スパロー (ミサイル)

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AIM-7 スパロー

スパロー(Sparrow)は、レイセオン社製の中射程空対空ミサイルアメリカ軍における制式名はAIM-7で、誘導にはセミアクティブ・レーダー・ホーミング(SARH)誘導方式を採用しており、視程外射程(BVR)が可能である。なお、スパローとはスズメ、もしくはスズメ科に属する鳥類全般の意。

アメリカ空軍海軍日本航空自衛隊など、西側諸国空軍を中心とした軍事組織で広く使用されるが、現在ではAIM-12099式空対空誘導弾などといった、アクティブ・レーダー・ホーミング(ARH)誘導方式が可能な新型の空対空ミサイルへの更新が進んでいる。

開発経緯[編集]

F-15Cから発射されたAIM-7

アメリカ海軍が1946年に開始したプロジェクト・ホット・ショットと呼ばれるドイツのジェット戦闘機及び日本軍の特攻機対策の空対空兵器として開発が開始された。1948年にはAAM-N-2 スパローIとして計画がまとめられた。しかし当時の電子技術の限界から初期に生産された物は1951年の生産開始から1953年の実験までただの一度も目標に命中する事は無かった。

1956年から改良されたAAM-N-2が、実戦部隊に引き渡される様になったが、命中を期待出来るのは戦略爆撃機のような大型で足の遅い航空機のみであった。

ベトナム戦争においては、アメリカ空軍の主力戦闘機F-4の主兵装として使用された。 しかし

  • 熱帯における電子機器の信頼性の低下が起こった
  • アメリカ海軍が航空母艦甲板でミサイルにフィンを取り付ける際に粗末な扱いをした為に部品を損傷させていた
  • 2-3回の飛行後に1度点検が必要だったのにも関わらず、20回以上の飛行をしていたのに1度も点検を実施していなかった
  • 攻撃対象が小型で機動性の高い戦闘機であった
  • アメリカ海軍のF-4が味方のF-4を誤撃墜し、目視外戦闘を禁止されたことで、発射時の大半が最低射程距離以下だった

などの問題により[要出典]、命中率は非常に悪く、実質一割程度であった。

F-14がまだ量産先行型で試験飛行を行っていた1973年6月20日、ムグ岬の海軍基地に配備されていた3機の試験機のうち1機が、スパローを発射した所自機に命中する事故を起こして墜落した。

湾岸戦争においては、電子機器の発達やベトナム戦争での教訓もあって高い命中率となり、イラク軍機を多数撃墜している。

基本型・派生型[編集]

AIM-7AスパローI
1948年に制式化された型式でスペリー社が開発した。誘導方式はビーム・ライディング式で誘導方式からくる命中率の悪さから、後述のAIM-7Bが開発された。名称が時期によって変わっており、1947年の開発当初はKAS-1やAAM-2と呼ばれていた。また、1948年の制式化から1962年9月の命名規則の変更までAAM-N-2と呼ばれていた。
AIM-7BスパローII
AIM-7Aの誘導方式をアクティブレーダー式に変更した形式でダグラス社が開発した。当時の電子技術の限界からレーダーの小型化ができず大型化している。発射試験は行われたものの制式化されず1956年に開発中止となった。1962年9月の命名規則の変更までAAM-N-3と呼ばれていた。
AIM-7CスパローIII
誘導方式をセミアクティブ・レーダー・ホーミング(SARH)に換えた型式で現在のスパローの基礎となったタイプ。レイセオンが1951年から開発を行い1958年に実用化された。1962年9月の命名規則の変更までAAM-N-6と呼ばれていた
AIM-7Dスパロー(AIM-110)
液体燃料モーターを使用した型式。1962年9月の命名規則の変更までAAM-N-6AおよびAIM-101と呼ばれていた
AIM-7E
F-4Cに装備されたAIM-7F
ロケットモーターを液体燃料から固体燃料に変更した型式。1963年から生産が開始された。1962年9月の命名規則の変更までAAM-N-6Bと呼ばれていた。
AIM-7E-2
機動性を向上させ、最小交戦範囲を狭くした型式。
AIM-7F
F-4Gに装備されたAIM-7F
制御部をソリッドステート化して小型化し、その分ロケットモーターを大型化して射程延長したもの。モノパルス・ホーミング・ヘッドの採用によりFCS用のパルス・ドップラー・レーダーでも誘導が可能となった。
AIM-7G
AIM-7Fの誘導装置を改良した型式。試作のみ。
AIM-7H
AIM-7Gの誘導装置を改良した型式。試作のみ。
AIM-7M
新型シーカーを搭載してECCM能力や信頼性を向上させたもの、信管の改良と弾頭の変更で破壊力を高めている。
AIM-7P
1990年から生産が開始された型式。小型目標に対する迎撃能力を向上させるため信管を改良している。また、ブロック2からは中間アップデート用のデータリンク受信機が搭載され中間コースでのアップデートが可能となった。
AIM-7R
シーカーをモノパルスレーダーと赤外線の複合型に変更した型式。新型信管の採用、処理能力の向上、ECCM能力の強化が盛り込まれていた。1990年代初めから開発され、1993年には試射も行われたが。1996年に計画中止となった。
RIM-7 シースパロー
AIM-7をベースに開発されたセミアクティブレーダーホーミング方式の個艦防空ミサイル
AGM-45 シュライク
AIM-7Cの弾体に対レーダー用シーカー・ヘッドを搭載した対レーダーミサイル
スカイフラッシュ
BAe社が開発したAIM-7Eの発展型。内部回路系統を改良し低空目標対処能力やECCM能力を向上させている。イギリスイタリアサウジアラビアスウェーデンの4カ国が運用していた。
アスピーデ
AIM-7E-2をベースにイタリアが開発した空対空ミサイル。シースパローの様な艦対空ミサイルや、地対空ミサイル等の派生型が存在する。またアクティブレーダーホーミング方式の改良型も計画されたが中止されている。

仕様[編集]

諸元表
AIM-7A
(AAM-N-2)
AIM-7B
(AAM-N-3)
AIM-7C AIM-7E AIM-7F AIM-7M/P
全長 3.74m 3.85m 3.66m
直径 0.203m
翼幅 (前部)0.94m
(後部)0.88m
(前部)1.02m
(後部)不明
(前部)1.02m
(後部)0.81m
重量 143kg 176kg 172kg 197kg 231 kg
推進システム エアロジェット
1.8KS7800 固体燃料ロケットモーター
ロケットダイン
Mk.38/Mk.52 固体燃料ロケットモーター
ハーキュリーズ
Mk.58 デュアル推進固体燃料ロケットモーター
射程距離 10km 7km 11km 30km 70km
飛翔速度 M2.5 M4
弾頭 20kg弾頭 30kg MK38 39kg Mk.71 40kg WDU-27/B

登場作品[編集]

小説
イージス艦「いそかぜ」に接近した百里基地第204飛行隊F-15Jに対して「いそかぜ」撃沈の命令が発令された際、F-15JのパイロットがAIM-7を攻撃に用いようとしたものの、「いそかぜ」の迎撃に遭った為に攻撃は行えなかった(ただし、空対空ミサイルであるAIM-7を対艦攻撃に用いる事は現実的ではない)
主人公達が搭乗するF-4に搭載されている、冒頭では高価なAAMはぶらさげているだけで実は一度も撃ったことがないといっているが、後に日本の領空侵犯した所属不明のMiG-31に使用し、2機撃墜する。
ゲーム
『5』以降の作品にて。特殊兵装・SAAM(セミアクティブ空対空ミサイル)の一部がAIM-7をモチーフとしている。
西側諸国戦闘機ユニットの空対空ミサイル装備として登場。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]