ドラムコー

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ドラムコー (Drum Corps) とは、打楽器金管楽器によって編成された音楽隊のことである。マーチングバンドの一形態とも言えるが、起源は軍隊における歩調合せ及び信号伝達部隊であり、マーチング活動を行う吹奏楽団(マーチングバンド)とは別の歴史を歩み、今日に至っている。

太鼓は、徒歩による行軍中の歩調を統一するため古代ローマ時代から用いられた。信号ラッパは、無線等の通信設備の存在しない時代に、大規模化した軍隊に命令を伝達するための有効な手段であった。その後、訓練の一環として、また公式行事等における儀礼的な演奏を目的として発達してきた。現在では軍隊に留まらず、青少年の健全育成や、社会人の趣味としての音楽活動として世界中に普及し、その高い芸術性、テクニックに人気が集まっている。DCI(Drum Corps International:ドラムコーインターナショナル)と呼ばれる世界大会がある。

「ドラムコー」と称される編成も、厳密には

  • ドラム・コー - 鼓隊
  • ドラム・アンド・ビューグル・コー - ラッパ鼓隊
  • ドラム・アンド・ファイフ・コー - 鼓笛隊

と区分されるべきであろう。だが今日では単に「ドラムコー」と呼ぶ場合、芸術的に著しい発展を遂げ、かつ、団体数が最も多く、競技会も盛んなドラム・アンド・ビューグル・コーを指すことが一般的になっている。

日本での歴史[編集]

日本で初めてドラムコーを編成したのは徳川幕府である。黒船来航により西洋式軍隊を必要とした幕府がオランダ海軍に依頼して教育、編成を行った。独特な記譜法による楽譜も作られた。慶応2年には歩操新式という教科書で、鼓笛隊の編成方法が紹介されている。これにより各諸藩にもドラムコーが普及することになる。現在、ドラムコーを所有していた形跡を残しているのは下記の藩である。

  • 天童藩 軍楽保存会が存在している
  • 上山藩 現存する最古の伝承軍楽隊保存会がある
  • 二本松藩 藩士の一人が鼓士としての資格を幕府からいただいている
  • 仙台藩 戦前までは保存会が存在した
  • 上田藩 写真が残っている
  • 高遠藩 鼓隊が存在した記録がある
  • 津藩 鼓隊が存在した記録がある
  • 鳥取藩 鼓隊が存在した記録がある。
  • 宇和島藩 文書に軍楽隊が存在した記録がある
  • 人吉藩 軍楽隊保存会が存在している

下記は幕臣に教わったという記録があり、現在も伝承している組織である。

  • 山国隊 現存する幕末軍楽曲でもっとも原形に近いといわれている。明治元年に幕臣から教わった
  • 佐原オランダ楽隊 幕臣から教わった

使用される楽器[編集]

打楽器[編集]

バッテリーと呼ばれる打楽器。屋外で歩きながら演奏することを目的として発展してきた。その後、マーチングバンドにも取り入れられ、現在では、ほぼ同じものが使用されるようになっている。

フロントピットと呼ばれるフロントアンサンブルで使われる主な打楽器。1970年代までは、鍵盤楽器やティンパニーも可搬式のものが用いられていたが、現在では固定された状態で使用される事が多く、管弦楽、吹奏楽で用いられるものと変わらない。

管楽器[編集]

  • ビューグル
    • ソプラノビューグル
    • メロフォンビューグル
    • バスバリトンビューグル
    • ユーフォニウムビューグル
    • コントラバスビューグル
  • マーチングブラス
    • トランペット
    • コルネット
    • メロフォン
    • マーチングホルン
    • バリトン
    • ユーフォニウム
    • チューバ

マーチング発祥の地と言われているアメリカに本部を置き、毎年全米規模で決勝の様子がテレビ中継されるほどの人気を誇るDCI World Championshipsでは長年、規定によりビューグルで編成された管楽器セクションを有するドラムコーのみが大会へのエントリーを可能としていたが、音楽表現の観点でのルール改定により、'98年以降のDCI主催の世界大会ではG調以外の金管楽器編成がエントリー可能となり(実際にマーチングブラス編成で大会へ出場する団体が現れ始めたのは'00年以降)、それ以後、毎年決勝まで大会に残り熱戦を繰り広げる団体を初めとした殆どのドラムコーがB/F調のマーチングブラス編成で大会へエントリーしている。 なお、日本のドラムコーを発展させるため、JMBA(日本マーチングバンド・バトントワーリング協会)とは別軸で設立されたDrum Corps Japan(以下DCJ)が存在する。 DCJ主催の大会ではDCI同様、審査員席で審査するジャッジ以外にもフロアジャッジが存在し、個人の動作技術やフィンガリング、スティックコントロールまで細かく審査される。この審査方法はJapan Cupでも採用されている。 また、DCJが主催する大会ではビューグル編成のバンドとマーチングブラス編成のバンドで部門を分けて審査される。

この審査方法は物議を醸している。そもそも、DCJ設立のバックボーンとなるDCIでは前述にもある通り、1998年頃からマーチングブラスでもエントリーが可能となり、ルール改定後は出場する団体ほとんどがマーチングブラスへと移行しているが、この間、ビューグル編成とマーチングブラス編成で審査が分けられたことは一度もない(これは、2000年の決勝で同点優勝した2つのチームが、それぞれビューグル編成、マーチングブラス編成だったことからも言えることである)。

ヴィジュアル・アンサンブル[編集]

今日的なドラム・アンド・ビューグル・コーは一般的に、カラーガード(color guard)と呼ばれる、フラッグやライフル、セイバー等の手具を使用して音楽を視覚的に表現するセクションを伴う。

2005年、セイバーに関して国内では銃刀法に触れる事が指摘され、代替の手具による演技が行われていた。

2006年3月、アルミニウム合金製のみ「模造刀剣類」の扱いとして一定の条件の元、所持使用が許可された。

大会[編集]

DCI[編集]

DCI(Drum Corps International:ドラムコーインターナショナル)と呼ばれる組織により、ドラムコーの世界大会が行われている。DCIは青少年の健全育成を目的としており、競技会の参加に関しては21歳までという年齢制限がある。

DCA[編集]

DCA(Drum Corps Associates:ドラムコーアソシエイツ)と呼ばれる組織により、ドラムコーの競技大会が行われている。DCIと違い、DCAでは競技会の参加に年齢制限を設けていない。

DCJ Championship[編集]

DCJ(Drum Corps Japan:ドラムコージャパン)主催の日本国内大会がある。DCA同様年齢制限は無い。競技部門において、ドラムコーディヴィジョン(管楽器に関して、G基調でフロントベル仕様のビューグルという構成のみ参加が可能。)、エニーキーディヴィジョン(管楽器に関して、G基調以外でフロントベル仕様の金管楽器)がある。

日本の団体[編集]

ドラムのみの編成団体[編集]

  • 夜櫻銀次郎 (鈴鹿市、三重県)

G基調ビューグル使用団体[編集]

  • Blue Saints (島根県)
  • Cherry Blossoms (旧:八王子チェリーズ) (八王子市、東京都)
  • G-Pulsation (石川県)
  • Imperial Sound (名古屋市、愛知県)
  • Jokers (京都府)
  • The Knights (unknown)
  • Legend of ANGELS (寝屋川市、大阪府)
  • Maximum (函館市、北海道)
  • Phoenix Regiment (大田区、東京都)
  • Scrapers (松阪市、三重県)
  • Sonic Lancers (埼玉県)
  • Sound of Renaissance (静岡市、静岡県)
  • Tokushima Indigoes (佐那河内村、徳島県)
  • Tokyo Phoenix (東京都)
  • Ventures (神戸市、兵庫県)
  • Yokohama INSPIRES (横浜市、神奈川県)
  • THE YOKOHAMA SCOUTS (横浜市、神奈川県)

Any Key団体[編集]

  • Himeji Saints(姫路市、兵庫県)
  • Pride of Soka (旧:Royal Kilties)
  • Soka Renaissance Vanguard
  • YAMATO(京都府)
  • 幻(兵庫県)
  • 湘南ドルフィンズマーチングバンド(藤沢市、神奈川県)
  • Sensational ZIP(大仙市 秋田県)

過去に存在した日本の団体[編集]

  • BayMax
  • The Splendors
  • Super Splendors
  • Sweethearts
  • The Cool Roses
  • Kosei Refinado
  • La Fiesta
  • Yokosuka Light Friends
  • Yamato Starlight Cadets