トランペット

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トランペット
各言語での名称
trumpet
Trompete
trompette
tromba
小號
トランペット
トランペット
分類

金管楽器

音域
B♭記譜
Range trumpet.png

トランペット: trumpet)は、金管楽器の一種である。略称は「Tp」「Trp」など。

管は全体としては円錐形だが、全長に対して円筒部分の割合が大きく、多くは長円状に巻かれ、その中ほどに3つ(稀に4つ)のピストンまたはロータリー式のバルブを備える[1]

この楽器の調性には様々なものが存在するが、最も一般的なのは変ロ調(B♭管)とハ調(C管)である。ハ調を除き、移調楽器である。バルブを操作しつつ、息で音を変化させて演奏する。

トランペットの種類[編集]

管長による分類[編集]

ピッコロ・トランペット。下にあるのは移調用のマウスパイプ
通常のトランペットとポケットトランペット(どちらもB♭管)

現代のトランペットはこれまでにほとんどの調子の楽器が製作されてきたが、A管やC管、D管等はオーケストラでよく用いられ、吹奏楽ではB♭管が標準となっている。それよりも短い楽器はショートトランペットと呼ぶことがある。

短い方からのC管、B♭管、A管については、ピッコロトランペットと呼ばれる。大抵は、一台のトランペットにオプションパーツの組み合わせで調子が変えられるようになっている。なお、管長が半分なので基音は通常の楽器よりも高いのであるが、高次倍音は出しにくくなる。従って演奏できる音域が狭くなるために第4バルブを備えて補うモデルもある。

長いものは、アルトトランペット(管長2 m前後)やバストランペット(管長3 m)と呼ばれる。

標準のB♭管の長さのものを二重巻きにして、サイズを小さくしたものをポケットトランペットと呼ぶ。コンパクトで携帯に便利だが、吹奏に多少の抵抗感がある。

標準のB♭管は音程がもっとも安定しているので、初心者(特に楽器自体初めての人)はB♭管から始めることが推奨されている。ただしB♭管であっても、指使いだけで正確な音程が保証されるものではない。

ショートトランペットは姿をB♭管に似せると、サイズが小さくなるので、第一バルブからベルまでをB♭管に合わせた形をロングモデルとも呼ぶ。

機構による分類[編集]

現代のトランペットはそのバルブの構造によって、ピストン・トランペット、ロータリー・トランペット等に分類できる。21世紀に入ってからは、ヤマハ製などの電子式のものもある。

ピストン・トランペット
ピストンバルブを使って管長を変化させる。現在、日本、アメリカ、フランスなどで最も一般的に使用される。一般に「トランペット」と言ってイメージされるのが、このピストン・トランペット(B♭管)である。音が目立つのでよくソロに用いられる。ロータリーバルブに比べて故障しにくい。ジャズにはこれが用いられる。
ロータリー・トランペット
C管のロータリー・トランペット
ロータリーバルブにより管長を変化させる。ドイツオーストリアオランダ北欧などでよく用いられる。ドイツやオーストリアの音楽に向いているとされ、日本やアメリカのオーケストラでも演奏曲目によって用いられることがある。一般にピストン・トランペットと比べ、ピアニッシモが全く割れないで重厚で厚みのある音色を持つ。
スライド・トランペット
ソプラノ・トロンボーンと形状が似ている。19世紀のイギリスで主に用いられた。機構はトロンボーンと同一で音域が一般のトランペットと同じ。多くは用いられないが、ポルタメントグリッサンドを効果的に使いたい場合に用いられる。
シグナル・インストルメント
機能はビューグルに近いが、ベル(朝顔)は2個から4個付いていて、それを1つから2つのピストンバルブで操作する。マウスピースはトランペットのものを使うのでここに挙げる。ドイツの楽器店でよく見かけられるが、使用例はスライド・トランペットのようにほとんど聞かれない。
ダブル・ベル・トランペット(ツイン・ベル・トランペット)
2つ以上の楽器の役割を1つにまとめた楽器を意味する「複合楽器」(duplex)として考案されたトランペット。トランペット本来のベルと上方に飛び出たベルの2つのベルを持った楽器。音色よりも音の方向性を大切にする楽器。別の種類の弱音器を付けることによって音色を瞬時に変化させることもできる。バルブによって音の出るベルを切り替える。ユーフォニアムにもこの例がある。
ナチュラル・トランペット
バルブの機構が1815年頃に発明され、管の長さを変えるピストンやロータリーが取り付けられる以前のトランペットで、元々は一本の円筒形の直管にベル(朝顔)が付いた楽器であった。歴史的には紀元前7世紀のアッシリアやヘブライ語聖書(所謂旧約聖書)、ギリシア、古代ローマまで遡ることができるほどの歴史ある楽器で、今日でもヨーロッパ以外の地域で同族の楽器が使用されている。
ヨーロッパにおいては中世に至るまでは直管であったが、ルネサンス時代の間に管を曲げる技術が加わり、持ち運びの容易なS字型のトランペットが現れた。また、スライド・トランペットも開発され教会内で使用された。両端を180度折り曲げ環状にした一般的なナチュラル・トランペットの形状はセバスチアン・フィルディングの『音楽論』(1511年)の挿絵にその初期の姿を確認することができる。その他の形状としては、渦巻き状にしたものやハンドストップ・トランペットのようにベルに手が届くように反り返らせたものなどがある。
ナチュラル・トランペットは単なる一本の管であるため、基本的には倍音しか出せない。従って、音階全てを吹奏できず、古来より今日に至るまで軍事的な信号楽器であった。

歴史[編集]

原初(中世まで)[編集]

陶製のトランペット。300年ごろのもの。ペルーリマのLarco博物館蔵

金管楽器の祖先は新石器時代メガフォンラッパにさかのぼり、エジプト王朝時代には金属製の軍用ラッパがすでにあった。この時期までの楽器はホルンともトランペットとも分類できず、むしろ単にラッパの祖先と解した方が適切である。

歴史上最も古いものは、およそ3,000年前のエジプトの出土品の中に見られる。材質は金、銀、青銅のほか、土器、貝、象牙、木、樹皮、竹、瓢箪などで、形や長さも様々であった。当時これらは主に宗教、政治上の儀式、軍隊や競技などにファンファーレや信号として使われていた。初期のトランペットには音孔やバルブ機構などはなかったので、出せる音は倍音のみに限られていた。古代の終わりから中世にかけて、楽器の構造・材質などの点ではほとんど進歩がなく、10世紀から11世紀頃に作られたものでも、彫刻を施すといった程度であった。

ホルン(角笛)から分かれて、はっきりトランペットの祖先といえる楽器は、ギリシアローマ時代になって初めて出現する。ギリシアではサルピンクス (salpinx)、ローマではテューバ (tuba) あるいはリトゥス (lituus) と呼ばれた。この楽器は管長がすでに 1mを超え、管は角と金属を継ぎ合せて作られ、マウスピースはカップ型であった。さらに青銅器時代に北欧にはルーレル (lurer) と呼ばれる2本1組として使われるラッパもあった。この楽器の管は円錐形で、むしろコルネットの祖先に見えるが、管がS字型に曲がっていることが形の上でトランペットあるいはトロンボーンの先駆とも言える。

中世・ルネサンス時代[編集]

10世紀頃ヨーロッパ各地においては、ツィンク (Zink) が作られるようになっていた。この楽器は象牙または木の管に穴を開けて、倍音以外の音も出せるようにしたものである。このシステムはペルシアからヨーロッパに流れてきたといわれている。当時は2〜4つの穴が開けられていたものであったが、15から18世紀の間に、フルートからヒントを得て、表に6つと裏に1つ、計7つの穴が開けられ、音階の演奏が可能になった。ツィンクは19世紀まで用いられていた。

12世紀に入ると管を接続することが可能になる。トゥーバ、リトゥスはビザンチンを通ってアラビアの影響を受け、非常に長い楽器が作られるようになり、管形が円筒に近づいていった。中世初期のこの円筒形のトランペットは、クラーロ (claro) あるいはブイジーヌ (buisine) と呼ばれていた。

1240年には、イタリアのフェデリーコ2世トゥベクタ (tubecta) という楽器を作らせた記録があり、この言葉がトロンベッタ (trombetta) あるいはその後ダンテ・アリギエーリの詩に初めて現れるトランペット (trumpet) という語の起こりである。トゥベクタもローマ時代のトゥーバという語の縮小形である。この楽器がどのような形であったか不明であるが、現在のトランペットにかなり近づいたS字形の管を持つ楽器は、1400年に最古の資料がある。

30年後には現代と同じ巻管のものが現れる。当時巻管のものはクラリオン (clarion)、直管のものはトロンバ (tromba) との古文献の記載があるが、前者は高音域用のトロンバ(トランペット)のことで、楽器の構造が異なるところはない。後に高音域をクラリーノと呼称されるようになるが、一般的な形状のナチュラル・トランペットでも高音域を担当する楽器の呼称として便宜的にこの名称が使われることが多かった。

長い楽器は基音(第1倍音)が低くなるので、現代の短管のものでは不可能な高次の倍音が出しやすく、バロック時代に至っては簡単なメロディーが演奏できるようになった。だが、まっすぐ長い楽器では、戦争や狩猟などに用いるには不便なため、14〜15世紀に入ると、様々な形に曲げられるようになった。それでも依然として音程的には何の進歩もなく、相変わらず倍音しか出すことができなかった。

近世[編集]

ヘラルト・ドウの描いたトランペット吹き。1660年から1665年ごろ

16世紀に入って、トロンバ・ダ・ティラルシ(Tromba da Tirarsi, 独:Zugtrompete)という楽器ができた。これはスライド・トランペットのことで、18世紀後半までドイツの教会内で使用されたが、音程は長3度までしか下げられなかった。なお、19世紀の英国でよく用いられたトロンボーン型のスライド・トランペットとは動く部分が異なる。

また、この頃には戦場トランペット等の信号業務以外に、宮廷のトランペット楽団が各音域に分かれ、音楽的に合奏されるようになってきた。1511年の木版画には、フェルト・トランペット (felt-trumpet) とクラレータ (clareta) という2種の音域用のトランペットが現れる。前者は低次倍音で信号業務を行う戦場トランペットであり、後者は高次倍音で野外トランペット楽団においてトップパートを担当する。トップパートが吹奏する高音域(高次倍音)は、トランペット奏者のギルド(同業者組合)における厳しい訓練期間を経て免許を取得した者だけが演奏を許されていたものである。この音域は17世紀には「クラリーノ (Clarino)」と呼ばれるようになり、高音域用の楽器やそのパートを指す意味にも使われることがあるが、その意味するところはあくまで「高音域」のことである。なお、高音域は音階における倍音の間隔が狭いため、協奏曲などの旋律を吹奏することができ、宮廷の権威の象徴として珍重された。ドレスデンでは20人程のトランペット奏者でミサやテ・デウムが演奏されていたこともある。なお、「クラリーノ」の音域は、自治権が認められた帝国自由都市等の都市楽士も吹奏可能であったが、基本的には王侯貴族の前でしか吹奏が許されておらず、特権的なものであり、宮廷に仕えるトランペット奏者は給与面で他の楽器奏者よりも厚遇された。そのため、ことに17世紀以降、その奏者は高い技巧を獲得して室内での旋律的演奏を行うようになり、室内トランペット奏者、コンチェルト・トランペット奏者、音楽的トランペット奏者とも呼ばれるようになった。これと並行してオーケストラではクラリーノ担当奏者を含むトランペット・コー(野外トランペット楽団)の最小編成(ティンパニ含む)が祝典的な機会に編入されることが多くなり、18世紀後半には定席を得た。この中での高音域の使用は1780年頃まで見られる。なお、野外トランペット楽団における高音域の使用は、旋律的ではなくなるものの19世紀までドイツで見られた。

1760年、ドイツのケールベルがクラッペン・トランペットを発明した。その楽器にはいくつかの鍵(キー)付きの穴があったが、その穴は大きく、管長の実態を変えるといういわばリコーダー的な理屈によるものである。前述のとおりクラリーノという楽器として誤解の原因を作ったかもしれない現代のレプリカ楽器である渦巻き型トランペットには小さな穴が3つ空けられているが、そのような小さな穴のある当時の実物や古文献が発見されたことはない。また、さらにごく小さな穴を3つ程度開けて音色をある程度保ったまま不要な倍音を消去し、狙う倍音の的中率を上げる方法が別に考案されたが、それも20世紀後半以降のことである。

近代[編集]

19世紀初頭、ドイツのブリューメルが、カステン・ヴェンティル (Kasten Ventil) を発明した。この楽器は2つのバルブから出来ていて、第1バルブは1音、第2バルブは半音下げることが出来た。1825年にシェスターが作ったカステン・ヴェンティルは、すでに3つのバルブが付いている。ヴェンティルとはドイツ語で弁のことである。

さらに1827年にはフランス人のラバイェによってピストンが発明された。また、ウィーンではウールマンによってウィンナー・ヴェンティルが発明された。1832年にウィーンで、ヨセフ・リードルがカステン・ヴェンティルを改良し、初めてロータリー式を発明した。一方ベルリンでは1857年にモーリッツがプンペン・ヴェンティルを発明し、これはベルリナー・プンペンと呼ばれた。そして1839年にパリにおいて、ペリネが現在のものとほとんど同じ3本ピストンのトランペットを発明した。一応形の上では完成された楽器といえたが、まだ問題点が残っており、ベルリオーズリヒャルト・ワーグナーは、この楽器の発明後もあえてナチュラル・トランペットを使い、旋律的な部分はコルネットを使用している。19世紀のバルブを持つ長管のトランペット(F管が一般的)はバルブ付きとはいえ、管長は現代のトランペットよりも長く、現代のヘ調(F管)のアルト・トランペットと同じ長さでありながら音域はその1オクターブ上の領域であった。ナチュラル・トランペットにバルブ装置を付けたという発想の楽器で、引き続き高次倍音を用いていたために旋律を奏する際の音の的中率は低次倍音を使用しているコルネットに及ばなかったのである。今日のトランペットは低次倍音を使用しているコルネットにその範を求めて改良開発されたものである。

機構の進化[編集]

管長をまったく変えることのできなかったナチュラル・トランペットに最初の改良が行われたのは15世紀である。これはマウスピースのパイプ部分を長くして管長を多少コントロールする手法であった。これが後にクルーク・システム(継ぎ足し管)に発達し、19世紀にはスライド・トランペットへと進化した。このスライド・システムがトランペットに採用されている実例は、現在ベルリンの博物館に所蔵される1651年作の楽器が最古である。

一方、1760年にホルンに鍵(音孔)を付ける試みが行われたことから、1801年にはアントーン・ヴァイディンガーによってトランペットにも鍵が付けられたが、これは音色や音程への悪影響があり、不成功に終わった。1788年にイギリスでトランペットにバルブを1つ付けて管の調を半音変えることに成功した。これが後のバルブ・システムの先駆である。現在トランペットに使われる3本ピストンのバルブ・システムはブレイクレーの創案によるブーシー・オートマティックと呼ばれるシステムで、この他にも数種考案されたが、いずれも実用化されなかった。現在のバルブ・システムのトランペットが現れたのは1820年頃からで、1850年には完全に普及したものとなった。

バルブ・システムのトランペットの初期は、E♭とB♭が主流を成していたが、この他にも低音楽器としてテナー・バリトン・バス・コントラバスといった楽器が作られていた。1850年頃にはF管のアルト・トランペットも作られた。しかし、これらの中で現在に残ったのはB♭管とC管のトランペットと、バリトン・トランペットからワーグナーの示唆で改良された、現在でいうバス・トランペットの3種である。

著名なトランペット奏者[編集]

クラシック
ジャズ
その他

主なメーカー[編集]

日本
米国
  • レイノルド・シルキー
  • Calicchio(カリキオ)
  • KING(キング)
  • Benge(ベンジ)
  • Holton(ホルトン)
  • GETZEN(ゲッツェン)
スペイン
  • Stomvi(ストンビ)
英国
  • BESSON(ベッソン)
ドイツ
  • B&S(ビーアンドエス)
  • Monke(モンケ)
  • Berndt C. Meyer(マイヤー)
オーストリア
  • Lechner(レヒナー)
ルクセンブルク
  • BSC(ブラスサウンドクリエーション)
台湾
  • JUPITER(ジュピター)
  • XO(エックスオー)
  • Marcato(マルカート)

教則本[編集]

ジャン=バティスト・アルバン(アーバン)による「アーバン金管教本」が古くから標準的な教則本として用いられてきた。日本ではエチュード、小曲と独奏曲、独奏曲のピアノ伴奏譜の3巻に分けて全音楽譜出版社から出版されている。

  • アーバン金管教本1 ISBN 4-11-548211-7 J.B.アーバン著、E.F.ゴールドマン、W.M.スミス編
  • アーバン金管教本2 ISBN 4-11-548212-5 J.B.アーバン著、E.F.ゴールドマン、W.M.スミス編
  • アーバン金管教本3 ISBN 4-11-548213-3 J.B.アーバン著、E.F.ゴールドマン、W.M.スミス編

2009年、全音楽譜出版社より改訂版が発売された。

脚注[編集]

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  1. ^ ヤマハ 「トランペットのしくみ」

関連項目[編集]

外部リンク[編集]