コントラファゴット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
コントラファゴット コントラファゴット
別称:コントラバスーン、
ダブルバスーン
各言語での名称
double-bassoon,
contrabassoon
Kontrafagott
contre-basson
contrafagotto
倍低音管
分類
音域
実音記譜:コントラファゴットの音域
関連楽器
[[:File:|エクササイズ13 INCONIS - インコニス:コントラファゴット:歴史と演奏技法]]
[[File:|220px|noicon|alt=]]

この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。

コントラファゴットは、木管楽器のひとつ。コントラバスーンダブルバスーンともいう。

特徴・音域など[編集]

コントラファゴットは、ファゴットの倍の管長を持ち、1オクターブ低い音を出し、一般的にオーケストラ吹奏楽で使用される管楽器の中で最も低い音が出せる楽器である。ファゴット同様、上下に組み合わされた2枚のリードによって音を出すダブルリード式(複簧管楽器)である。管長は6メートル近くに及ぶため、4回管を折り曲げている。重いため、ストラップではなくエンドピンで楽器を支えることが多く、指と首(あるいは肩)の負担を軽減するためにこれらを併用する場合もある。全長は当項目の写真のようにベルが楽器の中ほどにあるもので約140cmあり、ベルが上部に来るものや最低音が拡張されたものになるとさらに長くなる。楽器本体重量は約6kgである。

リードはファゴットのリードより一回り大きなものを使用する。形状はファゴットのリードとほぼ同じで、振動面が広い。

音域は、一般的なピアノの最低音より半音高い変ロ音から上方に3オクターブほどである。ファゴット奏者が演奏し、中低音域に関してはファゴットとほぼ同じ指使いでちょうど1オクターブ低い音が出るため、一般に1オクターブの移調楽器として記譜する。ただしリヒャルト・ワーグナーの『パルジファル』、ワーグナーの管弦楽法を学んだクロード・ドビュッシーの『イベリア』や『』では一部を除いて実音表記されている。楽器によっては、最低音が半音あるいは全音拡張されて音、変イ音まで出るものもある。

木管楽器の最低音を担い、中規模以上のオーケストラの編成で用いられることが多く、近現代の大規模な管弦楽曲では日常的に見ることが出来る楽器である。また、大規模な吹奏楽の楽曲でも編成に組み入れられる場合がある。日本国内においては、かつてはその高額な価格ゆえ、アマチュアでは所有者・所有団体も少なかったが、近年は一部のメーカーから日本円換算で100万円台という比較的安価で品質の良いものも出回っていることから所有者も増えてきている。一方で、500万円超もしくは時価という高級機も存在し、依然「特殊楽器」の色合いが濃いとも言える。

演奏には、比較的必要な息が少ない通常のファゴットよりも多くの息が必要である。楽器が現代に近づくほど速い動きが困難になり、音量は大きくなる。ベートーヴェン交響曲第9番の終楽章に見られる速い動きは、現在の楽器では非常に困難であるが、当時の楽器では演奏自体は可能である。しかし、音量が現在の楽器よりも著しく小さいことから効果的であるとは言い難い。ブラームス交響曲第1番は低音を効果的に使っている。

古くから楽器自体が稀少であったわけではなく、ベートーヴェンの交響曲第8番の初演の際には、同時に演奏された交響曲第7番を含め、スコアに指定がないにもかかわらずコントラファゴット奏者が2人参加した記録がある。

室内楽では古典派時代ハルモニームジーク管楽セレナードなど)で指定のあるなしにかかわらず日常的に使用された。モーツァルトの『グラン・パルティータ』ではコントラバスが指定されているにもかかわらず、音色の統一を目的にこの楽器が使われることがある(モーツァルトがこの曲でコントラバスを指定した意図が明確でないため、一概にこの代用が誤りとは言えない)。

同系統の楽器にドイツのヴォルフ社が開発したコントラファゴットの改良型、コントラフォルテ(Kontraforte)がある。最低音は通常のコントラファゴットよりも半音低いイ音、音域は4オクターヴ半に及び、高音域が痩せる傾向にある通常のコントラファゴットに対して全音域通してほぼ一様の音質になる。また、ダイナミクスレンジが通常のコントラファゴットよりも広い。

歴史[編集]

17世紀中ごろに開発され、当初は長大なファゴットの姿をしていた。現存する最古のものは、1714年製で、3鍵である。

バッハの楽曲や、ヘンデルの「王宮の花火の音楽」、ハイドンの「天地創造」「四季」、モーツァルトの「フリーメイソンのための葬送音楽」などでも用いられているが、交響曲での初出はベートーヴェン交響曲第5番の終楽章である。

その後、様々な楽曲の編成に登場するが音量が小さく、表現力も乏しかったため、コントラバス・サリュソフォーンなどの代用楽器に押されていたが、ヘッケルが19世紀後半にキーの追加やチューニングスライドの追加等の改良を行った結果、音量や表現の幅などが改善され、形状もほぼ現在のものとなった。

2001年にフォックスがオクターブキー等をさらに改修したシステムを導入、2004年に当国で特許を取得した。2005年に作曲されたカレヴィ・アホコントラファゴット協奏曲は、このシステムを念頭において作曲されたため、それ以前の楽器で演奏することは非常に困難である。

コントラファゴットのために書かれた作品も、この楽器を専門とする演奏家も非常に少ないのが現状であるが、後者ではスーザン・ニグロw:Susan Nigro)が複数のCDを出すなどの活動をしている。

コントラファゴットが用いられる楽曲の例[編集]

管弦楽曲[編集]

大編成のオーケストラにおいては普通に編成に組み込まれるが、ソロは滅多に出てこないため、ここでは主にソロ、ソリなど目立つ部分が存在する作品を挙げる。

  • ベートーヴェン
    • 交響曲第5番 - 第4楽章のみ。交響曲における初出だが、コントラバスと同様の動きをするため、音が表には出てこない。
    • 交響曲第9番 - 第4楽章のみ。中間部に1,2ファゴットとの2オクターブのソリがある(最新版では3オクターブ)。
  • ストラヴィンスキー
    • バレエ音楽「春の祭典」 - コントラファゴットが2本使われる
    この他、バレエ音楽「火の鳥」(原典版、1911年版)において2本用いられる。
    この2曲以外でコントラファゴットが2本以上編成に含まれる例はブライアンの「ゴシック」、「勝利の歌」等の巨大編成曲に限られ、稀である。

吹奏楽曲[編集]

作曲家の指定に表れる事は稀であるため、編成に含まれる例を示す。 コントラファゴットよりも更に絶対的な台数の少ない吹奏楽楽器コントラバス・サリュソフォーンの代用として用いられることもある。また、しばしばコントラバス・クラリネットで代用される。

協奏曲[編集]

  • ドーフ
    • コントラファゴット協奏曲
  • モンターノ
    • ピッコロとコントラファゴットのための協奏曲

独奏曲[編集]

  • シュルホフ
    • バスナイチンゲール(Bassnachtigall 低音のうぐいす)

サンプル[編集]

主なコントラファゴットメーカー[編集]

  • アマティ (チェコ)
  • フォックス (アメリカ)
  • モーレンハウエル (ドイツ)
  • ピュヒナー(ドイツ)
  • ヘッケル(ドイツ)
  • モースマン(ドイツ)
  • シュライバー(ドイツ)
  • アドラー(ドイツ)
  • ソノーラ(旧東ドイツ:現在はアドラーと合併)
  • メーニッヒ(ドイツ)

参考文献[編集]

  • Raimondo Inconis, Il controfagotto, storia e tecnica, ed. Ricordi, Milano (1984–2004) - ER 3008 / ISMN 979-0-041-83008-7.

[編集]