使徒信条
使徒信条(しとしんじょう、ラテン語: Symbolum Apostolicum, 英語: Apostles' Creed)は、キリスト教のうち、西方教会(カトリック教会、聖公会、プロテスタント)における基本信条のひとつ[1]。使徒信経(しとしんきょう)とも[2]。
東方教会(正教会、東方諸教会)は、使徒信条に告白されている内容は否定しないものの、信条としては受け入れて居ない[1][3]。
目次 |
内容 [編集]
三位一体 [編集]
三位一体を信じる教団では、この信条は三位一体の信仰を強調していると主張する。
宇田進は使徒信条の根本的特色に「三位一体の神が告白されている」ことをあげ、「「我は・・・父なる神を信ず」「我は・・・イエス・キリストを信ず」「我は聖霊を信ず」とある。」「使徒信条は、全体として三位一体の順序に従って、父、子、聖霊に関する三部分の叙述から構成されているが、重心は御子イエス・キリストに置かれている。」と述べ、使徒信条の重点がイエス・キリストにあるとしている[4]。
陰府降下(地獄降下) [編集]
詳細は「キリストの地獄への降下」を参照
キリストの地獄への降下は、使徒信条で信条化されているのにもかかわらず、西方教会では解釈が非神話化される傾向がある[5]。
これと反対に、正教会は使徒信条を信条としては用いないにもかかわらず、キリストの地獄への降下は復活と結びつけられ、今でも重要な信仰の要素となっている[6]。
カトリック教会 [編集]
カトリック教会で承認されている。ただしかつて「聖徒の交わり」を「諸聖人の通功」[7]と訳ししていたように、プロテスタントと解釈が異なる部分がある。この個所は2004年2月18日、日本カトリック司教協議会認可の口語訳「使徒信条」で聖徒の交わりと訳しているが[8]、カトリック教会の解釈に変更があったわけではない [9]。
プロテスタント [編集]
使徒信条は異教とキリスト教の線を引くものにすぎず、他の教派に対するプロテスタント固有の正統性を保証するものではない [10]。
信条本文 [編集]
ラテン語 [編集]
Credo in Deum, Patrem omnipotentem, Creatorem caeli et terrae,
et in Iesum Christum, Filium Eius unicum, Dominum nostrum, qui conceptus est de Spiritu Sancto, natus ex Maria Virgine, passus sub Pontio Pilato, crucifixus, mortuus, et sepultus, descendit ad inferos, tertia die resurrexit a mortuis, ascendit ad caelos, sedet ad dexteram Patris omnipotentis, inde venturus est iudicare vivos et mortuos.
Credo in Spiritum Sanctum, sanctam Ecclesiam catholicam, sanctorum communionem, remissionem peccatorum, carnis resurrectionem, vitam aeternam.
Amen
— "Symbolum Apostolicum".[11]
プロテスタント [編集]
我(われ)は天地(てんち)の造成者(つくりぬし)、全能(ぜんのう)の父(ちゝ)なる神(かみ)を信(しん)ず。
我(われ)はその獨子(ひとりご)、我等(われら)の主(しゆ)耶蘇(イエス)基督(キリスト)を信(しん)ず。即(すなは)ち聖靈(せいれい)によりて胎(みごも)られ、處女(をとめ)マリヤより生(うま)れ、ポンテオ、ピラトのもとに苦(くるしみ)を受(う)け、十字架(じふじか)につけられ、死(し)して葬(はうむ)られ、(陰府(よみ)に下(くだ)り)第三日(だいさんじつ)に死者(ししや)のうちより復活(よみかへ)り、天(てん)に昇(のぼ)りて、全能(ぜんのう)の父(ちゝ)なる神(かみ)の右(みぎ)に座(ざ)し給(たま)へり、彼所(かしこ)より來(き)たりて生(い)ける者(もの)と死(し)ねる者(もの)とを審判(さばき)たまはん。
我(われ)は聖靈(せいれい)を信(しん)す、聖(せい)なる公同教會(こうどうけうくわい)すなはち聖徒(せいと)の交通(こうつう)、罪(つみ)の赦(ゆるし)、身躰(しんたい)の復活(ふくくわつ)、永遠(かぎりなき)の生命(いのち)を信(しん)ず。アーメン
— 〔一八九〇年(明治二十三年)制定〕(旧)日本基督教會 信仰(しんかう)の告白(こくはく)より
我(われ)は天地(てんち)の造(つく)り主(ぬし)、全能(ぜんのう)の父(ちち)なる神(かみ)を信(しん)ず。 我(われ)はその独(ひと)り子(ご)、我(われ)らの主(しゅ)、イエス・キリストを信(しん)ず。 主(しゅ)は聖霊(せいれい)によりてやどり、処女(おとめ)マリヤより生(うま)れ、ポンテオ・ピラトのもとに苦(くる)しみを受(う)け、十字架(じゅうじか)につけられ、死(し)にて葬(ほうむ)られ、陰府(よみ)にくだり、三日目(みっかめ」)に死人(しにん)のうちよりよみがえり、天(てん)に昇(のぼ)り、全能(ぜんのう)の父(ちち)なる神(かみ)の右(みぎ)に座(ざ)したまえり。 かしこより来(き)たりて生(い)ける者(もの)と死(し)にたる者(もの)とを審(さば)きたまわん。 我(われ)は聖霊(せいれい)を信(しん)ず。 聖(せい)なる公同(こうどう)の教会(きょうかい)、聖徒(せいと)の交(まじ)わり、罪(つみ)の赦(ゆる)し、身体(からだ)のよみがえり、永遠(とこしえ)の生命(いのち)を信(しん)ず。 アーメン
— 「新聖歌」より:
わたしは、天地(てんち)の造(つくり)主ぬし、全能(ぜんのう)の父(ちち)なる神(かみ)を信(しんじ)ます。わたしは、そのひとり子(ご)、わたしたちの主(しゅ)、イエス・キリストを信(しん)じます。主(しゅ)は聖霊(せいれい)によってやどり、処女(おとめ)マリアから 生(う)まれ、ポンティオ・ピラトのもとで苦(くる)しみを受(う)け、十字架(じゅうじか)につけられ、死(し)んで葬(ほうむ)られ、陰府(よみ)にくだり、三日目(みっかめ)に死者(ししゃ)のうちから復活(ふっかつ)し、天(てん)に昇(のぼ)って、全能(ぜんのう)の父(ちち)なる神(かみ)の右(みぎ)に座(ざ)しておられます。そこから来(き)て、生(い)きている者(もの)と死(し)んでいる者(もの)とを審(さば)かれます。わたしは、聖霊(せいれい)を信(しん)じます。聖(せい)なる公同(こうどう)の教会(きょうかい)、聖徒(せいと)の交(まじ)わり、罪(つみ)の赦(ゆる)し、からだの復活(ふっかつ)、永遠(えいえん)のいのちを信(しん)じます。アーメン
— 口語文
カトリック教会 [編集]
使徒信経
- 我は天地の創造主、全能の父なる天主を信じ、
- 叉その御独子(おんひとりご)、我等の主イエズス・キリスト
- 即ち聖霊によりて宿り、童貞マリアより生れ、
- ポンシオ・ピラトの管下にて苦しみを受け、十字架に附けられ、死して葬られ、
- 古聖所(こせいしょ)に降りて三日目に死者の中(うち)より蘇(よみがえ)り、
- 天に昇りて全能の父なる天主の右に坐し、
- 彼処(かしこ)より生ける人と死せる人とを審かん為に来り給う主を信じ奉る。
- 我は、聖霊、
- 聖なる公教会、諸聖人の通功、
- 罪の赦(ゆるし)
- 肉身の復活(よみがえり)
- 終なき生命を信じ奉る。アーメン。
— 文語訳
天地の創造主、全能の父である神を信じます。
父のひとり子、わたしたちの主イエス・キリストを信じます。
主は聖霊によってやどり、おとめマリアから生まれ、ポンティオ・ピラトのもとで苦しみを受け、十字架につけられて死に、葬られ、陰府(よみ)に下り、三日目に死者のうちから復活し、天に昇って全能の父である神の右の座に着き、生者(せいしゃ)と死者を裁くために来られます。
聖霊を信じ、聖なる普遍の教会、聖徒の交わり、罪のゆるし、からだの復活、永遠のいのちを信じます。
アーメン。
— 2004年2月18日/日本カトリック司教協議会認可
変形 [編集]
- カトリックとルーテル教会では、一人称で平叙文の原文を、二人称の疑問文に変形したものが、洗礼式で用いられる。
- 日本基督教団『讃美歌』(1954年刊)の566番に掲載されている使徒信条には、「・・・生ける者と死ねる者とを審きたまわん」とあるが、日本福音連盟の『聖歌』(1958年刊)の見開きページにある使徒信条には、この部分は「・・・生ける者と死にたる者とを審きたまわん」とある。なお『新聖歌』では後者の表記を踏襲している。特に福音派系の教会の礼拝において使徒信条を唱える場合、讃美歌集の採用の違いや、教団の信仰告白との兼ね合いから、どちらを採用するかは教会によってまちまちである。
脚注 [編集]
- ^ a b 久松英二『ギリシア正教 東方の智』151頁 講談社選書メチエ (2012/2/10) ISBN 9784062585255
- ^ 『キリスト教大事典』485頁、教文館、昭和48年9月30日 改訂新版第二版
- ^ 信仰-信経:日本正教会 The Orthodox Church in Japan
- ^ 『福音主義キリスト教と福音派』p.63、p.64
- ^ 久松英二『ギリシア正教 東方の智』160頁, 161頁、 講談社選書メチエ (2012/2/10) ISBN 9784062585255
- ^ 久松英二『ギリシア正教 東方の智』162頁, 163頁、 講談社選書メチエ (2012/2/10) ISBN 9784062585255
- ^ 『公教要理』
- ^ 口語訳「使徒信条」
- ^ 『カトリック教会のカテキズム』
- ^ 小野静雄『日本プロテスタント教会史』下 聖恵授産所 p.243
- ^ Vatican- the Holy See. “Catechismum Catholicae Ecclesiae”. 2009年9月27日閲覧。
外部リンク [編集]
|
||||||||||||||||||||||||||||