パンパイプ

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Pan pipes
ペルヴィアン・パンフルー、あるいはサンボーニャ

パンパイプ(panpipes)はの茎等を用い、一つのパイプで一つの音高が出せるようにして音階状に束ねた管楽器ギリシア神話パーンに由来してパンパイプと呼ばれている。世界中に存在した楽器であるが、今ではルーマニアムジカポプラーラアンデスフォルクローレで使用されている。パンフルート(pan flute)、シュリンクス(syrinx)とも呼ばれ、ルーマニアではナイアンデスフォルクローレではサンポーニャ(Zampoña)と呼ばれている。日本では「パンの笛」や「排簫(はいしょう)」「葦笛」と呼ばれることもある。


シュリンクスという呼び名は、次のギリシャ神話の逸話から採られている。

牧神パーンが、水の妖精シュリンクスに恋をしたが、嫌われても追いかけつづけ、困ったシュリンクスは水の中に飛び込み、水辺の葦に身を変えた。パーンはとっさに水の中で手にしたのが、1束の葦であった。悲しんだパーンは、その葦を束ね、シュリンクスのことを偲んで、吹き続けた。その後、牧神パンの吹く笛を、シュリンクスと呼ぶようになったという。(ギリシャ神話から)

ナイ(Nai)という呼び名は、ルーマニア語で「葦」のことを指す。

パンフルートはシルクロードを伝わって中国に入ってさまざまに変化しへと発展していったが、変化を受けずにそのまま日本に入ってきた長短18本の素竹で構成されたものが排簫(はいしょう)と呼ばれていたことが、正倉院御物墨絵弾弓から確認できる。しかし日本では、近年になって正倉院に残されていた残骸を参考に復元されるまで、雅楽の世界からいつしか完全に姿を消していた。

古代ギリシャ世界に存在したパンパイプは、その後パイプオルガンの先祖となったが、ヨーロッパの多くの国々では存在を忘れ去られていた時期がある。モーツァルトが作曲した歌劇魔笛に登場する笛はパンパイプのことだが、実際の演奏はフルートが受け持っている。モーツァルト自身は、おそらくパンフルートを見たことがなく、伝説上の楽器と考えていたと思われる。パンフルートは、ヨーロッパの片隅の小国ルーマニアの羊飼いたちのあいだで、民族音楽を演奏する楽器ナイの名で細々と伝わっていた。20世紀になってから、ルーマニアでこの楽器を見直す動きが起こり、パイプの本数が増やされたり、材料を中国産の女竹に変更するなどの改良が加えられていった。ルーマニア国立の音楽大学で正課として取り上げられるようになったことで、何人もの名人が生まれていった。戦後、ルーマニア出身のナイ奏者ゲオルゲ・ザンフィル(Gheorghe Zamfir)が西側で演奏活動を始めたことにより、ヨーロッパ全体に再び知られるようになった。ザンフィルの演奏に衝撃を受けた一人にスイスのヨリ・ムルクがいる。ザンフィルは彼に演奏法だけでなく、改良されたナイの製法も教授した。ムルクは多くの弟子を育て、現在、スイスは世界でもっともパンフルートを楽しむ人が多い国となっている。

日本において、パンパイプは、今上天皇皇后皇太子時代、ルーマニアを訪問し、その後日本にルーマニアからムジカポプラーラの一行が来日、演奏活動を行ったことによってブームとなった[要出典]。また、ゲオルゲ・ザンフィルが来日して日本中を演奏活動で回ったことで、その音楽性の高さが知られるようになっていった。ルーマニアでナイの奏法を学んで帰国した岩田英憲など、わずかながらプロ奏者が国内にも存在する。

パンフルートは音程が不安定な楽器であり、購入後奏者自らが調律を必要とすることがある。パイプの中はコルクで栓がされており、蜜蝋を用いて調律するようになっているのが一般的である。音程が低い場合は、ビーズ状の蜜蝋をパイプの中に落としてから調律具を差し込んで、ビーズを押し潰して底を平らに均して、パイプの中側の長さを短くする。音程が高い場合は、調律具を回転させて蜜蝋を掻き出すことで、パイプの中側の長さを長くして調整する。

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