世界征服

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

世界征服(せかいせいふく)とは、国家あるいは団体が主に軍事力を背景に世界にある他の全ての国家を打倒して解体・併合を行うことで、世界及びそこに居住する全ての人類を自己の支配下に置くことを指す。

実現は非常に困難であり、現実の人類の歴史において、世界征服を達成した国、人物は厳密には皆無である。

世界征服とは[編集]

現実世界における「征服」とは、国家が用いる武力による他の国家の占領・併合・消滅の過程を指す。歴史的には後述のように世界征服の可能性を僅かながら有した大国も存在したが、近代以後の国家主権の確立によって、国家が行うかかる行為は侵略戦争として規定されるようになった。今日では国際法によって違法とされている行為である。ポツダム協定ならびにポツダム宣言においては、ドイツと日本を世界征服の挙に至らしめた勢力の排除が明文化された。

しかし、特定の国家や一部の財閥、一般には知られていない秘密の超国家勢力、トロツキストなどの国際革命主義者が企んでいるという陰謀論オカルト史観・都市伝説・珍説が一部で存在するとも言われている。

歴史上の帝国[編集]

かつて世界征服には程遠いものの、広大な版図を有する帝国を作り上げた例は存在する。参考・比較対象として、地球の表面積は5億1千万km²(70%が海域)。従って、地球表面の10分の1は5100万km²だが、地球の10分の1でも支配できた帝国は史上でも稀である(脚注も参照されたし)。

ヨーロッパ

中東

東アジア

南アジア

また経済思想の世界的拡大の例としては以下のものが上げられる。

宗教と世界征服[編集]

イスラーム[編集]

預言者ムハンマドの登場から正統カリフの時代を経て、ウマイヤ朝アッバース朝にいたるまでの初期イスラーム政権においては、ジハード(聖戦)の名の下に非イスラーム世界を侵略し、征服することが宗教的義務として位置づけられており、最終的には全世界をくまなく征服してダール・アル=イスラームに包括し、イスラームは異教徒をの支配下に屈服させなければならないとされていた。

現代では現実的な力関係や宗教多元主義思想の広まりから、イスラーム世界においても表立って侵略戦争としてのジハードを唱えるものは少ない。

フィクションにおける世界征服[編集]

フィクションの世界においては、世界征服を最終目的とした犯罪行為を行う国家・秘密結社マッドサイエンティストなどがしばしば出現するが、それらはスーパーヒーロー正義の味方)に倒されるのが定番とされている(宇宙人がこれを行う場合は下記のように「地球征服」「地球侵略」などと言う)。

ファンタジーRPGなどの魔王に代表される悪役が掲げた世界征服の野望に勇者一派が立ち向かうというシチュエーションでは、物語開始時点で既に征服者による世界征服計画が着々と進んでおり、世界がその手中に落ちるまでまであとわずかという危機的な状況であったり、世界中を征服者の手下やモンスターなどが跳梁跋扈し、その脅威に晒された人類社会が混乱をきたしている状況も多い。勇者スーパーロボットなどヒーローの存在する作品では、ヒーローとその一派が征服者にとっての唯一にして最大の脅威となり、そのヒーローさえ表舞台に登場しなければ(早い段階で存在を探知し抹殺・破壊に成功したり、出現自体がもう少し遅ければ)、もっと容易に人類社会を転覆させ世界征服の大願が叶ったはずという状況も多い。

近年ではさらに進んで、その定番を超えて、『強殖装甲ガイバー』のクロノス、『20世紀少年』の“ともだち”などのように、世界征服を成就したストーリーも存在する。この様な世界では往々に征服者の統治が(少なくとも表向きは)普通の生活を営んでいる大多数の一般人にとって無害、あるいは戦争や差別や貧困が解消されているなど以前の社会よりも良い統治であり、主人公が「征服者の打倒=平和の破壊」という矛盾に苦悩することもある。

手段と目的[編集]

フィクションの世界における世界征服は、架空の世界での出来事故にその手段と目的は現実よりも多様である。特殊な魔法やタイムトラベルによる未来・過去の改変など、現実には成しえない方法での実行も多い。それらの方法を用いて個人が世界征服に挑戦、実現まで行かなくとも世界の多くを制圧する事は少なくない。

世界征服の目的は語られないことも少なくないが、そもそも世界征服自体が目的・大目標であるパターンと、世界征服は目的実現のための手段でしかない場合に大別できる。前者はマッドサイエンティストが自身の頭脳を世界に誇示する、人外の征服者が自分達の世界を作るために征服に乗り出すといった理由がある。後者は今の世の中に幻滅した者達が世直しの意味で世界征服に乗り出すのが定番である。創作においては為政者の深刻な腐敗や、弾圧されていた側が秘匿していた何らかの手段により、勢力・装備の差が覆ることは少なくない。

世界征服自体が下記のような未知の外敵の襲来に備えて、世界を纏める為に強引に取られた非常手段という場合もある。

地球侵略[編集]

世界征服のジャンルには、宇宙人(異星人)による地球侵略を描いたものがある。

古典作品では、H・G・ウェルズ火星人による地球侵略を描いた宇宙戦争が有名である。宇宙戦争は1953年に映画化され、また1950年代には多くの宇宙人による地球侵略をテーマにした作品が多く作られた。それには東西冷戦という時代背景があり、ソ連などの共産主義の脅威を宇宙人の侵略に見た立てて、風刺するという意味があった。1962年には今日泊亜蘭が、30世紀人の20世紀への侵攻というテーマで『刈得ざる種』(のち『光の塔』に改題)を著している。

天敵による侵略[編集]

人類宇宙人以外の存在による侵略も創作ではありふれたパターンである。この場合の“敵”は、人智を超えた特異な能力を有する魔物亜人超古代文明、人類が全くコミュニケーション不能な異形の存在、コンピューターのような被造物、など多岐に渡る。

このような敵が登場するフィクションの物語においては、侵略者にとっての世界征服・地球侵略に人類の殲滅が含まれたり、あるいは目的が人類の居住に適さない環境への惑星改造や地球そのものの破壊であったり、生物学的な概念からは掛け離れた途方もない増殖速度である、特別な能力者や兵器(マシン)の他には全く対抗手段がないなどといった特性から、人類が絶滅の危機に瀕したり、さらに進んで特定の地域や大陸規模で絶滅してしまう、社会体系が崩壊するなどといった過酷な生存競争を強いられる展開も少なくない。

人類が全くコミュニケーション不可能な異形の天敵という存在には、「人類を敵か破壊対象として認知し攻撃してくる」「人類の壊滅を狙っているのではないかと推測されている」程度の要素しか判らない謎の存在というものも見られる。また、出処不明で正体はもとより最終目的も正確には不明など、設定をブラックボックス化することでその背景なども大幅に簡略化することができる。そうなれば、あとは基本的に主人公側とはただ激闘を繰り広げ倒し倒される関係だけで、敵側の物語に深入りする必要も薄れるため、概して主人公を中心軸としてその仲間や所属組織といった単位での友情・生死・葛藤・苦悩から最後の勝利や結末に至るまでの人間模様、あるいは人類側で繰り広げられる権謀術数権力闘争、さらには主人公たちの生存そのものを巡る過酷な物語などをクローズアップして描き出す群像劇の要素を色濃く持つ物語で用いられることが多い。

脚注[編集]

  1. ^ 植民地支配による領域を含めて3000万km²に達した。
  2. ^ 最大領土面積は約2244万km²、陸地の6分の1を支配した。
  3. ^ 最大領土面積は約3300万km²、陸地の25%を支配した。
  4. ^ 第二次世界大戦下での最大領域は陸海合わせ、約5000万km²に達し、これは自国(現代日本の陸地37万km²)の130倍以上の広さを有し、当時のドイツ第三帝国をも上回り(事実上、戦中・戦後もドイツより国土が広い)、地球表面積(5億1千万km²)の10分の1に達する手前である。

参考文献[編集]

  • 樋口麗陽「日本之世界征服」日本書院、1916年10月。
  • 島川雅史「現人神と八紘一宇の思想」「史苑」1984年3月。
  • 岡田斗司夫『「世界征服」は可能か?』(筑摩書房、2007年)

外部リンク[編集]

関連項目[編集]