中将、元日本軍国司令官)、伊藤富士雄(廃娼運動活動家・ゲイ雑誌『薔薇族』創刊者で元編集長の伊藤文學の祖父[3][4][5][6])らがいる。
当時日本領だった朝鮮半島では1908年に活動が始まり[7]、1928年ごろに京城の明洞で、社会鍋による募金活動が活動が始まった[8]。
現在の救世軍の日本での活動は、東京都千代田区神田神保町二丁目に法人本部である「日本本営」を置いている。
沿革 [編集]
1891年にウィリアム・ブースは著書『最暗黒の英国とその出路』を出版し、都市植民・農業植民・海外植民の三段階からなる社会改良計画を発表。10万ポンドの事業資金を公募し、大規模な社会福祉事業に着手した。
組織 [編集]
救世軍は、世界本部である「万国本営」をイギリスのロンドンに置き、最高会議において士官の中から選出される単独の最高指導者「大将」によって統率される。原則として大将の任期は5年(または70歳まで)で、2011年現在の大将は19代目のリンダ・ボンド(前オーストラリア東部軍国司令官兼軍国女性部会長)。なお、創設当初から男女同権の思想が強く、女性の士官も多い。過去にも女性の大将が2名選出されており、ボンド大将は3人目の女性大将となった。
救世軍の法的根拠は、「規約証書」 「増補規約証書」 「1980年救世軍法」に規定され、その変更にはいずれもイギリス議会の承認を必要とする。
救世軍の組織統治は、信仰面においては、十一か条の「救世軍教理」とその公式解説書である「教理便覧」に示される基準に拠り、実行面においては、「軍令及び軍律」とそれらを補足する「覚書」に示される基準に拠り、監督政治を通じて行われる。信仰上及び実行上の逸脱に対しては、「兵籍調査会」・「士官審査会議」・「調査委員会」が行う審査に基づいて、公務禁止・停職・除名等の規律が執行される。
「教理便覧」と各種「軍令及び軍律」は、大将の権威によって発行され、随時改定される。
現在の日本の救世軍は、法的には以下の3つの法人格で活動している。
2013年現在の代表者は日本軍国司令官・勝地次郎中将(在任:2013年~)[9]。
軍国司令官の補佐役である書記長官は藤井健次大佐補(在任:2013年~)[10]。
(以上の住所は東京都千代田区神田神保町2丁目17番地)
- 財団法人としての「在日本救世軍財団」
(住所は東京都千代田区神田神保町2丁目17番地1号)
メンバー [編集]
- 下士官
-
- 小隊(=教会)において特命を与えられ、無給で奉仕する信者。他教団における教会役員にあたる。階級呼称はほとんどが軍曹(英:Sergeant)で、三役は曹長(役員会長)、書記(役員会事務局長)、会計。ブラスバンドメンバーやオルガニストなどの奏楽担当者や唱歌隊員も下士官[14]。基本的に肩章・襟章とも兵士と同じだが、一部の役職者は肩章や制服の上腕部などに役職名の頭文字を記したバッジやワッペンを付けることもある[15]。また、制帽の帽章が兵士とは異なる場合がある[16]。なお、救世軍における「下士官」は後述の准尉及び特務曹長以外は「階級(階級区分)」よりも「所属小隊における役職」という意味合いが強い[17]。
- 士官
-
- 神から召命を受け、生涯を奉仕に捧げるために士官学校(=神学校)で専門的な教育訓練を受けた伝道者。他教団の牧師に相当。制服の襟章は赤地に「S」、肩章は赤地で階級により入るマークが異なる[18][19][20]。
- 士官の階級は士官学校[21]入校が認められた者の入校前の呼称は準候補生、士官学校入校時および在学期間中は士官候補生で、卒業すると中尉となる(中尉の階級は2001年に一旦廃止されたが2008年に復活した[22]。現行の制度では士官学校卒業時に中尉に任官され、奉仕年数第5年目に大尉に昇任する。なお少尉の階級は過去には存在したが、現在は廃止されている[23][24])。
- その後奉仕年数により、任官後15年で少佐・大佐補・大佐・中将と昇任していく(准将と少将の階級は無い)。ほとんどの士官は少佐の階級を退役まで保持する。これは2001年の軍律の改訂により、大佐補以上の階級の士官は軍国司令官・書記長官などの一部の役職に限定されたためである[25](現在の日本軍国の書記長官の階級は大佐補であり、書記長官以外の本営の役員や士官学校校長、連隊長などの階級はほとんどが少佐かそれ以下である[26][27])。
- 過去には存在したが、現在の救世軍士官の階級には中佐が無く、代わりに一般的な軍隊の士官には存在しない階級の「大佐補」が存在する。これは旧救世軍中佐の原語である「Brigadier」が「中佐」と訳されていたが、その「Brigadier」の階級が廃止されて「Lieutenant Colonel」の階級が新たに制定されたため、「Brigadier」と「Lieutenant Colonel」を区別するために作られた新語である。
- かつて「中尉」と訳されていた「Lieutenant」は、現在の日本の救世軍においては准尉制度の導入に伴う中尉の階級の廃止とその後の復活という紆余曲折を経て、Lieutenantを准尉と中尉に訳し分けながら併用されている。
- 世界代表で「万国総督」とも呼ばれる現役の大将は1名のみ。
- 万国総督の補佐役で大将に次ぐ役職として、中将が務める参謀総長が設けられている。
- 参謀総長の下には地区別・担当任務別に複数の、やはり中将が務める「万国書記官」が設けられている。
- 他教団の管区に相当する「軍国」の代表者は軍国司令官である。また、軍国の本部は「本営」と呼ばれる。
- 各軍国司令官の補佐役としては書記長官という役職が設けられている。
- 特殊な例としては野戦任官士官である「特務大尉」という階級も存在したが、准尉制度の実施に伴い、「特務大尉」および「特務曹長」の階級は順次的に廃止されることとなった[25][28]。
- 軍友
-
- 他教団所属で、救世軍と協力関係にあるクリスチャン[29]。またはクリスチャンで無くとも救世軍に協力している者。
- 同友者
- 準兵士
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- イエス・キリストを救い主として認め、救世軍への入隊希望を表明し認められた人。他教団における洗礼準備者。この期間、入隊式までキリスト教や聖書、教会、救世軍などについて詳しく学び、入隊に備える。
- 下士官、兵士、準兵士、同友者は無給のボランティア(ただし例外として、准尉は下士官だが有給の専従職員となる[25])。士官(士官候補生および准尉を含む)、軍属、一部の軍友が宗教法人・社会福祉法人・財団法人の専従職員となる。また、準兵士以上の救世軍人同士は戦友(comrade)と呼びあう。
救世軍人の役職と階級の対応一覧 [編集]
出典:八木谷涼子『なんでもわかるキリスト教大事典』189-191ページより
- (役職):(階級)(階級呼称の英語表記)
- 万国総督:大将(General)
- 参謀総長:中将(Commissioner)
- 万国書記官:中将
- 軍国司令官:中将、大佐(Colonel)、大佐補(Lieutenant Colonel)
- 書記長官:中将、大佐、大佐補
- 書記長官以外の軍国本営の役員、士官学校校長、連隊長等:少佐(Major)、大尉(Captain)
- 小隊長、小隊副官、小隊付士官、分隊長等:少佐、大尉、中尉(Lieutenant)
- (士官学校学生):士官候補生(Cadet)
- フルタイムで奉仕する下士官:准尉(Lieutenant)
- (三役の小隊役員、その他小隊での役職拝名者):下士官(Local Officer)
- (一般信徒):兵士(Soldier)
- (洗礼準備者):準兵士
- (その他関係者):軍友、同友者(adherent)、軍属など
救世軍の教理 [編集]
- われらは、旧新約聖書が神の感動によりて与えられたること、また聖書のみが、クリスチャンの信仰及び実行に関する、神の法規たることを信ず。
- われらは、無限に完全なる独一の神ありて、万物の創造者、保持者、また統治者にして唯これのみ、宗教的礼拝の真(しん)の対象たることを信ず。
- われらは、神の中(なか)に、父、子、聖霊なる三つの人格ありて、本質においては、分かつべからざるもの、権能と栄光とにおいては同等たることを信ず。
- われらは、イエス・キリストの人格の中に神性(しんせい)と人性(じんせい)とが結合していて、彼は正(まさ)しく真(しん)に神にして、また正(まさ)しく真(しん)に人たることを信ず。
- われらは、われらの最初の父母が、罪なき者として創造されたが、彼らの不従順によりてその純潔と幸福とを失い、堕落の結果、すべての人みな罪人(つみびと)となり、全く邪悪になり、またかかる者として当然神の怒りを受くべき者なることを信ず。
- われらは、主イエス・キリストが、その苦難と死とによりて、全世界のために償罪(しょうざい)をしたもうたゆえに、何人(なにびと)でも欲する者は救われ得ることを信ず。
- われらは、神に対して悔い改めること、われらの主イエス・キリストを信ずること、また聖霊によりて新たに生まれることは、救いに必要なりと信ず。
- われらは、われらの主イエス・キリストを信ずることにより、恩恵(めぐみ)によりて義とされること、また信ずる者はそのうちに証(あかし)を有することを信ず。
- われらは、救いの状態の持続は、キリストに対する信仰と服従との持続によることを信ず。
- われらは、「全く潔く」されることはすべての信者の特権にして、「霊と心と体とを全く守」られて、「われらの主イエス・キリストの来りたもうとき責むべき所なき」に至り得ることを信ず。
- われらは、霊魂(れいこん)の不滅、身体(しんたい)の復活、世の終わりの総審判、正しき者の永遠の幸福、及び悪しき者の永遠の刑罰を信ず。
創立者の言葉 [編集]
“ 今日そうであるように、女性が泣いている限り、わたしは戦う。
幼い子供が飢えている限り、わたしは戦う。
男たちが刑務所に出入りする限り、わたしは戦う。
酔っぱらいが残っている限り、街頭に哀れな女性がいる限り、
神の光を受けていない一人の魂でもある限り、わたしは戦う。
終わりまで戦う。”
この言葉はWWW”(While Women Weep―女性が泣いている限り)として語り継がれている[30]。
事業 [編集]
伝道事業 [編集]
- 地区
-
- 独立した軍国として活動できるほどの規模が無い地域。責任者は「地区指揮官」と呼ばれる。
- 小隊(他教団の教会に相当)
- 各小隊と小隊長(主任牧師)一覧
- 遠軽小隊 小隊長:
- 函館小隊 小隊長:
- 帯広小隊 小隊長:
- 札幌小隊 小隊長:
- 釧路小隊 小隊長:
- 桐生小隊 小隊長:
- 熊谷小隊 小隊長:
- 前橋小隊 小隊長:
- 長野小隊 小隊長:
- 浪江小隊 小隊長:
- 新潟小隊 小隊長:
- 佐野小隊 小隊長:
- 仙台小隊 小隊長:
- 高崎小隊 小隊長:
- 若松小隊 小隊長:
- 麻布小隊 小隊長:
- 神田小隊 小隊長:
- 清瀬小隊 小隊長:
- 江東小隊 小隊長:
- 京橋小隊 小隊長:
- 西新井小隊 小隊長:
- 大森小隊 小隊長:
- 渋谷小隊 小隊長:
- 杉並小隊 小隊長:
- 月島小隊 小隊長:
- 上野小隊 小隊長:
- 川口小隊 小隊長:
- 横浜小隊 小隊長:
- 岐阜小隊 小隊長:
- 浜松小隊 小隊長:
- 名古屋小隊 小隊長:
- 清水小隊 小隊長:
- 静岡小隊 小隊長:
- 神戸小隊 小隊長:
- 泉尾小隊 小隊長:
- 京都小隊 小隊長:
- 西成小隊 小隊長:
- 高松小隊 小隊長:
- 高知小隊 小隊長:
- 天満小隊 小隊長:
- 鶴橋小隊 小隊長:
- 福山小隊 小隊長:
- 広島小隊 小隊長:
- 呉小隊 小隊長:
- 岡山小隊 小隊長:
- 福岡小隊 小隊長:
- 八幡小隊 小隊長:
- 分隊(他教団の伝道所に相当)
-
- 小隊の士官の兼任による、小規模の伝道所。定期もしくは不定期で集会が行なわれている。このため既婚者が士官となるには、夫婦揃って士官学校(神学校)に入る必要がある。
なお、過去には士官夫妻の妻には夫の階級の後に「夫人」とつけて呼ばれていた(例:少佐の妻は「少佐夫人」)が、1996年からは階級の異なる士官が結婚した場合、本来の奉仕年限に関わらず高いほうの階級が夫婦両方で揃えられるようになった(例:中尉と大尉が結婚した場合、夫婦両方が大尉になる)。
2001年以降は夫婦であっても階級は奉仕年限によるように制度が改訂された。
なお、この制度の例外は大将の妻で、大将の妻は中将の階級になる。
社会福祉活動には極めて熱心であり、キリスト教界随一と言われる。上意下達の軍隊式組織により高い活動効率を誇る。現在は医療福祉、老人・障害者・児童福祉、ホームレス支援の炊き出しや施設運営などが中心。災害救援の対応も早く、阪神・淡路大震災の際は、キリスト教系団体の中では最も早くボランティアを組織し駆けつけた。新潟県中越沖地震や東日本大震災の際にもボランティアが給食活動などを行っている。また、海外では医科大学や幼稚園の運営といった教育活動も盛んに行っている。募金活動の1つで年末に行われる社会鍋は季語になるほど有名。バザーも頻繁に行なっており、東京などでは専用の会場で常時開催されている。収益金は全て寄付に回される。かつては職業紹介や失踪者捜索など、現在は行政や警察が主体となっている活動も行っていた。
同時に政治との関わりを嫌い、政党所属者(党員)は士官学校に入れない。戦争などについては兵士のメンタルケアやカウンセリングには熱心だが、戦争そのものを止めるためには動かない、また、貧困についても救援物資の調達・配布には熱心だが、行政への働きかけなど貧困脱出への具体的な施策は行なわない、とされる。マザー・テレサなどと同じく、「目の前にある問題の救済には熱心だが、根本原因には目をつぶりがち」「平和や人権の問題への関心があまりにも薄すぎる」と批判されやすい。[要出典]しかし、マザー・テレサがそうであるように、政治と一定の距離を置くことは宗教者としての節度と見識を示しているとの見方もある。[要出典]
但し、海外においてはイギリスやカナダの本営がイラク戦争反対や核兵器廃絶を願う信仰告白を発表するなど、若干の軌道修正が見られる。日本では戦前に山室軍平が宗教団体法に賛成した事や太平洋戦争を「海外伝道の良い機会である」と肯定的に捉えていた事、機関紙「ときのこえ」が元号表示だったり、1980年代までは皇族の誕生日のたびに祝いの言葉を機関紙「ときのこえ」の1面に載せていた事などから、一部に保守的と評される向きもある。[要出典]しかし、日本では第二次世界大戦前にイギリス人宣教師がスパイ容疑で逮捕されたり[31]、「皇軍以外で『軍』を名乗る組織が存在することは認められない」という理由で「日本救世団」に強制改称させられ、最終的には日本基督教団に吸収され事実上の解散状態に追い込まれたなどの経験から、右翼的潮流に与することは余り無い。
2008年10月2日には国際社会正義委員会が軍内に設立され、社会問題についても積極的に取り組むことが表明された。
日本本営は、かつてはリベラル派の日本キリスト教協議会(NCC)(世界教会協議会(WCC)、エキュメニカル系)に加盟していたが、「活動内容が政治的過ぎる」と脱退。しばらく日本キリスト教連合会のみに加盟していたが、万国本営の勧めで福音派の日本福音同盟(JEA、世界福音同盟系)に加盟。しかしアジアキリスト教協議会への加盟や「世界祈祷日」(毎年3月第1金曜日)への協力など、NCCとの連携は現在も続いている。
軍服調の制服・制帽の着用や軍隊調の用語の使用は外部者には一見特異に映るが、礼拝の形式・内容は一般的なメソジスト教会と同様のものである。極一部に「カルト宗教ではないのか」という誤解もあるが、キリスト教界において異端やカルトとして扱われることは無く、社会的にも宗教組織というよりはキリスト教系の社会福祉団体やNGOの一種と見なされることが多い[25]。
制服と階級章 [編集]
かつての制服は救世軍が発足した当時のイギリス軍の軍服を模したデザインであり、詰襟だった[32] 。
現在は黒に近い濃紺(地域等により白・グレー・ベージュの場合もある[33])のシングルブレスト開襟で、男性はワイシャツにネクタイ着用、女性はブラウスの襟元に救世軍のマークのブローチ着用というブレザーに近いデザインのものとなっている[34](夏服として半袖または長袖のワイシャツ・ブラウスにネクタイかブローチ着用、もしくは開襟というスタイルも存在する[35][36] )。
士官は原則として制服の常時着用義務がある。下士官・兵士については以前は士官と同じく制服の常時着用義務があったが、現在は大会や伝道集会などを除いては「推奨」にとどめ、普段着での集会参加を容認している。
制服の肩章と襟章(夏服のシャツ・ブラウスは肩章のみ)が階級章であり、士官の肩章と襟章は赤地、下士官・兵士の肩章と襟章は青地または黒地で肩章に入るマークが階級により異なる(襟章に入るマークは同じ軍国の中では全階級共通)。
なお、制帽の帽章はクレスト(救世軍の紋章)を用いており、鉢巻部分には活動地域の言語で「救世軍」の文字が入っている。
救世軍人が制服を着用することは「神の愛に生きる誓いの証し」という意味を持つ[25]。また、特に救世軍発足当初の女性の救世軍人の制服着用には酒場などで伝道活動を行う際に娼婦と間違われることを避けるという意味もあった[37]。
制服は日本では需要の絶対数からオーダーメイドであり一式で8万円前後だが、発祥の地であるイギリスや活動が盛んな欧米では既製品が日本に比べて安価(日本円に換算して一式で3万円ほど)で販売されており、インターネットでの通信販売も行なわれている[38]。
芸術作品の中の救世軍 [編集]
- オリバー・ツイスト:序盤で救世軍の給食の様子を描写している。
- ベルトルト・ブレヒトの戯曲「屠殺場の聖ヨハンナ」「ハッピーエンド」など:救世軍は抑圧者・偽善者として極めて批判的に描かれている。ブレヒトに影響を与えたフリードリヒ・エンゲルスは「空想から科学へ」で救世軍を「資本家のデマゴギーを満たすだけのための存在」と手厳しく批判している。
- ジョージ・バーナード・ショーの戯曲「バーバラ少佐」:タイトルロールは救世軍の奉仕活動に没頭する弾薬会社の社長令嬢。これもキリスト教と救世軍の偽善を批判する作品である。
- 映画「吉原炎上」:廃娼運動の一環で吉原遊郭内を練り歩く救世軍の一団が登場する。
- 映画「過去のない男」(アキ・カウリスマキ):記憶を失った男と、彼を助ける救世軍下士官の恋愛を描いた物語。
- ミュージカル「ガイズ&ドールズ」:賭博師と、身持ちの堅い救世軍下士官との恋愛を描く。
- 「メリークリスマス・Mr.ビーン」:「社会鍋」を行なっている救世軍ブラスバンドと、ビーンの滑稽なやり取りが見られる。
- 映画「オースティン・パワーズ」:世界征服を企む敵組織として救世軍の架空派閥「救世軍武闘派」が登場する。
- 「冬の散歩道」(サイモン&ガーファンクル):冬の情景を象徴するものとして「hear the salvation army band」という歌詞と救世軍のブラスバンドをイメージした音が入っている。
- 「ライフ・イン・ア・ノーザン・タウン」(ドリーム・アカデミー):冒頭に「A Salvation Army band played」という歌詞がある。
- シェエラザード(浅田次郎):救世軍の活動が物語の重要な部分に関わっている。
脚注 [編集]
- ^ 「ときのこえ」第2611号(2011年11月1日)1面より
- ^ 救世軍とは 救世軍日本本営公式サイト
- ^ http://celeb.cocolog-nifty.com/interview/2006/08/post_f631.html
- ^ http://bungaku.cocolog-nifty.com/barazoku/2008/03/post_2408.html
- ^ http://bungaku.cocolog-nifty.com/barazoku/2008/12/post-d073.html
- ^ http://bungaku.cocolog-nifty.com/barazoku/2006/09/__0427.html
- ^ http://www.geocities.jp/captain_makoto_yamaya/yb_korea.html
- ^ NHK福岡 「熱烈発信!福岡NOW」
- ^ 『ときのこえ』2013年2月15日号
- ^ 『ときのこえ』2013年2月15日号
- ^ 救世軍人の制服・階級章・その他記章類の基本デザインは、万国本営が参謀総長の名のもとに発行する『参謀総長覚書』(英:Minutes of Chief of the Staff)によって定められ、また現地の実情に合わせた適合(例:地域等によっては上着とズボンまたはスカートの色が白・グレー・ベージュなど場合がある)は各国本営が司令官または書記長官の名のもとに発行する『本営覚書』(英:THQ Memorandum)によってなされる。このため、制服類の基本デザインは世界共通であるが、国や地域によって細部の差異が存在する(例えば、ドイツ語圏では襟章の文字がアルファベットの「H」、台湾や香港では漢字の「救」になっているなど)
- ^ http://www.salvationarmy.org/heritage.nsf/36c107e27b0ba7a98025692e0032abaa/bbe1505d7cfa0f2d80256a1b00348fd1?OpenDocument
- ^ http://www.sps-shop.com/
- ^ その他、救世軍下士官の階級呼称と役職の詳細については外部リンクの救世軍用語集を参照
- ^ 例:曹長CSM(Corps Sergeant Major)、書記CS(Corps Secretary)、会計CT(Corps Treasurer)など
- ^ 詳細は外部リンクの「救世軍オンラインストア」を参照・「曹長」「書記」「会計」「バンドマスター」などの帽章が存在している
- ^ 『救世軍日本開戦100年記念写真集』199ページ
- ^ 吉田眞中将と夫人・かほる中将 救世軍日本本営公式サイト[リンク切れ]
- ^ 救世軍士官・山谷真少佐のブログ(自己紹介の画像が少佐の肩章)
- ^ リンダ・ボンド大将の中将時代のバストショット
- ^ 救世軍士官学校:教育内容や志願資格などの概説
- ^ 八木谷涼子『なんでもわかるキリスト教大事典』189ページ
- ^ http://web.archive.org/web/20071228041233/http://members.at.infoseek.co.jp/kindoochan/sa_rank_system.htm[リンク切れ]
- ^ http://en.wikipedia.org/wiki/Officer_in_The_Salvation_Army
- ^ a b c d e f 八木谷(2001年)、182-194ページ参照
- ^ 2013年1月現在、東京東海道連隊の連隊長は大佐補であり、「全員が少佐以下」ではない(『ときのこえ』2013年2月15日号より)。
- ^ 『キリスト教年鑑』2011年版の救世軍の項目参照
- ^ 「特務大尉」および「特務曹長」の詳細については外部リンクの救世軍用語集を参照
- ^ 東京都杉並区に設置されている救世軍ブース記念病院の現在の院長は日本基督教団所属者であり、軍友である(救世軍人では無い)
- ^ 「ときのこえ」2006年10月15日号より[リンク切れ]
- ^ http://ktymtskz.my.coocan.jp/cabinet/ootani5.htm
- ^ http://blogs.yahoo.co.jp/pandradra/20653973.html
- ^ http://www.salvationarmy.org/heritage.nsf/36c107e27b0ba7a98025692e0032abaa/bbe1505d7cfa0f2d80256a1b00348fd1?OpenDocument
- ^ http://photozou.jp/photo/show/424602/57597134
- ^ http://www.sps-shop.com/UKT/SPnSShop.nsf/vw_product/81EF7D2A647EC15D8025701F004968C5?opendocument [リンク切れ]
- ^ http://www.salvationarmy.org.au/supplies/product.asp?pID=907&cID=6
- ^ 八木谷(2001年)、260ページ参照
- ^ Salvation Army publishing & Supplies
参考文献 [編集]
- 八木谷涼子『知って役立つキリスト教大研究』182-194ページ及び257-270ページ(新潮OH!文庫、2001年、ISBN 4102901335)
- 八木谷涼子『なんでもわかるキリスト教大事典』185-197ページ及び251ページ、295ページ(朝日文庫、2012年、ISBN 9784022617217)
- 「救世軍紹介パンフレット」(救世軍日本本営)
- 『ときのこえ』各号(救世軍日本本営)
- 『救世軍 軍令及び軍律(兵士の巻)』(救世軍出版供給部、2001年)
- チック・ユイル『バトル・オーダーズ』(救世軍出版供給部、2002年)
- チック・ユイル『聖徒募集中!』(救世軍出版供給部、2005年)
- チック・ユイル『そして、神は性を創造された!』(救世軍出版供給部、2006年)
- ジョン・ラーソン『成長する小隊』(救世軍出版供給部、2004年)
- 『救世軍のルーツ探訪』(救世軍出版供給部、1993年)
- 『救世軍歌集』(救世軍出版供給部、1997年)
- 『救世軍 軍令及び軍律(下士官の巻)』(救世軍日本本営)
- 『救世軍 軍令及び軍律(准尉の巻)』(救世軍日本本営)
- 『救世軍 軍令及び軍律(士官の巻)』(救世軍日本本営)
- 『救世軍 下士官の心得』(救世軍日本本営)
- 『救世軍 准尉ガイドライン』(救世軍日本本営)
- 『救世軍教理便覧』(救世軍日本本営、1977年)
- 『救世軍日本開戦100年記念写真集』(救世軍日本本営、1997年)
- 『キリスト教年鑑』各号(キリスト新聞社)
- 三吉明著、日本歴史学会編集『人物叢書 山室軍平』(吉川弘文館、1986年、ISBN 4642050507)
- 救世軍オーストラリア南部軍国(Australia Southern Territory)オンラインショップ-掲載品はオーストラリア国内の救世軍人にしか販売しないが、肩章や襟章の写真があり画像参考サイトとして有用。
関連項目 [編集]
- Officer_in_The_Salvation_Army - 英語版ウィキペディアの「救世軍士官」の項目。階級制度・階級呼称などの変遷や階級章のデザイン等について詳説している。
- Soldier in The Salvation Army - 英語版ウィキペディアの「救世軍兵士」の項目。
- Generals of The Salvation Army - 英語版ウィキペディアの「救世軍大将」の項目。歴代の氏名と在任期間のリスト他。
- Chief of the Staff of The Salvation Army - 英語版ウィキペディアの「救世軍参謀総長」の項目。歴代の氏名と在任期間のリスト他。
- 社会鍋
- ヴィクトリア朝
- 赤十字社/国境なき医師団/世界の医療団
- イングランド国教会 - 救世軍に類似した社会奉仕団体「チャーチ・アーミー」(教会軍)を組織し、運用している。
- 天理教 - 「災害救援ひのきしん隊」という自己完結した救援部隊を各教区ごとに持っており、災害時には自治体や他のボランティア団体などと協力して救援活動や支援活動を行っている。
- 真田増丸(さなだ ますまる) - 浄土真宗本願寺派の僧侶。明治から大正にかけて「仏教済軍」という組織を作り、救世軍と同じような理念を掲げて活動していた。[5][6]
- 仏教救世軍 - 救世軍の仏教版を目指して作られ、大正期に活動していた日蓮宗系の団体。
- 慈善活動/ボランティア
- 救急医療
- 日本の救助隊
- 軍隊の編制/軍隊の階級/軍隊における階級呼称一覧
外部リンク [編集]
- 救世軍日本本営
- 救世軍ブース記念病院
- 救世軍清瀬病院
- 救世軍年鑑オンライン
- 救世軍万国本営(英語)
- SAWiki(英語) 救世軍ウィキ
- 救世軍オンラインストア(英語) - 書籍、制服、バッジ、音楽CD、DVD等の通信販売サイト
- The Salvation Army: William Booth College(救世軍万国士官学校)(英語)
- キャプテン・マクのページ(英語)(日本語) - 山谷真少佐のサイト 多数のコンテンツが充実している。
- 救世軍用語集
- Major Mak's Diary - 山谷少佐のブログ
- 救世軍の陸海軍人伝道の研究
- 資料:英国の軍隊階級/内閣役職対照表
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