オルガン
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パイプオルガン |
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気鳴型鍵盤楽器 |
オルガン (organ) は、加圧した空気を鍵盤で選択したパイプに送ることで発音する楽器であり、パイプオルガンとも呼ばれる。パイプオルガンを模倣した楽器である、リードオルガンや電子オルガンもオルガンの名で呼ばれる。
目次 |
概要 [編集]
オルガンは、鍵盤で操作される管楽器である。多数のパイプを発音体として備えるが、1本のパイプに異なる音高を発生させることはなく、各パイプの音高は固定的である。 従ってオルガンは少なくとも鍵盤のすべての鍵に対応する数のパイプを持つ必要がある。また基準音高や音色の違うパイプ群を複数備えていることが多く、その場合ストップと呼ばれる機構によって、発音するパイプ群を選択できるようにしている。
オルガンは、パイプに機械的な仕組で一定の空気を流して発音するために、一般の管楽器に比べて強弱や音色の変化を微細に行うことはできない。そのため、例えばストラヴィンスキーは「呼吸をしない怪物」と酷評し、オルガンのための作品を全く書こうとしなかったことが知られている。 しかしオルガンは、安定して持続する音と、多彩な音色を持ち、これがオルガンならではの魅力となっている。また強弱表現は、ストップの切り替えや、複数の鍵盤の使い分け、スウェル・シャッターの使用などによって得られる他に、各音の持続時間の長短によって心理的な音の強弱をもたらしたり、発音や終始の速度を制御することで微妙な表現が可能である。
日本語の「オルガン」 [編集]
日本では、単純に「オルガン」というと、特にクラシック音楽に親しんでいる人々は別として、一般には義務教育(特に小学校の教室内)などで目に触れる機会の多いリードオルガンのことを意味し、歴史的に接点の少ない(大聖堂や教会、大規模コンサートホールなどにある)パイプによるオルガンのことは、あえて区別して「パイプオルガン」と呼ぶことが多い[1]。
一方、西欧の言語では、例えば英: organ, 独: Orgel, 仏: orgue, 伊: organo, 西: órganoとだけ言った場合には、一般にパイプによるオルガンを指す。日本において単に「オルガン」というと「リードオルガン」を示すのとは逆に、これらの国においては、たとえば英: reed organとあえて呼ばないと、日本においての一般的な「オルガン」のことを意味しないので、注意が必要である。
歴史 [編集]
ギリシャ語 "οργανον"(オルガノン)とは、本来は道具・器官のことを意味し、演奏するための組織的道具という意味で、楽器についてもこの言葉が適用されるようになった。後にこの言葉が、各言語におけるオルガンという単語になっていった。オルガンがキリスト教の教会に設置され、宗教色を得るようになったのはその歴史の途中からであり、当初は一般的な楽器のひとつでしかなかった。
起源 [編集]
オルガンの起源は非常に古く、紀元前数世紀からオルガンの原形にあたる楽器の存在が認められる。これらは、「パンの笛」や「シリンクス」などのように、複数の笛を束ねて吹くもので、中国や日本などの「笙」も同族の楽器と見なされる。
水オルガン [編集]
紀元前264年にアレキサンドリアに住むクテシビオスが、水力によって空気を送り込み、手で弁を開閉させることによって音を出す楽器「水オルガン」(ヒュドラウリス (Hydraulis))を製作したことが記録に残っている。水オルガンは青銅と木でできており、大理石でできた円筒状の基礎に乗っていた。大理石の中には貯水槽とピストンが備え付けてあり、圧縮空気を上部のパイプに送り出した。外見はパンパイプを機械化し、直立させたものに近い。これをアレキサンドリアのヘロンとローマ人建築家のウィトルウィウスが改良し、地中海地方に水オルガンは普及した。 水オルガン奏者たちは演奏会で腕を競いはじめ、デルフォイの演奏会ではアンティパトロスという奏者が、丸二日間休むことなく演奏を続けて栄光を勝ち取った。結婚式、競技場、宣誓就任式、晩餐会、劇場などでも水オルガンが演奏された。水オルガンの奏者は女性が多かったが、剣闘士の試合などでは男性が演奏したことが判っている。また、ネロ帝も水オルガンを好んで演奏した。水オルガンはローマ帝国の勢力が衰えるにつれて地中海地方では衰退したが、アラビアに伝播し改良が重ねられていった。
ふいごによるオルガン [編集]
紀元前1世紀はじめ、水オルガンとは仕組みの異なるふいごによるオルガンが出現していることが確認されている。ふいごを用いる改良は、オルガンにとって大きな進化となった。音を途切れさせないためには複数のふいごを設置することでそれを防いでいた。 ふいごの大きさや数は楽器の大きさなどと関係してさまざまであり、その操作方法も手で扱うものも、足で扱うものもある。後世の大型のオルガンでは高い風圧が必要とされ、ふいごを扱うことは重労働となり、専門のふいご師(人夫)を必要とした。このような大掛かりな楽器では、人夫を雇うために日当もかかるため、当時のオルガニスト達は演奏本番のみしかオルガンの音を実際に出して演奏することはできなかった(オルガニスト達は普段の練習にはクラヴィコードなどを使用していた)。人夫を使っていた時代には、教会側が一方的に人夫の日当を値切ったため、怒った人夫が演奏の途中でわざとふいごを止めてしまい、オルガンが鳴らなくなったという珍事件(一種のストライキ事件)さえ記録に残っている。機械を用いた効率化も試みられ、19世紀後半からは蒸気機関などを用いた楽器も出現した。20世紀に入る頃から電力式のふいごが登場し、現在では多くのオルガンのふいごが電力によって動かされており、非常に大きな風圧も容易に得られるようになった。
中世 [編集]
9世紀に、修道院においてオルガン製作が始まるようになった。当時はまだ礼拝など宗教活動には使用されず音楽教育を目的とされていたが、徐々に広く製作が進められていった。 10世紀はじめになると修道士たちによってオルガンが礼拝に使用されるようになっていき、13世紀には教会の楽器として確立されるまでに定着した。 中世からバロックのヨーロッパでは、教会オルガンとは別に、主として舞踏の伴奏に使われる「世俗オルガン」も存在した。ただし、世俗オルガンは概して教会オルガンよりは小規模で、持ち運べるポルタティフ・オルガン(オルガネット)(w:en:Portative organ)、小型の据え置き型のポジティフ・オルガン(w:en:Positive organ)などが、上流階級の生活を中心に広く浸透していった。 11世紀には建築技術の向上によって教会の建物が巨大化していったが、それに伴い14世紀にはオルガンもしだいに巨大化していくこととなった。その頃、足鍵盤が出現し手鍵盤に補助的な役割を果たすこととなった。当初の足鍵盤は音数も少なく、形も現在のようなものとして規定されていなかったため、様々な形態のものが残っている。 13世紀~15世紀前半のゴシック時代には、初期は小型のポジティフ・オルガンが主流であったものの、後期には種々の改良が加えられ、徐々に大型化していった。ローラーボードの発明によって巨大パイプの使用が可能になり、重低音の大型パイプが広く導入されるようになった。
ルネサンス [編集]
15世紀後半から16世紀のルネサンス時代には、ストップの多様な組み合わせによって音色の変化が効果的に用いられるようになった。 現在のほぼ全てのオルガンに採用されている「スライダー・チェスト」が発明されたのはこの時代で、スライダーを用いてストップを選択するという方式が定着していった。
バロック [編集]
17世紀~18世紀前半のバロック時代はオルガン文化の全盛期にあたる。特に北ドイツにおいては、新教会が大オルガンを建造することを競い始めるようになり、巨大化が加速された。オルガン建造家として、現在においても伝説の巨匠とされるアルプ・シュニットガーやジルバーマン兄弟もこの時代に活躍した。
シンフォニック/ロマンティック・オルガン [編集]
19世紀~20世紀初頭には、多様な8'の音色による交響楽的な設計のオルガンが作られ「シンフォニック・オルガン」や「ロマンティック・オルガン」と呼ばれる。作曲家たちの間ではオルガン・ソロのための交響曲を書くことが流行したことからも、この時代のオルガンがどのような傾向を持っていたかが窺える。建造家としてはアリスティッド・カヴァイエ=コルが特に有名である。
ネオバロック・オルガン [編集]
20世紀にドイツに起こった「オルガン運動」によって、古い時代のオルガンが見直されるようになり、バロック時代のオルガンを模倣した「ネオバロック・オルガン」が数多く造り出された。 しかし当時は過去のオルガンに関する研究が不十分であり、歴史的オルガンの修復にあたって多くの過ちを犯した。
現在は、古い時代のオルガン建造技術が尊重され、歴史的楽器の本来の音に近づくために、より慎重な修復や複製が行われるようになっている。
オルガンの例 [編集]
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イタリア・ローマ、サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂、1599年、Luca Blasi製
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北ドイツ・シュターデ、聖コスメ教会、1688年、B. Huss及びアルプ・シュニットガー製
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フランス、マルムーティエ修道院教会、1709年、アンドレアス・ジルバーマン製
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カナダ・モントリオール、ノートルダム聖堂、1891年、Casavant Frères製
パイプ [編集]
詳細は「ストップ (オルガン)」を参照
パイプはオルガンの発音の主体であり、主に錫と鉛の合金や木材で作られる。一般に装飾を兼ねて前面に配置されるパイプよりもはるかに多くのパイプがケース内部には配置されている。 パイプの発音構造は大きく分けて2種類あり、それぞれフルー(英語: flue)管とリード(英語: reed)管と呼ばれる。フルー管はリコーダーと同じく歌口により発音するもので、リード管はクラリネットと同様の1枚リードの構造で発音する。 またパイプの太さや、開管、閉管、半開管等の構造の違いにより多様な音色のパイプが存在する。 鍵盤に対応した一揃いのパイプ列は、それぞれに名称が付けられ、ストップと呼ばれる選択機構によって使用が選択される。またパイプ列自体をストップと呼ぶことも一般的である。 パイプ列の音高はフィート律で示される。すなわち標準の音高のパイプ列は8'と表現され、それよりも1オクターヴ高いあるいは低い音高のパイプ列はそれぞれ4'、16'となる。 これは一般に鍵盤の最低音であるC音のパイプの長さが、おおよそ8フィートになることに基づいている。
一般に大規模なオルガンでは、パイプ群はそれぞれが独立した小オルガンともいえるディヴィジョンに組織される。各ディヴィジョンごとに鍵盤が設けられ、それによって音色や音量の対比が可能となる。
風箱 [編集]
パイプは一つずつ風箱(英: wind chest、独: Windlade、仏: sommier、伊: somiere)と接続されている。風箱の内部は一定の気圧に与圧されており、鍵盤が押されたときに弁(パレット)が開き、パイプに風を送りこむ仕組みになっている。 風箱への送風は現代では電動のファンを用いるが、電気などの動力が使えなかった時代には、ふいごを演奏者自身、もしくは大型のオルガンでは専門の人夫が操作して空気を送っていた。
古い時代から現在まで、最も多く採用されている風箱構造はトーン・チャンネル・チェストで、1音高ずつに分かれた、共通音溝に異なる管種のパイプが接続する。音高が共通する、異なる管種が同一時に発音するので、各管種が融合し、音楽的に旋律線を明確に演奏できる構造となっている。
ロマンティック・オルガンの多くには、ストップ・チャンネル・チェストが採用された。管種(ストップ)ごとの溝に分かれ、共通溝に同一管種のパイプが接続する。同一管種へ供給する風が共通の溝を通るため、ロマンティック・オルガン特有の個々の音色ごとに解け合った響きとなる。
スウェル [編集]
スウェルは連続的な音量の変化を得るために、パイプ群を箱(スウェル・ボックス)に納め、可動式の鎧戸(スウェル・シャッター)を設けたものである。 演奏者がペダルを操作することによって、シャッターが開閉し、音量の変化が得られる。 シャッターの各板は、かつては水平に設置されていたが、動作にかかる負荷が大きいため、現在では垂直に設置されることが多い。
演奏機構 [編集]
キー・アクション [編集]
キー・アクションは鍵盤の動きによって風箱のパレットを開閉するための仕組みである。
トラッカー・アクションは鍵盤とパレットが機械的に直接結合しているものであり、古くから存在する最も基本的なものである。 鍵盤の動きが直接パレットを動かすため微細なニュアンスの表現が可能である。 また、風圧によってキーを押した時に独特の抵抗感を持つ感触が得られ、これが演奏者と楽器の結び付きを強める。 これらの長所から現代でもトラッカー・アクションは広く使用されている。
バーカー・レバー・アクションは空気圧のモーターを用いて鍵盤操作に要する力を軽減したものである(参考図)。一般に大オルガンなどに組み込まれた装置で、中小規模のオルガンでは使われない。 19世紀初頭のオルガンは高い風圧のために鍵盤が非常に重くなり、オルガン奏者に過大な負担を強いていた。バーカー(Charles Spackmann Barker、英)が1832年にバーカー・レバーを発明、1839年、フランスで特許を得た。カヴァイエ=コル(Aristide Cavaillé-Coll) はこの発明を自身設計のオルガンに大々的に組み込んだ。バーカー・レバー・アクションはトラッカー・アクションに近いキーの感触を持つが、パレットを開閉する速度の制御はできない。
19世紀後半にはニューマティック・アクションが開発された。これは直接的な結合を全て空気管で置き換えたもので、演奏台をパイプから離れた位置に置くこともできる。しかしトラッカー・アクションの持っていた感触は無く、しばしば反応が鈍い。
エレクトリック・アクションは電磁石を利用してパレットを開閉するものである。鍵盤と風箱の間は電線で繋がれるので、演奏台の配置は完全に自由である。 電気の伝達速度は瞬間的であるが、アクションの作動速度は開閉機構の品質により、必ずしも瞬間的な反応を示すわけではない。鍵盤は単なる電気スイッチであるが、トラッカー・アクションに似せた感触が作られることもある。
ローラー・ボード [編集]
ローラー・ボードは、トラッカー・アクションにおいてキーの上下の動きを横方向に伝達するための機構である。 キーの上下動でパレットを開閉するためには、鍵盤の各キーの直上に各パイプが配置されるのが理想であるが、多くのオルガンでは、パイプとキーの位置が一致しないため必要となる。歴史的には600年以上も前、ゴシック時代のオルガンに既に導入されていた。ポジティフなどの小型オルガンでは、鍵盤とパイプの配置のずれがあまりなく、ローラー・ボードを設置しないオルガンもある。
演奏台 [編集]
演奏台(コンソール、独: Spielschrank/Spieltisch、仏・英: console、伊: consolle)は演奏者が操作する部分で、発音のトリガーとなる手鍵盤と足鍵盤および音色を選択するストップが基本的要素となる。また現代におけるオルガンでは、メモリにストップのコンビネーションを記憶させられるものもあり、これを操作するボタン類が備え付けられている。背後の指揮者やコンサートマスターを視認することができるよう、譜面台の上部に鏡やモニターテレビが備えられていることもある。
手鍵盤 [編集]
小オルガンの集合体である大オルガンは、それぞれの小オルガンに対応した鍵盤があり、何段もの手鍵盤がそなえつけられる事が多い。鍵盤は、下から数えて第1鍵盤、第2鍵盤、第3鍵盤と数えていく。現代の楽器では3段備えたものが多く、それ以上ある場合には、3段の基本的なセットの上部に追加されていく。4~5段が大オルガンとして一般的に見かける上限であり、それ以上のものは例外的である。通常は、主鍵盤が3段の中央に位置しており、下から順に、ポジティフ鍵盤→主鍵盤→スウェル鍵盤と配置されているが、フランス式では最下段が主鍵盤とされていることが多い。
足鍵盤 [編集]
多くのオルガンは手鍵盤に加え足鍵盤(ペダル鍵盤、独: Pedal、仏: pédale、英: pedal、伊: pedale)を備えるが、足鍵盤のための独立したパイプ群を持たないプルダウン型のものもある。足鍵盤の鍵数や形状は、歴史的には多様である。形状にはボタンやピストンのようなものもある。
平面配置
- 平行型
- 鍵が平行に並んでいるもの。広い音域にまたがって動くような楽句がある場合には、鍵が同じ間隔で並べられているため、横方向に演奏しながら移動しやすいという特長がある。ただし、低音域、高音域は遠く、奏者は腰を安定させたままで全音域を難なく演奏するには訓練が必要となる。
- 扇型・放射状
- 鍵が放射状に並んでおり、黒鍵側が円弧を描くように設計されている。広い音域にまたがって動くような楽句がある場合には、鍵が同じ間隔で並べられていないため、横方向に演奏しながら移動しにくいという欠点がある。ただし、低音域、高音域は、より後ろ側の鍵ほど束ねられる傾向があるため、そのような場合には、奏者は後ろの方を奏することによって腰の不安定さを軽減することができるという特長がある。しかし、足の後ろをもう片方の足が通過して奏する場合や、足と足とが接近して重音を奏する場合などには、後ろ側の鍵同士の間隔が狭いために弾きづらくなるという欠点がある。
立体配置
- 水平型
- 鍵が水平に並んでいるもの。広い音域にまたがって動くような楽句がある場合には、鍵同士が同じ高さにあるため、横方向に演奏しながら移動しやすいという特長がある。低音域、高音域は遠く、奏者は腰を安定させたままで全音域を難なく演奏するには訓練が必要となる。
- 凹面状
- 中央の鍵が窪んだ形となっているもの。広い音域にまたがって動くような楽句がある場合には、鍵同士が異なった高さにあるため、横方向に演奏しながら移動しにくいという欠点がある。その代わり、低音域・高音域はせり上がって奏者により近くなっているため、奏者にとって負担が少ないという特長がある。
その他の形状として
- ボタン式足鍵盤
- 鍵盤とは呼べないようなボタンが並んでおり、補助的に低音を奏するような様式のオルガンに見られる。
- 爪先ペダル鍵盤
- 鍵盤とは呼べないようなペダルが並んでおり、補助的に低音を奏するような様式のオルガンに見られる。
- 箱型足鍵盤(フランス式)
- 現在の足鍵盤とは違い、細い板状の足鍵盤が並んでいる。
- 傾斜型足鍵盤(イタリア式)
- 現在の足鍵盤とは違い、黒鍵側が上部に傾斜をつけてせり上がる形態で設置されているが、白鍵盤は多少弾きづらく、上体は後ろに反りやすくなるという弱点がある。
鍵盤数は、現代において見られる多くの足鍵盤では、30鍵か32鍵で落ち着いている。
スウェル・ペダル [編集]
スウェル・シャッターを開閉することによって、強弱を発生させるためのペダル。
古くは足鍵盤奥に僅かに設けられたスペースに、現代ではその多くが足鍵盤の上部に設けられている。当初は右足で操作されるように設計されたため、現在でも中央より右側に設置されているが、実際的には足鍵盤の演奏中に空いている方の足によって操作されるため、どちらの足で操作するとも限らない。左足で操作する際には多少の苦労を伴うこととなる。
スウェル・シャッターの効果は、楽器によってまちまちであり、完全に閉じてもあまり音が小さくならないものもあるので、奏者は楽器の特性を知っておかねばならない。特に、多くの場合には、開き始めにその効果が非常に大きく、半分以上開いてからは、あまりその変化は感じられない。そのため、半分までの開き具合を知ることが、スウェル・ペダルを扱う上で重要な点となる。
アメリカ・イギリス式のものは、奥を踏むとスウェル・シャッターが開いて音が大きくなるが、ヨーロッパ諸国ではその逆のものも多く見られるため、奏者は最初に確認しておく必要がある。また、スウェル・シャッターを閉じたままにしておくと、スウェル・ボックス内に空気が停滞して錆の発生などで楽器を傷めるため、演奏後はスウェル・ペダルは全開にしておくべきである。
クレッシェンド・ペダル [編集]
スウェル・シャッターによらない強弱方法であり、このペダルを操作すると、徐々にストップ数を足していくことができ、最終的にはトゥッティに至る。多くの場合には、スウェル・ペダルと併設されている。ストップが増えることにより段階が付いてしまい、スウェル・ペダルほど滑らかな強弱がつかないが、これによる強弱の幅は非常に大きい。クレッシェンド・ペダルで用いるストップの追加順序や組み合わせは、設計時に決められてしまい、これが表現上の制限となっていたが、現代では、記憶装置を併用して奏者がストップの組み合わせや追加順序を作成することができるものもある。
足ピストン [編集]
足ピストン(独: Piston/Fußpiston、仏: champignon/piston、英: toe piston、伊: pistone)は足で軽く押す(踏む)ことによって動作させるピストンであるが、現代では一般的には、あらかじめ奏者が記憶装置によって記憶したストップの自由なコンビネーションを、演奏中に手でその切り換えができない場合に、足ピストンによって切り換えるために使用する。多く見かけるものでは2種類あり、番号が振られたピストンによって記憶させたコンビネーションの番号をそのまま呼び出すものと、記憶させたコンビネーションを先送りか後戻しさせるものが一般的となっている。同様の機能を持つボタンが、手鍵盤の直下などにもあることが多い。両足が塞がっているときには、手で同様の操作を行うこととなり、手も足も塞がっているときには、助手がその操作を手か足で行うことも多々ある。そういった意味で、奏者本人が扱いやすい位置に設置されていることだけでなく、助手が操作しても届く範囲で、なおかつ奏者の邪魔にならないような位置に設置されている必要がコンソールの設計に求められることとなる。
ノブ類 [編集]
コンビネーション・スイッチ類 [編集]
現代における規格 [編集]
ピアノが19世紀末ごろにおおよそ現在の形となり、20世紀において相当程度に標準化が進んだのに対し、オルガンにおいての規格化は非常に遅れていた。現在では、多くの新しいオルガンが国際的な規格に則って設計されており、奏者はより演奏しやすくなった。しかし、小さな建造家やメーカーは、それに沿わないオルガンを製造し続けており、古いオルガンも数多く現存するため、オルガニストはどのようなオルガンにでも適応する能力が求められる。
一般的に見られるものは、以下のBDO規格(ドイツというよりも実質的にはヨーロッパ規格)かAGO規格かによっている。
- ドイツ・オルガン建造職人連合規格 (BDO; Bund Deutscher Orgelbaumeister) 規格
- 平行型を支持している。
- アメリカ・オルガニスト協会規格 (AGO; American Guild of Organist) 規格
- 扇型を支持している。
- イギリス王立オルガニスト協会規格 (RCO; Royal College of Organists) 規格
調律 [編集]
フルー管の調律は、閉管の場合は、蓋の上下によって調整する。金属製の開管の場合は、あらかじめ長めに作り開口部を帯状に切り欠いて巻き取ることでパイプの実効長を調整したり、あるいは短めに作り上部に筒を巻いてスライドさせることで調律する。 そのような仕組みがない場合は、チューニング・コーンを用いてパイプの開口部を変形させることで調律する。開口部を広げることでピッチを上げ、狭めることでピッチを下げる。 木製の開管の場合は、長めに作った上で切り込みを入れ、そこにスライド式の調整部を設けたり、短めに作り開口部に金属製の蓋をとりつけて開口量を調節することで調律する。 リード管の調律はリードの振動長を調節することで行う。
オルガンは原理的には管楽器であるから気温による音速の変化によってピッチの変動が生じる。しかしオルガンの調律は容易には行えないので、空調の設備の整わない教会のオルガンとの合奏では問題が生じることがある。気温の変化でオルガンのピッチが数ヘルツ上下することは十分にあり得ることだからである。 気温によるピッチの変化は同じストップであれば同じ比率で現れるので、独奏の範囲では和声に影響するわけではない。それでもリード管とフルー管では差が出るので、フルー管に合わせるためにリード管を一斉に調律する仕組みを持つものもある。
その他のオルガン [編集]
リード・オルガン族 [編集]
パイプ・オルガン以外で、フリー・リードによる発音を用いた楽器の総称。ハーモニウム、アコーディオン、コンセルティーナ、鍵盤ハーモニカ、ハーモニカなどがある。フリー・リードを持つ楽器の多くは19世紀以降に発明された新しい楽器であるが、笙は歴史の古いフリー・リードによる管楽器。
フリー・リード(自由リード、自由簧)とは、各国語では、英語:free reed(フリー・リード)、独語:durchschlagende Zunge(ドゥアヒシュラーゲンデ・ツンゲ)、einschlagende Zunge(アインシュラーゲンデ・ツンゲ)、freischwingende(フライシュヴィンゲンデ)、仏語:anche libre(アンシュ・リーブル)、伊語:ancia libra(アンチャ・リブラ)などと称し、これは弾力性の高い金属片(まれに竹製)が風で振動させられる発音体を指す。穴の開いた平板に穴を開けておき、フリー・リードの端を穴の脇に固定して並べておき、穴の反対側から空気を送り込むか吸い出すかによって音は生み出されるが(en:Free_reed_aerophone)、一般的にはリードを固定している響板をリードに共鳴振動させて音量を確保している(ヴァイオリンの胴と同じ効果)。もちろんスウェル、フルオルガン(グラン・ジュー)、エクスプレッションなど各種の増幅装置が知られている。まれにクオリファイング・チューブ(特許あり)と呼ばれる共鳴管を備えるタイプが知られている。パイプによる発音体を作るよりもずっと簡単で、丈夫で音も狂う心配はなく、工場による大量生産も簡単で、コストを非常に抑えることができ、鍵盤楽器としては小型で場所を取らないことから、大衆向けの安価な楽器として広く一般に浸透した。ただし本格的なリード列を持つハーモニウム類の場合、もし現在同じものを作るとしたら、価格面ではパイプオルガンに匹敵するほどになる。
リードの材質の厚さ、長さ、比重、弾力性、などによって音の高低は決まる。音色は、リードの長さと幅の比率や、リードの材質の比重と弾力などによっても決まる。リードの微妙な曲げ方、形状によっても音色を変えている。ただし、ストップごとの大きな音色変化はパイプオルガンと同様で、主にフィート律によって支配される。二枚のリードの調律を少しずらしてセレステ効果を出すストップもある。
リード・オルガンとハーモニウム [編集]
(英語: reed organ, harmonium、独語: Harmonium、仏語: harmonium、伊語: armonium) 足踏み式のふいごが風力源となり、手鍵盤を押すことによって発音させるべきフリー・リードを選択して風を開放させ演奏するこの据え置き型のオルガンは、大きく分けて2種ある。吸気式ふいごによるものと、吐気式ふいごによるものであるが、北アメリカでは吸気式を「リード・オルガン」、吐気式を「ハーモニウム」と呼んで区別してきたが、ヨーロッパ諸国においては、どちらも区別なく一律「ハーモニウム」と呼ぶという習慣の違いがある。
"Aeoline"(エオリーネ)という楽器がベルンハルト・エッシェンバッハ (Bernhard Eschenbach, 1767-1852) とその従兄弟のヨハン・カズパー・シュリンバッハ (Johann Caspar Schlimbach, 1777-1861) によって1810年に発明された。また、"Physharmonika"(フィズハルモーニカ)という楽器がアントン・ハックル (Anton Haeckl) によって1821年にウィーンで特許取得された。
また、アメリカにおいてグッドリッチ (Ebenezer Goodrich) が最初の"Harmonium"(ハーモニウム)を1810年頃に造ったが、同じ頃、フランスのガブリエル・ジョゼフ・グルニエ (Gabriel Joseph Grenié, 1756-1837) が"Orgue expressif"(オルグ・エクスプレッシフ)を造った。後に世界的なパイプ・オルガン建造家として伝説的な偉人となったカヴァイエ=コル (Aristide Cavaillé-Coll, 1811-1899) は、室内楽向けの素晴らしく完成された芸術的楽器を生み出し、これを"Poïkilorgue"("poikilos":「多彩な」・「芸術的な」+"orgue":「オルガン」)と呼んだが、フランクもこのための数多くの作品を作曲し、サン=サーンスやリストも作曲している。
フランスのアレクサンドル・フランソワ・ドゥバン (Alexandre François Debain, 1809-1877) により"Harmonium"(アルモニオム)という名称で1842年に特許取得されたのが、その最初の定義となっており、それは吐気式によっていた。
バッシュマン (J.D.Buschmann) が1836年に、より簡単な吸気式を考案したが、まだヨーロッパにおいてそれは可能でなく、1860年代からアメリカで吸気式の開発が進められた結果、それが可能になったのはJames Cahartの発明によるものとされている。後にアメリカのメーソン&ハムリン社が1861年にパリの万博に吸気式のものを出展したとされている(万国博には各社が毎回出品し、その際の受賞メダリオンを鍵盤の上のストップボードに誇らしげにプリントする習慣が見られた。この習慣を日本のヤマハも内国勧業博覧会にて踏襲していた)。
リードオルガンは19世紀後半に人気高い楽器として広くもてはやされており、それは米国でも、家庭的な娯楽として一般的であった。それはピアノよりずっと安価で、調律は安定しており、より軽量で運搬しやすく、そして、19世紀には普遍的に使用された馬車、蒸気機関車牽引の列車でガタゴト揺られて出荷されても大丈夫という特長が重宝されてきた。また、これらは米国の多くの新興教会で使用され、そこでは、リードオルガンがパイプ・オルガンの代わりに会衆の歌の伴奏に広く使用されることとなった。この楽器の基本的な特徴は、微妙な強弱表現ができ、小型である点にあった。その結果、パイプオルガンとは違い、当時勃興していた多少裕福な市民のサロンやパーラー(応接室)、アメリカ、カナダ、アフリカ、中国、インド、日本などの開拓伝道、辺境の小教会にもオルガンを備えるという具体的なニーズに応えたことがあった。
1900年代前半のピアノ生産技術における進歩によって、ピアノはより手頃になった結果、リード・オルガンの人気は急激に低迷した。リード・オルガンがピアノに取って代わられた他の理由は、神聖なパイプ・オルガンの代用であったことと、世俗的な家庭用オルガンの間に揺れ動く曖昧なその立場にあり、またリード・オルガンのための独創的な作品が不足していたということが挙げられる(実際には多くの作品があったが、20世紀中ごろからピアノ作品に駆逐されて演奏されなくなったと言うべきであるが)。
一握りのリード・オルガンが、1950年頃に電気送風機などの革新があるまで作られ続け、その楽器を普及させるため、その多くを海外に出荷もしており、個人宅や古い教会において古いものが現存している。また、リード・オルガンは船上で礼拝を行う際に牧師によって使用されたり、世界中の米国軍隊に使用され、第二次世界大戦の終わりまで残っていた。
日本では「リード・オルガン」、「足踏みオルガン」と呼ぶのが一般的で、以前は単純に「オルガン」というと、この種の楽器を第一義的に指していた。その歴史的背景として、明治期から昭和期にかけて、キリスト教宣教師が外国製リードオルガンを多数持ち込み、宣教活動に使用したこと、それと並行して、明治期から昭和期にかけて国産リードオルガンが100万台を上回る台数、製造され、唱歌教育の中で直接的に音楽普及に貢献したことがある。日本に平均律が定着したのは、このリードオルガンによる唱歌教育の影響が決定的であったと言えよう。なぜならば、蓄音機やラジオが家庭に普及する以前、すでに公教育の中でリードオルガン導入が進み、全国の尋常小学校で児童への唱歌教育が成功していた。明治期に普及したのは安価な39鍵、49鍵の小型であったが、大正時代にはストップつきも珍しくなくなった。高級型のリードオルガンは16フィートストップや4フィート、2フィート、セレステやフルオルガン、スウェルも備え、主に教会、師範学校、音楽学校などに納入された。少数ではあるがペダル鍵盤つきも古い教会や音楽学校などに納入されていた。主なメーカーは明治期に長尾芳蔵の長尾オルガン、西川虎吉の西川オルガン(のちに日本楽器横浜工場)、山葉寅楠のヤマハオルガン(日本楽器製造、浜松工場)、池内甚三郎の池内オルガン(後に東洋楽器製造、竜野市)、石原久之祐の石原オルガン、松本新吉の松本オルガン(東京月島工場など)、昭和期になって河合小市のカワイオルガン、名古屋の山下オルガンなどがあった。太平洋戦争の後にも多数の楽器会社がリードオルガン製造をてがけた。楽器会社が製造して、相手先ブランドで家電メーカー、デパートやミシン会社までもがリードオルガンを販売していた。日本の楽器製造産業の基礎を築いたのは、リードオルガンの製造・販売であった。またこの楽器のために多くの楽譜が出版、販売された。代表的な島崎赤太郎編「オルガン教則本」は昭和11年に146版を重ねている。国民歌謡「椰子の実」を作曲した大中寅二はリードオルガン用の芸術的な曲を数多く作曲している。ほかに中田章、木岡英三郎、草川宣雄、眞篠俊雄、奥田耕天、秋元道雄らがリードオルガン用の練習曲集などを発表、リードオルガンの教育・普及に貢献した。
「ハーモニウム」または「ハルモニウム」については、特にパイプ・オルガン文化においてよく知られた楽器であるものの、一般に認知度はほぼないに等しいものと言える。「ハーモニウム」・「ハルモニウム」を知っているごく限られた人たちの間では、「リード・オルガン」・「足踏みオルガン」とは区別され、芸術的な表現に使用できる小型の楽器という認識がある。昭和初期に国産の純正調ハーモニウムが日本楽器横浜工場で開発されたが、その監修をしたのは後に朝日賞を受賞した田中正平博士であった。
手鍵盤は一般的に、5オクターヴ61鍵(「は」~「4点ハ」)を有しているが、本格的なハーモニウムであれば2段手鍵盤のものや、足鍵盤のあるもの(電力送風)また、10種ほどのストップが用意されたものまであった。ストップは、パイプ・オルガンのように8'だけでなく、16'や4'なども立派に設置され、また、多くの特徴として唸音ストップが用意されており、それによる音は、この楽器の代表的な響きとして認識されてきた。
ふいごで送られた空気は一旦タンクに溜めて一定の気圧を保ち、音量に不用意な影響が出にくいようになっている。その一方で、ペダルを踏む速さによって奏者が音量を調整できるという利点を得たことは、ベルリオーズやビゼーといった作曲家を刺激した。膝で操作する音量調節弁が1854年にミュステル (Mustel) によって発明された(ミュステルはチェレスタの発明者でもある)。電気オルガンの場合、音量を操作するペダルを一つ備えることが多い。どの場合も楽器全体の音量がいっせいに増減され、特定の音のみ音量的に目立たせるといったことはできない。
アストル・ピアソラによるバンドネオンのためのアルゼンチン・タンゴ作品の力強い説得力を思えば、同属楽器であるリードオルガンの表現力も新たな作品によって引き出される余地を残しているとも考えられる。20世紀初頭にはさらに改良を加えられてクンストハルモニウムと呼ばれ、ジークフリート・カルク=エーレルトがこの楽器のためにたくさんの作品と編曲を残している。マーラーの交響曲第8番、クルト・ヴァイルの三文オペラなどにも用例がある。
アコーディオン [編集]
詳しくはアコーディオンの項目に譲るが、オルガンの仕組みを様々に取り込んでおり、高級なものは、ストップの切替・組み合わせにより音色を多様に変化させることができる。アコーディオンの音色は、パイプ・オルガンにおける唸音ストップによる響きによっている。
手回しオルガン [編集]
手回しオルガン(英語: barrel-organ、独語: street organDrehorgel、仏語: orgue de barbarie、伊語: organo di Barberia, organetto)
ピンの出た円筒に接続されたハンドルを手で回し、円筒に隣接した鍵盤をピンで押さえる仕組みの自動オルガン。「ストリートオルガン」の別名のとおり、大道芸などで使われるのに適するよう、首や肩からベルトで吊るせる位の大きさの箱に収まっているが、発音機構としてはパイプオルガンである。近年ではジェルジ・リゲティが自動化されたこの楽器のために作品を編曲している。
明治時代の日本では、和室でも演奏しやすいように改良した紙腔琴が開発された。
電子オルガン [編集]
詳細は「電子オルガン」を参照
教会用電子オルガン [編集]
電気オルガンと電子オルガンとでは意味が異なる。
電気オルガンとは、電力を利用したパイプ・オルガン[要出典]のことを意味し、トラッカーなどの機構によって演奏の動作を物理的に伝達させてパイプを発音させるものとは異なって、演奏を電気信号に変換してパイプの発音を指令する種類のものである。現代のオルガンでは、そのほとんどが電力を何らかの形で使っているが、ここでいうところの"electric"とは、演奏による動作を物理的に伝達するか電子的に伝達するかという違いで指すだけであって、部分的に電気を使っているところがあると全て"electric"と呼ばれてしまうわけではない。たとえばNHKホール(東京)や品川教会(東京)などに見られるように、設置型の演奏台がこの方式で作られている場合と、正規の演奏台に併用されるために別途用意された遠隔式演奏台にこの方式が利用される場合が多く、現代のホールにおいてそのような場合の多くは、設置型の演奏台にはトラッカー式が採用され、舞台上で使用できる遠隔式演奏台がこの方式によっていることとなっている。ただ、この方式によるオルガンは、パイプの反応が若干遅いということと、パイプの弁の感触を味わってコントロールできないという面で、世界的に好意的に受け入れられてはおらず、現在においても、オルガンの機構としてトラッカー型のものこそが最上とされている。
"electronic organ"(電子オルガン)とはパイプがなく電子的に発音するパイプ・オルガン[要出典]やそれに派生[要出典]する電子鍵盤楽器を意味する。最近では、パイプを併用することで、スピーカーからの音とパイプからの音とを混合する形のものもある。一般に"electronic organ"とは、パイプ・オルガンの代用品であったり、家庭用・小規模施設向けのものであったりするが、パイプ・オルガンのは特徴の違う音色が出せる点を広げて、もっと違う用途に使用される楽器としても多様に生み出されている。そういった意味で、教会で使用するスタイルのオルガンでないものも電子オルガンの仲間には種々存在することとなる。
電子オルガンの発音原理は、電子回路によって発生した電気信号をスピーカーで音に変換するもので、回路の設計次第で原理的にはどのような音色も合成できる。教会向けのものとしてハモンドオルガン(Hammond organ, Laurens Hammondにより1934年に発明)が挙げられるが、これは徐々に新しい表現を広げ、現在では、教会における使用も残っているものの、ひとつの新しい音楽文化を形成している。教会様式のオルガンとしては、アーレン・オルガン(アメリカ)が世界的にその開発に先んじたことで有名であるが、シアター・オルガンにおいても、電子による表現力の広さが長所として、広く好まれている[要出典]。
現代音楽分野の電子鍵盤楽器 [編集]
教会のオルガンとは異なる形の電子鍵盤楽器の例として、オンド・マルトノ(ondes Martenot: Maurice Martenotにより1928年に発明)、シンセサイザーなど様々に存在し、メシアンの「トゥランガリーラ交響曲」(1948年)におけるオンド・マルトノなど、現代音楽で重要な役割を演ずることも少なくない。
用途による呼称 [編集]
用途や設置場所を特に意図したい場合には、「教会オルガン」、「コンサート・オルガン」、「スタジオ・オルガン」、「ハウス・オルガン」、「劇場オルガン」、「シアター・オルガン」、「シネマ・オルガン」、などの呼び方が使われることもある。最後の3つは音楽鑑賞を主目的としないもので、録音・再生装置が広く出回る前の時代に、劇場の効果音や雰囲気づくりに使用されたのが始まりであるが、それは後にひとつの文化となり、現代においても守られ続けるようになった。たとえば、映画において、音楽を奏するのは当然ながら、蒸気機関車における蒸気や汽笛の音、動物の鳴き声、爆発音まで、様々な音をオルガンの多彩なストップを応用して模倣して見せるのである。
脚注 [編集]
- ^ 明治から昭和初期までの日本語では、オルガンの和訳「風琴(ふうきん)」が広く用いられた(中国語では現在もオルガンを「風琴」と言う)。なお日本語の「風琴」は、広義では「手風琴(てふうきん。アコーディオンのこと)」も含む。
参考文献 [編集]
- Williams, P., Owen, B., Bicknell, S. "organ". The New Grove Dictionary of Music and Musicians. 2nd ed. London: Macmillan, 2001.
- オースティン・ナイランド 『パイプオルガンを知る本』 丹羽正明、小穴晶子訳、音楽之友社、1988年。
- 辻宏 『オルガンは歌う―歴史的建造法を求めて』 日本キリスト教団出版局、2007年。
関連項目 [編集]
- 現代の著名なオルガン演奏者
外部リンク [編集]
- organ-musicオルガン音楽(MP3)
- 東京カテドラル新オルガンの設計から建造までを写真入りで解説する。
- フランス文化コミュニケーション省 ヴェルサイユのオルガンのストップの音色を聴くことができる(各ノブをクリックする)。
- 日本リードオルガン協会
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